キングコング
『キングコング』(King Kong)は、1933年からアメリカで作られ始めた同名の特撮映画、もしくは作品内に登場する巨大なゴリラの怪獣の名称。映画は空前の大ヒットとなり、以後『キングコング』というキャラクター(もしくはそれを強く意識したクリーチャー)を使って、現在に至るまで様々な作品が製作されている。
正規のライセンス契約を経て、ゴジラシリーズをはじめとした日本映画にも登場している。
目次
映画作品
『キング・コング』(1933)
アメリカ映画。RKO製作。上映時間100分。劇場公開は1933年4月7日。文明社会に紛れ込んだ怪物キングコングが大暴れする。美女アンを片手に持ってエンパイア・ステート・ビルに上る姿が特に有名。
日本での亜流作品
日本では同年9月14日に公開され大ヒット。多数の亜流作品が生まれた。鎌倉の海岸に高さ14メートルのキングコングの張りぼてが建造され、また松竹蒲田撮影所では喜劇の神様の異名をとった斎藤寅次郎監督による『和製キング・コング』という便乗映画が撮影され、10月に公開されている。5年後の1938年には『江戸に現れたキングコング』(監督熊谷草弥)が江戸を舞台にした時代劇として奈良・全勝キネマあやめ池撮影所で撮影、公開された。
『コングの復讐』(1933)
アメリカ映画。原題は『SON OF KONG(コングの息子)』。日本劇場公開は1934年12月。上映時間69分。『キングコング』の大ヒットにより、ほぼ同じスタッフで早々と製作された。だが制作費は前作の半分ほどに減らされ、特撮担当のオブライエンも上層部から何かと注文されることに嫌気が差し、製作終盤ではほとんどの仕事を弟子達にまかせていたという。“キングコングの子供”とされる大猿が登場。人間と行動を共にし、ドクロ島を舞台に活躍する。
息子コングは身長約4メートル。性質は穏やかで好奇心旺盛、愛嬌に富む。毛並みが白い。デナムからつけられた愛称はキコ。父親とは別居生活を送っていた。沼にはまっていた所を島を訪れたデナムに救われ、以後はデナムを守るべく島の生物達と戦う。最後は噴火により沈む髑髏島と運命を共にした。
同作には、恐竜の他に「架空の竜」「大熊」などのクリーチャーが登場する。
息子コングの設定身長はキングコングに比べ遥かに小さいが、作中に登場する実物大の腕には、『キングコング』にて使用された物が毛皮を張り替えたのみでほぼそのまま流用されている。
スタッフ
- 監督:アーネスト・B・シュードザック
- 製作:マリアン・C・クーパー、アーネスト・B・シュードザック
- 脚本:ラス・ローズ
- 撮影:エドワード・リンデン、J・O・テイラー、バーノン・ウォーカー
- 音楽:マックス・ステイナー
- 特殊効果:ウィリス・オブライエン
キャスト
- ロバート・アームストロング(カール・デンハム)
- ヘレン・マツク(ヒルダ・ペターソン)
- フランク・ライヒヤー(エングルホーン船長)
- ジョン・マースト(ラルス・ヘルストーム)
東宝版キングコング
詳細は各項目を参照。
- 『キングコング対ゴジラ』東宝製作(創立30周年記念作品)。1962年8月11日公開。
- 『キングコングの逆襲』東宝製作(創立35周年記念作品)。1967年7月22日公開。
映画『ゴジラ』がアメリカでもヒットしていたことから、東宝がキングコング映画製作の権利[1]を得て『キングコング対ゴジラ』が実現した。本編助監督の梶田興治によると、RKOはキングコングのキャラクター使用料として、5年契約で8千万円を要求した(この金額は、当時の映画予算3本分だったという)。
その後「『キングコング対ゴジラ』で結んだ5年契約が残っているうちに、もう一本日米合作のキングコング映画を撮ろう」という話になり、1966年(昭和41年)に『ロビンソン・クルーソー作戦 キングコング対エビラ』という脚本が関沢新一によって用意された。当初はこの脚本に沿って、コングはエビラと戦う予定だったが、「『アニメ版キングコング(下記参照)』と設定をあわせて欲しい」というアメリカ側の要請により、翌年1967年(昭和42年)に、新規に馬淵薫によって脚本が書かれ、『キングコングの逆襲』として製作された。この時の没案は後にゴジラシリーズへ流用され、『ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』として製作された。
『キングコング』(1976)
1976年12月17日公開、日本劇場公開は18日。上映時間は135分
『キングコング2』(1986)
アメリカ映画。原題は『KING KONG LIVES』。劇場公開は1986年12月19日、日本公開は20日。上映時間105分。1976年に製作された『キングコング』の続編。ジョン・ギラーミン監督、リンダ・ハミルトン主演。前作の直後からスタートし、墜落により心停止状態となるも、人工心臓により復活したコングが巻き起こす大騒動を描く。雌のコングも登場し、新たな物語が展開される。
『キング・コング』(2005)
アメリカ映画。1933年の第1作に感銘を受け映画監督を志したというピーター・ジャクソン監督作品。主演はナオミ・ワッツ。これもやはり第1作のリメイクで、当時と同じ1930年代が舞台。コングがスカルアイランドで巨虫や肉食恐竜と激闘を繰り広げた後、見世物として連れて来られたニューヨークで大暴れするというストーリーも共通している。原作と本作によれば、「18.8mのキングコング VS. 16.8mのティラノサウルス」とある。
アニメ作品
『キングコング』(1967)
テンプレート:基礎情報 テレビ番組 アメリカのビデオクラフト社と日本の東映動画による日米合作。アメリカでは1966年9月10日から1969年8月31日までABC放送にて放送。日本では『001/7親指トム』とともに1967年4月5日 - 1967年10月4日にNET系で放送された。全26話。日本での放送時間は毎週水曜19:30 - 20:00。
キングコングと少年ボビーの友情と、キングコングを生け捕りにしようとするドクター・フーとの戦いを描いた作品。最終話では、暴風雨の中、行方不明になったコングがニューヨークに現れ、エンパイアステートビルに登るシーンもある。ただし、急遽かけつけたボビー少年の機転でコングはビルを降り、落ちかけた橋を支えて多くの人命を救い、ニューヨーク市の鍵を贈られるというハッピーエンドになっている。東宝映画『キングコングの逆襲』のメカニコングはこの作品に登場するロボットコングが元である。 テンプレート:See
日本では終了後も、1970年代前期まではNETの朝や夕方などで再放送されたが、1970年代後期以降は全く再放送されず、映像ソフト化もされることもなく、また東映ビデオから発売された「東映TVアニメ主題歌大全集」(VHS、LD、DVD)にも未収録である。
声の出演
主題歌(日本語吹き替え版)
この曲は、キャンプソングとしても広く歌われている。
『世界の王者キングコング大会』(1966)
TVシリーズが始まる3ヶ月前に、テストケースとして放送された単発作品で、1966年12月31日の土曜20:00 - 20:56(JST)に放送された。やはりビデオクラフト社と東映動画による日米合作作品。大塚製薬の一社提供だが、大塚製薬はTVシリーズには参入していない(アサヒビールほかの複数社提供)。
声の出演
- ボビー:藤田淑子
- スーザン:堀絢子
スタッフ
スカルアイランド
スマトラの西にあり海図には乗っていない島。別名ドクロ島。『キングコング(1933年)』『コングの復讐』『キング・コング(2005年)』に登場。『コングの復讐』では火山の噴火により海中に沈んだ。
島に生息する生物として、1933年版及び『コングの復讐』ではステゴサウルス、アパトサウルス、ティラノサウルス、プテラノドン、スティラコサウルス、巨大昆虫、大トカゲ、大蛇、大熊が描かれ、2005年版では巨大昆虫のほか、バスタトサウルス・レックス、ベナトサウルス、アパトサウルス、フィートドン、テラプスモルダクス、ピラニアドンなどが登場した。
関連作品
- 猿人ジョー・ヤング(1949)
- クィーン・コング(1976)
- キング・カンフー/コングキングの逆襲(1977)
- 北京原人の逆襲(1978)
- キングコング2 怒りのメガトンパンチ(1986) - ファミリーコンピュータ用ゲームソフト。コナミ制作
- キングコング2 甦る伝説(1987) - MSX2用ゲームソフト。コナミ制作。
- マイティ・ジョー(1998)
脚注
- ↑ 元々は本国にて企画された“キングコングとフランケンシュタイン博士の作り上げた巨大モンスターが闘う”という作品であった
関連項目
- 月光仮面 - マンモスコングというキャラクターが登場。シルエットは『キングコング対ゴジラ』のコングに近い。
- ドンキーコングシリーズ - 任天堂製作のコンピュータゲーム。ドンキーコング#キングコング裁判も参照。
- アイアンコング - タカラトミー(旧・トミー)から発売された玩具「ゾイド」の一種。ゴリラがモチーフの架空の兵器。
- 15はドキドキ ピンクコング - 文化放送で1987年から1989年のナイターオフ期間に放送されたラジオ番組。