エルベ川

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エルベ川(エルベがわ、ポーランド語:Łaba、チェコ語:Labe、標準ドイツ語:Die Elbe、低ザクセン語:De Elv)は、チェコ北部およびドイツ東部を流れ北海へと注ぐ国際河川である。全長約1,091kmはヨーロッパでは14番目に長く、このうち727kmがドイツ国内を占める。

地理

ポーランド、チェコ国境地帯ステーティ山地に源を発し、チェコ北部、ドイツ東部を北へ流れ、ハンブルク付近で北海に注ぐ。

ハンブルク南東付近にはエルベ・リューベック運河が延び、バルト海南西部リューベック湾との間を結んでいる。河口付近にはキール運河があり、バルト海のキール湾に接続している。

歴史

かつてゲルマン系アレマン族が原住地のスカンジナヴィア半島およびユトランド半島から南下して、エルベ川流域に在住していたが、3世紀ごろにローマ帝国に侵入するために、地形的に便利な西部ドイツのライン川の上・中流域に民族移住した。

また、スラヴ系西スラヴ人)のソルブ人も先住民として在住していたが、次第にドイツ人と同化した。さらに北西ドイツ地域からザクセン人の一派も移住してきた[1]

19世紀までは、エルベ川がヨーロッパ西を隔てる、大きな境界線の一つであった。エルベ以東の代表的な国がプロイセン王国オーストリア・ハンガリー帝国ロシア帝国。一方以西の国はフランスイギリスなどでエルベを挟んで、地域の実情が大きく異なっていた。代表的なのが農奴の存在であるが、西では近世初期に農奴の解消が終わったのに対して、東では、19世紀初頭から中ごろまで農奴が存在した(グーツヘルシャフト)。

第二次世界大戦当時の1945年4月には、東西からドイツに進軍していたソ連軍とアメリカ軍が流域のトルガウで出会い、恒久平和を誓い合ったという「エルベの誓い」の舞台となった。

2004年、ドレスデン近郊の流域において優れた文化的景観が評価され、「ドレスデン・エルベ渓谷」として世界遺産に登録されたが、2009年6月25日、景観を損ねる橋の建設を理由に、世界遺産リストから削除された。

流域の都市

支流

下流より記載

災害

2002年にエルベ流域の各地で増水が発生した。プラハ、ドレスデンの大部分が浸水する被害となったこの大洪水の原因は、旧東欧の灌漑インフラの老朽化が原因の一つと言われており、ドイツ、チェコ両政府は情報交換、灌漑インフラの充実、監視体制の強化など協力し合って、洪水の再発防止に努めている。

環境

テンプレート:Sister エルベ川には産業排水として水銀、カドミウム、鉛などの重金属、塩化物が流入し、汚染されたまま北海へ注いでいた。そして、今日においても北海に注ぐ大河の中で最も汚染された川と指摘されている。

脚注

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  1. ただし古ザクセン語は、エルベ川流域を起源とする説もある。