エビフライ
エビフライ(海老フライ)は、海老を多量の食用油で揚げた、日本の料理である。日本で開発されたカツ料理の一つであり、代表的な洋食料理である。
概要
海老をカツの手法によって、多量の食用油で揚げて作る料理で、キャベツ、キュウリ、トマトなどの野菜が添えて出されることが多い。
エビフライの素材は、高級店では主に車エビが使用されるが、漁獲量の低迷と価格高騰の影響があり、一般的にはブラックタイガー(ウシエビ)を使用する店が多い。他に高級品でコウライエビ(大正エビ)、イセエビ、ニシキエビなどを使う例もある。安価で冷凍食品などではバナメイエビ (Litopenaeus vannamei) が用いられることが多い。
歴史
発祥は諸説あり確かではない。
- 明治時代にカツレツと天ぷらから考案テンプレート:誰されたとする説。西洋料理の魚のフライと、江戸料理のてんぷらが結びついてできたとする説[4]。1895年(明治28年)の『簡易料理』[5]にイセエビやクルマエビの「フライ」[1]、1913年(大正2年)の『食道楽続編 夏の巻』[6]に「海老のカツレツ」の作り方が紹介されている[2]。
作り方、食べ方
殻をむいた海老の背わたを取り、丸まらないように背中方向へ伸ばす。 伸ばし方としては腹側に何箇所か小さい切れ込みを入れ、背中から押しつぶすように、腹のスジが「プチプチ」と切れるように、好みの大きさになるまで「つぶし伸ばす」。 その後、小麦粉、溶き卵、パン粉の順に衣をつけ、食用油で揚げる。ふっくらとしたボリュームのある衣に仕上げるためには衣を2度付けすると良いとされる。
一部の店では、殻をむく際に頭を取らずに有頭で仕上げる場合もあり、この場合には頭部には衣をつけない。
トンカツソースや中濃ソース、レモンの果汁、タルタルソース、醤油、トマトケチャップなどをかけて食べることが多い。ナイフ・フォークを使って洋風に、また箸を使い、単品料理や定食等で食べる場合が一般的だが、パンの間に挟んだエビフライサンド、卵綴じにしてご飯に乗せたエビフライ丼と言ったメニューも知られている。
現在は、簡単に調理が出来る冷凍食品も多く販売されており、お弁当のおかずなどとしても利用されている。
エビフライと名古屋
タモリがかつて名古屋を揶揄する一連のネタの中で、「名古屋弁ではエビフリャーと言う」などと発言したことが巷間に広がり、名古屋市の名物料理であるかのような誤解が広がった[7]。その誤解に乗じてエビフライを名物料理であるかのように提供する飲食店も名古屋には多数ある。 実際には名古屋弁で外来語の「フライ」が老年層で「フレァー」([ɸuɾæː])のような発音になることはあっても、「フリャー」と言うことはまずなく、「エビフリャー」という言葉を聞くことはまずない。
中国の炸板蝦
中国山東省は、エビの産地であり、青島周辺が1898年からドイツの租借地となった歴史もあって、カツレツの手法をつかった中型のエビのフライ「炸板蝦」(ジャーバンシア)が山東料理レストランなどで出されている。日本のエビフライと違う点は、背開きで平たい形状にして、塩などで下味を付け、細かなパン粉を付けることである。ウスターソースなどは付けない[8]。
出典・脚注
- ↑ 中央区観光協会 はじめて物語マップ
- ↑ 日本の西洋料理の歴史 西洋食文化の隆盛
- ↑ 一度は食べたい!創業100年以上の老舗飲食店 「●『煉瓦亭』(東京都・銀座)1895年(明治28年)創業の洋食レストランで、エビフライなど、煉瓦亭発祥」
- ↑ 食の研究所-食の源流探訪 「てんぷら×魚フライ」で誕生したエビフライ
- ↑ 民友社編、『家庭叢書第八巻 簡易料理』p90、1895年、東京・民友社
- ↑ 村井弦斎、『食道楽続編 夏の巻』p236、1913年、報知社
- ↑ スタイルプラス2012年6月24日放送
- ↑ 石毛直道、「ハオチー!鉄の胃袋中国漫遊 済南Ⅱ」『太陽』、1983年9月号、pp120-128、平凡社。