エネルギー効率

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索
ファイル:Ene Flow Pow Plt uni.jpg
2008年度の全世界の発電効率

エネルギー効率(エネルギーこうりつ)とは、広義には投入したエネルギーに対して回収(利用)できるエネルギーとの比をさす。狭義には、燃焼反応)させるエネルギーのうちどれだけのエネルギーが回収できるかという比率のこと。

概要

求める出力とそれを得る為に消費した入力との割合である。熱機関におけるエネルギー効率は熱効率とも称され、高温熱源から入る熱量をQ 1 、低温熱源へ排出される熱量をQ 2 とすると、熱効率ηは

η = (Q 1 - Q 2 ) ÷ Q 1 = 1 - (Q 2 ÷ Q 1 )

で与えられる。

必ずしも、投入したエネルギーと回収(利用)できるエネルギーの形態は、同一ではない。例えば、太陽電池の場合、受光エネルギーに対する、出力電気エネルギーの比で、エネルギー効率をさす場合もある。ただし、この場合においては変換効率と称することが多い。

エネルギー変換効率

エネルギーを他の形態に変換する場合は、その効率は入力エネルギーと出力エネルギーを同一のエネルギー単位に換算してもとめられる。火力発電の場合、燃料の保有発熱量が入力エネルギー、電気エネルギーが出力エネルギーであり、いずれもジュールに換算することで効率が得られる。なお、電気エネルギーに変換されなかった分が廃棄熱(エネルギー)に相当する。全世界の2008年度発電実績は消費エネルギーは石油換算トン(ktoe)4,398,768キロトンで生産電力はグロスで1,735,579ktoe相当の電力(20,185TWh)、最終消費に供給された電力は1,446,285ktoe相当の電力(16,430TWh)であった[1]。グロスの効率は39%、最終効率は33%となる。

エネルギー変換効率の一覧

下記の表はエネルギー変換効率(独版)より。

テンプレート:節stub

効率は前工程・機器等での消費や損失は考慮していない。エネルギー変換工程・機器への直近に投入されるエネルギーと出力との比較であり、総合効率より高い数値を示す。例えば電気機器の場合発電自体の効率が33%(2008年度実績)[注 1]なので総合効率は以下の数値の三分の一となる。

エネルギー変換効率
変換形態 入力
エネルギー
有効出力 効率  % 備考
火力発電 (石炭) 化学 電力 40–43
コンバインドサイクル発電 化学 電力 50–60  燃料が天然ガスの場合
CHPコージェネ 化学 電力、熱 65-75, <98  発電効率15~33パーセント、総合効率で65~75パーセントが可能である。
原子力発電[注 2] 原子力 電力 33  独版には「効率は10%」の注意書きがある。
水力発電 力学 電力 80–90
風力発電 力学 電力 < 59
太陽光発電 電磁波(太陽光) 電力 5–40  普及品12%~21%[2]、理論限界85-90%
MHD発電 (電磁流体発電) 熱源 電力 <30
全世界の発電効率 すべて 電力 39 総合効率は33%、電力の内部消費、送電ロスなどで減少。2008年度の実績[注 1]
水の電気分解 電力 化学 70 
エネルギー変換機械・装置
燃料電池 化学 電力 30–70
熱電対 電力 3–8
蒸気機関 化学 動力 3–44
スターリングエンジン 化学 動力 10–66
オットーサイクル 化学 動力 10-37
ガソリンエンジン (自動車) 化学 動力 20-30
ディーゼルエンジン 化学 動力 < 50
2ストローク低速ディーゼル 化学 動力 55   大型船舶用
電気モーター 電力 動力 20–99.5  出力200W以上のモーターでは70%以上
自転車用ダイナモ 力学 電力 20–65  高効率のハブダイナモもあるが、一般のタイヤ・リム式の効率は20%前後。
発電機 力学 電力 95–99.5
白熱電球 電力 電磁波(可視光) 3–5  ハロゲンランプを除く
蛍光灯 電力 電磁波(可視光) 28  英版より
LED 電力 電磁波(可視光) 5–25
送信機 電力 電磁波(電波) 30–80
高電圧送電 電力 電力 95  送電ロスは含まず
スイッチング電源 電力 電力 50–95
変圧器 電力 電力 50–99.8
インバータ 電力 電力 93–98
スピーカー 電力 音波 0.1–40 一般にハイファイスピーカーでは 0.3
パルスジェット 化学 動力  ?
タービンエンジン (航空機) 化学 動力 40
歯車ポンプ 力学 動力 < 90
熱源
キャンプファイヤー/囲炉裏/火鉢 化学 < 15 裸火であり調理の為の熱源とだけみれば効率は良くないが、同時に照明、暖房効果もある
かまど/七輪 化学 調理に特化しており裸火より効率は良い。
ガスコンロ[注 3] 化学 60–70
電気コンロ[注 3] 電力 50–60  総合変換効率を考えると17-20%
電磁調理器[注 3] 電力 83  総合変換効率を考えると28%
オンドル 化学 暖房に特化しており、また調理の排熱を利用するなど裸火より効率は良い。
暖炉 化学 10–30
ガスヒーター 化学 80–90
石炭ストーブ (家庭用) 化学 30–50
石炭ストーブ (工業用) 化学 80–90
冷蔵庫 電力 熱(冷却) 20–50
太陽熱パネル 電磁波(太陽光) < 85
投げ込みヒーター 電力 < 98
自然界
光合成 電磁波(太陽光) 化学 35
化学 電磁波(可視光) < 95
デンキウナギ 化学 電力
人間の骨格筋 化学 動力 20–30
その他
採炭から燃焼まで[注 4] 化学 30–60
光合成によるバイオマスの生産からその燃焼まで[注 5] 電磁波(太陽光) 化学 0.1–2.5

脚注

  1. 1.0 1.1 IEA/OECDの資料より。詳細は発電を参照。
  2. The efficiency of nuclear power plants, according to official methods (IEA, EUROSTAT: efficiency approach) with 33% (= efficiency of an average thermal power plant) is fictitious, because the nuclear fuel (eg uranium) is not a simple way a kind of energy value (as with fossil fuels) is assigned can be, ie there is physical / chemical no clearly defined primary energy. Based on the total energy gap of U235, the efficiency of a nuclear power plant in nearly 10%. this approach, but additional costs of reprocessing the fuel rods to be factored in the case.
  3. 3.0 3.1 3.2 燃料を燃焼させ熱源として利用する機器のエネルギー変換効率は電熱機器の数値より見かけ低くなっているが、電力は発電時の効率が33%であり、総合変換効率を考えると、直接燃焼のほうが効率は良い。
  4. Wirkungsgrad der Kohleförderung: Wie viele Tonnen Braun- bzw. Steinkohle muss ich fördern und für die Produktionsanlagen verstromen, um eine Tonne verkaufen zu können?
  5. Gesamtwirkungsgrad, d. h. auch einschließlich Energie, die zur Bereitstellung der Reaktionsmoleküle erforderlich ist.

参考文献

  1. IEC/OECDの2008年度エネルギー収支より、2011年6月閲覧
  2. 2013年10月現在太陽光発電の効率

関連項目