アース・ウィンド・アンド・ファイアー
テンプレート:Infobox Musician アース・ウィンド・アンド・ファイアー(Earth, Wind & Fire)は、アメリカの黒人によるファンクミュージック・バンドである。
人気を博した1970年代の全盛期は、モーリス・ホワイトとフィリップ・ベイリーのツインヴォーカルに重厚なホーンセクションが特徴であった。1980年代前半には、他バンドに先駆けてコンピューターを利用した電子音を採り入れ、実験的な曲創りにも取り組んだ。
来歴
モーリス・ホワイトは、初期はジャズ・ドラマーとしてラムゼイ・ルイスのバンドに参加していた。彼のバンドを離れた後、1969年にシカゴにて、『ソルティ・ペパーズ』を結成、キャピトルからシングル"La La Time"を残す[1]。
1970年には、活動拠点をロサンゼルスに変え、バンド名もアース・ウィンド・アンド・ファイアー(以後EWF)と改名。占星術によると、モーリスはEarth, Air & Fire(土と空気と火)の要素があるが、馴染みやすく、Earth, Wind & Fire(土,風そして火)と名づけた(当時の人気バンド、ブラッド・スウェット・アンド・ティアーズの模倣という説もある[2])。ワーナーと契約、モーリスの兄弟のヴァーダインにフレッドを含めた10人の大所帯バンドとなる。2作リリースするがヒットはせず、バンドは一度解散する。
1972年にコロムビア・レコードに移籍、フィリップ・ベイリーやラルフ・ジョンソンが加入。コロムビアには、以後1990年まで在籍する。1973年に、Head To The Sky(『ヘッド・トゥ・ザ・スカイ』)をリリースし、ゴールド・ディスクを獲得する。1975年には、That's the Way of the World(『暗黒への挑戦』)を、同名の映画のサウンドトラックとしてリリースし全米アルバム・チャート第1位を獲得するが、映画はヒットせず。この映画にはモーリスも出演しており、彼等の貴重なライヴ映像も観ることが出来る。
1976年に、モーリスは自己プロダクション、カリンバ・エンタテインメントを設立。モーリスは、"Boogie Wonderland"に参加している「エモーションズ」等をプロデュースしている。1978年には、CBS/コロムビアの元、ARCレコードを設立。レーベルの第一弾としてベスト盤The Best of Earth, Wind & Fire Vol.1をリリース。ヒット曲"September"の初収録アルバムがこれになる。
1980年に、2枚組の大作Faces(『フェイセス』)を発表した頃から、彼らのサービス過剰とも言える音楽性がリスナーに飽きられ始める。1983年に発表したElectric Universe(『エレクトリック・ユニヴァース』)では、ついに大きな売りであったホーンセクションを捨て、電子楽器中心のサウンドを展開させるが、人気の凋落に歯止めを掛けることは出来ず、活動を一時停止、各メンバーはそれぞれソロ活動に移る。この間、フィリップ・ベイリーは1984年にフィル・コリンズのプロデュースでChinese Wallをリリースし、"Easy Lover"をヒットさせる。彼は以後も不定期ながらソロ活動をしている。モーリスも1985年に唯一のソロ・アルバムとなるMaurice Whiteをリリースし、"I Need You"をヒットさせる。
1987年にTouch the World(『タッチ・ザ・ワールド』)をリリースし、活動を再開。1990年発売のHeritage(『ヘリテッジ』)を最後にコロムビアより離れ、ワーナーへと戻り、1993年にMillennium (『千年伝説』)をリリース。その頃よりモーリスはプロデューサー業を強化するようになり、1994年の全米ツアーには参加せず。モーリスは1995年のライヴ活動もリタイア。1996年に自主レーベル、カリンバ・レコードよりアルバムが制作され、avex traxよりAvatar(『アヴェタ』)のタイトルで日本先行発売された。海外版としては、このアルバムは翌年にIn the Name of Loveとリタイトルと再構成され、ライノより翌年にリリースされる。モーリスはこのアルバムを最後にプロデューサー業に専念するようになり、以後の活動はフィリップが中心となっている。
1997年にモーリスは神経性障害と診断される。「パーキンソン病ではなく、元々神経質であることと、度重なるストレスから、震えが伴うことがある」とモーリスは発言していたが[3]、後にやはりパーキンソン病を患っていたことが明らかになる。2004年の来日公演には同行する。2007年にはスタックス・レコード(コンコード・レコードにより復活)より、EWFのトリビュート・アルバムInterpetationsをリリース。モーリスは、エグゼクティヴ・プロデューサーとしてこのプロジェクトに参加。
2009年12月、4年ぶりの来日公演が東京と大阪、札幌で行われた。この時、翌2010年は結成40周年目の記念としてモーリスを加えての記念ライヴが行われるとアナウンスされたが、バンドでのライヴは叶わず、日本ではフィリップ・ベイリーのソロライヴのみが行われた。
2013年には22年ぶりにソニー・ミュージック(コロムビア)に戻り、9月にNow, Then & Foreverをリリース。ラリー・ダンが復帰し、原点回帰をテーマにしたサウンドとなる。限定版にはボーナスCDが付録する。[4]
ディスコグラフィー
アルバム
- Earth, Wind and Fire (デビュー, 1971, Warner Bros.) (US 200 #172/US R&B #24)
- The Need of Love (愛の伝道師, 1971, Warner Bros.) (US 200 #89/US R&B #35)
- Last Days and Time (地球最後の日, 1972, Columbia) (US 200 #87/US R&B #15)
- Head to the Sky (ブラックロック革命→ヘッド・トゥ・ザ・スカイ, 1973, Columbia) (US 200 #27/US R&B #2)
- Open Our Eyes (太陽の化身, 1974, Columbia) (US 200 #15/US R&B #1)
- That's the Way of the World (暗黒への挑戦, 1975, Columbia) (US 200 #1/US R&B #1)
- EWFが出演した同名の映画のサウンドトラックとなる。全米アルバム・チャート3週間第1位。プラチナ・ディスクを獲得。
- Gratitude (灼熱の狂宴, 1975, Columbia) (US 200 #1/US R&B #1)
- ライブアルバム。
- Spirit (魂, 1976, Columbia) (US 200 #2/US R&B #2)
- All 'N All (太陽神) (1977, Columbia) (US 200 #3/US R&B #1)
- The Best of Earth, Wind & Fire Vol.1 (ベスト・オブ・EW & F VOL.1)(1978, ARC) (US 200 #6/US R&B #3)
- I Am (黙示録, 1979, ARC) (US 200 #3/US R&B #1)
- Faces (フェイセス, 1980, ARC) (US 200 #10/US R&B #2)
- Raise! (天空の女神, 1981, ARC) (US 200 #5/US R&B #1)
- Powerlight (創世記, 1983, Columbia) (US 200 #12/US R&B #4)
- Electric Universe (エレクトリック・ユニヴァース, 1983, Columbia) (US 200 #40/US R&B #8)
- 大きな転換となったアルバム。ホーンセクションを捨て、電子ドラムやシンセサイザーなどを多用したのが特徴。
- Touch the World (タッチ・ザ・ワールド, 1987, Columbia) (US 200 #33/US R&B #3)
- The Best of Earth, Wind & Fire Vol.2 (1988, Columbia) (US 200 #190/US R&B #74)
- Heritage (ヘリテッジ, 1990, Columbia) (US 200 #70/US R&B #19)
- Millennium (千年伝説, 1993, Reprise/Warner Bros.) (US 200 #39/US R&B #8)
- ワーナー復帰後の第1弾。プリンス等外部のミュージシャンを呼んでいる。
- Live in VELFARRE (1995, Karimba Records)
- Greatest Hits Live (1996, Pyramid/Rhino) (US 200 #--/US R&B #75)
- In the Name of Love (1997, Pyramid/Rhino) (US 200 #--/US R&B #50)
- 自主レーベル、カリンバ・レコード制作。1996年にavex traxよりAvetar(アヴェタ)のタイトルでリリースされ、翌年にライノより構成を変えてリイシュー。2003年にも自主レーベル、カリンバよりオリジナル・タイトルでリイシュー。
- The Essential Earth, Wind & Fire (2002, Columbia) (US 200 #--/US R&B #91)
- The Promise (2003, Kalimba Records) (US 200 #89/US R&B #19)
- 国内盤は前作に続き、avexより。
- Illumination (2005, Sanctuary Records) (US 200 #32/US R&B #8)
- Now, Then & Forever (フォーエバー, 2013, Legacy Recordings) (US 200 #11/US R&B #5)
- 国内盤はソニー・ミュージックより。
シングル
1970年
- "Love Is Life" (US HOT100 #93 /US R&B #43)
1971年
- "I Think About Lovin You" (US HOT100 - /US R&B #44)
1973年
- "Evil" (US HOT100 #50 /US R&B #25)
- "Keep Your Head to the Sky" (US HOT100 #52 /US R&B #23)
1974年
- "Mighty Mighty" (US HOT100 #29 /US R&B #4)
- "Kalimba Story" (US HOT100 #55 /US R&B #6)
- "Devotion" (US HOT100 #33 /US R&B #23)
1975年
- "Shining Star" (US HOT100 #1 /US R&B #1)
- 初の全米No.1曲。
- "That's the Way of the World" (US HOT100 #12 /US R&B #5)
- 邦題「暗黒への挑戦」。
- "Sing a Song" (US HOT100 #5 /US R&B #1)
1976年
- "Can't Hide Love" (US HOT100 #39 /US R&B #11)
- "Getaway" (US HOT100 #12 /US R&B #1)
- CMトヨタ・ハリアー(2代目)CM曲、『タモリ倶楽部』の「あなたにも音楽を(現:空耳アワー)」第2号、『グランツーリスモ4』でもリミックスとして収録。
- "Saturday Nite" (US HOT100 #21 /US R&B #4)
- "On Your Face" (US HOT100 - /US R&B #26)
1977年
- "Serpentine Fire" (US HOT100 #13 /US R&B #1)
- "Fantasy" (US HOT100 #32 /US R&B #12)
1978年
- "Got to Get You into My Life" (US HOT100 #9 /US R&B #1)
- ビートルズの同名曲のカバー。
- "September" (US HOT100#8 /US R&B #1)
- "Boogie Wonderland" with The Emotions (US HOT100 #6 /US R&B #2)
- スタンダードなディスコナンバー。当時アースに全面バックアップを受けていたエモーションズがバックコーラスとして参加。
1979年
- "After the Love Has Gone" (US HOT100 #2 /US R&B #2)
- 無名時代のデイヴィッド・フォスター、ジェイ・グレイドン、ビル・チャンプリンが提供。
- "In the Stone" (US HOT100 #58 /US R&B #23)
- "Star" (US HOT100 #64 /US R&B #47)
1980年
- "Let Me Talk" (US HOT100 #44 /US R&B #8)、
- "You" (US HOT100 #48 /US R&B #10)
- "And Love Goes on" (US HOT100 #59 /US R&B #15)
1981年
- "Let's Groove" (US HOT100 #3 /US R&B #1)
- "Wanna Be with You" (US HOT100 #51 /US R&B #15)
1982年
- "Fall in Love with Me" (US HOT100 #17 /US R&B #4)
- "Side by Side" (US HOT100 #76 /US R&B #15)
1983年
- "Spread Your Love" (US HOT100 - /US R&B #57)
- "Magnetic" (US HOT100 #57 /US R&B #10)
1987年
- "System of Survival" (US HOT100 #60 /US R&B #1)
- "Thinking of You" (US HOT100 #67 /US R&B #3)
- "Evil Roy" (US HOT100 - /US R&B #22)
- "You and I" (US HOT100 - /US R&B #29)
1988年
- "Turn on (The Beat Box)" (US HOT100 - /US R&B #26)
1990年
- "For the Love of You" (US HOT100 - /US R&B #19)
- "Heritage" (US HOT100 - /US R&B #5)
- "Wanna Be the Man" (US HOT100 - /US R&B #46)
1993年
- "Sunday Morning" (US HOT100 #53 /US R&B #20)
- "Spend the Night" (US HOT100 - /US R&B #42)
- "Two Hearts" (US HOT100 - /US R&B #88)
1997年
- "Revolution" (US HOT100 - /US R&B #89)
2003年
- "All in the Way" with The Emotions (US HOT100 - /US R&B #77)
2005年
- "Pure Gold" (US HOT100 - /US R&B #76)
日本での活動
日本での人気の高さは、アメリカ本国のそれに「勝るとも劣らない」とも言われるほどで、1970年代~1980年代初頭のディスコ世代にとってはカリスマ的存在となっており、現在に至るまで幾度となく来日公演を行っている。
また、DREAMS COME TRUE(特にベーシストの中村正人)が強く影響を受けていることで有名で、『決戦は金曜日』など、同グループの曲をモチーフに作られたと思われる曲が多数存在するほか、『WHEREVER YOU ARE』ではモーリス・ホワイトがバックボーカルに参加している。
日本公演
- 3月26日~28日 日本武道館、30日九電体育館、31日 京都府立体育館、4月1日 名古屋国際展示場、2日 大阪府立体育館、3日 大阪厚生年金会館
- 10月25日 東京ドーム
- 4月21日,22日,25日 日本武道館
- 9月21日 東京ベイN.K.ホール、23日,24日 日本武道館
- 9月26日,27日 東京国際フォーラム ホールA
- 11月27日~29日 東京国際フォーラムホールA、12月2日 フェスティバルホール、3日 福岡国際センター
- 9月3日,4日 日本武道館、5日 名古屋レインボーホール、7日 福岡国際センター、9日 大阪城ホール、10日 愛媛県民文化会館メインホール
- 1月14日,15日 フェスティバルホール、18日,19日 日本武道館、20日 愛知県芸術劇場大ホール
- 12月7日,9日 なんばHatch、 11日,12日 東京国際フォーラム ホールA、 14日 Zepp Sapporo
関連項目
- モーリス・ホワイト
- 長岡秀星(アース・ウィンド・アンド・ファイアーのレコードジャケットのイラストを担当)
- Morito Suzuki(アース・ウィンド・アンド・ファイアーのThe Promise (2003) CDジャケットデザイン)
その他
- 1970年代後半、米パナソニックのBoombox(日本語で言うラジオカセットレコーダー)のCMキャラクターになっていた。
- 「in the stone」は、世界屈指の16ビート音楽といわれている。
脚注
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ ベストヒットUSAにおける小林克也の発言
- ↑ アルバムgratitude(2004年、日本再発盤)のウィリアム・C・ローデンによるライナー
- ↑ インフォメーション | Sony Music