アレクサンドリアのヘロン

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アレクサンドリアのヘロンテンプレート:Lang-grc-short、生没年不詳)は、古代ローマ属州エジプト(アエギュプトゥス)のアレクサンドリアで活動したギリシャ人工学者数学者。師はクテシビオスと言われる(クテシビオスの著作からアイディアを得た、とする説もある)。

蒸気の圧力を利用したさまざまな仕掛けも考案したが、自らが位置を変えて運動する蒸気機関は作らなかった。主な発明に、蒸気タービンや、蒸気を使って自動で開く扉などがある。

数学では測量法の改良者として知られる。また、著書Metricaにおいてヘロンの公式の証明を与えた。

ヘロンの生没年

生没年については諸説あり、紀元前2世紀ごろとする説から、3世紀前半ごろとする説まである。「クテシビオスの弟子」というのが正しいとすると、紀元前2世紀後半から紀元前1世紀ごろの人物、と言うことになる。ブリタニカ百科事典では、著作で62年に見られた月食に言及している、として1世紀ごろの人物としている(なお、現在の版ではこの記述は削除されているが、少なくとも62年に生きていた、としている)。

発明

  • アイオロスの球(ヘロンの蒸気機関)の構造を記述したことで知られる。これはロケットエンジンの原型であり、記録に残る最古の蒸気機関であるとも言われる (ただし古代ローマのウィトルウィウスもまた、ヘロンより100年ほど前にその著作『建築について』の中でアイオロスの球に言及している)。いずれにせよ蒸気機関は産業革命より2000年も前に発明されたことになる。その他にも、密閉された容器を祭壇の炎によって熱し、そこから噴出する空気を用いて別の容器から水を移動させ、その水の重みでロープを引っ張って神殿の扉を開けるという発明もあった。
  • 世界初の 自動販売機もまたヘロンによって作られたとされる。マシンの最上部にある投入口からコインを入れると、決まった量の聖水が出てくるという物であった(ヘロン著『気体装置』の発明品一覧にその記載がある)。
  • ヘロンの風力オルガンは世界初の風力機械とされる。彼はまた、ギリシアの劇場における様々な仕掛けも発明した。中には円柱形のギアを回転させて動く簡単な仕掛けと、ロープの結び目を用いた二進法の様なシステムを用いて、完全な機械仕掛で10分間も動き続けるような物もあった。また機械的に一定の間隔で落下する金属球を用いて隠れたドラムを鳴らし、雷の音を鳴らす仕掛けもあった。
ファイル:Heron's Windwheel.jpg
ヘロンの風力オルガン(復元図)

著作

『気体装置(Pneumatika)』

本書には、紀元前215年古代エジプトの神殿に置かれた聖水(いけにえの水)の自動販売機の記述図解(てこの原理を応用し、投入された5ドラクマ硬貨の重みで内部の受け皿が傾き、その傾きが元に戻るまで弁が開いて蛇口から水が出る)がある。これはヘロンの発明とよく言われているが、誰の発明かは良くわかっておらず、ヘロンの発明とする説や、クテシビオスの発明とする説、同名の別人のヘロンの発明とする説などがある。

ラテン語写本1583年)が、ローマの国立図書館に収蔵されている。

関連項目

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外部リンク