くまがわ (列車)

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くまがわは、九州旅客鉄道(JR九州)が熊本駅 - 人吉駅間を、鹿児島本線肥薩線経由で運行する特急列車である。

本項では、肥薩線で運転されていた優等列車の沿革についても記述する。

概要

特急「くまがわ」は、2004年3月13日九州新幹線鹿児島ルート部分開業の際に、熊本駅 - 人吉駅間を運行していた同名の急行列車を特急に格上げする形で運行を開始した。「くまがわ」の列車名は1959年4月1日に運行を開始した門司港駅 - 人吉駅間運行の準急列車に用いられたのが最初で、1966年3月1日急行列車に格上げされ、1980年10月1日には博多駅発着に変更の上で博多駅 - 熊本駅間は快速列車として運行されるようになった。また、人吉駅以南は普通列車として肥薩線吉松駅や湯前線(現在のくま川鉄道湯前線湯前駅まで乗り入れていた時期もあった。

「くまがわ」に大きな変化があったのは1989年3月11日のダイヤ改正で、運行区間を現行の熊本駅 - 人吉駅間に変更の上でそれまでの1往復から4往復に増発され、熊本市熊本県南部地域の都市間輸送の性格をより濃くすることとなった。2000年3月11日のダイヤ改正では同改正で廃止された宮崎駅発着の急行「えびの」の人吉駅以北を編入する形で6往復に増発された。

2004年の鹿児島ルート部分開業の際に熊本駅 - 人吉駅間の優等列車は全て特急に格上げされたが、熊本駅発着の「くまがわ」と、別府駅発着の「九州横断特急」の2系統の列車が運行されるようになった(詳細は「九州横断特急」の項目も参照)。2011年3月12日のダイヤ改正で、熊本駅 - 人吉駅間の特急列車はそれまでの6往復から5往復に減便され、現在に至っている。「くまがわ」自体の本数は特急化当初が2.5往復、2011年3月12日以降は3.5往復であったが、2013年3月16日のダイヤ改正で「九州横断特急」4往復が全て人吉駅発着になるのに伴い1往復に減便された。2013年8月4日の豊肥本線全線運転再開に合わせ、九州横断特急の1本が熊本で系統分離され、1.5往復となっている。

運行概況

熊本駅 - 人吉駅間に下り2本・上り1本の計1.5往復が運行されている。同区間には別府駅発着の「九州横断特急」が下り3本・上り4本設定されており、合わせて5往復の特急列車が運行されている。号数・列車番号は全区間、号数に1080Dを加算している。

「九州横断特急」と共に特急では異例のワンマン運転を行い、ワンマン運転時は運転士が開閉前にアナウンス後、ドア開閉の操作を行う。また、車内放送は自動放送によって行われているが、客室乗務員による車内改札・車内放送および車内販売も行われている[1]。多客期に3両で運行する際には車掌も乗務する。

停車駅

熊本駅 - 新八代駅 - 八代駅 - 坂本駅 - 一勝地駅 - 渡駅 - 人吉駅

使用車両・編成

2013年8月4日現在の編成図
くまがわ
テンプレート:TrainDirection
1 2
  • 全車禁煙
  • 3号は全車自由席
凡例
指=普通車座席指定席
自=自由席

大分鉄道事業部大分車両センターに配置されている185系気動車の「九州横断特急」仕様の車両を充当している。基本的に2両編成で運転されるが、多客期には3両編成で運転される場合がある。全車普通車のみで、グリーン車は連結されていない。 テンプレート:-

肥薩線優等列車沿革

  • 1959年昭和34年)
  • 1960年(昭和35年)12月1日:「えびの」を博多駅- 宮崎駅間、熊本駅 - 宮崎駅間各1往復の運行とする。なお、博多駅発着列車に関しては博多駅 - 西鹿児島駅(現在の鹿児島中央駅)間運行の「かいもん」と八代駅で分割・併合していた。
  • 1962年(昭和37年)2月20日出水駅 - 宮崎駅間運行(山野線・吉都線経由)の準急「からくに」を運行開始。吉松駅 - 宮崎駅間に関しては「かいもん」と併結する「えびの」と併結とした。
  • 1963年(昭和38年)10月1日:「えびの」を全列車博多駅発着とし、「かいもん」との併結は一旦終了。「からくに」併結の1往復については一部編成を西鹿児島駅まで延長。
  • 1965年(昭和40年)11月1日:熊本駅 - 西鹿児島駅間を鹿児島本線・肥薩線・日豊本線・鹿児島本線経由で運行する準急「やたけ」の運行開始。なお、下りに関しては豊肥本線阿蘇駅を始発としていた。
  • 1966年(昭和41年)
    • 3月5日:準急列車制度改変に伴い、「くまがわ」「えびの」「やたけ」「からくに」を急行列車に格上げ。
    • 3月25日:「やたけ」の下り列車を宮地駅始発とする。
  • 1967年(昭和42年)10月1日:「やたけ」を上下とも熊本駅発着とする。
  • 1968年(昭和43年)10月1日:「えびの」の臨時列車1往復を熊本駅 - 宮崎駅間に設定。同時に宮崎駅 - 指宿駅間運行の急行「錦江」と併結運転を開始。
  • 1969年(昭和44年)9月:「えびの」と「錦江」との併結を一旦終了。
  • 1970年(昭和45年)10月1日:ダイヤ改正により以下のように変更。
    1. 「えびの」は博多駅始発の下り1本で「かいもん」との、熊本駅始発の下り臨時列車で「錦江」との併結を再開。
    2. 「からくに」廃止。
「からくに」廃止時停車駅 (吉松 - 宮崎間は「えびの2号」と併結)
出水 - 水俣 - 久木野 - 山野 - 薩摩大口 - 菱刈 - 栗野 - 吉松 - 京町 - 飯野 - 小林 - 都城 - 南宮崎 - 宮崎
  • 1972年(昭和47年)3月15日このときのダイヤ改正に伴い、以下のように変更する。
    1. 「くまがわ」の下り列車を湯前線湯前駅行きとする。なお、人吉駅→湯前駅間は普通列車として運行。
  • 1973年(昭和48年)10月1日:このときのダイヤ改正により、以下のように変更。
    1. 「くまがわ」を上下とも門司港駅 - 湯前駅間の運行とする。なお、人吉駅 - 湯前駅間は普通列車とした。
    2. 博多駅 - 宮崎駅・西鹿児島駅間運行の「えびの」は、博多駅 - 宮崎駅間と吉松駅 - 西鹿児島駅間に分かれての運行とした。
  • 1974年(昭和49年)4月25日:博多駅発着の「えびの」のうち1往復を特急列車に格上げ。名称を「おおよど」とする。また、熊本駅発着の臨時「えびの」を定期列車とし、吉松駅 - 西鹿児島駅間の列車はこれに連結しての運行とする。
  • 1975年(昭和50年)3月10日山陽新幹線博多駅乗り入れに伴うダイヤ改正により、「えびの」「やたけ」について系統整理を実施。
    • 「えびの」は博多駅 - 宮崎駅間1往復、熊本駅 - 宮崎駅間2往復の計3往復とし、「かいもん」・「錦江」との併結は終了した。
    • 「やたけ」は熊本駅 - 西鹿児島駅間2往復の運行とした。
    • 熊本駅発着の「えびの」及び「やたけ」は全列車熊本駅 - 吉松駅間で併結運転とした。
  • 1978年(昭和53年)10月2日:「やたけ」を1往復に削減の上、吉松駅 - 西鹿児島駅間運行の快速列車に格下げ。ただし、下りは「えびの」に併結の上で熊本駅始発で運行されており、「えびの」に併結の区間に関しては急行として運行された。
  • 1980年(昭和55年)10月1日:このときのダイヤ改正に伴い、以下のように変更する。
    1. 「おおよど」は「にちりん」の総電車化に伴い運行終了。
    2. 「えびの」は全列車熊本駅 - 宮崎駅間の運行とする。博多駅 - 熊本駅間は「有明」に格上げする形となった。
    3. 「くまがわ」の運行区間を博多駅 - 人吉駅とする(博多駅 - 熊本駅間は快速列車に格下げ)。また、下りに関しては人吉駅から先は普通列車の形で吉松駅・湯前駅まで乗り入れていた。
    4. 「やたけ」は上下とも「えびの」に併結の上で熊本駅発着とする。
「おおよど」廃止時停車駅
博多 - 鳥栖 - 久留米 - 羽犬塚 - 大牟田 - 玉名 - 熊本 - 八代 - 人吉 - 吉松 - 京町 - 小林 - 都城 - 宮崎
  • 1984年(昭和59年)2月1日:「くまがわ」の上り列車を一部湯前駅始発とする。グリーン車廃止。
  • 1986年(昭和61年)11月1日:「くまがわ」を上下とも博多駅 - 湯前駅間の運行とする。指定席車が復活。また「やたけ」を廃止。
    ファイル:DC-EXP kumagawa kiha58 1.jpg
    「くまがわ」急行時代末期
  • 1989年平成元年)3月11日:ダイヤ改正により以下のように変更を行う。
    1. 「えびの」の2往復を博多駅発着とする。
    2. 「くまがわ」は運行区間を熊本駅 - 人吉駅間とした上で、4往復に増発。これ以降「くまがわ」は現行の運転系統である、肥薩線を経由して熊本県内を運行する列車となる。
  • 1990年(平成2年)3月10日:「くまがわ」の上り1本をくま川鉄道湯前線乗り入れで湯前駅始発とする。
  • 1991年(平成3年)3月16日:「くまがわ」の1往復を豊肥本線水前寺駅発着とする(豊肥本線内は普通列車)。
  • 1993年(平成5年)3月18日:「えびの」の博多駅乗り入れ及び「くまがわ」の湯前駅乗り入れを終了。また「くまがわ」の水前寺駅発着列車を熊本駅発着とし、新たに上り1本を肥後大津駅行きとする。
  • 1995年(平成7年)4月20日:「えびの」の都城駅 - 宮崎駅間を快速列車に格下げ。「くまがわ」の豊肥本線乗り入れは終了。
  • 2000年(平成12年)3月11日:「えびの」を廃止し、代替として「くまがわ」を6往復に増発。
    • これ以後特急格上げまで、「くまがわ」はJRの急行列車としては最も本数の多い列車であった。
  • 2004年(平成16年)3月13日九州新幹線部分開業に伴うダイヤ改正に伴い、以下のように変更する。
    1. 「くまがわ」を特急に格上げ。3.5往復分は熊本駅 - 別府駅間で運行していた特急「あそ」と統合の形で「九州横断特急」に改称。残り2.5往復は区間・列車名ともそのままとした。これにより、JR九州管内を運行する定期急行列車は消滅した。
    2. 吉松駅 - 鹿児島中央駅間を運行する特急「はやとの風」を運行開始。
  • 2009年(平成21年)3月14日:全車禁煙となる。喫煙ルーム内に備え付けられた灰皿を撤去し、携帯電話室に変更された。
  • 2011年(平成23年)3月12日:「九州横断特急」のうち2往復を熊本駅発着とし、熊本駅 - 人吉駅間は「くまがわ」として系統分離。従来の「くまがわ」が1往復廃止されたため、「くまがわ」は1往復増の3.5往復、熊本駅 - 人吉駅間の特急列車は1往復減の5往復となる。
  • 2012年(平成24年)7月28日 :豊肥本線を運行する臨時特急「あそぼーい!」が豊肥本線の一部区間の不通により運行できなくなったため、「あそぼーい!」の車両を用いて博多駅 - 人吉駅間に臨時特急「あそぼーい!91・92号」を運行(同年9月2日まで)。
  • 2013年(平成25年)3月16日:「九州横断特急」4往復が人吉駅発着に統一されるのに伴い「くまがわ」は1往復の運転となる。
  • 2013年(平成25年)8月4日:「九州横断特急」のうち下り1本を熊本駅着とし、熊本駅 - 人吉駅間は「くまがわ」として系統分離。「くまがわ」は1.5往復の運転となる。

列車名の由来

脚注

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関連項目

  • はやとの風 - かつての「やたけ」と同系統で運行する特急列車。

外部リンク

テンプレート:JR九州の列車
  1. 早朝・夜間の列車には乗車していない場合もある。