ひのくに号

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索
ファイル:Nishi-Nippon Railroad - 9932.JPG
ひのくに号(西日本鉄道)
ファイル:Kyushu Sanko Bus - Kumamoto 200 ka 61.JPG
ひのくに号(九州産交バス)

ひのくに号(ひのくにごう)は、福岡県福岡市熊本県熊本市を結ぶ高速バスである。

概要

元々は1962年に、国道3号経由の特急バスとして誕生し、1973年九州自動車道鳥栖IC - 南関IC間開通に伴い高速バスとしたもので、九州でもっとも長い歴史を持つ高速バスである。運行本数は2013年4月15日現在で3系統あわせて216本(108往復)[1]という高速バスとしては高頻度の運行を行っている。ダイヤ上も早朝から深夜まで運行されており、熊本交通センターの始発は4:35(福岡空港行)、西鉄天神バスセンターの最終は23:40となっている。加えて2014年4月からは金・土・日祝日とその前日に限り天神24:20発の深夜便も運行開始した。

熊本市-福岡市間の主要交通機関としては「ひのくに号」のほかに九州新幹線がある。新幹線開通前はJR九州鹿児島本線の特急「つばめ」「有明」が日中20分間隔で運行されていたが、新幹線開通に伴ってこれらの列車のほとんどが新幹線に移行した結果、所要時間は大幅に短縮されたものの特急料金が高くなったこともあって在来線特急利用者の一部が高速バスに流れ[2]、新幹線開通後に「ひのくに号」が増便する[3]という事態となっている。「ひのくに号」の走行経路である福岡 - 熊本間の高速道路は交通量が多く、加えて福岡市内・熊本市内での渋滞などによって、遅れは比較的発生しやすい[注 1]

愛称は、熊本県肥後国)の別称である「火の国」に由来する。

2011年4月1日運行分より平日早朝の熊本→福岡空港の2便(各停便)と、土・祝祭日前日深夜の天神→熊本2便(スーパーノンストップ便・植木IC経由各1便)ならびに週末・日祝日当日およびその前日に限定して運行している天神→熊本深夜便については予約定員制となっており[4]、1ヶ月前から電話もしくは「@バスでハイウェイバスドットコム 旧:楽バス)」サイトにて事前予約が可能。上記以外の便は座席定員制であり予約なしで乗車できる。いずれも全席自由席で、満席の場合は乗車できない。

かつては運行開始時より熊本交通センター・博多駅交通センター(現・博多バスターミナル)・天神バスセンターならびに福岡空港から乗車する場合においては乗車前に乗車券とは別に『定数券』(1992年頃までは『着席券』)が配布され、券面に記載された時刻の便に乗車するようになっていた[注 2]が、2000年7月に福岡空港発のみとなり、2005年4月より定数券および乗車便指定の乗車券は全面廃止となった。2011年4月以降は予約定員制の便に限り定数券および乗車便指定の乗車券を窓口にて発行している。

国土交通省九州運輸局の統計[5]によると、「福岡 - 熊本」路線(3系統)合計の輸送人員は、平成18年度で1,363,955人、平成19年度で1,397,194人であり、一日あたり3,700-3,800人の乗車があるという。また、九州の高速バスの路線内での輸送人員順位としては「福岡 - 北九州」路線(なかたに号・ひきの号・いとうづ号他計6系統)に次ぐ2位(同18年度、19年度とも)に位置するほか、運送収入では平成18年度は「福岡 - 宮崎」路線(フェニックス号3系統)に次ぐ2位、平成19年度は1位となっている。

運行会社

沿革

  • 1950年9月15日 - 西鉄と産交が相互乗り入れ協定を結び、福岡~二日市~久留米~山鹿~熊本~日奈久間の直行バスを運行開始。
  • 1962年8月8日 - 熊本(辛島町)~福岡間ビジネス特急「ひのくに」号運行開始。国道3号線経由。
ファイル:Nishi-Nippon Railroad - 7139.JPG
共通塗装の車両(西鉄)
ファイル:Kyushusanko bus08.jpg
共通塗装の車両(産交)
  • 1973年11月17日 - 国道3号線経由で運行していた熊本~福岡間の特急「ひのくに」号が九州自動車道熊本IC~鳥栖IC間開通に伴い、高速道に載せ替えられ、九州初の高速バスとして登場。
    • ブルーのストライプの入った両者共通の塗色は当時の西鉄(銀、白)と産交(青、白)のカラーを使ったものと思われる。
    • 当初6往復(西鉄4往復/産交2往復)、運賃片道800円(当時)、所要時間2時間30分
    • 当初停留所は天神BC - ○中洲 - ○呉服町 - 博多駅交通センター - 雑餉隈南本町 - 二日市温泉入口 - 鳥栖公園入口 - 久留米IC - 八女IC - 菊水IC - 熊本県庁 - ○水前寺公園 - ○通町筋 - 熊本交通センター
      • ※○印は降客扱い
  • 1975年4月 - 10往復に増回(西鉄6/産交4)
    • 太宰府ICまで高速区間延長、停留所増加ほぼ現在の各停便並みの停車に 
  • 1977年12月 - 20往復に増回(西鉄12/産交8)
    • 30分おきの運行となる
  • 1981年5月 - 27往復に増回(西鉄16/産交11)
    • ノンストップ便(以下NS)新設。NS12/各停15
  • 1982年2月 - 36往復に増回(西鉄21/産交15、NS12/各停15)
    • ハイデッカータイプの車両増備始まる
  • 1983年6月 - 40往復に増回(西鉄23/産交17、NS20/各停20)
  • 1987年11月 - 46往復に増回(西鉄26/産交20)
    • このころ久留米急行廃止
  • 1988年8月 - 58往復に増回(西鉄32/産交26、NS27/各停31)
    • 福岡空港(以下「空港」)経由各停便新設
    • この時期にトイレ付き車両が登場。当初はノンストップ便全便および各停便の早朝始発便と夜間最終便にて運用。
  • 1989年5月 - 福岡都市高速乗り入れ、天神始発終着が博多駅発着に。本数は変わらず。
  • 1991年8月 - 60往復に増回(西鉄33/産交27、NS40/各停20)
    • 下り早朝と上り夜間を除いて各停便は全て空港経由に
  • 1992年 - 全車を「デラックスひのくに号」(ビデオ映画、マルチステレオ、おしぼり・飲み物サービス付)として大幅リニューアル。(現在は廃止<後述>)
  • 1997年 - 増備車より共通カラー廃止
  • 1999年
    • 3月28日 - 福岡都市高速太宰府IC直結に伴うダイヤ改正。68往復に増回(西鉄37/産交31、NS46/各停22)
    • 11月 - 土日祝日のみ4往復増回し72往復(西鉄39/産交33、NS50/各停22)となる。
  • 2000年7月1日 - 80往復に増回(西鉄43/産交37)
    • 福岡行きも通町筋に停車となる
    • 方向幕、カラー表示に
    • スーパーノンストップ(以下SN、益城IC経由)新設
    • 各停便(益城IC経由)新設
    • 空港経由便を廃止し、空港発着便はすべて空港折り返しとする
    • 産交便でTO熊カード取扱いを開始。
    • SN20/NS31/各停12/各停空港17
  • 2001年3月1日 - ダイヤ改正
    • 運賃値下げ。片道2,400円/往復4,100円から片道2,000円/往復3,600円に
    • 益城IC経由各停便廃止。各停便はすべて空港折り返しとする
    • ノンストップ便に植木IC経由10往復設定
    • 空港発着便国際線ターミナルまで延長
    • SN26/NS24/植木IC経由NS10/各停空港20
  • 2001年8月 - 88往復に増回(西鉄47/産交41、SN29/NS29/植木IC経由NS10/各停空港20)
    • 空港線熊本行きは経路を国内線→国際線→筑紫野に変更
  • 2002年4月 - 100往復に増回(西鉄53/産交47、SN45/NS35/各停空港20)
    • ノンストップ便全便植木IC経由に
  • 2005年8月1日 - SN停車地に益城インター口を追加
  • 2007年7月1日 - 「高速バスロケを活用した基山PAにおける乗り継ぎ社会実験」実施に伴い、ノンストップ便の停車地に高速基山を追加(スーパー便は不停車)。
  • 2009年
    • 4月1日 - 104往復に増回(西鉄55/産交49、SN48/NS35.5/各停空港20.5)
    • 7月27日 - 西鉄便でnimocaの取扱いを開始
    • 9月1日 - 100往復に減便(西鉄53/産交47、SN46/NS33.5/各停空港20.5)
      • ノンストップ便の停車地に広川を追加し、案内表記を「植木IC経由」に変更(「ノンストップ」案内の終了)
ファイル:Nishi-Nippon Railroad - 9358.JPG
植木IC経由博多・天神 - 熊本線(かつてのノンストップ便)
  • 2011年
    • 3月12日 - 植木IC経由便の停車地に菊水ICバス停を追加。
    • 4月1日 - 一部便(平日の熊本発早朝2便と土・祝祭日前日の福岡発深夜2便)をこれまでの「座席定員制」から「予約定員制」に変更(それ以外の便は従来どおり)[4]
    • 6月1日 - ダイヤ改正。SNを増便し植木IC経由便・福岡空港発着便を減便。3系統合計で8往復増の108往復(西鉄57/産交51)となる[3]
    • 7月1日 - ダイヤ改正。植木IC経由便の停車地に鹿央八女ICを追加し、熊本発平日早朝6時始発のスーパーノンストップ便を植木IC経由便に変更[6]
  • 2013年4月15日 - SNの熊本側発着場所を熊本駅前まで延長(他の2系統は従来通り熊本交通センター発着)。植木IC経由便については鹿央には停車しなくなる(福岡空港発着便のみ停車)。また、休日の下り1本を福岡空港発から天神発のSNに変更[1]
  • 2014年4月4日 - 金・土・日・祝祭日ならびに祝祭日前日のみにおいて、天神24:20始発の「週末深夜便」を運行開始(産交便担当)。停車箇所は通常の植木IC経由便と同じ。予約定員制。運賃は通常運賃の2倍[注 4][7]

運行系統・停車停留所

ひのくに号は以下の3系統に分けられる。太字は停車停留所。各系統とも博多バスターミナル - 西鉄天神バスセンター間のみ、および益城インター口・松の本 - 熊本交通センター間のみの乗降は不可。

福岡行きは、熊本駅前はスーパーノンストップ便のみのりば1から、熊本交通センターは各系統ともAホーム5番のりばから発車する。熊本行きは、スーパーノンストップ・植木IC経由ともに博多バスターミナルは38番のりばから、西鉄天神バスセンターは6番のりばから発車。また、各停(福岡空港発着)便においては、空港行きは国際線ターミナル終着、熊本行きは国内線(第1・第2・第3)ターミナル始発国際線ターミナル経由となる。

使用車両

車内設備・サービス

  • ハイデッカー
  • 4列シート
  • トイレ 
  • 座席コンセント(一部車両のみ)
  • 毛布(膝掛け) 

1992年に車両をリニューアルした際には、「デラックスひのくに号」として車内公衆電話などの設備や飲み物(お茶・コーヒー)・おしぼり・マルチステレオ・テレビ放送(ビデオ映画)のサービスが実施されていた。しかし、携帯電話の急激な普及により2000年に車内公衆電話が廃止されたのを皮切りに、2001年における運賃大幅値下げ(熊本 - 福岡間:片道2,400円/往復4,100円→2,000円/3,600円)の実施に伴うコスト削減などにより車内サービスは順次廃止された。それにより現在はリニューアル以前の仕様(トイレ以外の車内設備・サービス無し)に戻っている。

また、車両の塗装は、運行開始当初から沿革の写真にあるような両社共通の塗装(通称「青十字」)が長年にわたり採用されていたが、近年は両社別々の塗装(両社とも自社高速バス専用共通カラーリング)の車両に置き換えが進み、西鉄においては2010年3月頃までに青十字塗装の車両は全て姿を消した。現在では産交に僅かながら現役車両として残っているが、年式の関係からかすべて他路線へ転用している。

なお、かつての青十字塗装の車両は、産交では現在「あまくさ号」や「やまびこ号」など高速道路を走行しない路線をメインに、その他「空港リムジン」などの予備車に用いられている。西鉄では以前「福岡 - 北九州線」や「久留米 - 北九州線」などの高速バスのほか、「久留米 - 山鹿間」に運行されていた快速バスなどに転用されたものもあった。

関連項目

脚注

注記

テンプレート:Reflist

出典

テンプレート:Reflist

外部リンク

テンプレート:KyushuSankoBus テンプレート:NishitetsuBus

  1. 1.0 1.1 テンプレート:Cite press release
  2. テンプレート:Cite news
  3. 3.0 3.1 テンプレート:Cite press release
  4. 4.0 4.1 テンプレート:Cite press release
  5. テンプレート:PDFlink
  6. テンプレート:Cite press release
  7. 〜熊本⇔福岡高速ひのくに号「週末深夜便」運行します!~(九州産交バス)


引用エラー: 「注」という名前のグループの <ref> タグがありますが、対応する <references group="注"/> タグが見つからない、または閉じる </ref> タグがありません