つくば号
テンプレート:Vertical images list つくば号(つくばごう)は、主に常磐自動車道を経由して東京都と茨城県つくば市とを結ぶ高速バスである。
本項では深夜便の「ミッドナイトつくば号」についても記述する。
目次
概要
2013年5月現在、東京行(上り)・つくば行(下り)とも20分から30分間隔で運行している。東京駅 - つくばセンター間の所要時間(平日)は上り便が85分から105分、下り便は65分から70分である。また、初発が早く、終発が遅いことも特徴で、上り(つくばセンター発)は5時00分発から22時00分発まで、下り(東京駅発)は平日6時50分発(土・日・祝日は7時00分発)から23時00分発までとなっている。東京駅発の終バスの後には深夜高速バスとして「ミッドナイトつくば号」が下りのみ平日3本(土・日・祝日は2本)運行されている。こちらの最終便は0時30分発であるが、割増運賃(大人2,100円/小児1,050円)が適用され、昼便用の回数券は利用することができず、高速バスネットや東京駅、新宿駅においてあらかじめ乗車便が指定されたミッドナイトつくば号専用の乗車券の購入が必要である。
つくばエクスプレス開業以前
1987年(昭和62年)4月の運行開始直後から予想を上回る利用があり[1]、夕方の東京駅発で積み残しが出たり、つくばセンター発の途中停留所(当時は竹園二丁目、並木大橋の2か所)では乗れないというケースが続発する[2]などしたため、運行開始後わずか半年で増便されたが、それでも常時続行便を10数両出すほどの状態になった[1]。つくば発の便では始発のつくばセンターで満席になり、途中停留所からの乗客のために臨時便を手配することになり、運行会社が当時の運輸省から見込みの甘さを指摘される事態になった。
その後も増便が続き、一時は東京駅を発着する高速バスとしては最も多い平日88往復(現在はかしま号の87往復)を運行し、ピーク時には10分間隔で運行されていたが、日によっては積み残しが常態化し、2台同時発車や臨時便が運行されることがあるほどであった。
これは当時東京と筑波研究学園都市間の直通公共交通機関は高速バスのみであり、同市内の研究機関に来訪する研究者・技術者、学生、さらには一般住民など多種多様な行動パターンを持つ多くの人々が利用していたからである。とくに学園都市での学術会議開催時や筑波大学の入学試験時などには東京駅にてバス4台から5台分、150人から200人という極めて長い列ができていたこともあった。
八重洲南口バスターミナルに収まりきれず南側に延びた列は、八重洲ブックセンター前の横断歩道付近にまで達していた。毎週金曜日は夕方以降に常に長蛇の列が形成され、必ず係員が「つくば号最後尾」と書かれた札を掲げて列最後尾を案内していた。また、八重洲南口バス乗り場が長距離路線と中距離路線で乗り場を分離する以前は、客層の違う夜行バス客との混乱を避けるため、夜行高速バスが多く発車する時間帯に乗り場位置の南寄りへの変更も行われていた。
そうした混雑対策の一環として、一般的な高速バス2両分の定員を有する2階建てバス「メガライナー」が日本国内で唯一運用されていた。このバスは道路法及び車両制限令による制限を超える全長 (15m) であることから国土交通省から認められたルートを外れて走行することができず、一部のバス停(下広岡)にメガライナー便が停車しなかった(できなかった)のもこのためである。
つくばエクスプレス開業以降
2005年(平成17年)8月24日の首都圏新都市鉄道つくばエクスプレス(旧称常磐新線、以下「TX」と表記)開業以降は、多くの乗客が同線に移り、結果乗客数が従来の約30%にまで減少した。特に、従来から首都高速道路の渋滞の影響で定時性に難があった東京行上り便の落ち込みが激しい。
それでも、TXの開業日から停留所を3か所増設して利便性の向上を図る一方、運賃を100円値下げしてTX秋葉原 - つくば間の運賃と同額とし、割安感を出すなどの営業施策を講じたものの、より速くて正確なTXに流れた乗客は戻ることはなく、同年11月1日のダイヤ改正で運転間隔を20分間隔とする減便改正が行われたほか、初発をつくば5時・東京6時30分に繰り下げた。また、併せて関東鉄道が運行担当するメガライナー便は全便廃止された。その後も利用客の減少に歯止めが掛からないことから、JRバス関東が担当するメガライナー便についても2006年(平成18年)5月28日をもって「つくば号」としての運用を終了し、同年6月以降メガライナーは「青春メガドリーム号」(東京 - 大阪)に転用された。
同年10月には一部の便が筑波大学まで延長され、2008年1月からほとんどの便が筑波大学まで運行されるようになったが、全体的な本数は減少している。
TXと比較して、下記の相違点がある。
- つくば駅から離れている並木・梅園地区(並木大橋停留所など)を経由する。
- 新幹線のりばに近い東京駅の日本橋口(降車)・八重洲南口(乗車)を発着する。
- 乗車すれば確実にリクライニングシートに座ることができる。 - 座席定員制
- 筑波大学と東京を直結する。
- 渋滞により遅延することがある。
運行会社
- ※東京支店担当便は2006年(平成18年)10月からジェイアールバステックが運行を受託している[3]。
停留所一覧
東京都内および茨城県内のみの乗車はできない。
- 東京都内
- つくば市内
- 下広岡
- 並木大橋 - (茨城県立並木高等学校、並木住宅前/並木ショッピングセンター入口)
- 並木二丁目 - (産業技術総合研究所 (AIST) つくばセンター前)
- 並木一丁目 - (宇宙航空研究開発機構 (JAXA) 筑波宇宙センター、物質・材料研究機構 (NIMS) 並木地区前/一般路線バスの「物質材料研究機構」)
- 千現一丁目 - (物質・材料研究機構 (NIMS) 千現地区前)
- 竹園二丁目 - (竹園住宅前/茨城県立竹園高等学校入口)
- つくばセンター - (つくば駅前)
- 筑波大学病院 - (一部の便のみ/一般路線バスの「筑波大学病院入口」/筑波大学筑波キャンパス内)
- 大学会館 - (一部の便のみ/一般路線バスの「大学会館前」/筑波大学筑波キャンパス内)
- 筑波大学 - (一部の便のみ/一般路線バスの「筑波大学中央」/筑波大学筑波キャンパス内)
運行回数
- 平日1日44往復、土・日・祝日1日38往復(うち下り便平日3本、土・日・祝日2本は深夜便「ミッドナイトつくば号」として運行)。
- うち平日下り4本、上り5本はつくばセンター発着。
歴史
- 1987年(昭和62年)4月1日 - 東日本旅客鉄道(JR東日本)と関東鉄道の共同運行で運行開始。開業当時は1日16往復。
- 1987年(昭和62年)9月14日 - 1日30往復に増便。
- 1988年(昭和63年)4月 - JR東日本のバス部門分社化により、JRバス関東と関東鉄道の共同運行に変更。
- 1988年(昭和63年)9月15日 - 1日56往復に増便。
- 1991年(平成3年)1月 - 平日・土曜の上り便を上野駅経由とする。1日60往復に増便。
- 1993年(平成5年)10月 - バス停新設(並木一丁目)。1日66往復に増便。
- 1995年(平成7年)8月頃 - バス停新設(千現一丁目)。
- 1998年(平成10年)4月 - 下り平日84本・休日80本、上り1日80本に増便。
- 1999年(平成11年)10月1日 - 下り平日87本・休日83本、(一部1便に続行便あり)、上り平日86本・休日84本に増便。
- 2002年(平成14年)12月 - JRバス関東がメガライナー車両での運行を開始(後に関東鉄道も導入)。
- 2004年(平成16年)7月1日 - 「ミッドナイトつくば号」運行開始、つくばセンター発の始発を繰り上げ(4:40発)、終発を繰り下げ(22:30発)。
- 2005年(平成17年)8月 - バス停新設(下広岡、並木三丁目、並木二丁目)。運賃を100円値下げ。
- 2005年(平成17年)11月1日 - 開業以来初の減便。1日52往復(毎時3本体制)となる。
- 2006年(平成18年)5月 - メガライナー車両の運行を廃止。
- 2006年(平成18年)6月 - 並木三丁目バス停を廃止。下広岡バス停を移動。「ミッドナイトつくば号」の0:10発を増便し3本体制に。昼間帯の本数を減らし、比較的好調な夕方以降の便を増便(全体の本数は変わらず)。
- 2006年(平成18年)10月1日 - 一部の便を筑波大学へ延伸(新設バス停:筑波大学病院、大学会館、筑波大学)。
- 2008年(平成20年)1月16日 - 1日44往復に減便。上り5本、下り4本を除き筑波大学発着となる。平日・土曜の上り便を都営浅草駅に停車。
- 2008年(平成20年)7月1日 - 時刻改正(運転間隔調整)。
- 2010年(平成22年)9月17日 - 土・日・祝日の6往復を減便。
- 2011年(平成23年)6月1日 - 回数券の発売額を5枚綴り4,800円から3枚綴り3,100円に変更。これに伴い一部企画乗車券の発売を終了(詳細は「企画乗車券」の項を参照)。
- 2014年(平成26年)1月14日 - この日の出発便より、平日下りの深夜運行便3便(関東鉄道担当便)に限り、「深夜バス」としてつくばセンター - 筑波大学(筑波大学中央)間の利用が可能になる。なお、運賃は深夜バス料金となる[4]。
- 2014年(平成26年)4月1日 - 消費税増税に伴い運賃を改定。大人片道1,180円、小児片道590円、3枚綴り回数券3,200円、東京トク割回数券(上り専用/3枚綴り)2,000円、ミッドナイトつくば号大人片道2,100円、小児片道1,050円となった。
車両
運行開始当初は、両社ともトイレなしのハイデッカー車(JR東日本バス→JRバス関東は東京湾岸線と共通仕様、関東鉄道は貸切車の改造)を充当していたが、現在は原則としてトイレ付きのハイデッカー車で運行される。ただし、一部便にトイレなしの車両が充当されることがある。
一時期導入されていた長大バスメガライナーは2006年5月までにすべて当路線での運行を終了している。
なお、ドリーム大阪号のつくばセンター発着便の出入庫の関係で、一部便に夜行高速バス仕様(独立3列シート)の2階建バスが使用される日があったが、2010年10月よりドリーム大阪号のつくばセンター乗り入れが廃止されたため、この運用も廃止された。
使用車両画像一覧
- JR-Bus-Megaliner-Tsukuba.JPG
JRバス関東メガライナー
- MEGALINER.JPG
関東鉄道メガライナー
- Kantotetudou U-LV771R huzizyuu 7HD.jpg
関東鉄道ハイデッカー車
- JR-bus-Kanto-H651-00405.jpg
JRバス関東ハイデッカー車
企画乗車券
- 2015年3月31日までの期間限定で、3枚綴り2,000円の上り便限定「東京トク割回数券」を東京駅、つくばセンターと上り便車内、JRバス関東土浦支店で発売している。
- 2006年春から往復TX利用の「筑波山きっぷ」をTX各駅で発売しているが、この「つくば号」版として2007年春から「筑波山ストーリー(東京・筑波山周遊きっぷ)」を4,000円で発売している。フリー区間は「筑波山きっぷ」と同じ(詳細は高速バスお得な乗車券(関東鉄道オフィシャルサイト)を参照)。
なお、過去には以下の企画乗車券も販売していた。
- 2005年11月から、主に利用の少ない上り便への誘導を図って往復1,700円(7日間有効)の割引乗車券「1Week Return きっぷ」を発売した。JRバス東京駅、つくばセンター(関鉄学園サービスセンター)、および「つくば号」車内で発売。「ミッドナイトつくば号」は利用不可。発売期間は当初2007年3月までであったが、その後2010年3月までに延長(→2011年3月までに再延長→2012年3月まで再々延長)された。2011年5月31日をもって発売終了。
- その後、東京駅までの往復バス乗車券と東京都区内のJR線が乗り降り自由となる「都区内パス」をセットにした「つくば&都区内フリーきっぷ」を2,000円で発売した。発売当日限り有効。こちらは車内および東京駅での発売は行わず、つくばセンターと筑波大学内の専用券売機以外での購入はできなかった。また、「ミッドナイトつくば号」は利用不可。発売期間「1Week Return きっぷ」と同様、2007年3月までの予定が2010年3月までに延長(→2011年3月までに再延長→2012年3月まで再々延長)された。2013年3月31日をもって発売終了[5]。
- 2008年8月8日から、「1Week Return きっぷ」につくば市内発着のJRバス関東・関東鉄道バスの一般路線バスの300円区間の乗車券2枚をセットにした「つくばリレーきっぷ」を発売していた(発売期限は2010年3月まで→2011年3月までに延長)。2011年5月31日をもって発売終了。
関連項目
脚注
外部リンク
テンプレート:関東鉄道バスの営業所- ↑ 1.0 1.1 『バス・ジャパン』11号 p22の記述による。
- ↑ 『バス・ジャパン』11号 p24の記述による。
- ↑ ジェイアールバステックの歩み(ジェイアールバステック公式サイト)
- ↑ 【深夜バスのご案内】高速バスつくば号によるつくばセンター(つくば駅)からの深夜便について(関東鉄道 2013年12月27日)
- ↑ テンプレート:PDFlink (関東鉄道 2013年3月13日)