しきしま型巡視船

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しきしま型巡視船
300px
「しきしま」(PLH-31)
船級概観
艦種 ヘリコプター2機搭載型巡視船 (PLH)
就役期間 1992年 - 現在
前級 みずほ型巡視船
次級 (最新)
性能諸元
総トン数 7,175トン
排水量 基準:6,500トン
満載:9,350トン[1]
全長 テンプレート:Convert
全幅 テンプレート:Convert
吃水 テンプレート:Convert
深さ テンプレート:Convert
機関 IHI-SEMT 16PC2-5 V400[1]
ディーゼルエンジン
2基
スクリュープロペラ 2軸
機関出力 20,800馬力
速力 テンプレート:Convert
航続距離 20,000海里 (18ノット巡航時)[1]
乗員 110名+航空要員30名[1]
兵装 エリコン 35mm連装機銃
(PLH-31)
2基
ボフォースMk.3 40mm単装機銃
(PLH-32)
JM61-RFS 20mm機銃 2基
搭載機 AS.332L1ヘリコプター 2機
EC.225LPヘリコプター
GFCS 40mm機銃用FCS ※PLH-32のみ
20mm機銃用RFS
レーダー OPS-14 対空捜索用
※PLH-31のみ
1基
JMA-8303 対水上捜索用 1基
JMA-3000 ヘリコプター誘導用 1基
JMS-1596 航海用 1基

しきしま型巡視船テンプレート:Lang-en)は、海上保安庁が保有する世界最大の巡視船である。その大きさは海上自衛隊イージス艦こんごう型護衛艦にも迫るサイズで、はたかぜ型護衛艦とほぼ同じである。公称船型はヘリコプター2機搭載型。船名は日本全体の美称に由来する[2]ネームシップの「しきしま」は敷島型戦艦敷島」に続き日本の艦船としては二代目。

開発の経緯

しきしま

しきしまは、1992年に予定されていたイギリスフランスから日本までのプルトニウム運搬船護衛用として1990年度予算で開発された。

しきしまの開発自体は比較的スムーズであったが、開発前に護衛に海上保安庁の巡視船を使用すべきか、海上自衛隊の護衛艦を使用すべきかで議論となった。

当初から、国内の政治情勢や法的な問題から護衛船には海上保安庁の巡視船使用が予定されていたが、一部の議員テンプレート:誰や世論から巡視船では攻撃力不足であるため、万が一のことを考えて海上自衛隊の護衛艦を使用するべきという意見が出てきた。巡視船が理想か、護衛艦が理想かはマスメディアでも騒がれ、更に日本国内だけにとどまらずアメリカなどでも話題となったが、最終的にはアメリカ軍から偵察衛星による航海の安全を守るための情報支援が得られることになったことと、巡視船で対応出来ない攻撃を受ける事態は想定されないとされ、総理大臣も護衛艦の使用は検討していないと明言したため、予定通り巡視船を新規で開発し、それを使用することとなった。

1992年に護衛任務を行う予定であったため、しきしまの建造は急ピッチで進められ、就役直後の1992年11月に最初にして最後の護衛任務を行った。護衛任務を実施した際、フランスでプルトニウムを受領した直後にグリーンピースの漁船から抗議と称する体当たり攻撃を受けて軽微な損傷を受けたが、任務遂行に支障はなかった。それ以降の輸送は、英国原子力公社警察隊の武装保安員がパシフィック社の輸送船に警乗して実施されたため、しきしまは護衛任務に就かなかった。

あきつしま

2009年7月7日海賊対処法の成立や貨物検査法案が審議されるにあたって、各種任務は海上保安庁が一義的役割を負うこととなり、航続距離が長く遠洋での長期活動が可能である本船型を新たに2隻建造する計画が内定した。ただし計画年度にしきしまから20年以上もの開きがあることから、船首とヘリコプター格納庫上にある35ミリ機関砲をひだ型巡視船と同型の40ミリ機関砲に変更するなど、各所に改正が加えられた準同型船になる。平成22年度予算で1隻の建造が承認され、アイ・エイチ・アイ マリンユナイテッドに発注され[3]2012年7月4日にしきしま型巡視船の2番船となる[4]PLH32「あきつしま」として進水[5]2013年(平成25年)11月28日に竣工した[6]。総工費は320億円である。

特徴

ネームシップのしきしまは主にプルトニウム運搬船護衛用に建造された巡視船であり、他の巡視船とは異なる点が多い。

プルトニウム運搬船は、その性質上テロリストに襲撃される可能性が他の船舶に比べきわめて高く、高純度のプルトニウムを略奪され核テロに使用された場合の被害も計り知れない。そのため、護衛用の艦船には根本的に襲撃される危険性を下げるために、途中どこにも寄港しない長い航続距離と、万が一襲撃された際にもプルトニウム運搬船を守れるだけの高い攻撃能力が必要とされた。

しきしま型の航続距離は20,000海里以上と非常に長く、ヨーロッパから日本までオーストラリア南部回りで寄港無しで航海することが出来る。船体が非常に大型で、構造も海上保安庁所属の巡視船では唯一の軍艦構造で多数の水密区画に分けられており、携帯用のミサイルやロケット砲(RPG-7等)で攻撃を受けても即座には航行能力や戦闘能力を失わないようになっている。しきしまの兵装は35mm連装機銃2基(陸上自衛隊の87式自走高射機関砲の搭載システムと同系機)と20mm機銃2基(九州南西海域工作船事件で活躍したJM61-RFS Mk.2の原型機)に加え、巡視船では唯一、海上自衛隊のはつゆき型護衛艦などでも現役で使用されているOPS-14二次元対空レーダーも備えている。レーダーによる優れた索敵能力、赤外線センサーのRFS射撃指揮装置による精密射撃能力を備えており、全天候型の対テロ戦闘能力を具備している。あきつしまでは、35mm連装機銃は高速高機能大型巡視船と同型のボフォースMk.3 40mm単装機銃に変更されており、これにあわせてFCS射撃指揮装置が導入されている。プルトニウム輸送を考慮しなくなったことで軍用のOPS-14レーダーは搭載していない。

また、大型のAS332ヘリコプターを2機搭載しており、それを使用することによって周辺海域の哨戒を行なうことが出来る。しきしま所属のヘリは武装こそないものの、操縦席が防弾仕様になっている。

しきしま型は襲撃されても戦えるだけの武装を有しているが、国内法により海賊船・テロ容疑船舶に対して先制攻撃することが厳しく制限されていることから、漁船を偽装した不審船や海賊船の急襲を受けた場合、大きな損害を受ける恐れがある。これに備えて、襲撃に対する備えが徹底されている。まず、襲撃される可能性を最小限にするため、プルトニウム運搬船護衛任務の場合、途中寄港することはなく、細かい航路や日程は一切機密である。また、万が一襲撃され、敵が内部に乗り込んできた場合でも船をシージャックされることがないよう、内部構造は国会議員と乗組員以外には完全に非公開で、内部構造を把握されることを防いでいる。更には、小銃などで武装している特別警備隊を乗船させて不測の事態に備え、他国のスパイが乗員に接触して内部構造の情報を漏洩されることを防ぐため、しきしまの乗員の名前は、船長ら数名の主要乗組員を除いては海上保安庁職員名簿にも掲載されていない。さらに、就役当初は総トン数と全長以外の性能諸元は一切発表されなかった(現在は上記の通り幾つかのデータが公表されている)。

現在は、航行性を生かして、中国台湾との緊張が強まっている尖閣諸島沖ノ鳥島の周辺海域を定期的に巡回して、警戒・監視活動を行っている。また、日本の治安機関を代表して東南アジア諸国に毎年のように赴き、シンガポールインドネシアなどと合同での海賊対策訓練などを行なっている。

2009年6月18日の国会質疑によると建造費は約350億円。

同型船

計画年度 # 船名 起工 建造 竣工 所属
平成元年度補正 PLH-31 しきしま 1990年
(平成2年)
4月28日
IHI東京工場 1992年
(平成4年)
4月27日
横浜
(第3管区)
平成22年 PLH-32 あきつしま 2011年
(平成23年)
5月10日
アイ・エイチ・アイ マリンユナイテッド横浜工場
ジャパンマリンユナイテッド磯子工場
2013年
(平成25年)
11月28日

関連項目

脚注

テンプレート:Reflist

外部リンク

テンプレート:Sister

テンプレート:海上保安庁の巡視船
  1. 1.0 1.1 1.2 1.3 テンプレート:Cite book
  2. 敷島の記事を参照
  3. 海上保安庁から平成22年度ヘリコプター搭載巡視船を受注
  4. しきしま級巡視船の命名・進水式の実施 IHIプレスリリース 2012年7月10日
  5. テンプレート:Cite web
  6. 最大巡視船「あきつしま」就役=原発テロ対応など想定-海保 時事通信 2013年11月28日