ここがヘンだよ日本人
テンプレート:出典の明記 テンプレート:基礎情報 テレビ番組 『ここがヘンだよ日本人』(ここがヘンだよにほんじん)は、1998年10月21日から2002年3月14日までTBS系列で放送されていた討論バラエティ番組。
この番組の前身は、1997年10月と1998年4月にスペシャル番組として放送された『たけしの外国人100人バトル〜ここがヘンだよ日本人〜』という番組で、視聴率が好評だったことを受けてレギュラー化したのが本番組である。元々は毎週水曜 22:00 - 22:54 (JST) の放送だったが、2001年4月に水曜の同枠が連続ドラマ枠に変更されたことから、木曜の同時刻で放送された。
通称、および略称は『ここヘン』。
目次
概要
多数の外国人出演者が日本の変な所を指摘し、日本人パネラーと討論をかわしていく。
物真似タレントのホリが行う「テリー伊藤が激高した際に『ふざけんじゃねーよこの野郎!』などと暴言を吐く様」は本番組のテリーが元になっている。また、外国人出演者はテロップでは自営業、会社員などが表示されていたが、実際は大半が稲川素子事務所(現在では、ゾマホンなどのように別の事務所に移籍した者も多い)に所属する外国人タレント(主に役者、モデル、歌手、コメンテーター、ライターとして活動する人が多い)であったことが明らかになっている。[1]
特別番組
定期的に特番として『ここがヘンだよ外国人』と題し、こちらは日本から見た外国の変な所を指摘していくテーマが中心となり『ここがヘンだよアメリカ人』(銃乱射事件に関連し放送)、『ここがヘンだよ中国人』『ここがヘンだよアフリカ人』といった企画が放送されたが、中には『ここがヘンだよ関西人』のように派生したテーマも存在した。
なお特別企画として度々番組で問題発言を繰り返す出演者のテリー伊藤を糾弾する『ここがヘンだよテリー伊藤』なる企画や、ワイドショーで話題の著名人を毒舌で切るデヴィ夫人をスペシャルゲストとして呼んで『ここがヘンだよ宇宙人 デヴィ夫人スペシャル』と称して、生放送で外国人たちと議論する企画も行っていた。
番組の変遷と視聴率
番組開始当初は外国人が日本のおかしな所を指摘し、討論するという内容とゾマホン・ルフィン、ケビン・クローン、サニー・フランシスをはじめとする外国人の個性的なキャラクターが受け、一躍、TBSを代表する人気番組となった。しかし番組の長期化によって次第にテーマのマンネリ化を招き、後期には『ここがヘンだよ憲法9条』や『ここがヘンだよ日韓関係』のような複雑なテーマも取り上げたりしていた。
これにより、初期は日本語を話せる外国人なら誰でも容易に発言できたのに対し、後期には社会や政治に関する知識を持ち合わせていない外国人には発言しにくい内容となっていった。他にはいじめ、虐待といった現在でも社会問題になっているテーマをシリーズ化して放送していたり、元々は特番のみで行われていた『外国人50人vs日本人50人』も後期では頻繁に見られた。
また、この番組はプライムタイムの番組であったにもかかわらずゲイやAVについても討論したことがあり、特に後者では小室友里、本城小百合、バクシーシ山下、清水大敬ら著名なAV関係者が勢ぞろいして出演し各々が自説を述べたこともある。
番組の問題点、および番組に関連した出来事
- 番組開始当初、「ここがヘンだよ日本の警察」というテーマで議論した際、フィリピン人の女性出演者から「日本の警察は欧米人と私たちフィリピン人とでは対応に差がある」という旨の不満を話したところ、中国人女性や韓国人女性が賛同。その後、発展途上国出身の出演者も同調して一気に警察への不満噴出の場と化してしまい「警察は人種差別をしている」という意見にまで発展、収拾がつかなくなった。その後納まったものの、以後番組内で警察についてテーマをあげる事はなかった。
- 1999年11月ごろ、番組にレギュラー出演していたイラン人男性Sが川崎駅にて定期券偽装の容疑で逮捕され、さらにその後の身元調査で不法滞在をしていた事が発覚して強制送還されるという事件を起こした。(番組では事件については一切触れなかった)以後、総集編ではこの出演者の顔をぼかし処理して放送していた。
- 『外国人と仕事をした経験を持つ人50人vs外国人50人』というテーマで討論した際に、パキスタン人男性Aが番組で様々な意見をした事が原因で職場を解雇された事を討論中にカミングアウトした。その後、家族と一緒にパキスタンに帰国する様子が番組内の特集として取り上げられた。
- この番組は討論がヒートアップすると過激な暴言や挑発・情け容赦のない野次が飛び交い、最悪の場合は乱闘寸前の事態(後述)に度々発展していた為、番組に対し視聴者からのクレームが多く寄せられていた。この為か、『子供とメディアに関する意識調査』(日本PTA全国協議会主催)の『親が子供に見せたくない番組』ではワースト10にランクインした事があったり、会社のイメージを大切にする花王などのスポンサーはCMを流していたものの提供の表示を自粛していた。
- 1998年12月16日に放送された「ここがヘンだよ98年10大ニュース」の中で取り上げられたドイツのリントナー村長(当時)が性転換を原因にリコールされた一件を討論した際に、ゾマホンが「黒人文化や社会、特にアフリカにはゲイ・レズビアンは存在しない。私から見れば同性愛者は精神病だ」と差別発言をした事で番組を見た同性愛者と討論する事態にまで発展した(1999年9月1日、同年10月13日放送分)。後の2000年3月29日に放送された「ここがヘンだよアフリカ人」の中で「アフリカにゲイはいるのか?」と言う検証を行った結果、アフリカのとある国(放送では国名を伏せていた。[2])でひっそりと暮らすゲイの様子が放送された。
- 1999年3月24日放送の「ここがヘンだよ外国人」で、上岡龍太郎が「和歌山や奈良の人間が大阪でひったくりをしている」といった趣旨の発言をし、この回のオンエア終了後に苦情が殺到した。この発言が事実と異なる趣旨のテロップも流されたものの、後日TBS関係者が県庁に出向き謝罪する形となった。
- 2000年6月放送の「ここがヘンだよ関西人」で、オーディションに合格した関西の芸能事務所所属の俳優数人が素人の関西人として出演し、過剰なまでにステレオタイプな関西人を演じたことについて問題視とされている[3][4]。
- こちらは本番組の放送終了後に起こった出来事だが、番組に出演していたマレーシア人男性Tが2004年ごろに関税法違反の容疑で逮捕されるという事件があった。この男性は稲川素子事務所に所属していたタレントだったのだが、この事件直後に稲川素子事務所のホームページからは関連情報は全て削除された。同様に、番組出演者の一人であったナイジェリア人男性Yも2007年に強姦の容疑で逮捕され、刑務所に留置された。ただし、本人は現在も冤罪だとして容疑を否認し続けており、裁判が続いている。なお、この男性は上記のイラン人男性やマレーシア人男性とは違い、一般人出演者だった。[5]。
- 2001年2月28日放送分で北海道情報大学講師[(当時)有道出人ら数人がゲスト出演し小樽市の公衆浴場で行われていた「外国人お断りの温泉」について「(決まりは)見た目だけで差別されていると発言し」議論が行われた。外国人からは差別に同情する意見もあったが「外国人禁止は北海道だけ」「経営者の身になって考えたのか」との意見が飛び出し、放送当時小樽市や浴場と係争中だったことから「最終的にはお金目当てか」と言われる始末であった。番組では外国人出演者が小樽市の浴場や役所を取材した旨の内容が放送された。なお、裁判は放送終了後の2005年、有道ら原告は浴場には勝訴したが、小樽市には敗訴という内容で結審した。[6]。テンプレート:Main
最終回
- 木曜日22時台に移動してから視聴率が低迷し、2002年3月14日をもって番組は終了。最終回のエンディング部分では出演者のゾマホンが「これからの【ここがヘンだよ日本人】はもっとためになって、勉強になる番組になるですよ」や「【ここがヘンだよ日本人】ではなく【ココが素晴らしいだよ日本人】という番組にした方が良いよ」といった番組シリーズの続編発言をし、2002年4月26日と7月5日に『スーパーフライデー』枠で特番が放送された。
日本の芸人は世界に通用するのかコンテスト
- 前述のように番組は定期的に「ここがヘンだよ外国人」と題していた。その際、日本のお笑い芸人のネタは世界に通用するかを競うコンテスト企画をやっていた。それがこのコーナー「日本の芸人は世界に通用するのかコンテスト」である。内容は外国人100人に日本の芸人のネタを見てもらい、その得点を競うと言うもの。これで最高得点となった芸人が優勝賞品を貰っていた。中にはネタを編集でカットされたり、外国人達から顰蹙を買った者もいる。(後述)
出演者
日本人
- ビートたけし(司会)
- 江口ともみ(アシスタント)
- そのまんま東
- 浅草キッド
- テリー伊藤
- 織田無道
- RIKACO
- 大槻ケンヂ
- 大竹まこと
- 舛添要一
- 大仁田厚
- 猪瀬直樹
- 山田五郎
- 井沢元彦
- 江守徹
- 吉永みち子
- 嵐山光三郎
帰化日本人
外国人出演者
- ゾマホン・ルフィン(ベナン共和国)
- サムエル・ポップ・エニング(ガーナ)
- クレメント・アダムソン(ガーナ)
- ママドゥ・ドゥンビア(マリ共和国)
- ルイス・アルベルト・ケベド(コロンビア共和国)
- マリア・テレサ・ガウ(イギリス)
- サニー・フランシス(インド)
- ジョニー石橋(ブラジル連邦共和国)
- リュウ・ヒジュン(大韓民国)
- デーブ・スペクター(アメリカ合衆国) ※ゲスト陣扱い
- マーティ・キーナート(アメリカ合衆国) ※ゲスト陣扱い
- サンドラ・ヘフェリン(ドイツ)
- ノイマン・クリストフ(ドイツ)
- ムラト.カドルー(トルコ)
- 稲川素子事務所所属の外国人タレント
日本の芸人コンテスト出演者
- 海老一染之助・染太郎 - あまり得点は稼げなかったが、老人が一生懸命な姿に好感を覚えた女性がいた。
- 江戸家猫八 - 第1回目には3代目が、第2回目には4代目(当時は江戸家子猫)が出場。動物声帯模写は外国人から高い評価を受けた。
- 梅垣義明 - 第1回大会と第2回大会に出場。前者では鼻からピーナッツを飛ばすネタを披露。アメリカ人男性Jから「こういう芸人はサンフランシスコに行けばいくらでもいるが、アメリカでは絶対に売れない」と、ナイジェリア人男性Yから「面白いというか汚かった」と酷評された。後者では美空ひばりの「悲しい酒」を熱唱しながらオムツの中に酒を入れるネタを披露した。
- モリマン - 陰部を露出し大いに顰蹙を買うものの、島崎ほどの低評価を受けなかった。
- ゼンジー北京 - 中国人から「芸名の“北京”はどういう意味か」と聞かれ、「私は中国をとても尊敬している。いつか北京に行ってみたいと思い、この芸名にした」と答えた。
- 村崎太郎・次郎 - 伝統芸である猿回しを披露。しかしこれに対し、アメリカ人男性Jが「これ(猿回し)を見てると、その猿が可哀想に見えて仕方がない。これは動物虐待じゃないのか」と真っ向から激怒した。この事態を機に後の放送分で、動物を用いた曲芸の在り方についてスタジオで激しい討論が繰り広げられた。
- 藤井隆 - 出演者の1人であったママドゥをネタに当時一世を風靡したギャグ「ホット!ホット!」を披露。これにママドゥの近くにいた外国人も合わせて踊っていたが、一部からは「これは芸なんかじゃない。ただのバカ踊り」と酷評された。
- 鉄拳
- なかやまきんに君 - 自らの筋肉ネタを披露。しかし、外国人からは「寒い」と一蹴され、挙句の果てには生卵を投げつけられていた。
- チャンバラトリオ
- 坂田利夫 - 登場して早々に外国人から「アホ」呼ばわりされ、最初は本人も「アホと言うな!」と反論。最後はたけしに「(外国人の皆さん)引いてますよ」と言われていた。
- テント
- 汗かきジジイ - 前述の通り、放送ではネタ見せの途中に「あまりに下品なネタであるため放送できません」と突如省略。終了後、外国人出演者のほぼ全員が閉口した様子が映っていた。
- 海原はるか・かなた
- Mr.ボールド
- 島崎俊郎 - 御馴染みのアダモステを披露。しかし、アフリカ人出演者から「黒人を侮辱している」などの大ブーイングが起こった。酷評された点数を見て、「俺の芸はモリマンのあそこより酷いのか!」と叫んだ。
- エスパー伊東 - 番組では「高速梅干し30個60秒食い」と「バッグ入り」を披露。前者では外国人達から「帰れ!」コールの嵐を受け、サニー・フランシスからは「梅干しを粗末にするな」と呆れられた。しかしその一方でゾマホンからは「彼の行動を見ていたら応援したくなった」とコメントされた。
- 電撃ネットワーク - あまりに過激な芸風から外国人出演者から、「こういうことをしているのを見てお前らの家族はどう思う?」「こういうパフォーマンスを自分の国で披露したら殺されます」などの呆れの声が飛んだ。
- PaniCrew
ナレーター
エンディングテーマ
- SCRIPT「Stripe Blue」
- コタニキンヤ「高熱BLOOD」
- HIKARI「パイルドライバー」
- 愛内里菜「Run Up」
- BEAT KIDS「Destiny」
- MAMADOU「BIRDS」
- NONA REEVES「I LOVE YOUR SOUL」
- ジョー山中「Moocha, Koocha」
- ポルノグラフィティ「アポロ」
- CAO「光の風」
スタッフ
- 構成:恒川省三、田中直人、都築浩、小笠原英樹、あべ、シマダ秀樹、播田ナオミ、佐藤雄介
- リサーチ:インスティテュート・ワープ
- TD:阿部智昭
- VE:吉永明久、飯泉亮
- CAM:早川征典
- 照明:荒井徹夫
- 音声:尾崎宗弘
- PA:鈴木紀浩
- 音響効果:阿部宰、井田栄司
- 編集:日下石京子、菅原正一
- MA:山下知康、小田嶋洋
- TK:鈴木明日香
- 美術プロデューサー:和田一郎、安田和郎
- 美術デザイン:西條実
- 装置:中尾政治
- 装飾:飯島義次
- 持ち道具:貞中照美
- 衣裳:軽石真央
- 特殊メカ:春日公一
- 電飾:近藤明博
- メカシステム:大谷圭一
- メイク:アートメイクトキ
- タイトル:薮内省吾、藤田二郎
- CG:大宮司徳盛
- 題字:下村哲也
- AP:西沢雅文、原田康弘
- ディレクター:古谷英二、むたゆうじ、織田智、水谷曜子、藤村卓也
- チーフディレクター:正木敦
- プロデューサー:田代誠、阿部龍二郎
- 協力:稲川素子事務所
- 技術協力:東通、PEC、オムニバスジャパン、TDKビデオセンター、TAMCO
- 収録スタジオ:東京メディアシティ
- 企画協力:オフィス北野
- 制作協力:ファルコン
- 制作:TBSエンタテインメント(2000年4月以降にこのクレジットを表示)
- 製作著作:TBS
脚注
- ↑ 『ニッポン人はホントに「世界の嫌われ者」なのか?』(柳沢有紀夫、新潮社、2009年)では本項目の記述を受ける形で、この件を掲載したが、本書の巻末の解説には、この番組に出ていた権容奭により、裏話が記述されている。稲川素子事務所のタレントは全体の三分の一で残りは留学生や一般人(ただし、一般人でありながら不定期にテレビ出演するようになった者も多い)とのこと。ただし、過激な発言は殆どはタレントによるもので、まともな発言は猪瀬直樹か、ドイツ人、イギリス人に語られるのが暗黙の了解であったという。
- ↑ この国では同性愛は凶悪犯罪者と同等の罪とされるため。
- ↑ 21世紀ジャーナリストフォーラム2007 基調講演「メディアの描く<内なる他者>カンサイの現在」
- ↑ 『新聞研究』2009年6月号(No.695)関西ジャーナリズムの今「地域公共圏の形成に努力を─メディアのステレオタイプな関西観の問題」黒田勇
- ↑ [1]、[2]。
- ↑ 札幌高判平成16年9月16日。及び判例検索システム平成13(ワ)206 判決全文 15項、17-18項
関連項目
- めちゃ2イケてるッ! - ここがヘンだよ○○(○○の中にはマネージャーやフジテレビが入った)と題し、めちゃイケメンバーが『ここがヘンだよ日本人』の出演者に扮し同様のテイストで討論風のコントを行った。
- とんねるずのみなさんのおかげでした - 2001年11月1日、8日の2週にわたり、総集編スペシャル「ここがヘンだよ石橋貴明」を放送。本家同様のセットを組み、番組ゆかりのゲスト達が次々と石橋を糾弾した。最後は石橋の「以上団体コントでした」の一言、会場爆笑の流れで締めた。
- サンデージャポン - 本番組のチーフディレクターである正木敦は、この番組の総合プロデューサーも手掛けており、本番組の雰囲気や演出手法を忠実に踏襲している。
- 中居正広の家族会議を開こう! - 同時期に不定期で放送されていた特別番組。本番組と同じスタッフ、ナレーション、演出で構成されていたほか、本番組で一般人として出演していた者が同じくこの番組にも出演していた。
- 教えてMr.ニュース 池上彰のそうなんだニッポン - 本番組に出演していた外国人タレントの一部が、この番組にも出演している。
- ネプ&イモトの世界番付 - 日本テレビ系で放送されているバラエティー番組。本番組同様、外国人タレントが出演している。
- なかよしテレビ - フジテレビ系列で不定期に放送されている特別番組。番組内容もさることながら、出演者も日本人・外国人ともに本番組と一部被っている。