Ξガンダム
テンプレート:Pathnav Ξガンダム(クスィーガンダム)は、富野由悠季の小説作品『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』に登場する、架空の兵器。
宇宙世紀0104年、反地球連邦政府組織 "マフティー" がその象徴として秘密裏にアナハイム・エレクトロニクス社に開発を依頼したガンダムタイプモビルスーツ (MS) である。
本項目では、関連機ペーネロペーに関しても記述する。
Ξガンダム
テンプレート:機動兵器 宇宙世紀0104年、秘密結社「マフティー」がアナハイム・エレクトロニクス社へ極秘裏に発注した、当時最新鋭の第五世代MS。30m級の機体としてはRX-104FF ペーネロペーに続く2番目のミノフスキークラフト搭載型MSとなる。機体性能そのものも極めて高く、操縦系にはサイコミュも取り入れられており、搭乗者の脳波を拡大するシステムを有する。
サイコミュデバイスと大出力メガ粒子砲を同時に搭載する機体コンセプトは、同社製のθガンダム(ΖΖガンダム)とνガンダムのコンセプトを掛け合わせたような、これらの機体の優れた点を継承するガンダムタイプMSと言える。また、本機のΞ(クスィー)という名称は、かつてのニュータイプ「アムロ・レイ」が最後に搭乗したとされるνガンダムの意思を継ぐという意味で与えられたという。
宇宙世紀0105年時において、単独で大気圏内飛行が可能なMSは本機とペーネロペーのみであり、少数の戦力しか保有しないマフティーが地球連邦軍と渡り合うことができたのは、本機の絶大な戦闘力による処が大きいといえるだろう。
- ミノフスキークラフトユニット
- このユニットにより、MSでの単独での大気圏内飛行が可能になった。ただし、この機能を盛り込んだためにΞガンダムは30m級の大型機体になったとも言われている。
- 武装
- ビームライフル
- 旧来品の倍近くの初速を誇る。
- 肩部メガ粒子砲
- ZZガンダムのハイメガキャノンのような大口径砲口型の大出力メガ粒子砲を、両肩(肩の三角のアーマーの胴体側に近い所の台形型の出っ張った部分)に1基ずつ搭載している。発射時には両肩のパーツが展開し、砲部が露出する。
- アーケードゲーム『機動戦士ガンダム エクストリームバーサス マキシブースト』では、ビームサーベルの収納部分の先端からビームが発射されるように描かれている。
- ビームサーベル
- 旧来品のように手に持って稼動できるほか、基部にマウントされた状態でも敵機を両断できる。
- ミサイルランチャー
- 機体各所に多数設置されており、爆撃能力も有する。
- ファンネルミサイル
- 開発当時における最先端のサイコミュ兵装であるファンネルミサイルを搭載しており、実弾兵器の思念操作が可能である。
- ビームバリア
- 高速飛行時にはビームバリアーを機体前面に展開、進行方向に波形を変えたビームを肩の三角形のパーツの先端(両肩だと2か所)から放射することで大気の干渉を減散させ、飛行形態へ変形せずに大気圏内を高速で飛行できるようになる(一部ゲームでは簡易的な飛行形態に変形する)。この状態でのΞガンダムは、空中で機体全体が発光するような姿となる。作中で確認された限りでは、マッハ2を超える速度での航行が可能。あくまで空気抵抗軽減用なので、ビーム防御などの防御への転用は無理である。
劇中での活躍
アナハイムでのトライアル後、カーゴ・ピサに格納された状態で月面から地球へと移送される。宇宙世紀0105年4月21日に搭乗者である「マフティー」がインドネシア・ハルマヘラ島沖にて空中受領直後に追撃してきたペーネロペーと交戦し、これを退ける。その後、エアーズロック攻防戦や連邦軍基地襲撃等、秘密結社マフティーの象徴として多大な戦果を挙げる。しかし、同組織の台所事情からか、時には使役作業に運用される場面もみられた。そして同年4月26日、オーストラリア・アデレートにて行われる連邦中央閣僚会議の粉砕を宣言したマフティーは、法案の破棄を要求して会場を襲撃する。その際、Ξガンダムは因縁のペーネロペーと再び交戦し、互いの兵装を駆使した熾烈な戦闘を展開して追い詰めるが、会場周辺に設置されたビーム・バリアーによって擱座し、パイロットごと連邦軍に回収されるという悲劇的な結末を迎えている。その後のΞガンダムの去就は不明。
デザイン
メカニックデザインは森木靖泰。型式番号等の設定は当時から存在した。デザイン上のポイントは、胸部中央に頭部V字アンテナと同様のV字アンテナが存在することである。
のちに『閃光のハサウェイ』がゲーム『SDガンダムGGENERATION-F』に登場することとなり、同小説に登場する全てのメカニックデザインが一新され、より立体映えするシルエットへとリニューアルされた。リデザインは森木がΞガンダムとペーネロペーを、藤田一己がメッサーとグスタフ・カールを担当している。この画稿は、ホビージャパン発行の書籍『GUNDAM WEAPONS "ニュージェネレーション"編』に収載されている。
2005年にフィギュア『GUNDAM FIX FIGURATION』の第25弾としてオデュッセウスガンダム・ペーネロペーとのコンパチブルモデルとしてカトキハジメによってリファインされ、初の商品化がなされている。なお、このリファインの際には森木版における全身の極端に鋭利な部分、胴体や四肢のパーツバランスなどが見直され、νガンダムからつながる機体であることがわかるように改訂されている。
2013年にフィギュア『ROBOT魂』の通販専用商品として、ノンスケール(1/144スケール相当)のΞガンダムが発売されている(魂ウェブ商店限定)。
オデュッセウスガンダム
小説『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』に登場する、地球連邦軍の試作MSで、名称の設定の初出は「ANAHEIM ELECTRONICS GUNDAM HISTORY 2002 CALENDAR」。 テンプレート:機動兵器 アナハイム製ガンダム20周年を記念として開発されたMSである。完成した機体は地球連邦軍に納品され、キルケー部隊のレーン・エイムの乗機となった。
劇中ではガンダムかどうかは不明確でペーネロペーとしか呼称されていなかったが、後にガンダムタイプのMSにオプションである「ペーネロペーユニット (Penelope Unit)」を装備した状態の呼称と設定され、ユニットを装着していない素体としてオデュッセウスガンダムが発表された。ユニットはペーネロペーユニット以外にも複数が検討されていた。
- ペーネロペーユニット
- #ペーネロペーを参照。
- アルゴスユニット (Argos Unit)
- オデュッセウスガンダムの検討されていたユニットの1つ。ビット搭載型ユニットである。開発中とされているが、劇中では文章による解説に留まっている。
なお、名前はそれぞれギリシア神話に由来し、オデュッセウスは20年の漂泊の末に故郷へ帰還した英雄オデュッセウス、ペーネロペーはその妻ペネロペ、アルゴスは魔神アルゴスによる。
ペーネロペー
オデュッセウスガンダムがペーネロペーユニットを装備した際の名称。型式番号のFFは単機能フライトユニット (Fixed Flight unit) を意味する。全身に取り付けられたペーネロペーユニットにより、デザインは他のMSとは一線を画する。 実質的にΞガンダムの試作機ともいえるが、ミノフスキークラフトは外付けのオプションパーツとなっており、空気抵抗軽減用ビームバリアの完成度も低い。そのため、空戦専用に開発されたΞガンダムと違い、高速巡航時はフライトフォームへと変形する必要がある。武装については、Ξガンダムと同じく実弾型サイコミュ兵器「ファンネルミサイル」を肩部ポッドに装備しているほか、両腕部にビームサーベル兼メガ粒子砲を装備しているが、後者は劇中では使われなかった。
- ペーネロペーユニット
- ミノフスキークラフトや肩部ファンネルミサイルポッド、空気抵抗軽減用ビームバリアが搭載されている。オデュッセウスガンダムがペーネロペーユニットを装着することにより、ペーネロペーと呼ばれる姿になる。
- フライトユニット
- GUNDAM FIX FIGURATION版ではオデュッセウスガンダムから取り外したペーネロペーユニット単独で飛行形態をとらせることができる。キャノピー状のパーツも存在するが、コクピットがあるのかは不明
- ファンネルミサイル
- 開発当時における最先端のサイコミュ兵装であるファンネルミサイルを搭載しており、実弾兵器の思念操作が可能である。ペーネロペーユニット肩部のファンネルミサイルポッドより発射される(オデュッセウスガンダム側にはファンネルミサイルポッドは無い)。
- 未完成ビームバリア
- 高速飛行時にはビームバリアーを機体前面に展開、進行方向に波形を変えたビームを放射することで大気の干渉を減散させる目的で装備させた。しかし、未完成な状態での搭載であるために、より空気低減を行うために飛行形態であるフライトフォームに変形して大気圏内を高速で飛行できるようになる。あくまで空気抵抗軽減用なので、ビーム防御などの防御への転用は無理である。
- フライトフォーム
- ペーネロペーにはビームバリアが未完成なためにフライトフォーム(高速機動形態)への変形が存在する。フライトフォームでは胴体前面の装甲と頭の上にある機首が密着して顔が隠れ、空気抵抗を減らす形となる。そのため、全体のシルエットは飛龍のように見える。
- 劇中での活躍
- Ξガンダムのライバル機体として、キルケー部隊のレーン・エイムが搭乗し、Ξガンダムと死闘を繰り広げた。
- デザイン
- リファインされたペーネロペーのデザインでは脛前側アーマーが取り付けられておらず、内側に配備された爪先が省略されている。
参考文献
- 大日本絵画「モデルグラフィックス」1987年10月号(1987年発行)
- サンライズ『ANAHEIM ELECTRONICS GUNDAM HISTORY 2002 CALENDAR』(2002年発行)