Jヴィレッジ

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テンプレート:Coord テンプレート:Vertical images list Jヴィレッジ(ジェイ・ヴィレッジ)は、1997年に開設されたスポーツ施設。日本サッカー界初のナショナルトレーニングセンターでもある。福島県浜通り南部、双葉郡広野町楢葉町に跨がって立地している。

福島第一原子力発電所事故に伴い、2011年3月15日から2013年6月30日までスポーツ施設としては全面閉鎖し、国が管理する原発事故の対応拠点となっていた[1][2]。以後もトレーニング施設としては活動閉鎖している。

概要

テンプレート:Infobox サッカートレーニング施設としては日本最大規模で、日本サッカー協会 (JFA) 、公益社団法人日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)、福島県、東京電力などの出資で設立された(株)日本フットボールヴィレッジが運営管理していた。総事業費130億円[3]

サッカー以外の競技の試合や練習でも利用でき、ラグビーアメリカンフットボールラクロス卓球バスケットボールバレーボールバドミントンチアリーディングなどの合宿も可能であった。これは宿泊や飲食においても同様であり、一般の来場者でもフィットネスクラブやレストランなどを利用することができた他、企業の社員研修やビジネス客の宿泊などスポーツと関係のない利用も可能であった。利用人数は2011年3月まで(閉鎖以前)で、のべ約100万人利用、約56万7千人が宿泊している[3]

JFA初の育成学校であるJFAアカデミー福島の拠点でもあった。施設内の「Jヴィレッジスタジアム」は、なでしこリーグ東京電力女子サッカー部マリーゼ(TEPCOマリーゼ)のホームスタジアムとして用いられていた。

施設

全11面の天然芝ピッチを備え、サッカー日本代表Jリーグクラブなどのトップチームから草サッカークラブまで、幅広い層の合宿施設として利用されていた。宿泊・研修施設が併設されているメリットを活かして、審判員や指導者の養成事業などでも利用されている日本サッカー界の重要拠点であった。海外チームも利用することが可能であり、2002 FIFAワールドカップの際にはアルゼンチン代表がここにキャンプを構えた。

また、地域レベルの公式戦の試合会場として、規模の大きさ活かして日本クラブユースサッカー選手権 (U-18)大会日本クラブユースサッカー選手権 (U-15)大会全日本少年サッカー大会などの全国大会の大会会場として、幅広く使われていた。

過去には2005年4月16日J2第7節モンテディオ山形湘南ベルマーレ[注 1]をJヴィレッジスタジアムで開催し、現在まで唯一のJリーグ開催例となっている。

また現・J2発足前の実質的なJリーグの2部リーグであったジャパンフットボールリーグ(初代JFL)に1995年から1997年に参加した福島FCも1997年に2試合を開催しており、うち8月28日にJFL加盟時唯一のナイトゲームとして川崎フロンターレ戦を開催しているが、福島FCは予算難を理由にこの年解散しJFLからも撤退している。[4]

トレーニング施設

  • スタジアム - 5000人収容スタンド・ロッカー室・夜間照明
  • 天然芝フィールド - 天然芝ピッチ10面 内2面に夜間照明
  • トレーニングフィールド - 人工芝ピッチ1面・400mトラック4レーン・ラグビー用ポール・夜間照明
  • 屋根付練習場 - 人工芝ピッチハーフサイズ1面
  • フットサル用ピッチ 
    • 人工芝2面 - 夜間照明
    • ウレタン2面 - スタンド有り
  • サンドピッチ1面
  • テニスコート - ハードコート1面・夜間照明
  • フィットネスクラブ
    • 温水プール - 25m4コース
    • マシントレーニングジム
    • 屋内アリーナ

その他施設

  • ホテル - 90室 262人
  • レストラン
    • レストラン「アルパインローズ」の西芳照総料理長は、サッカー日本代表専属シェフとして現在も海外遠征試合に帯同している。
  • コンベンションセンター - 160人収容・150インチ大型モニター

歴史

設立経緯

テンプレート:出典の明記 日本のサッカー界は、1993年のプロ化(Jリーグの設立)や所謂ドーハの悲劇を経て、プロや日本代表チームの強化に繋がる優秀な選手を育成するための活動拠点となる施設の確保が急務とされ、同時に日本でサッカーを行う環境が、質的(天然芝グラウンドの管理水準の低さ・他競技との兼用に因る使い勝手の悪さ)にも、量的(競技人口に対するグラウンドの不足)にも不足していることが問題となっていた。また、日本は同時期に2002 FIFAワールドカップ招致に向けて動き出しており、そのきっかけとして新たなサッカートレーニング施設を欲していた[5]

一方で、福島県内に原子力発電所を含む多くの施設を所有していた東京電力は、1994年に地元への貢献として地域振興施設の造営・寄贈を行うという提案を行った[3][5]。この時、ちょうど地域密着を掲げて人気を博していたサッカーと結びつけた整備が適当と判断され、日本サッカー協会が協力する形でナショナルトレーニングセンターを設立する合意がなされた。

なお、建設予定地は東京電力の発表当初未定とされ、1994年9月26日の県議会で「当社の発電所がある自治体への建設を希望している」とのコメントが示された。必要な敷地は30~40ha、構想発表時点で完成イメージ図も添えられていたため、『政経東北』のように事前に地元町村と綿密に打ち合わせしたものと受け取ったマスコミもあった。これに応じ、福島第一原子力発電所7・8号機の増設予定地に当たる双葉町の企画開発課長は「個々の町村が誘致運動をやるのは控えるよう町村会で確認している。仮に40ヘクタールほどの土地なら双葉町で確保できるだろうが、現実の問題として施設の維持、管理はどこがやるのか、現在の交通機関で全国から来る選手たちをスムーズに受け入れられるかなど、かなり難しい点がある」と述べているテンプレート:Sfn

結局、東京電力は1995年から、同地にある広野火力発電所に隣接した広野町町有地に建設を決定、約130億円をかけて施設整備を開始、5000人収容のサッカースタジアムや各種球技に対応可能な天然芝グラウンド、屋内トレーニング施設、宿泊施設等を建設した。1997年に竣工した施設は福島県へ寄贈され、福島県の外郭団体である県電源地域振興財団の所有となった。

同時に施設運営のために福島県、日本サッカー協会、東京電力からの各10%の出資を中心として株式会社日本フットボールヴィレッジを設立し、ここが施設を借り受ける形でJヴィレッジの管理・運営を行った。

なお、当時この施設寄贈は当時から福島第一原子力発電所7・8号機増設の見返りとしてマスメディアにたびたび指摘され、県内の原子力発電所におけるプルサーマル実施を承認させる見返りではないかとする指摘もあった。しかしその後、プルサーマル関連の不祥事や東京電力原発トラブル隠し事件の発覚によって実施自体が大きく遅れ、増設計画やプルサーマル計画のスケジュールとは無関係に完成・運営が続けられた。 テンプレート:See also

批判

建設に投じられた130億円ついて『政経東北』は「教育奨学財団をつくり、浜通り一帯の高校生、大学生の奨学資金に充てるという提案なら、県民に率直に受け入れられたのではあるまいか」と批判したテンプレート:Sfn。また『政経東北』1997年4月号では福島県が浜通りを放置してきたとし、「地域振興に努めてリードすべき県が何もせず、東京電力がJビレッジの青写真を提示し、建設するという怪」と県の姿勢を批判している[6]

原発事故対応拠点

テンプレート:External media テンプレート:Main2 2011年3月11日、東日本大震災東北地方太平洋沖地震)が発生したが、ここには大きな被害はなかった[7]。同日は避難所として機能していた[8]

福島第一原子力発電所事故が発生し、同原発から20キロメートル圏内にあることから避難指示区域、後に警戒区域に入ったため、翌3月12日から別の場所への避難を開始した[1][8]。同施設を拠点に活動しているJFAアカデミー福島[注 2][9]およびTEPCOマリーゼ[10]は避難を余儀なくされた。

同年3月15日、国に移管され[1]陸上自衛隊のヘリコプターおよび隊員が放射性物質を落とす除染場所となり[11]、同年3月18日には政府・東京電力・陸上自衛隊および警察や消防が原発事故に対応する「現地調整所」を設置し、前線拠点として本格的に運用を開始した[8][12][13]。近くの道路や駐車場は使用済み燃料プールを冷却する消防車(大型破壊機救難消防車A-MB-3など)や汚染された瓦礫撤去のために用意された戦車74式戦車2両)・装甲回収車78式戦車回収車1両)[14]、放射線量の測定車[15]といった特殊車両の待機場所となった。原発事故に対応する作業員を診断する医療班が常駐している[16]。事故発生当時、最大で1000人の関係者が寝泊まりしていた[3]。福島第一原発内で作業を終えた作業員はここで除染および宿泊・食事をしていたため、事故対応が長期化する中で当該施設の環境改善が叫ばれるようになった[17][18]

2011年9月現在、作業員の宿泊施設をいわき市内に置き、1日あたり3,000人から1,300人の作業員がここで作業服に着替えて原発に向かう「中継基地」となっている[3]。常駐は自衛隊員数10人、東電社員約200人[3]。2011年10月現在、芝のフィールドはヘリポート・駐車場・除染場・作業スペース・資材保管場所として使われ[8][19]、一部はアスファルト[3]砂利が敷かれた[20]。Jヴィレッジスタジアムのフィールドには、東電社員用のプレハブが置かれている[20]

東京電力は福島第一原子力発電所の事故に伴う賠償や除染への対応を強化するため、「福島復興本社」を2013年1月1日1月4日業務開始)よりJヴィレッジに設立[21]、4000人を超える社員を配置させ、それまで本店が担当していた賠償の審査業務の一部を復興本社に移す他、実務を受け持つ南相馬市や会津若松市など5ヵ所の事業所の担当者を増やすことで支払いへの対応を加速させるとした[22]

なおこの間、Jヴィレッジ施設で働いていたパートや派遣社員約150人は全員解雇され、残る13人の正社員は減俸し雇用を続け郡山市いわき市会津若松市の災害対策本部でボランティア活動に従事し[8][3]、その後2012年9月よりいわき市に仮設フィットネスジムを設置・運営させていた[23]

2013年7月1日、Jヴィレッジ内に置かれていた福島第一原発への入退管理機能の多くを、原発敷地内の「入退域管理施設」に移した[2]

復興へ向けた動き

JFAはJヴィレッジを再び利用するとしており[24]日本オリンピック委員会日本体育協会およびJFAは当該施設を含めた被災地のスポーツ施設を元に戻すよう国に要望している[25]。これに国際サッカー連盟(FIFA)も資金提供をするとしている[26]。また、長年同地で行われてきた日本クラブユースサッカー選手権U-18やU-15など全国規模の大会は、他の会場に移して開催される[27]

2013年7月、原発事故対応拠点が第一原発内に移転したことを機に、JFAは「Jヴィレッジ復興サポートプロジェクト」を立ち上げ、復興に向けて本格的に動き始めた[28]。この時点でピッチ11面のうち10面は資材置き場や駐車場・プレハブが置かれ、全面的に芝生を張り替えなければならなかった[29]

と同時に、2020年夏季オリンピックが東京開催に決定したことに伴い、トレーニング施設として再利用することが事実上決まり、東京電力主体の復旧事業として2018年までに元通りに戻すよう進めていくこととなった[30]

周辺の施設

アクセス

水戸仙台から等距離に位置しており、両市までの距離は約123kmである。

脚注

テンプレート:脚注ヘルプ

注釈
  1. 山形1-1湘南。JヴィレッジスタはJリーグ公式戦開催規定を満たしていないが、山形の本拠地である山形県総合運動公園陸上競技場の芝生が生育不良だったためその代替会場として。試合3日前に同スタジアムへの試合会場変更が決められ、当日の観客数は1647人にとどまった。
  2. ちなみにこの際に退校者は出ていない[8]
出典

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参考資料

関連項目

外部リンク

テンプレート:Sister

テンプレート:日本のサッカー テンプレート:東京電力

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  4. 福島FC ホームゲーム入場者数
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  14. テンプレート:Cite newsテンプレート:リンク切れ
  15. 原発対処拠点の映像を公開 NHKニュース 2011年4月19日
  16. テンプレート:Cite web
  17. テンプレート:Cite web
  18. テンプレート:Cite web
  19. テンプレート:Cite web
  20. 20.0 20.1 テンプレート:Cite webテンプレート:リンク切れ
  21. テンプレート:Cite web
  22. 東電「福島復興本社」業務開始へNHK NEWS 2013年1月4日
  23. Jヴィレッジブログより
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  25. テンプレート:Cite web
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