法政大学第二中・高等学校
法政大学第二中・高等学校(ほうせいだいがくだいにちゅう・こうとうがっこう)は、神奈川県川崎市中原区木月大町に所在し、中高一貫教育を提供する私立男子中学校・高等学校。高等学校において、中学校から入学した内部進学生徒と高等学校から入学した外部進学生徒との間では、高等学校第1学年から混合してクラスを編成する併設型中高一貫校[1]。設置者は学校法人法政大学。略称は、「二中」「二高」(中高を併せて「法政二中高」)「法政二」などである。
目次
概要
中高一貫制の男子校で、法政大学の附属校。中学から大学までの「10年一貫教育」を掲げ、それに合わせた学習カリキュラムが実施されている[2]。中高共に平成19年度より週5日制から週6日制に変わり、新カリキュラムによる教育が行われている。また、クラブ活動が活発であり、ラグビー、ハンドボール、フェンシング、アメリカンフットボール、バレーボール、バスケットボール、放送部など、多くのクラブが毎年全国大会で活躍している。特に硬式野球部は過去9回夏の甲子園に出場し、優勝2回、準優勝1回の実績がある。
学習面において、高校では入学時に美術クラスと音楽クラスに分けられるため、3年間の大半の行動が同じ芸術クラスとなる。また、3年次になると進学別にクラス分けがあり、「法政理系クラス」「法政文系クラス」「センター試験クラス」(2015年度廃止予定)に分類される[3]。平成18年度より「ゼロ時限目」と呼ばれる20分間の英語学習が実施されているほか、TOEIC Bridgeを年2回受験する[4]。中学では3年次にニュージーランド、中国、北海道、九州などへ研修に行く[5]。
進路では、高校において進学要件を満たせば法政大学への被推薦権を保持したまま学部に関係なく他の私立大学や国公立大学を受験することができる。
教育理念
教育理念(学則第1条):
- 「本校における教育は、人格の完成をめざして国民的共通教養の基礎を築き、平和的で民主的な国家および社会の形成者を育成することを目的とする。」
教育目標:
- 人類および民族のあらゆる分野における歴史的・文化的遺産を体系的に学びとり、自然と社会・人間に対する認識を深める。
- 獲得した認識を総合し、自然との共生・諸民族の共同など、人類社会のもつ諸課題と向き合う視野を培う。
- 学ぶことの意味と喜びを知り、常に学問的好奇心を発揮し、生涯にわたって成長を遂げることのできる土台を獲得する。
- 自己を客観化し、社会の中でどのように生きるかを考えることにより、一人一人が個性を獲得し、自分の生き方を自分で決める能力をつける。
- 自ら諸課題の解決・現状の変革を担おうとする自主的精神と互いを尊重し共同での取り組みができる自治的な能力を獲得する。
- 高い品性と社会性を身につけ、不正・腐敗を許さず、社会正義を確立する自律の力を獲得する。
沿革
- 昭和14年 - 法政大学第二中学校設立。
- 昭和20年 - 戦災により、一部校舎(時計塔校舎など)を除き、ほぼ全焼。
- 昭和23年 - 学制改革により、法政大学第二高等学校となる。他の私立校のように新制中学校を併設しなかった。
- 昭和27年 - 硬式野球部、甲子園に初出場。
- 昭和35年 - 硬式野球部、夏の甲子園で優勝。
- 昭和36年 - 硬式野球部、春の甲子園で優勝。
- 昭和43年 - 『かがやく法政二高』が出版される。
- 昭和44年 - 『法政二高教育の三十年史』が出版される。
- 昭和46年 - 映画「法政二高」が制作される。
- 昭和51年 - 法政大学工業高等学校を合併。
- 昭和59年 - バレーボール部、インターハイにて優勝
- 昭和61年 - 法政大学第二中学校を設置。
- 昭和63年 - アメリカンフットボール部、クリスマスボウル(横浜スタジアム)にて優勝。
- 平成元年 - アメリカンフットボール部、クリスマスボウル(東京ドーム)にて連覇。『法政二高五〇年史』が出版される。
- 平成9年 - バスケットボール部、ウィンターカップに初出場。
- 平成11年 - ラグビー部、冬の花園に初出場。
- 平成14年 - 社会科学研究部、全国高等学校総合文化祭社会科学部門において『川崎の中の沖縄~豊かな暮らしを求めた人々~』が最優秀賞を受賞。
- 平成16年 - 演劇部、全国高等学校総合文化祭演劇部門において『ロック』を演じ、優秀賞を受賞。
- 平成18年 - 高校において「ゼロ時限目」開始。ハンドボール部、国民体育大会で優勝。
- 平成25年 - バスケットボール部、ウィンターカップに再出場。
- 平成28年(予定) - 男女共学となる[6]
学校改革(共学化と校舎建設)
平成28年度入学生より中学、高校同時に共学化する。 これまで「違いを認め合う」ことを教育の中で重視してきたが、男女共同参画社会といわれる時代の流れをみすえ、「男女の違い」を認め合う教育を組入れることで教育の幅が広がることをめざしている。[7]
共学化を軸とした改革のコンセプトは「武蔵小杉からの新たなステージ 付属校であることの可能性」で、伝統と蓄積と土台とした「共学化」を打ち出している。 学校名、校章、校歌などは変更せず、現行との継承性を意識したものとなっている。[同校発行リーフレットより]
改革の柱は法政二中高・学校改革特設サイトによれば
- 付属校ならではの豊かな「学び」
- 国際的視野の涵養と「国際化」の推進
- 暮らし・地域・学びを結んだ環境教育
- 武蔵小杉を法政の文化・スポーツの新たな創造の場へ
- 「法政」ならではの中高大の連携
- 地域と連携し、共に歩む学校づくり
新校舎の建設は、現在の敷地内でほぼ全面的に建て替える計画で、平成25年1月から本格的に始まっている。 仮設校舎をつくらず、建物ができ次第、順次供用を開始する形で建設を進める。
設置課程
- 普通科全日制
- 週6日制34単位
- 高等学校1・2年次は入学時に分けられる芸術選択クラス(美術クラス・音楽クラス)に分かれる。
- 高等学校3年次より生徒の進路選択により1・2年次の芸術選択クラスから法政文系クラス、法政理系クラス、センター試験クラス(2015年度廃止予定)に分かれる。
最寄駅
生徒会活動
中高共に生徒会活動が盛んであり、体育祭や学園祭である二高祭・二中文化祭の運営の中心となるばかりでなく、日常の学校生活においても主軸をなしている[8]。特に高校生徒会は様々な活動を行っており、それら活動は年度末に生徒会機関誌『法政二高』としてまとめられている[9]。また、活動は全て「方針」と「総括」によって目標の明確化とその見直しが毎年度行われている[10]。
- 二高祭・二中文化祭
毎年10,000人程度が来校し、国内でも有数の規模の来校者数を誇る[11]。クラスが主体になって行うクラス企画や、体育連盟や文化連盟の企画する催しが行われている。体育連盟は大体が公開練習や招待試合をしている。また、クラス企画は、毎年のテーマに従った審査基準による来校者と学内関係者の投票によって企画賞が各学年3クラスずつ選出される[12]。
地域との関わり
武蔵小杉駅からの通学路には法政通り商店街があり、学校側と商店街との定期的な懇談会が行われている。また吹奏楽部が元住吉側のブレーメン商店街のイベントで演奏するなど様々な交流が試みられている。
時計塔校舎
昭和11年に建設、現在は同中学において使用され、同校のシンボル的な存在ともなっている。
近隣地区においては慶應義塾高等学校の校舎と並ぶ歴史的な近代建築物であり、これを保存・存続しようという動きがある[13]。
しかし、平成28年年の男女共学化に向けて校舎を全面改築することが発表され、老朽化が進む現在の時計塔校舎は取り壊し、新しい時計塔を備えた新校舎の建築を予定しているという。[14]
海外研修
海外研修も盛んであり、法政二高および法政大学高等学校、法政大学女子高等学校の希望者たちが夏休みに2~3週間ほど行う。費用は40万程度だが大学から補助が出る場合もあり、比較的安く行くことができる。またニ中では、希望者だけ「ニュージーランド研修」を行う。
出身者
文化・芸能
- 長沢純 - 実業家、タレント(元スリーファンキーズリーダー)
- 岩合光昭 - 動物写真家
- 西岡徳馬 - 俳優
- 寺尾聰 - 中退、俳優・歌手
- 片寄明人 - ミュージシャン、音楽プロデューサー(GREAT3)
- 田辺誠一 - 俳優
- 横田順彌 - SF作家
- 平山夢明 - SF作家、ホラー小説作家
- Micro - ミュージシャン(Def Tech)
- 秦基博 - ミュージシャン
- 橋本テツヤ - 日比谷高から転入、フリーアナウンサー
- 東根作寿英 - 俳優
- 落合賢 - 中等部のみ、映画監督
- 井上倫宏 - 俳優 (演劇集団 円 所属)
- 猪野広樹 - 俳優
スポーツ
- 伊藤剛臣 - 神戸製鋼コベルコスティーラーズ)、元日本代表
- 中瀬真広 - 東京ガス、2002年アジア競技大会日本選抜主将
- 大久保直弥 - サントリーサンゴリアス)、ラグビー日本代表(二高時代はバレーボール選手)
- 赤沼源太 - トヨタ自動車ヴェルブリッツ、ラグビー日本代表
- 元バレーボール選手
- 斎田忠利 - 大映ユニオンズ、元パリーグ審判部長
- 中村忠男
- 小坂佳隆
- 小川博
- 河東真
- 幡野和男
- 的場裕剛
- 高井準一
- 柴田勲 - 読売ジャイアンツ
- 是久幸彦 - 東映フライヤーズ
- 村上雅則 - 中退、南海ホークス、日本人初のメジャーリーガー
- 畑口健二
- 村越稔
- 大谷幸弘
- 高田誠 - オリックス・ブルーウェーブ
- 呉俊宏
- 大島公一 オリックス・ブルーウェーブ
- 伊達昌司 北海道日本ハムファイターズ
- 福本誠 - 横浜ベイスターズ
- 下山学
- 佐々木高広
- 石丸秦輔
- 小池進
- 清水陽介- 第83回箱根駅伝法政大学で出場、4区10位
- 大森英一郎- 第84回箱根駅伝法政大学で出場、9区17位)
- 斎藤雄太郎- 第84回箱根駅伝法政大学で出場、3区17位)
- 山本直
- 橋爪秀卓
- 松田憲彦
- その他
その他
- 伊藤貞三 - 昭和天皇の侍医
- 西川清 - パーク24の創業者
- 西山俊太郎 - ヤナセ代表取締役社長
- 吉野英樹 - 元・株式会社GABA代表取締役会長。
- 広瀬伸一 - ラジオNIKKEIアナウンサー
- 川島壮雄 - 関西テレビアナウンサー
- 山本隆弥 - 読売テレビアナウンサー
- 平岩康佑 - ABCアナウンサー
- 金子達仁 - スポーツライター
- 戸塚啓 - スポーツライター
- 小松宏司 - NHKアナウンサー
- 山岸勝榮 - 英語学者、英和・和英辞典編纂者、明海大学外国語学部英米語科・同大学院応用言語学研究科教授
脚注及び参照
- ↑ 法政大学第二高校の学校情報(高校受験パスナビ)(旺文社)の「ワンポイント情報」の冒頭には「●内部進学生とは1年次から混合クラス。」と掲載されている。
- ↑ 法政二中高ホームページより
- ↑ 『平成18年法政大学第二中・高等学校入学案内パンフレット』p.17
- ↑ 前掲パンフレットp.16
- ↑ 法政二中高ホームページより
- ↑ 2012年5月28日神奈川新聞
- ↑ 法政二中高・学校改革特設サイト(2012年6月21日)
- ↑ 前掲パンフレットpp.8-9、pp.18-19
- ↑ 『法政二高』第74号p.242
- ↑ 法政二高同窓会ホームページより
- ↑ 法政二高同窓会ホームページより
- ↑ 『平成19年度二高祭パンフレット』p.63
- ↑ 2012年2月5日 東京新聞
- ↑ 2012年5月29日付け朝日新聞川崎版より
関連項目
- 法政大学
- 法政大学短期大学部:かつてキャンパスに隣接されていた
- 法政大学中学高等学校
- 法政大学女子高等学校
- 神奈川県中学校一覧
- 神奈川県高等学校一覧
- 法政通り商店街
外部リンク
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