エロ本
エロ本(エロほん)とは、成人向けの雑誌の中でも特に性的な娯楽要素を扱う分野の書籍および雑誌の俗称である。成人向け雑誌、H本(エッチぼん)、アダルト本、18禁本とも呼ばれる。
性的な娯楽要素としては、ポルノグラフィ文学や官能小説のような文章を主体としたもの、ヌードや着エロ、水着などでのセクシーなポーズ、性行為およびそれに関連する写真を主体とした「アダルト写真誌」、漫画を主体とした「アダルトコミック」などがあり、これらを総合的に含むものを古くは「ポルノ雑誌」、近年は「成人向け雑誌」、「アダルト雑誌」という。SM、ブルセラ、同性愛など、特定の分野を掘り下げた専門誌もありジャンルは様々である。21世紀に入りインターネット等の普及により紙媒体の需用は大幅に減少している。
書店で陳列の際に本の内容を立ち読みできないようにビニール袋に包装していることが多かったことから、かつては「ビニ本」(ビニール本)とも呼ばれた。
目次
概要
エロ本は俗語であり明確な定義は存在しないが、大まかにはエロチックな刺激を得られる書籍、雑誌を指す。「エロティックな本」、「エロい本」であるからエロ本である。一般の週刊誌であっても巻頭にヌードグラビアを掲載しているものもあり、また、その専門分野の情報を掘り下げた雑誌も多くあり、エロ本との呼称は読者側の主観的判断、価値観に基づくものである。
また、例えば創作作品のうち少女漫画ではティーンズラブという分野の登場と共に一般の漫画雑誌でも性描写を表現した作品が現れ始め、表紙からは一般書とエロ本とがほぼ区別できない状況でありその境界線はあいまいであるが、法律や条例、または自主規制により成人指定という形で18歳未満および高校生以下の児童・生徒へ販売が禁止されているものというのがひとつの定義となっている。また、いわゆるエロ本の出版社は大小多くの会社があり、出版社の出版傾向からもある程度の分類は可能である。 なお、エロ本は女性のヌード等を扱った書籍が多いことから主に男性のものとの認識も一般にはあるが、男性のモデルを起用した写真誌や女性の読者も古くから常に一定の割合で存在した。
販売場所
- 一般の書店
- 書籍であるから本屋で購入するのが普通である。書籍の内容によっては未成年者への販売・閲覧を禁じているものもあり、これらの書籍は特別なコーナー(18禁コーナー)と区別して置かれたり、ビニール包装を掛けられているものもある。また、それらの販売管理が煩雑になるため、当初からこの種の書籍を置かない書店や、繁華街の書店では需要に応じコーナーを充実させている販売店もある。
- 専門書店
- 成人向けの書籍に特化した品揃えをしている書店もあり、新刊の他月刊誌などのバックナンバーを中心に各種取り揃えて販売していることもある。月刊誌のため月が変わると新刊としての価値がなくなるので、定価より安く販売していることが多い。自費出版のエロ同人誌も販売している店舗もある。漫画などの創作作品についてはアニメショップのコミックコーナー、同人誌コーナーでも販売されている。同人誌については直近のコミケで発売されたものも多く取り寄せている。
- コンビニエンスストア
- コンビニエンスストアの雑誌コーナーでは一般の雑誌コーナーと並んで18禁コーナーが設置されており、いろんなジャンルのアダルト雑誌が販売されている。店舗によっては18禁の雑誌や18禁ではない制服系のグラビア誌を取り扱っていなかったり、コーナーを広げて充実させていたりすることもある。
- 通販
- インターネットの普及した今日では大抵の書籍が通販で購入可能となっている。通販での発売を前提に商品開発された通販限定の写真集やハウツー本などの書籍も存在している。
- 成人向け店舗
- アダルトグッズショップ、DVDショップに書籍コーナーを設けている店舗もある。一般の書店売りの書籍と比較して、ハウツー、SM、同性愛などの様々な書籍が充実されている傾向がある。
- 自販機
- 1970年代に自動販売機で販売されたエロ雑誌があり、これを自販機本(じはんきぼん)と称した。自販機本はおおむねB5版厚さ数ミリ程度のものであり、ヌードグラビアと記事から構成されていた。これらは書店の流通とは別の自販機用の流通に乗っていることが多く、一般の書店では扱われなかった。販売員と対面することなく買え、一般誌には登場しないマイナーなヌードモデルも多く、アンダーグラウンドな媒体ながら人気の書籍もあった。自販機での成人向けの出版物販売に対して地方自治体などが販売規制を強化したことにより、自販機本は販売縮小傾向に、衰退の道を辿った。なお、店頭売りの雑誌を単に自販機に入れて販売していることもあったが、これは自販機本とはいわない。
- その他
- エロ本の多くは18歳未満への販売が禁じられており、また、店舗での対面購入には抵抗のある者も多い。はじめてアダルト雑誌を入手・見る方法としては「親・親類などのものを盗み見る」「兄姉から貰う」「友人間での回し読み」などに加え、「捨てられているものを拾う」というのがポピュラーである。また、廃棄の際に親類等にバレないように家庭ごみとして捨てるのも難しく、ひとけのない場所に投棄する場合がままある。それをこれまた人目のない時に拾って帰る訳である。ただしエロ本の場合、単に不法投棄ではなく、その内容から迷惑防止条例にふれる可能性がある[1]。
コンテンツの種類・表現媒体
表現方法としては写真(グラビア)、イラスト、漫画、小説、解説文、手記などさまざまな体裁があり、雑誌の場合、それらがある程度組み合わされたものが多い。ヌードグラビアだけでなく近親相姦、同性愛、SMなど専門的な分野に特化した雑誌も多い。掲載モデルを中心としたアイドル誌的な側面と専門分野の情報誌といった側面もある。出版社によっては安作りや粗悪な作りが見えることがままあるが、こだわりとそれに伴う手の入り方を感じられる場合もある。
小説
小説はこの分野の中心的存在のひとつである。一般的には官能小説、ポルノ小説などと言われる。雑誌としては読み物系の成人向け雑誌に広く掲載され、一般誌にもそれに近いものが掲載される例がある。また文庫本でも多くの書籍が刊行されている。作家はポルノ系の専門の者から幅広いジャンルを手掛けている者まで多数いるが、近年はサブカルチャーと連動したライトノベル系の作品・作家も多く誕生している。
手記
一般人の体験手記という体裁の文章である。個人が体験したエロチックな事件のことを説明する、という形を取ったものであるが、基本的にはノンフィクションの形を取ってはいるがフィクションの可能性もある。単発読みきりの形だが月刊誌ではシリーズ化されていたりすることもある。 読み物系の成人雑誌の「潜入ルポ」などの特集として、あるいは読者の投稿記事として掲載されることが多かった。『禁じられた体験』の出版以降、それのみから構成された単行本が多数出版されるようになり、またこれを主力に置いた読み物系の雑誌も出てきた。平成に入ってからは、インターネット上の体験書き込み型の掲示板に由来する本も出ている。
情報
性風俗店の情報やアダルトビデオの新作情報といった、特定のコンテンツに関する情報に特化した雑誌も多くあり、専門の出版社もある。SMやゲイ向けの情報などの専門誌もある。 あるいは事件をルポ的な形で読ませ、その中にエロい展開が含まれるもの、芸能界の裏話としての猥談的読み物などもよくある。
知識としての情報
性的な事項に関する解説も重要な位置を占める。特にかつては現在ほど性知識が普及しておらず、学校での性教育もほとんど行われていなかったこともある。春画は性交に関する知識を直接に伝える役割も担っていた。同様に性交や性生活の知恵を説明する文章は初期の読み物では大きなウェイトをもっていた。より解説書的になったものでは「How to sex」なども有名である。近年ではファッション誌のコーナーの一つとして同年代のセックスライフの統計やラブホ情報、体の悩みや性に関する悩みのQ&Aがよく見られる。
イラスト
江戸時代以前から存在した春画に端を発するといえる。それに近い形態は現在ではイラスト系同人誌に見られる。一般的雑誌においては、古くは裸体画等はイラストであったが、主要なものでは次第に写真に置き換えられた。
普通はイラスト単体の書籍や雑誌はなく、多くの場合は口絵や挿絵の形で雑誌に挿入される。漫画雑誌でも、口絵にイラストが挿入される例は多く、特に美少女漫画誌では多かった。一般の成人雑誌やエロ劇画誌ではむしろヌードグラビアがこの枠を固める。ただ、SM雑誌ではイラストに凝る例が多く、口絵に数ページ以上のイラストが載るのが普通である。表紙もイラストによることが多く、専門とする絵師がいる。特に様式美にこだわる芸風だからであろう。
漫画
劇画風の絵で性的なことを表現した作品から始まり、性描写のある劇画作品を掲載している漫画雑誌も増加した。1980年代からは美少女キャラを使用したいわゆるエロ漫画も増え、美少女漫画雑誌やその単行本も多く発売された。その影響からか非エロの劇画にも美少女キャラが登場するようになった。一方、レディースコミックでも性描写のあるティーンズラブが登場し、一般の漫画とエロ漫画の垣根は限りなく曖昧となっている。
写真
写真はエロ本の中心的な表現方法だが、ヌード写真集は芸術として撮影される事が多い。男女の性行為の写真は、医学的・学術的なものもあるが、いわゆるエロ本としてのものが多数を占める。SMにおいては緊縛の写真なども同様である。どこまで見えても許されるかは国や時代によって大きく異なるが、日本では長らく陰毛が規制され、1991年以降はヘア解禁となったが、陰唇や陰茎は見えてはならない。出版物や映像作品では性器の部分にモザイク処理などの修正を施さなければならない。
- 少女ヌード写真集
- 18歳未満の少女のヌード写真集は1970年代からが盛んに流通していた。股を開いてあからさまに性器を見せない限りは無修正で通用した。1980年代後半から徐々に批判や自主規制の対象となり、日本では1999年11月1日に児童ポルノ法が施行されると流通からは姿を消した。
- 裏本
- かつて、性器や性交の写真が無修正で掲載された裏本と呼ばれる一般流通を通さない出版物が存在していた。現代では、無修正画像はインターネット経由で比較的自由に閲覧可能であるため、紙媒体の裏本は姿を消しつつある。
出版物の型
単行本・ムック
一冊の本の形で出版されるものには、小説、写真集がある。他に体験手記だけを集めたものがある。また、性に関する知識や技法をまとめ、紹介するタイプの本も多い。
- 文学作品
- 写真作品
- ヌード写真集
- 男女の性交あるいは性行為を主とした写真集
上記を組み合わせた形の季刊もしくは各月刊のムック本も多く発売されている。
雑誌
- 総合雑誌
- 成人向けの総合雑誌には社会的な情報を主に扱った一般誌があるが、その中にも官能小説などエロ本的コンテンツを含む場合がある。雑誌によってはその成分が随分多くて、エロ本と言った方がよい例がある。劇画系の漫画が載る例も多い。逆にヌード写真などを中心にしながらもより幅広い話題をも含むプレイボーイのような例もある。
- 女性向けでは芸能関係やファッションなどに多くの項を割きつつ性関係の知識など盛り込む雑誌がある。エロ本扱いはし難いものの、内容的には類似している。しかしながら、an・anではファッション誌としての体裁を保ちつつ、積極的にSEXに関する記事を組み、年一回のSEX特集では、男性俳優のヌードグラビアや袋とじやDVDを組むなどしている。ティーン向けの情報誌ではやはり性知識の普及を目指す内容が多い。これらには往々に読者の体験手記のコーナーがあり、前者のそれは体験手記型の単行本に、後者のそれはティーンズラブにつながった。
- 読み物系総合誌
- 本格的なエロ本の一つの典型である。普通はB5平綴じの厚手の雑誌である。普通は表紙の次にヌードグラビアがあり、それ以降は文章情報が中心となっている。内容としては小説、手記、情報などさまざまで、ギャグ漫画が少し入る。エロ全般を扱うのが多いが、毎回何かの特集(不倫、女子高生など)を組むのも目にする。特に実話系とでも言うか、表題に実話を含むものが多数あり、実在の事件をエロっぽく脚色したルポなどの記事が中心となっている。
- また、同様な体裁で近親相姦やハメ撮り、援交等特定の分野だけを扱う専門誌型のものもある。。
- 専門情報誌
- ある分野に関する情報を満載した雑誌。新作情報や人気投票、あるいは体験レポートなどが含まれる。AV、アイドル、SM、ブルセラ、ロリコン、同性愛、盗撮、投稿写真など特定の分野を掘り下げた雑誌。SM系の雑誌は普通は巻頭にイラストや写真が多く取り扱われ、内容は小説を主体に情報系の記事なども含む。漫画を含む場合もある。同様な総合誌の型はロリコン系やブルセラ系にもあったが、チャイルドポルノ写真の非合法化などによって衰退した。写真を中心とする雑誌。AV情報誌なども写真が多く、近年は付録のDVDを添付している雑誌もある。
- 風俗情報誌 - 性風俗店やその関連情報、風俗嬢に関するもの。
- AV情報誌 - アダルトビデオ、AV女優に関するもの。
- エロゲー情報誌 - アダルトゲーム(いわゆるエロゲ)に関する情報誌。
- 素人投稿雑誌 - 読者の撮影した写真を掲載する雑誌。性交や野外露出、女子高生の登校風景など。
- スワッピング雑誌 - 写真と自己紹介など、夫婦交換の相手を捜すための雑誌
- 童貞喪失雑誌 - 読者等から童貞を公募し、AV女優と性交させ童貞喪失を企画する雑誌
- マニア誌 - SM、スカトロ、臭いフェチなど読者の性的嗜好の特化した題材を扱う。この手の本の土台的存在。
- お菓子系雑誌 - 制服系ヌードを含むものから非18禁の制服系着エロや水着、ブルセラ、パンチラなど。アイドル雑誌としての側面も持つ。
- 同性愛雑誌 - ゲイ雑誌(サムソン・さぶ・薔薇族など)男色関連もの。
- 漫画雑誌
- 漫画を中心とする雑誌である。最初に出たのはエロ劇画誌で、劇画調のエロ漫画を中心に、巻頭にヌード写真、巻末にギャグマンガと言った構成が多い。たいていはA4中綴じである。1980年代からは美少女キャラを使用した美少女漫画誌が台頭した。今日ではいわゆるエロ漫画と一般の漫画の境界はあいまいとなってる。
- レディースコミック、ティーンズラブ。レディースコミックは少女マンガ誌と同じくA4平綴じが標準、ティーンズラブ誌は当初はより大判中の綴じから次第に少女マンガの型になった。
その他
- カレンダー、トレーディングカード
- 本ではないが、ヌード写真を使用したカレンダーやAV女優を起用したトレーディングカード等も出版物もしくは玩具として発売されている。
歴史
エロは人間の基本的な欲求のひとつであるから、それにかかわる歴史は古い。他方では正当なものと見なされない歴史も古い。例えば春画のように、日本でも古くからエロ本的な伝統は存在した。しかし現在の日本文化は明治時代で大きく区切られる。ちなみに枕絵のような多色刷木版の猥褻な絵は第二次大戦以前頃まで残ったらしい。その系列ではエロ写真のばら売りという形がある。
明治から戦前まで
現在のエロ本につながるようなものとしては、古くは1875年(明治8年)に『造化機論』が出る。これは西洋式の科学的な理論に基づいた性学書で、当時の一般人にはなじみのなかった精子と卵のことなども解説されていた。道徳的には保守的で、エロ本と言うにはやや上品であったようだが、男女の性器の図解等もあり、現在のエロ本のような関心で見られた面も強かったらしい。当時はこれに次いで類書が多数出版された。明治末から大正になると、その種の本も次第に娯楽的な彩りを持つようになった。大正期には雑誌『変態心理』『変態性欲』などが出て、変態性欲まで幅を持つようになった。昭和にはいると雑誌『グロテスク』や『猟奇画報』『世界猟奇全集』など、エログロ、特に猟奇という言葉で表されるような内容の書籍雑誌が多数出版された。ただし検閲などの統制下でもあり、それらは会員制等の下での限られた部数のものであった。しかし次第に自由な出版を弾圧する姿勢が強まり、1930年頃には表向きとしてはエロ本は全滅する。もちろん地下出版や非合法出版は多数あった模様であるが、それらについては詳しい記録が現存する [2]。
戦後復興期
第二次大戦の敗戦によって、それまでの統制からの解放と共に、一気に合法的エロ本が急増する。それらの雑誌は、粗悪な紙を使っていたことから当時の低品質の酒「カストリ」にちなんで「カストリ雑誌」と呼ばれた(呼称の由来には諸説あり)。それらは出来てはすぐにつぶれと出入りが激しく、その全体像は今も明らかではない。内容は雑多だが、戦前戦中の出版物を継ぎ接ぎした内容も多かった由。中でも戦前からの執筆陣を抱えた『猟奇』はその2号が戦後初めての発禁(猥褻物頒布違反)を受けた。同様の出版物は単行本にもあり、『カストリ本』と言われた。これも内容は戦前のものの焼き直しが中心であった。この時期の特筆すべきものとしてはヴァン・デ・ヴェルデの「完全なる結婚」が挙げられる。戦前に発禁になっていたものが、1946年に完訳本が出版された。これはハードカバーだったが、直後に別社より抄訳が出て、そちらはカストリ本であった。
カストリ雑誌そのもの3、4年でほぼ消えたが、それらは形を変え、いくつかの型に分かれて継承された。
- 夫婦雑誌 - 1949年にカストリ雑誌のひとつから名前を変えた『夫婦生活』は、夫婦での性生活をテーマにした。この雑誌はB6サイズで、当時、これをまねて夫婦の名を冠する小型誌が多数出版された。この雑誌自体は婦人雑誌関連の編集者によるもので、むしろリベラルな出版物という面もあったが、それ以外のものはよりエログロであった。
- 性文化誌的雑誌 - 『人間探求』『あまとりあ』など
- 実話・読み物系雑誌
- SM雑誌 - 1948年に出版された『奇譚クラブ』がその最初と言われる。その後『風俗奇譚』『裏窓』が出て、初期の三大SM誌と言われた。このころはSMだけでなく、同性愛なども同時に扱った。
昭和後期以降
社会が豊かになるにつれ、雑誌の質も向上し、昭和30年代半ばには多くの雑誌にも写真(グラビア)が多用されるようになった。
性知識に関するものでは1960年には『性生活の知恵』、1971年には奈良林祥の『HOW TO SEX』がある。
1964年には「平凡パンチ」が創刊、ヌードを多用した成年男子向けの雑誌であり、そのヒットから「週刊プレイボーイ」が出て、この両者は長く若者向けソフトエロ本としての地位を保ち続ける。「ポケットパンチOh!」(1968年)はロマンポルノの女優を中心にピンク映画情報などを扱った情報誌の走りで、類似誌が多数出た。またこれが後にAV情報誌に引き継がれる。1971年にはSM主体の雑誌から分かれるような形で「薔薇族」が創刊、続いていくつかの同性愛雑誌が出ている。また昭和40年代後半にスワッピング情報誌が創刊された。これには読者の写真が載ることが多く、読者投稿写真の走りの一つと見られる。
漫画では1970年代当初にエロ劇画が出現、1973年の「エロトピア」の創刊を皮切りにエロ劇画誌が続々と出て、一気にその市場を拡大した。やがて作品内に美少女が登場する美少女漫画も増加し、美少女漫画誌も多く発売されるようになった。また、パソコンの一般への普及率こそ高くなかったものの、アダルトゲーム(いわゆるエロゲ)を製作するサードパーティーも増え、アダルトゲームを中心に扱うパソコン雑誌も誕生した。
風俗情報誌は1980年代初頭に出現した。たとえば「ナイトタイムス」は元来は歌舞伎町のタウン誌であったが、風俗関連の情報誌として独立したものである。風俗嬢の顔が露出することで、後にその中からアイドル扱いされるものも現れ、フードル(風俗アイドル)と呼ばれるようになった。
また、性描写のある女性向けのレディースコミックも少女漫画を発行している出版社と同じ出版社から発行されるようになり、ティーンズラブは少女向け情報誌の別冊の形で生まれた。
参考文献
- 『性メディアの50年』(別冊宝島240号、1995年)、宝島社
- 『エロ本のほん』(ワニの穴3、1997年)、ワニマガジン社
脚注
関連項目
- 成人向け
- 裏本
- ビニ本
- 成人向け漫画
- ポルノ雑誌
- ヌード写真集
- エロティシズム
- エロティカ
- 黄表紙
- 春画
- ポルノグラフィ
- 官能小説
- 日本における検閲
- 谷村新司-日本屈指のエロ本コレクターである事を公言
- ↑ 妻の「処分して!」でAV不法投棄- MSN産経ニュース
- ↑ 内務省警保局図書課編「出版警察報」(月次報告書)、「出版警察概観」(年次報告書)、司法省思想局編「思想月報」など。