ギブソン・レスポール

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テンプレート:Redirect テンプレート:出典の明記 テンプレート:Infobox Guitar model レスポールレス・ポール・モデル(Les Paul Model)は、ギブソン1952年から製造・販売を行っているエレキギターフェンダーストラトキャスターと並び有名なモデルとされる。

現在テンプレート:いつ、公式に「レスポール」としてこのモデルを販売しているのはギブソンおよび子会社のエピフォンのみであるが、多数のメーカーでコピーモデルが販売されている。

アメリカ合衆国ギタリストレス・ポールのアーティスト・モデルであり、本来は「レス・ポール・モデル」と呼ばれるべきであるが、日本では「レスポール」と表記するのが正しいとされ、輸入代理店もこの表記をとっている。

概要

レスポールはギブソン社初のソリッドギターであり、前述の通りレス・ポールとの共同開発とされる、彼のシグネチャーモデルである。レスポールとして最も知られているのはスタンダード、カスタムの2種類であるが、その他にもスペシャル、ジュニア、デラックス、スタジオ、クラシックなど多くのモデルが存在する。

ファイル:Les Paul.jpg
レス・ポールと、本人愛用のレスポール・レコーディング

共同開発とは言え、実際の開発はギブソン社にて行われた(ポールの“ログ”は参考している)。ポールからの中間プロトタイプに対するアドバイスは、ゴールドカラーの採用(高級に見える)と、自身がパテントを持つトラピーズブリッジの採用という程度でしかなかった。ポールは表面のメイプルを分厚くするように要求したが、非常に重くなってしまうこととコストがかさむ事から却下された。

基本的なデザインは高フレット部が弾きやすいようにボディが削られたシングル・カッタウェイのアーチドトップ・ボディにフロントとリアのふたつのピックアップを搭載、ネックは仕込み角をつけたセットネックで、それぞれのピックアップ専用のボリューム、トーンコントロールが備わっている。

ピックアップ

ファイル:Les Paul Standard-Detail.jpg
スタンダード・モデルのフロントピックアップ周辺

当初、スタンダードには1952年から1956年までシングルコイルのソープバー、ドッグイヤーなどの異名をもつP-90タイプを、1954年から1956年製のカスタムにはフロントにP-90とは全く違う内部構造と長方形のポールピースを持つアルニコV、リアにソープバータイプのP-90という組み合わせで、ピックアップが搭載されていたが、レスポールが有名になったのはやはり1957年モデルから採用された「P-490」ピックアップが搭載された頃からである。

このピックアップはセス・ラヴァーの設計によるもので、シングルコイルを二つ並べたようなダブルコイル(いわゆるハムバッカー)となっており、コイル二つの巻く向きと磁極を逆にしてノイズをキャンセルする仕組みになっている。副作用としてシングルコイルよりは高域特性が悪く、しかも大きな音が出ることになったが、これがレスポールタイプのギターの魅力となっている。ちなみにこのハムバッカー構造を持つこのピックアップは特許出願され、そのことを示す「特許出願中(Patent Applied For)」のシールが貼られていたことからP.A.Fと呼ばれた。このP.A.Fピックアップはスタンダード・モデルとカスタム・モデルに採用されたが、廉価モデルであるジュニアとスペシャルにはP-90が搭載され続けた。

P.A.Fピックアップ製造開始当時のコイル巻線機には自動停止機構が無かったため、巻線数は設計値(5000ターン)より多めで、しかも個体差が大きい。また、経年変化により発生するボビンの「樹脂痩せ」と呼ばれる現象の結果コイル巻き線が製造当時より緩み、張力低下から巻線断面積や線間距離の増加を招いている。これによる浮遊容量増加がサウンドに大きな影響を与えている。 すなわち、オリジナルのP.A.Fピックアップの現在のサウンドは、製造時のばらつきによる初期個体差に加え、その後の経年変化が偶然影響を与えてしまった結果によるものであり、一つひとつが異なった個性を持っている。したがって、それを人為的に復刻することは難しい。

また、後年のハードロック全盛期に、ピックアップ出力の増大や、音色変更(高音域の感度向上)を狙いピックアップ表面の金属カバーを取り外すことが流行し始めたが、その時になって樹脂ボビンが黒でなく白い個体が存在することが判明した。元々白い樹脂材料に黒着色剤を混ぜてボビン成型をしていたが、ボビン納入メーカーで1958年途中から1960年暮れにかけてこの着色剤が不足したためである。替わりの着色剤としては、他の樹脂パーツと同じクリーム色が用いられた。固定ポールピース側の黒ボビンが先に不足したため、まずそちらが白い個体が出始めた。そのうちアジャスタブル側ポールピースの黒ボビンも無くなり両方白い個体になった。

両方黒いものは通称「レギュラー」、片側が白いものは通称「ゼブラ」、両方白いものは通称「ダブルホワイト」と呼ばれる。前記のいきさつにより、ほとんどのゼブラは固定ポールピース側ボビンが白いが、きわめてごく稀に逆のゼブラが存在することも知られている[1]。白いボビンが使用された時期はサンバーストカラーのレスポールの製造時期とほぼ重なり後期ほど白ボビンの混入確率が高いことになるが、レスポール以外のモデルにも使用された上、ピックアップ単体で交換可能なため、ダブルホワイトやゼブラが付いていることで知られる有名モデルでも最初から付いていたのか後年に移植されたのかを検証することは難しい。

ちなみにボビンの色がサウンドに影響することはない。

ブリッジ

ファイル:Tune-o-Matic LP1.jpg
チューン・O・マチック・ブリッジとストップ・テイルピースを組み合わせた現行のブリッジ周辺

レスポールのブリッジ部は、特殊な物をのぞき3種類の仕様が存在する。ブリッジの変遷に合わせてネックの仕込み角も変化している。

トラピーズ・ブリッジ
ポールの考案したブリッジ形式で(ポール自身がパテントを持っている)、金属のバーをブリッジ部としボディエンドで三角形に固定したものである。弦をブリッジ下から通さなければならないため、構造上ブリッジ・ミュートは不可能。
ストップ・テイルピース(スタッド・ブリッジ)
1953年後半から採用され、翌1954年発表のジュニア及び1955年発表のスペシャルにも搭載された。これは弦を固定する能力のみで、オクターブチューニングが不可能であった (6本の弦全てを正確なオクターブピッチが得られるようにチューニングするのは確かに難しいが、このタイプのテイルピースは両端のイモネジを前後させることにより、オクターブチューニング自体は可能である)。"ラップアラウンド・ブリッジ"、"バー・テイル/バー・ブリッジ" などの呼称もある。
チューン・O・マチック・ブリッジ&ストップ・テイルピース
ストップ・テイルピースにオクターブ調整用のブリッジ(ABR-1)を追加したもの。1954年に発表された上級機種のカスタムに搭載され、1955年後半から1958年前半のゴールドトップのレスポール及び1958年後半以降のスタンダードにも採用された。細かなオクターブ調整のほかに使用者の好みに合った弦のテンション(張力)微調整もできるようになり、現在も「定番」として使い続けられている。
チューン・O・マチック・ブリッジ本体にはバリエーションがあり、1956年~1959年仕様のリテナー・スプリングがない前期型ABR-1と、1960年仕様のリテナー・スプリングが装着された(弦が切れてもブリッジの駒が脱落しない)後期型ABR-1と、1970年代から採用されているナッシュビル・タイプの3種類が存在する。ちなみにナッシュビル・タイプは前期・後期ABR-1より可変範囲を稼ぐためにABR-1より幅が広くなっている他、前期・後期ABR-1ではブリッジの駒を逆向きに装着することができたがナッシュビル・タイプでは不可能となっている。
ロッキング・トーン・プロ・ブリッジ&ストップ・テイルピース
見た目はチューン・O・マチック・ブリッジ&ストップ・テイルピースと似ているが、ブリッジ、テイルピース共にいもねじが付けられている。弦交換などの際に弦を全て外しても、ブリッジとテイルピースが固定されるようになっている。2008年以降のレスポール・スタンダードに使用されている。

この他、特注モデルでは顧客の注文に応じてビグスビーの各種トレモロ・ユニットが最初から装着される場合もあった。後付け改造モデル特有の標準ブリッジ取り付け穴を埋めた痕跡が無いことで判別可能である。

スタンダード・モデルは、ボディのバックにマホガニー、トップにハード・ロック・メイプル(別名イースタン・メイプル)と言う2種類の木材を貼り合わせた独特の構造を持つ。メイプル材1/2インチ(12.5mm)とマホガニー材1+3/4インチ(44.5mm)の厚みのバランスはサステイン持続量から決定された。開発途中では更なるサステインを求めたレス・ポールより厚さのバランスを逆にする意見も出たが、重すぎるという理由でギブソン社に却下された。一方、ネックはマホガニーワンピースを基本としながら、材料歩留まりを考慮してヘッド部両端は別ピースが接着されている(通称「耳貼り」)。1976年からの再発モデルにはメイプルネックも一時期存在した。カスタム・モデルやジュニアモデルはマホガニーボディである。初期のゴールドトップモデルでは、表面のメイプル材はランダムな幅の2〜3ピースであったが、1958年のサンバースト塗装の適用に当たりバイオリン属のボディ裏面に見られるようなブックマッチの2ピースとされた。これにより、木目を美しい左右対称とし、シースルー塗装化の付加価値を高めることを狙った。

ブックマッチを採用するためにはゴールドトップモデルの倍の厚さのメイプル素材が必要となる。それまでは1/2インチ厚に仕上げるために5/8インチ厚の素材を使用していたため、その倍ならば5/4インチという、当時の製材規格外れの厚さになってしまった。これに近い規格製材厚は床材等に使用される4/4インチであったが、切り開き鋸引き代やその後のカンナ代を考慮すると厚さ不足となる。妥協しなかったギブソン社であったが、製材の引き受け業者が中々見つからず、材料入手の困難さに直面することとなった。このため、細々としか入荷しないメイプル材は廃材送りを極力抑制する必要があり、さまざまな工夫がなされた(ただしメイプル材自体が貴重になった現在とは異なり、5/4インチ厚の板材が入手困難なだけであった点に留意されたい)。

一例として、切り開いた片側の板材のみがシミ、割れ等で不適であった場合でも残った片側の板を保管しておき、色合いが似た材(カラーマッチと呼ばれる)または、木目が似た材(パターンマッチと呼ばれる)を選別して組み合わせて使用された。クレームになりやすい(人間が認識しやすい)のは色の違いであるため、カラーマッチの方が優先された。またブックマッチの場合には、切り開いた材を組み合わせる関係上、片側が木表、片側が木裏となるが(木裏の方が若干くすんだ色味になる)、カラーマッチやパターンマッチの場合には、両方の材を木表で揃える(フリッチマッチ)ことも配慮されたため、ブックマッチ材ではない個体の材を総称してフリッチマッチと呼ぶことが多い。

メイプル材にはフィギュア、もしくは杢(もく)と呼ばれる様々な美しい文様が発生しているものがある。そのような材を持つオリジナルモデルは現在では非常に高価に取引されている。しかし、発売当時は特に注目もされておらず、ギブソン社自体、売りにもしていなかった点が興味深い。これは、フリッチマッチの個体の片側の材のみに杢があるものが少なくないことでも裏付けられている(マッチングの要件として杢は対象外であったことになる)。杢の人気を決定づけたのは、生産打ち切り後10年以上経った70年代当時の雑誌において、まだ白黒が一般的であったミュージシャンのステージ写真に、半ば実物以上に強く写り込むことで広く認知されたためであり、その後、80年代には異常な人気を博すまでに至る。特にフレイムを始めとした特別な杢目を持った個体は、希少価値のある個体として高価なオリジナルモデルの中でも更に高値で取引されるようになり、現在国内で取引されるオリジナルの価格は2000万円を超えるまでになってしまった。オリジナルのレスポールに現れている杢としては、トラ目、もしくはフレイム(炎)、ピンストライプと呼ばれる縞模様系がほとんどであり、バーズアイやキルトと呼ばれるものはごく稀でしかない(これは、当時使用されていたハード・ロック・メイプル材の杢の傾向でもある)。

レスポール表面はバイオリン属のようなアーチドトップ形状に仕上げられているが、これはメイプル材を削り込んで成型されている。このため折角のブックマッチによる左右対称木目模様はボディセンター部を残して失われてしまう。対称模様の崩れを目立たなくするには柾目の材を選別使用すれば良いわけであるが、先に述べたような材料入手性の悪さからそのような贅沢は出来なかった。板目材のモデルではフリッチマッチとの判別が困難なほど左右の乱れが大きいものも珍しくない。もっとも、板目材も使用されていた別の理由として、マホガニーとのラミネート構造のおかげで板目材に起こりやすい反りの心配がなかったという点もある。

一方で杢の観点から見れば、柾目材の杢は比較的単純なピンストライプが多く、フレイムのような人気の高いものは板目と柾目の中間の板取をされた追柾目材であることがほとんどである。また、板目材では杢は現れないのが普通であるが、ごく稀に存在する板目の杢は非常に不規則かつ大胆であり、コレクターに珍重されている。このような杢の個体が存在することになったのも、メイプル材の「倹約励行」がもたらした偶然によるものである。現存するオリジナルレスポールにおけるメイプル材の柾目、追柾目、板目それぞれの存在割合は、一本の丸太を端からスライスして板取していったときに出来る割合とほぼ等しいと言われている。

ちなみに現在では、ヒストリック・コレクションなどの高級モデルには、美しい杢材の入手性が比較的容易なソフト・メイプル(別名ウエスタン・メイプル)が使われている。これはハード・メイプルよりも軽く、軟らかい材なので音色にも影響を与える。

塗装

ファイル:Steve Hackett 1977.jpg
ゴールドトップのレスポールを弾くスティーヴ・ハケット

1952年の発売開始から1957年の中盤までゴールド・トップと呼ばれる金色のメタリック塗装を施されていたが、1958年後期から1960年にかけてはそれまでのソリッドカラーとは一線を画すサンバースト塗装と呼ばれるシースルーフィニッシュが施され、ボディ表面に使用されているハード・ロック・メイプルの木目が見えるようになった。

サンバースト塗装を略してバースト塗装、もしくは単にバーストと呼ぶ場合もあるが、1958年 - 1960年のオリジナルレスポールスタンダードを指す愛称もバーストと呼ばれる。

スタンダードモデルの当初のサンバーストカラーは、下地として黄色塗装したボディに、アメリカンチェリーのような赤紫が、外縁から中央にかけて薄くなっていくグラデーションを掛けたものであった。チェリーレッド塗装範囲は広く、ブックマッチの左右対称木目模様が崩れる部分をほとんど塗りつぶし目立たなくするよう工夫されていた。

下地の黄色は顔料系でありながら、木目を隠さない透過性を持つものが選ばれた。その上に塗られたチェリーレッドは、染料系の赤色と微量の濃紺色のブレンド塗料であったが、一般的な染料系塗料の例に漏れず、経年変化により褪色した。特に目立つわけでも無く注目もされていなかった杢が、褪色により美しく浮き出して見えるようになったのは、偶然の自然現象の積み重ねの結果によるものであった。

チェリーレッド塗膜の中では、特に赤色成分の褪色が早く、遅れて褪色する紺色成分や褪色しない下地の黄色層とのカラーバランスが変化して、表面ラッカー塗装の色焼けも加わり、紅茶のような茶色に見える変色をする場合が多かった(通称ティーバースト)。さらに褪色が進むと紺色成分も褪せていき、バースト塗装が辛うじて残っている状態(通称ハニーバースト)を経由して、最終的にはバースト塗装は完全に褪色する。この場合、顔料系であるため全く褪色しない下地の黄色層とアメ色に色焼けしたラッカー層の色のみが残ったオレンジ色(通称レモンドロップ)の状態に落ち着く。褪色のコンディションによっては、ティーバースト段階の後に、ごく稀に、赤色成分のみが先に完全に褪色することで外縁部が緑に見える通称グリーンバーストと呼ばれる状態になることもある。一方、メイプル材をブックマッチに切り開いた際、面の端の方にシミなどがあった場合、それがボデー外縁部になるようにブックマッチした上で、シミが目立たなくなるように通常のチェリーレッドよりも紺色成分を多くした暗い色を濃く塗装して誤魔化したモデルもあった(材の項目にある通り、メイプル材の廃材化を極力減らす必要があったからである)。これは、その後の褪色で外縁部が通称ダークバーストやタバコバーストと呼ばれる焦げ茶色となり、中には隠そうとしたシミが褪色で再び透けて見えるモデルも存在する。

このチェリーレッドの褪色は販売後1年程度という早い段階から発生し始め顧客からのクレームにもなったため、1960年のモデル末期にはチェリー塗装も褪色しない顔料系に変更された。顔料系では塗料を混ぜるほど色が濁ってしまうため、単色の赤が選ばれた。顔料系ながら下地層の黄色同様に透過性があるため、若干オレンジがかって見える。これは今では通称60年チェリー、もしくはタンジェリンレッドと呼ばれ、現在でもほとんど褪色していない。1960年モデルはネックが薄くなったことでサウンド的にも59年までのモデルと異なるため、カラー、サウンドとも人気は低めであり、レプリカ対象とされることは少ない。(それでもオリジナルの1960年モデルであれば超高額であることに変わりはない。)

表面ラッカー層は登場から現在まで一貫してニトロセルロースが使われている。経年変化については、一般的な「色焼け」と呼ばれる現象の他に、使用環境や保管環境が過酷であった場合、ニトロセルロースラッカー特有の現象である塗膜の細かなひび割れ(ウエザーチェック)が発生しているものがある。

この他、当時からカスタム・モデルとして、白や黒のソリッドカラー、もしくはチェリーレッド単色のモデルが製作された。また近年のシグネチャーモデルでは、演奏家の趣味に合わせた様々な塗装が採用されている。

一方、ボディ裏面やネックといったマホガニー材部分は、赤系の目止めを施した後に、表面と同じ染料系チェリーレッド塗装が施されている。こちらも経年変化により褪色し、茶色みを帯びた後に完全に消え、マホガニー材の材色に戻ってしまう。ただしマホガニー材自体が赤いため表面ほど褪色度合は目立たない。オリジナルモデルの裏面で興味の対象とされるのは、褪色ではなくベルトバックル傷と呼ばれる塗装の剥がれ位置である。ギターを高い位置に構えるジャズ系ミュージシャンのステージが主な活躍舞台であった場合、バックル傷は高音弦側になり、ハードロック系のそれはギターを低い位置に構えた結果、低音弦側の、それもボディ端になるといった具合に、そのギターが辿ってきた歴史が文字通り「刻まれて」いることが多い。

レスポールの受容史

オリジナル・レスポールの登場から生産中止

前述のように、レスポールは1952年に登場し、ブリッジ及びピックアップ、塗装の仕様変更を経て、1958年にその仕様が完成されている。この1958 - 1960年製のサンバースト・モデルは現在では、エレクトリック・ギターの中でも最も高額で取引されている個体群であるが、まだロックンロールが誕生して間もなかった発売当時の音楽シーンにおいては、サウンドにパワーがありすぎコントロールしづらく、重量も重いということで、一般的な人気を得るには至らなかった。安価に提供するために様々な工夫がなされたフェンダー製品に対し、手の込んだ造りの高級路線で差別化を図ったため、高価だった。結局、このオリジナルのサンバースト仕様は約1,400本製作された程度で製造中止となっている。[2]

SGシェイプへのモデルチェンジ

売上不振により、ギブソンは 1960年にはレスポール・シェイプのギターの生産をすべて中止した。翌1961年、軽快な音色を追求したオールマホガニータイプのSGシェイプにフルモデルチェンジし、これを「レス・ポール・モデル」として販売したが、ポール本人はこれに納得せず、彼との契約は打ち切られた。この結果、「レス・ポール・モデル」と呼ばれる製品は販売終了となった。

エリック・クラプトンによる再評価

レスポールを一躍有名にしたのは、エリック・クラプトンである。ブルースブレイカーズのアルバム「ブルースブレイカーズ・フィーチャリング・エリック・クラプトン」にゲスト参加した曲で聴ける、レスポールとマーシャルアンプの組み合わせによるディストーション・サウンドは「極上のサウンド」と絶賛された。そして、その組み合わせはそれ以後のブルース・ロックハードロックサウンドに不可欠なものとなった[3]。この時期、ピーター・グリーンやマイク・ブルームフィールド、ミック・テイラーキース・リチャーズなどが、相次いでレスポールを使い始めた。

ロック・ギタリスト達による再評価を受けて、レスポールの需要が再び高まると、ギブソンはポールと再契約の上、1968年にスタンダード、カスタムの両モデルを再発した。[4]しかし1969年以降、「デラックス」や「プロフェッショナル」「レコーディング」などの新しいシリーズを発売したものの、SGモデルが定着した以外は商業的には不成功に終わっている。

ジミー・ペイジ登場によるレスポール人気

ファイル:Led Zeppelin 2007.jpg
レッド・ツェッペリンでレスポールを弾くジミー・ペイジ

1970年代に入るとレッド・ツェッペリンジミー・ペイジが登場し、レスポールの人気をさらに高めた。長いストラップで腰よりも低い位置で、58年製のオールド・レスポールを弾く姿は、当時のギターキッズたちに「レスポールは低い位置で弾くもの」という流行を生んだ。[5]他にもポール・コゾフやピーター・グリーン、ミック・ロンソン、ミック・テイラー、ディッキー・ベッツなどの名立たるギタリスト達がレスポールを愛用した。

スラッシュの登場により人気再燃

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レスポール人気復活の立役者となったスラッシュ

1970年代後半のフュージョン・ブーム、さらに1980年代LAメタルシーンなどではトレモロ・ユニットを搭載したストラトキャスター・タイプのギターが席巻し、レスポールはほとんどみられなかったが[6]、1980年代後半に入って、ガンズ・アンド・ローゼズスラッシュがレスポールらしい艶やかな音色とワイルドなプレイによって、レスポール人気は再熱する。

ギブソン・カスタムショップの設置

1950年代末のオリジナルのサンバースト仕様とはかなり異なる仕様で生産されていた、1970年代のレスポールであるが、1980年にはオリジナルのサンバースト仕様に相当程度近づけた「80」や「エリート80」などの高級モデルが登場。

1980年代中期になると、スタンダード・モデルがやはりオリジナルのサンバースト仕様に近い仕様となった。また1990年代に入ると、ギブソン社内に設置された高級品専門工房「カスタムショップ」製作による、よりオリジナルのサンバースト仕様に近いシリーズ「ヒストリック・コレクション」の生産が始まった。

また、元々ポールのシグネチャーモデルであるレスポールだが、あくまでもレスポールの”バリエーション”として、ポール以外のギタリストのモデルも販売されるようになった。

様々なバリエーション

ファイル:Gibson 59LesPaulJrDC TV.jpg
1959年製ダブルカッタウェイのレスポール・ジュニア。この色(TVイエロー)のモデルは"TVモデル"の別名を持つ。
ファイル:Cuerpo de Epiphone Les Paul Special-II HS.jpg
エピフォン製レスポール・スペシャルIIのボディ。
ファイル:Gibson Les Paul Studio c.jpg
レスポール・スタジオ
ファイル:Zakk Wylde 1106.JPG
ザック・ワイルド モデル
ファイル:Clavijero Epiphone.jpg
エピフォン製レスポールのヘッドストック
レスポール・ゴールドトップ (Les Paul Goldtop)
初めてレスポールが誕生した1952年から1957年までに生産されたモデル。名称の通り、ボディトップのメイプル材に金色の塗装(ゴールド・フィニッシュ)が施されている。ブリッジとテイルピースは1952年製モデルにはトラピーズ・ブリッジが採用されたが、1954年製モデルはスタッド・ブリッジ(ストップ・テイルピース)、1956年以降のモデルはストップ・テイルピースとチューン・O・マチック・ブリッジへと変更されている。ピックアップは1956年製モデルまではP-90が採用され続けていたが、1957年製モデルはP.A.Fハムバッキング)に変更された。
1958年のモデルからは、ボディトップの塗装にサンバースト・フィニッシュが施されたモデルが登場したため、レスポール・スタンダードへと名称が変更されることとなった。
現在、これらのモデルはヒストリック・コレクション・シリーズとして、カスタムショップで再生産されている。
レスポール・スタンダード (Les Paul Standard)
1958年よりサンバースト・フィニッシュ塗装が施されたモデルからこの名称となった。1959年製モデルは、フレットに従来のものより幅広の「ジャンボ・フレット」が採用された。1960年製モデルは、塗装が色抜けの少ないものになり、ネックはこれまでよりも薄い「スリム・テーパード・ネック」が採用され、コントロール・ノブも仕様が変更された。これらのモデルもゴールドトップ同様、ヒストリック・コレクション・シリーズとして、カスタムショップで再生産されている。
2008年生産モデルより、以下の部分の仕様が大きく変更された。
  • ゴトーのクルーソン・コピーだったペグからグローバー製のロック式ペグに変更、チューニングの狂いが減少。
  • ボディ裏のパネルがシースルー化、内部構造が見えるようになった。
  • ボディはソリッド構造(軽量化ホールあり)から、マホガニーの一部がくり抜かれたチェンバード構造(セミホロウ構造)となり、従来のモデルよりも軽量化。(この加工は2006年後半から2008年までに生産されたスタンダードにも施されている)
  • ネックは新開発のロングテノン・ネックを採用し、ボディのフロントピックアップ中央付近まで差し込まれたディープ・ジョイントにより、サステインが向上。
  • ネックシェイプはネックの裏側の頂点を6弦側に少しずらしたアシンメトリカル(左右非対称)ネックを採用した。6弦側を厚く、1弦側を薄くすることで握りやすさと弦の押さえやすさが向上。
  • ピックアップはハムバッカーよりも出力の高い「バーストバッカー・プロ」を搭載。
  • ブリッジとテールピースはナッシュビルTOMのチューン・O・マチックから、トーンプロス社のロッキング・トーン・プロに変更、弦交換の際に外れて脱落するのを防止。
  • ストラップ・ピンはダンロップ製のロックピンに変更。
  • ジャックはノイトリック・ジャックを採用、シールドを差し込むとロックされて抜けるのを防止。
サウンド面に関しては、従来のスタンダードや同時期に生産されたトラディジョナルより高域が強調されている。
2012年生産モデルより、以下の部分の仕様が変更された。
  • コイルタップ機能が従来のモデルより向上され、よりシングルコイルに近いトーンが出せるようになった。
  • ネックは2008年モデルと同じアシンメトリカルネックが採用されたが、2008年モデルよりも薄くなった。
  • 指板が、丸みのあるローポジションからハイポジションにかけて徐々に平らになっていく「コンパウンド・ラディアス」を採用。
  • ボディは、トラディジョナルや2008年モデルとは異なる、モダン ウェイト・リリーフと呼ばれる加工が施された。重さ・音域共にトラディショナルと2008年モデルの中間となっている。
  • ピックアップのバーストバッカー・プロが改良され、コイルタップ機能が使用可能となった。
  • アウトプット・ジャックがトラディショナルと同じメタルプレートになった。
レスポール・カスタム (Les Paul Custom)

テンプレート:Main

レスポール・ジュニア (Les Paul Junior)
1954年頃、レスポールの廉価モデルとして発売される。
モデル名に"レスポール"があり、ボディ・シェイプも他のレスポールと同様であるにもかかわらず、ジュニア(スペシャル含む)の開発にレス・ポールは関与していない。
スタンダードやカスタムはボディ表面がなだらかに盛り上がったアーチ・トップだが、ジュニアでは平らなフラット・トップとなっていて、スタンダードやカスタムと比較すると軽めで扱いやすく、弾き歌いをする者に好まれる。
ピックアップはドッグイヤーのP-90が1つのみでコントロールもトーンとボリュームだけである。ポジション・マークはドット。プラスチックノブのクルーソン製3連ペグでGibsonロゴもデカールと徹底したコストダウンが図られている。
ジュニア、スペシャルの代表的なカラーであるライムド・マホガニー(通称・TVイエロー)は、発売当時白黒だったテレビ画面でも映えるため付けられた呼称である。他にサンバースト、レッドといったボディ色が有名。
1958年頃にシングルカッタウェイからダブルカッタウェイに変更される。
1960年にはレスポールが生産中止となり、ジュニアも製造が中止され、そのままSGスタイルへと移行する。
メイプルトップ、マホガニーバックのスタンダード・モデルとは異なりボディはマホガニーのみであり、P-90を搭載したことにより得られる独特な音が評価され、ヴィンテージ市場でも高値で取引されている。1970年代以降には再生産が行われ、近年はカスタムショップでも製作している。
レスポール・スペシャル (Les Paul Special)
1955年頃、レスポール・ジュニアの2PUモデルとして発売される。
ピックアップはソープバーのP-90が2基搭載されている。ボディはジュニア同様のフラットトップのマホガニーでポジションマークもドットであるが、ジュニアよりも若干の高級機種としてラインナップされ、Gibsonロゴもパールタイプである。セレクター、2ボリューム、2トーンを装備し、操作機能、見た目ともにスタンダードやカスタムに準じている。
1958年頃にシングルカッタウェイからダブルカッタウェイに変更されるが、初期はフロントピックアップがそれまでと同じ指板エンド付近に設置されていたが、ネックジョイントの問題からか間もなくキャビティ位置がブリッジ寄りに移動し、現在でもよく目にするスタイルとなる。
それによりサウンドが変化したためか、他のレスポールモデルに先駆けて1959年頃に SG Special という名前に変更がなされている。
1970年代より再生産され、1990年代よりP-100搭載・チューンOマチック仕様になった。
2000年代よりカスタムショップよりヒストリックコレクションとしてパールロゴ、プラスチックノブの3連ペグ、スタッド・ブリッジ(ストップ・テイルピース)仕様で発売されている。前述のとおりシングルカッタウェイの元モデルは1955年から1957年までの製造であるが、ヒストリックコレクションでは「1960モデル」とされ、シリアルも『0-』から始まる番号帯となっている。
レスポール・デラックス (Les Paul Deluxe)
1968年の生産再開時に登場。P-90ピックアップ用のザグリに、無改造で装着出来る小型のハムバッカー・ピックアップ(エピフォン製)を搭載。1969年には「パンケーキ・ボディ」と呼ばれる特殊なボディ[7]を持つモデルも発売された。1980年に生産中止。
レスポール・パーソナル / プロフェッショナル (Les Paul Personal / Professional)
69年に発表。ピックアップがロー・インピーダンスピックアップが搭載されている。さまざまな音を出せるような特殊なサーキット構造を持っている。レスポール・プロフェッショナルと同仕様である。
レスポール・レコーディング
1971年に発売されたプロフェッショナルの上位機種でレスポールの最上機種であった。プロフェッショナルと同じロー・インピーダンス搭載だが、インピーダンスを変換する回路が組まれており、通常のセッティングでも演奏することができる。バリトーン・スイッチ、フェイズ・スイッチ、プリセット・トーンも搭載されており、様々なサウンドを奏でることができる。グローバー・チューナー、トラベラー・ブリッジを標準搭載。1980年に生産終了したが、レス・ポールは生産終了後もこのモデルにマルチ・トラック装置を取り付けたものを好んで使用していた。
レスポール・アーティスト (Les Paul Artist)
79年に発表。ギブソン・RDアーティストに搭載されていた多彩なサウンド・バリエーションを誇るサーキットをレスポールに移植し、マッチングさせたもの。好評価を得られず、1982年に生産中止となる。
ザ・ポール (The Paul)
1978年から1982年までラインナップされていた製品。バインティングが入っていないのだが、ネックとボディは高級なウォルナット材、指板はエボニー材を使用している。
ザ・レスポール (The Les Paul)
トラスロッド・カバー、ボリューム/トーン・ノブやエスカッション類など、プラスチックで作られる部品を、全てローズ・ウッド材で成型されている高級モデル。指板は、ローズ・ウッド材を左右エボニー材から挟んだ、サンドイッチ構造となっている。
レスポール・クラシック (Les Paul Classic)
1991年に生産が開始されたレスポール・スタンダード1960年モデルのリイシュー。ピックガードに1960と刻印が入っている。1960年製オリジナルとはかなり異なっている。
レスポール・スタジオ (Les Paul Studio)
スタンダードモデルからバインディングを省略し、コストパフォーマンスに優れたモデル。
材・電装はスタンダードモデルに準ずるが、オールメイプル仕様の"Raw Power"モデル、オールマホガニー仕様の"Japan Limited Run"モデルなどのバリエーションがある。
レスポール・トラディショナル (Les Paul Traditional)
2008年にスタンダードモデルが仕様変更されたため、これまでのスタンダードの仕様で発売された。名称の通りスタンダードモデルの伝統的な仕様で、80年代から90年代にかけて製造されたスタンダードの作りが継承されている。従来のスタンダード同様ボディのマホガニー部にウェイト・リリーフ・ホールと呼ばれる9つの穴が空けられており、軽量化を計っている。
オービル製レスポール
ギブソン社のライセンス供与を受けて、日本国内で製造販売されたモデル。デザインは、「スタンダード」「カスタム」「ジュニア」など、ギブソン社のものに準じており、フジゲンマツモク工業などが生産を担当していた。
エピフォン製レスポール
オービルの製造販売が終了した後、レスポールの廉価版として、資本関係があるエピフォン社により製造販売されているもの。2008年まで、フジゲン・寺田楽器製作所が生産を担当していたモデルも存在したが、現在は中国韓国での製造モデルのみを販売。日本製造モデルを除いて、ヘッドがオリジナルよりも角の部分が膨らんだ形状をしており、容易に見分けられる。
ロボット・ギター
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2007年12月から生産されている仕様。ドイツのTronical社開発の自動チューニングシステム「Powertune」を、レスポール・スタジオに搭載したモデル。ブリッジに、各弦の音高を測定するセンサーが入っており、またペグにはモーターが付加されている。センサーで拾われた各弦の音高はギター内部のCPUに転送され、更にCPUが電動ペグをコントロールしてチューニングを調節する。CPUからペグへの信号と電源の供給は弦を利用している。チューニングには6種類のプリセットが設定されている(基本的なチューニングの他、自分の好みのチューニングを設定できる)。カラーは幾つかあるが、どれもシルバーバースト・カラーである。ギブソン社初採用のカラーで、今後も他の機種に使用されることはない。
シグネチャーモデル
カスタム・ショップ製シグネチャーモデル
また、厳密なシグネチャーではないものの、奥田民生が使用しているレスポール・スペシャル(P-90ピックアップ、ビグスビー、TVホワイト・フィニッシュ)を忠実に再現したカスタムショップ製作の「Gibson Custom Shop The INSPIRED BY Series Okuda Tamio Les Paul OT Special」が100本限定で製造・販売された(2008年8月1日現在。奥田民生公式ホームページにて)。

コピー・モデル

レス・ポール・モデルはグレコトーカイESPヘリテージギターズ[8]フェルナンデス(バーニー・ブランド)など、様々な会社によりコピー・モデルが製造されている。これらのうちグレコ、トーカイなどが1970年代に製造したコピー・モデルは、現在日本では関連書籍が発行された影響で「ジャパン・ヴィンテージ」(和製英語)と呼ばれ、比較的高額で取引されている。日本国内の訴訟では、ギブソン社が長い間コピーモデルの生産を黙認してきたとされ、ギブソン社の敗訴となった。(東京高裁 平成10年(ネ)第2942号。平成12年2月24日判決言渡[9])

また、厳密なコピー・モデルではないものの、レスポールと形が似通ったポール・リード・スミスのシングルカットに対し、ギブソン社は訴訟を起こした。ギブソン側の主張によると「スモークがたかれたステージでは両者のギターは区別がつかず、消費者が混同し、間違って買ってしまう」とのことであった。 2004年には連邦地裁により、製造、販売差止めの処分がくだされたが、2005年、第2審である第6合衆国連邦巡回区控訴裁判所では一審判決が破棄され、ギブソンの訴訟は棄却された。[10][11]ギブソンは控訴したが、2006年、合衆国最高裁判所への上告は棄却されギブソンの敗訴が確定した。[12]判決では「両者のギターを混同するのはアホだけである(only an idiot would confuse the two.)」と読み上げられた。

コピーモデルでは如何にオールドモデルの褪色具合を再現するかに大きな努力が払われてきたと言える。以前は似たような色に調合するしか手がなかったが、現在ではオールドモデルの新品当時の調合で塗装した後、温度、湿度や光をコントロール出来る塗装劣化促進設備で様々な褪色やウェザーチェックまでもを再現出来るようになった。 しかし、木材そのものの経時固化による音の「枯れ具合」までは再現出来ていないため、「外見は古いが鳴りは若い」という楽器としては歪(いびつ)な状態と言えなくもない。近年、木材を高温高圧で固化させることで数百年相当までものエイジングを再現出来る技術もヤマハから出てきてはいるが、パテントの関係や設備が非常に高価なため、オールドレスポールレプリカへの採用はまだ無い。

取り扱い上の注意点

ギブソンの楽器は塗装にニトロセルロースラッカーを使用しているため、ギタースタンドのゴム製の緩衝材や、革製のギターストラップ等に長時間触れていると、塗装面がただれることがある。また汗や汚れも変質の原因となるため、演奏後は汚れを拭いてストラップを外して保管することが好ましい。

レスポールは、ジュニアやスペシャルなどを除き概して重く、角度のついたヘッドからスタンドに倒しただけでもナットの少し上あたりからネックが壊れることがある。これはネックが1本の木材から成形されているため、木目が角度のついたヘッド部分で変わってしまい、強度的にもろくなってしまうためである。

一部の他社のコピーモデルや廉価なレスポールタイプはネックがスカーフジョイントになっているため、この問題をある程度解決しているとされる場合もあるが、これは木材の節約が主な目的である。経年でヘッドが下へ曲がり落ちやすいのも弱点である。リペアを必要とする事故はこの機種が一番多い。

脚注

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文献

ロブ・ローレンス『レスポール大名鑑1915~1963 写真でたどるギブソン・ギター開発全史』(ブルース・インターアクションズ、2011年)ISBN 978-4-86020-390-0

関連項目

外部リンク

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  1. レギュラーとダブルホワイトを用意して片側のボビン(コイル)同士を入れ替えれば、通常のゼブラと「逆ゼブラ」を作ることが可能であるため、オリジナルではなく後世の改作である可能性も残る。
  2. ただし、これに対しては別な意見も存在する。バーストの生産時期はモデル末期にあたり既に目新しさは無く売れ行きは減少して当然であり、ゴールド・トップからサンバーストへの変更もこのてこ入れのためになされた (ちなみに、1954年以降はジュニア/カスタム/スペシャルとレスポールのバリエーションが増えており、シリーズ全体としての生産本数は増加している。更に、オリジナルのサンバーストも年間600本程度は生産されており、J-200 等これよりも生産本数の少ない機種は他のアコースティックギターやフルアコにも存在する。よって、今日程の人気/評価がなかったのは事実としても、生産中止にしなければいけない程の不人気機種とは言い難い)。また、フェンダーに対抗し、既存ユーザーの抵抗を減らす意図でも採用されたシングルカッタウェイのシェイプが古臭く感じられていた(ギブソンのデザインは古いという批判に対抗して58年にコリーナシリーズがデザインされたのは有名)。メイプル・トップ、マホガニー・バックという2つの木材を合わせて製作されるため、工程が複雑化しコストと手間がかかったので、これらの解決のためマホガニー1ピースのSGに切り替えた、などとも言われている。オールドの重量は4kg前後と必ずしも重くないこと、PAFはレスポール以前、以後も多くのモデルで使われていることから、ここで書かれている生産中止の理由は後付と考えられる。
  3. クラプトンが使用していたレスポールは、ボディ上面の杢が虎の背中の模様のように美しいオールド・レスポールであった。その後クラプトンはレスポール・カスタムを使用するが、クリーム時代にはSGを愛用し、それ以後はメインで使用するギターをフェンダーストラトキャスターへと切りかえ、レスポールをステージで使用することは無くなった。
  4. 現在は、これらもコレクターズ・アイテムとして評価されている。
  5. もっとも、ジミー・ペイジ自身は、以前メインに使用していたテレキャスターの代わりになるギターという認識で使用していたらしく、彼の58年製レスポールのネックは、テレキャスターに近いシェイプに削られているという。
  6. メイプルネックを採用するなど、それ以前のレスポールと仕様が異なる1970年代のレスポール自体あまり評価が高くなかったことも、この時期レスポールの人気が落ち込んだ原因の1つではないかとの指摘もある。ちなみに、近年1970年代のレスポールはザック・ワイルドなど多くのギタリストが使用し、再評価されてきている。
  7. メイプル材を上下からホンジュラス・マホガニー材で挟む構造
  8. ヘリテージギターズは1984年に閉鎖されたギブソン社のカラマズー工場に勤務していた職人たちが設立した会社であり、その製品の品質は高い評価を受けている。またゲイリー・ムーアなど著名なレス・ポール・モデルのユーザーのシグネチャーを生産している。
  9. 希釈化により出所表示機能が消滅したとされた事例 - 鈴木正次特許事務所サイト内
  10. Gibson lawsuit ends with PRS victory
  11. En banc rehearing denied by Gibson Guitar Corp. v. Paul Reed Smith Guitars, Ltd. P'ship , 2005 US App.
  12. Certiori denied by Gibson Guitar Corp. v. Paul Reed Smith Guitars, LP, 126 S. Ct. 2355 (June 5, 2006)