危険物取扱者
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危険物取扱者(きけんぶつとりあつかいしゃ、Hazardous Materials Engineer[1][2]、Hazardous Materials Officerテンプレート:要出典、Hazardous Materials Handlerテンプレート:要出典)は、消防法に基づく危険物を取り扱ったり、その取扱いに立ち会うために必要となる日本の国家資格である。また、一般にこの資格を持つ者のことも「危険物取扱者」と呼ぶ。
日本以外の多くの国にも、同様の制度・資格・規制が存在する。
本項目では日本の制度について記述する。
目次
概要
消防法及びその下位法令では、火災の危険性が高い物質をひっくるめて「危険物」として指定されている。[3](詳細は危険物を参照されたい。)この資格を持つ者は、その取り扱いを行うことができる。
危険物取扱者の資格保有を証明するため都道府県知事から「危険物取扱者免状」が交付される。資格取得のための試験は、原則として都道府県知事が行うことになっているが、総務大臣の指定する者に行わせることもできるとされている(都道府県知事が指定試験機関に試験を行わせる場合、当該都道府県において知事による試験は行われない)。現在、すべての都道府県で指定試験機関の一般財団法人消防試験研究センターが試験を行っている。
分類
- 甲種(第1類〜第6類の全ての種類の危険物の取扱いと立会いができる)
- 乙種(第1類〜第6類のうち自分が免状を交付されている類の危険物の取扱いと立会いができる)
- 丙種(第4類に属する危険物のうちガソリン、灯油・軽油など指定されたもののみ取扱いができる。丙種のみの有資格者による立会いはできない)
甲種か乙種の該当する類の有資格者が作業に立ち会えば、無資格者も危険物の取扱いができる。セルフ式ガソリンスタンドの運用はこれを利用して成立している。そのため、セルフスタンドでは、たとえ深夜帯などで一見無人に見える状態であったとしても、実際には事務所内のモニターカメラなどを用いて甲種か乙種第4類の危険物取扱者の有資格者による遠隔監視が常時行われている。これにより、危険が発生すれば遠隔操作でバルブ閉鎖などの措置を取ることを可能とするシステムが構築されている。
危険物取扱者の中でも、乙種第4類(俗に「乙4(おつよん)」と通称される)は取得者数が突出して多い。これは乙種第4類がガソリンスタンドの運用やガソリンスタンドにガソリンなどを輸送するタンクローリーの乗務や、製造工場で広範に利用される有機溶剤の取り扱いに不可欠な資格の1つであることから社会的需要が高い一方で、学歴や実務経験なども問われずに誰でも受験・取得可能なことが関係している。丙種でもガソリンスタンドの店員レベルの業務や、ガソリンや軽油など、ごく一部の危険物を積載したタンクローリー乗務は可能だが、企業が求人の際、乙種第4類取得者であることを条件とすることが多い。
試験
試験は消防法に基づく国家試験として、都道府県知事から委託を受けた各都道府県の消防試験研究センター支部(東京都は中央試験センター)が実施している。都道府県毎に日程は異なるが年間2-6回程度の試験機会が設定されており、受験者の多い乙種第4類だけは東京都でほぼ毎週行われている。
受験地の制限はなく、居住地以外の都道府県で受験することも可能である。このため、実施回数の少ない県の住民が、資格取得を急いで実施回数の多い、あるいは直近の日程で試験が開催される他の都道府県で受験するということもごく当たり前に見られる。ただし、合格した場合の免状申請先は受験地の都道府県知事となり、手数料として貼付する道府県収入証紙[4]も受験地のものが必要になるので注意が必要である[5]。受験会場には主に大学・高校の教室、会館・ホール・商工会議所や消防本部の会議室・講堂などが利用されるが、場所によっては上履きを持参する必要がある。
甲種は受験資格の制限があるが、乙種・丙種は誰でも受験できる。乙種第1類から第6類まで全ての試験に合格すれば、甲種取扱者と同様にすべての危険物を取り扱えるため、甲種の受験資格を持たない者が乙種全類取得を目指すケースもある(完全に同等というわけではない。詳細は危険物保安監督者の節を参照)。また、甲種合格を目指す前のステップとして乙種全類合格を目指す者も見られる。
試験は3科目あり、所定の時間内にすべての科目を受験する(受験者が自由に時間配分できる)。既所持資格などにより一部科目の免除制度がある(後述)。
合格点は、科目免除の有無にかかわらず受験するすべての科目それぞれの正解が60%以上あることである。この場合、免除された科目・問題は正解率算出の分母・分子には含まれず、実際に解答範囲となった部分のみで正解率が計算される。
乙種の試験において特徴的なこととしては、乙種第4類について、受験者数と資格取得者数がいずれも突出して多い一方、合格率が約3割前後とこれも突出した低さであることが挙げられ、パーセンテージだけを単純に一見した場合、むしろ甲種試験にも近い様相を呈している。ただし、これは上述したように需要が突出して多い資格であり、乙種第4類単体での取得を希望する者が多く、その中には、不合格のために複数回にわたり受験を繰り返す者も多く、そのために生じる数字上のカラクリで、別に乙種の中で第4類の試験内容だけが甲種並みに難しいというわけではない。また、乙種の危険物取扱者試験を取り扱う問題集が、一般財団法人全国危険物安全協会が販売している例題集も含めて、「乙種第4類」向けと「乙種第1・2・3・5・6類(一部科目免除対象者)」向けという形で分割されているものが大半であることから、乙種の複数類取得や「4種類」での甲種受験を志すにしても、最初にまず乙種第4類で全科目を受験し、これを合格後に後述の一部科目免除を利用して他の類を受験する方法が一般的である[6]ことも一因である。そのため、地域によっては受験者数の多さや受験会場の規模の都合などから乙種第4類のみの試験日を設けることや、同一日であっても午前・午後などで時間帯を分けたり、乙種第4類のみ別枠で時間を設定することがある。
甲種の試験は乙種全6種の試験内容が横断的・複合的に出題される。また、物理化学の問題などの難易度も乙種の試験より高い。
受験資格
甲種
- 「大学等卒」大学等(大学、短期大学、高等専門学校又は専修学校、大学、短期大学、高等専門学校、高等学校又は中等教育学校の専攻科、外国における大学等、防衛大学校、職業能力開発総合大学校、職業能力開発大学校、職業能力開発短期大学校、国立工業教員養成所、その他)において化学に関する学科等を卒業した者
- 「15単位」大学等(大学、短期大学、高等専門学校、大学院又は専修学校、大学、短期大学又は高等専門学校の専攻科、防衛大学校、防衛医科大学校、職業能力開発総合大学校、職業能力開発大学校、職業能力開発短期大学校、水産大学校、海上保安大学校、気象大学校、外国における大学等、その他)において化学に関する授業科目を15単位以上修得した者
- 「実務2年」乙種危険物取扱者免状の交付を受けた後、危険物製造所等における危険物取扱の実務経験が2年以上の者
- 「4種類」以下の4種類以上の乙種危険物取扱者免状の交付を受けた者
- 第1類又は第6類
- 第2類又は第4類
- 第3類
- 第5類
- 「学位」修士、博士の学位を授与された者で化学の事項を専攻した者(外国の同学位も含む)。
- 上記に準ずる者として消防庁長官が定める者(専門学校卒業程度検定試験に合格した者であって、化学に関する学科又は化学に関する授業科目を15単位以上含む学科について合格した者)
このうち「4種類」の受験資格は、2008年4月の消防法令改正により新設されたものである。改正前は学歴要件(「大学等卒」、「15単位」または「学位」)もしくは「実務2年」しか存在せず、特殊な事例[7]を除いて高校生が受験することは不可能であったが、2008年4月に「4種類」の受験資格が加えられたことにより、高校生も受験することが可能になった。実際に、法令改正施行後4か月間(2008年4月から7月末まで)に実施された甲種の試験で、高校生14名が合格している[8]。危険物取扱者試験の受験に年齢制限はないため、「4種類」の条件を満たしていれば中学生や小学生でも甲種を受験することが可能である。2012年12月には東京都の小学2年生(当時)が史上最年少で甲種に合格したが、この少年は同年10月に史上最年少で乙種全類に合格している[9]。
乙種
誰でも受験できる。既に取得している資格によって一部科目の免除がある。
史上最年少での全類合格者としては、2012年、東京都千代田区に住む小学2年生の男児が乙種の1類から6類までに合格したとしてその記録を持っている[10]。
丙種
誰でも受験できる。消防団員として一定の条件を満たした者については一部科目の免除がある。
試験内容
甲種、乙種、丙種ともマークシート方式で試験が行われる。
甲種
5肢択一で、試験時間は150分
- 危険物に関する法令:15問
- 物理学及び化学:10問
- 危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法:20問
乙種
5肢択一で、試験時間は120分
- 危険物に関する法令:15問
- 基礎的な物理及び基礎的な化学:10問
- 危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法:10問
丙種
4肢択一で、試験時間は75分
- 危険物に関する法令:10問
- 燃焼及び消火に関する基礎知識:5問
- 危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法:10問
いずれの種の試験においても、一定時間が経過したら、試験官に問題用紙と解答マークシートを渡し、途中退室が可能。なお、途中退室しなかった場合でも、問題用紙は回収される。
試験科目一部免除について
- 既に乙種の一部の類の免状を所持する者が未取得の乙種の他の類を受験する場合は、試験科目の「危険物に関する法令」と「基礎的な物理学及び基礎的な化学」の全部の問題が免除となり、試験時間は35分となる。
- 火薬類製造保安責任者または火薬類取扱保安責任者の免状を所持している者が乙種第1類あるいは乙種第5類を受験する場合は、試験科目の「基礎的な物理学及び基礎的な化学」のうち6問と「危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法」のうち5問が免除されてそれぞれ4問と5問となり、「危険物に関する法令」15問とあわせて試験時間は90分となる(上記の1,2両方の免除条件を満たす場合は、それらの対象部分は全て免除され、試験科目は「危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法」前半5問だけとなる。試験時間は35分)。
- 丙種は「5年以上消防団員として勤務し、かつ消防学校の教育訓練のうち基礎教育、普通教育または専科教育の警防科を卒業した者」の場合「燃焼及び消火に関する基礎知識」の試験科目が免除され、試験時間は60分となる。
なお、甲種には科目・問題の一部免除の制度はなく、またどの様な受験資格で受験しても同じ量の問題が出題される。
有資格者の特典について
危険物保安監督者に選任されている甲種危険物取扱者は防火管理者の資格を自動的に取得できる。また、かつて甲種危険物取扱者の資格を持つ者は、技術士一次試験の一部科目が免除された[1]が、2012年以降は共通科目が廃止となった[2]ため、現在はこの特典は存在しない。
その他、甲種危険物取扱者の資格を持つ者は陸上自衛隊の技術陸曹の任用資格がある(本件の詳細は技術陸曹の項目を参照)。
上記の特典はいずれも甲種危険物取扱者のみであり、乙種および丙種危険物取扱者にはない。
乙種の複数類同時受験
乙種の一部の類の免状所持者が他類の受験を希望する場合は、都道府県によっては同一試験日に最大3つの類までを同時受験できる(東京都では4類を除いて2つ、北海道、群馬県、神奈川県、京都府、大阪府等では4類を除いて3種類まで)。しかし複数類同時受験ができない県もある(福岡県など)。
合格率
試験の受験者・合格者の人数及び合格率は、一般財団法人消防試験研究センターが公式ウェブサイト内の「最新の試験実施状況[3]」の項目で公開している。
これによれば、数字は多少前後するが、甲種と乙種第4類は約3割前後、乙種第1・2・3・5・6類は約6割台の合格率となっている。
合格率の数字で見る限り、乙種の中では第4類のみ合格率が突出して低いことが常態化している。これは第4類のみ希望する受験者が多く、また、上述したように市販されている例題集・問題集の都合などから複数類取得を目指す場合でも最初に第4類を受験して合格しておくという“攻略法”が一般的で、科目一部免除の特典がなく全科目を受験する者がほとんどを占めているためである。逆に、乙種1・2・3・5・6類では多くの受験者が第4類を先に合格し上述の科目一部免除を受けて受験しており、第4類よりも合格率が高くなる傾向がある。
保安講習
危険物取扱作業に従事している有資格者(後述の保安監督者も含む)は、法令に基づく保安講習を3年に1回受ける必要がある。実務に就いていない場合は受講の義務はないが受講することは可能。
実務に就いていなかった者が従事することになった場合は、その日から1年以内に受講する必要がある。ただし、以前に保安講習を受けたことがある場合は、受講日以降最初の4月1日から間隔が3年を超えないように受講すればよい。また、新たに免状の交付を受けて従事することになった場合も、交付日以降最初の4月1日から3年以内に最初の保安講習を受ければよい。
- 継続して危険物取扱作業に従事している者
- 前回受講を受けた日以降、最初の4月1日から3年以内
- 新たに従事する者または再び従事することとなった者
- 従事することになった日から1年以内
- 新たに従事する者で、過去2年以内に免状交付または講習を受けている者
- 免状交付日または前回講習受講日以降、最初の4月1日から3年以内
講習は各都道府県でおおよそ月1回ごとに開催される。多くの県は給油取扱所従業者とその他の従事者の2種類のうち、どちらか該当するほうを受講。東京都は5種類、神奈川県は3種類の中から該当するものを選ぶ。受講料は4700円で講習は約3時間。
なお、講習義務のある者が保安講習を怠ると免状の返納命令の対象となる。
免状の書換え(更新期間)
免許の有効期間についての定めはないが、原則として10年に1回、実務に就く就かないに関係なく写真の更新(書換え手続き)が法令上必要である。法令が要求している手続きは、あくまでも免状写真の書換えであり、免許の有効期限の延長ではない。よって、写真書換え期限を経過した免状はその証明効力を失うが、仮に免状写真の書換え期限を経過してしまっても、受けている免許が失効することはない。 なお、写真以外で書換え申請が必要となるのは、以下の場合である。
- 氏名の変更があった場合
- 本籍地に変更があった場合(ただし、本籍の変更が生じても、本籍のある都道府県に変更がなければ書換え申請は不要。住所は都道府県が変わっても、書換え申請の必要はない。)
ちなみに法律上、危険物取扱者免状の更新制度はない。あくまでも写真等を変更する免状の書き換えである。
危険物保安監督者
- 意義
- 政令に定める製造所等の所有者等は危険物の取扱い作業に関し、その危険物の取扱いのできる危険物取扱者の中から危険物保安監督者を選任し、保安の監督をさせなければならないこととなっている。危険物保安監督者を選任した時は、遅滞なく、市町村長に届けなければならず、解任した時も同様に行う。
- 資格
- 甲種または乙種危険物取扱者で製造所等において6ヶ月以上危険物取扱いの実務経験を有する者[11]。
- 業務
- 製造所等の所有者等が危険物保安監督者に行わせなければならない業務は次の通りである。
- 1. 危険物取扱作業場所での作業者に対して、貯蔵、取扱いに関する基準、予防規程等に定める保安基準に適合するように必要な指示を与えること。
- 2. 火災等発生時に作業者を指揮して応急処置を講ずることと直ちに消防機関へ通報すること。
- 3. 危険物施設保安員を置く施設の場合は危険物保安員への必要な指示をし、危険物施設保安員を置かない施設の場合は次の業務を行うこと。
- ア. 構造、設備の技術上の基準に適合するよう施設の維持のための定期点検及び臨時点検の実施、記録及び記録の保存をする。
- イ. 施設の異常を発見した場合の連絡及び適当な措置を行う。
- ウ. 火災の発生又はその危険が著しい時の緊急措置をする。
- エ. 計測装置、制御装置、安全装置等の機能保持のための保安管理をする。
- オ. その他施設の構造及び設備の保安に関し必要な業務
- 4. 火災等の災害防止のため隣接危険物施設等の関係者との連絡を保つこと。
- 5. 前記の他、危険物取扱作業者の保安に関し必要な監督業務を行うこと。
- 製造所等の所有者等が危険物保安監督者に行わせなければならない業務は次の通りである。
- 解任命令
- 市町村長等は、危険物保安監督者が消防法あるいは消防法に基づく命令の規定に違反した時、又はその業務を行わせることが公共の安全の維持もしくは災害の発生防止に支障を及ぼす恐れがあると認める時は、製造所等の所有者、管理者又は占有者に対し、危険物保安監督者の解任を命ずることができる。
危険物保安統括管理者
- 意義
- 大量の危険物を貯蔵し、取扱う製造所等は、統合的な保安管理を充実し効果的な保安の活動体制をとる必要がある。指定数量が3000倍以上の第4類の危険物を取扱う事業所の内、一定以上の規模のものについては、事業所全般における危険物の保安に関する業務を統括・管理する者、いわゆる危険物保安統括管理者を定めて、遅滞なく届け出ることが義務付けられている。また、解任した時も同様に届け出なければならない。
- 資格
- 危険物保安統括管理者は、その事業所の事業に関して統括責任を有する者であるが、危険物取扱者である必要はない。
- 業務
- 危険物保安統括管理者は、その事業所における危険物及び危険物施設の保安業務を統括的に管理し、事業所全体としての安全を確保するものである。
- 解任命令
- 市町村長等は、危険物保安統括管理者が消防法あるいは消防法に基づく命令の規定に違反した時、又はその業務を行わせることが公共の安全の維持もしくは災害の発生防止に支障を及ぼす恐れがあると認める時は、製造所等の所有者、管理者又は占有者に対し、危険物保安統括管理者の解任を命ずることができる。
危険物施設保安員
- 意義
- 指定数量の100倍以上の製造所若しくは一般取扱所又は移送取扱所のうち、総務省令で定めるもの以外の製造所等において危険物保安監督者の下で、その構造及び設備に係る保安業務を行う者であり、その製造所等の所有者、管理者又は占有者にその選任が義務付けられている。
- 資格
- 選任されるに当っては特に資格は要しない。危険物取扱者である必要もない。適任又は解任に当っての届出の制度は特に定められていない。
- 業務
- 製造所等の所有者等が危険物施設保安員に行わせなければならない業務は次の通りである。
- 1. 施設の維持のための定期点検、臨時点検の実施、記録及び記録の保存
- 2. 施設の異状を発見した場合の危険物保安監督者等への連絡の措置
- 3. 火災が発生した時又は火災発生の危険が著しい場合の応急措置
- 4. 計測装置、制御装置、安全装置等の機能保持のための保安管理
- 5. 上記の他、施設の構造、設備の保安に関し必要な業務
- 製造所等の所有者等が危険物施設保安員に行わせなければならない業務は次の通りである。
歴史
- 1917年(大正6年)8月2日 - 大阪府危険物品取締規則(大阪府令第43号)制定。危険物品の貯蔵場に取扱主任者を置き届け出ることとした。
- 1920年(大正9年)8月30日 - 兵庫県危険物品取締規則(兵庫県令第68号)制定。危険物品の貯蔵所に県庁で技能認定した管理人を置くこととし、その立ち会いがない限り危険物の取り扱いを禁じた。
- 1925年(大正14年)2月14日 - 危険物取締規則(警視庁令第5号)制定。危険物の大量貯蔵所において、実業学校で化学を修めたかこれに相当する者を監理人として届け出ることとし、その立ち会いがない限り危険物の取り扱いを禁じた。
- 1936年(昭和11年)1月1日 - 大阪府危険物品取締規則の改正(昭和10年大阪府令第87号)により、危険物品取扱主任者の免状に甲種と乙種が設けられた。甲種は工業学校で化学を修めた者、薬剤師、試験の合格者などで、全ての危険物品の取り扱いができるのに対し、乙種は特定の危険物品のみの取り扱いについて試験の合格者に免状を出した。
- 1948年(昭和23年)7月24日 - 消防法(法律第186号)制定。危険物の貯蔵所において、市町村条例で定める資格を備えた取扱主任者を定めることとし、その立ち会いがない限り危険物の取り扱いを禁じた。
- 1959年(昭和34年)4月1日 - 消防法の一部を改正する法律(昭和34年法律第86号)により、従前は市町村条例に基づいていた危険物に関する規制を、全国で統一的なものに変えた。この際、取扱主任者を危険物取扱主任者に改称し、都道府県知事の行う危険物取扱主任者試験に合格した者に免状を交付、交付を受けている者を危険物取扱主任者として事業者が選任することとした。制度上、免状を交付されていても、事業者から取扱主任者に選任されなければ危険物の取り扱いができなかった。甲種と乙種があり、その区分は現行とほぼ同様である。
- 1971年(昭和46年)6月1日 - 消防法の一部を改正する法律(昭和46年法律第97号)により、従前の危険物取扱主任者を危険物保安監督者と危険物取扱者とに分離。資格としては危険物取扱主任者を危険物取扱者と改称し、免状の交付を受ければ危険物の取り扱いができるようにし、保安講習制度を設けた。一方、事業者は免状交付を受けている者のなかから危険物保安監督者を選任し市町村長等に届け出ることとなった。また甲種と乙種に加えて、灯油販売業者やタンクローリー運転手などを想定した丙種が定められた。
- 1988年(昭和63年)5月24日 - 消防法の一部を改正する法律(昭和63年法律第55号)により、乙種危険物取扱者の受験資格から実務経験が削除され、代わりに危険物保安監督者の選任要件に実務経験が加わった。
脚注
関連項目
- 危険物
- 消防設備士
- 日本の消防
- 消防法
- 危険物等取扱責任者(名称が似ているが船員法を根拠法とする全く別の資格・詳細は以下の国土交通省への外部リンク参照)
- 危険物の規制に関する規則
- 資格 - 日本の資格の分野別一覧
外部リンク
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テンプレート:Disaster-stub- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ ただし、消防法上で指定されている危険物は固体と液体のみで、プロパンガスなどの気体については指定されていない。
- ↑ 一部の県では領収証紙
- ↑ ただし東京都は現金納付。また、一部の県では、県外居住者に限って現金書留での手数料納付を認めている。
- ↑ また、他の類がまず必要という場合でも、第4類は一般的に需要が高い資格であるため、とりあえずついでに取っておいて損はないという考え方も幅広く存在する。
- ↑ 例えば、“高校入学前に乙種第4類に合格し、高校1年から危険物取扱施設(ガソリンスタンド等)においてアルバイト勤務等で実務経験を2年経験して、高校3年に「実務2年」で受験する”といった事例はあり得た。
- ↑ 「難関『甲種』 県内の高校生 初の合格 17歳 危険物処理の達人」 - 『中日新聞』2008年9月18日朝刊22面 愛知県内版
- ↑ 「○○君、今度は甲種に合格 危険物取扱者試験」(原文は実名) - 『産経新聞』2013年1月9日朝刊
- ↑ テンプレート:Cite news
- ↑ 甲種は実務経験に従事した危険物の類に関係無く全ての類の危険物保安監督者となることができるが、乙種の場合は類ごとに実務経験が必要となる。例えば実務経験を第4類のみで有していた場合、仮に免状上で他の類(第1,2,3,5,6類)を有していても第4類以外の危険物保安監督者となることはできない。これが甲種取得者と乙種全類取得者の決定的な違いとなる。