カシワ
カシワ(柏、槲、学名Quercus dentata)は、ブナ目ブナ科の落葉中高木。英語では Japanese Emperor Oak, Kashiwa Oak, Daimyo oak, chêne de Daimyo (フランス語)などと称する。
特徴
北海道から九州までの温帯から暖帯にかけて生育する。痩せた乾燥地でも生育することから、火山地帯や海岸などに群落が見られることが多い。
葉は大きく、縁に沿って丸く大きな鋸歯があるのが特徴。ドングリはクヌギに似て丸く、殻斗は先がとがって反り返る包が密生する。秋に枯れた葉が春までついたまま、新芽が出るまでは落葉しない。
利用
日本の海岸線の防風林には一般的にクロマツが用いられるが、北海道の道北や道東など寒冷でクロマツが育たない地域では、防風林を構成する樹種としてカラマツとともにカシワが採用されることがある。カシワは落葉樹だが、秋に葉が枯れても翌年の春に新芽が芽吹くまで葉が落ちることがない。そのため冬季の強風を防ぐ効果を果たす。
葉には芳香があり、さらに翌年に新芽が出るまで古い葉が落ちない特性から「代が途切れない」縁起物とされ、塩漬けにして柏餅を包むのに用いられる。
カシワと柏
日本では漢字では「柏」と書くことが多いが、漢字の語源から言うと、柏の字の旁の「白」は色の「しろ」ではなく、球果(松かさ状の果実)をかたどった象形文字でテンプレート:要出典、「柏」はヒノキ科およびスギ科のさまざまな針葉樹を意味する。コノテガシワのこと、あるいはシダレイトスギ、いぶき・さわら・あすなろなど、松以外の針葉樹の総称である。戦前の植物学では、イチイ科からヒノキ科までの針葉樹は「松柏綱」と呼んでいた。
現代中国語ではヒノキ科を柏科という。
「松柏類」「香柏(ヒマラヤスギ属、翻訳文学ではしばしばレバノンスギ)」「真柏(しんぱく)・柏真(びゃくしん、イブキ)、コノテガシワ」などの柏はヒノキ科の意味である。漢詩などでは、常緑樹であることから、変わらないことの比喩に使われる。
名古屋市以西では鶏肉のことを「カシワ」と呼ぶ事があるが、これは地鶏の羽色が柏の葉の紅葉の色に似ていることからこう呼ばれる。
同じブナ科コナラ属で名前も似ている事から、樫(カシ)と混同している人もいるが、樫は常緑性、柏は落葉性なので樫と柏とは全く違う木である。
種内変異
- 品種
ホウオウガシワ Quercus dentata f. pinnatiloba
- 交雑種
カシワモドキ Quercus x anguste-lepidota ミズナラとの種間交雑種
ホソバガシワ Quercus x nipponica ミズナラとの種間交雑種
コガシワ Quercus x takatorensis コナラとの種間交雑種
石狩砂丘
北海道の銭函大浜から厚田にかけての石狩砂丘には、カシワによる天然の海岸林がある。世界的な大規模である。
参考文献
- 米倉浩司、梶田忠「「BG Plants 和名−学名インデックス(YList)」