岩波駅
岩波駅(いわなみえき)は、静岡県裾野市岩波にある、東海旅客鉄道(JR東海)御殿場線の駅である。
概要
裾野市の深良地区にある駅。地区の北部に位置し、裾野市と御殿場市の境界線が駅の500mほど北を通っている。かつては深良村内唯一の鉄道駅であった。
御殿場線がまだ東海道本線の一部であった1911年(明治44年)5月に開設された岩浪信号所が、岩波駅の前身である。岩波信号場に変更された後、戦時中の1944年(昭和19年)12月に旅客営業を行う岩波駅となった。1987年(昭和62年)4月に実施された国鉄分割民営化により、運営事業者は日本国有鉄道(国鉄)からJR東海に移っている。
歴史
- 1911年(明治44年)5月1日 - 国有鉄道東海道本線の岩浪信号所として、御殿場 - 佐野間に開業[1]。
- 1912年(明治45年)7月18日 - 岩波信号所に改称[1]。
- 1922年(大正11年)4月1日 - 岩波信号場に変更[1]。
- 1934年(昭和9年)12月1日 - 熱海 - 沼津間開通に伴い、東海道本線国府津 - 岩波 - 沼津間は御殿場線に改称[2]。
- 1943年(昭和18年)7月11日 - 御殿場線単線化。付近は1891年(明治24年)に複線化されていた。
- 1944年(昭和19年)12月8日 - 岩波駅に昇格、旅客営業を開始[1]。
- 1946年(昭和21年)3月5日 - 荷物の取扱いを開始[1]。
- 1968年(昭和43年)7月1日 - 御殿場線御殿場 - 沼津間電化に伴い、構内を電化。スイッチバックを廃止。
- 1969年(昭和44年)7月31日 - 専用線を発着する貨物の取扱いを開始[1]。
- 1971年(昭和46年)2月1日 - 荷物の取扱いを廃止[1]。
- 1982年(昭和57年)11月15日 - 貨物の取扱いを廃止[1]。
- 1987年(昭和62年)4月1日 - 国鉄分割民営化によりJR東海が継承。
- 1989年(平成元年) - 駅舎を改築。
- 1989年(平成元年)10月 - 行違い設備を新設[3]。
- 2010年(平成22年)3月13日 - ICカードTOICAが導入される。
駅構造
島式ホーム1面2線を持つ地上駅。下り列車はホームの東側(1番線)を使用し、上り列車はホームの西側(2番線)を使用する。駅構内の北側に保線車両留置用の側線がある。
駅舎はガラス張りの橋上駅舎である。駅事務所や改札口は2階にあり、1階のホームや構内西側にある出入口に階段が下りている。駅舎内にはみどりの窓口とICカード対応のタッチパネル式の自動券売機が設置されている。
駅開業時はスイッチバック駅で、本線から分岐する行止りの引き上げ線に接して単式ホーム1面が設置されていた。1968年(昭和43年)の電化に伴い、ホームは本線上の勾配区間に移転し、スイッチバックは解消された。この時のホームは移転前と同じく単式ホームであったが、分割民営化後にホームの一部を削り2番線が新設され、島式ホームとなった。駅の沼津寄りには、引き上げ線の痕跡である築堤が、草木に埋もれながらも残っている。
当駅は業務委託駅であり[3]東海交通事業の係員が駅業務を行っているが、夜間は係員が配置されない無人駅となっている[3]。また、管理駅である裾野駅が当駅を管理している[3]。
ホーム | 路線 | 方向 | 行先 |
---|---|---|---|
1 | テンプレート:Color御殿場線 | 下り | 沼津方面[4] |
2 | テンプレート:Color御殿場線 | 上り | 御殿場・国府津方面[4] |
貨物取扱
国鉄時代の1969年(昭和44年)から1982年(昭和57年)まで、当駅でも貨物営業を行っていた。
1966年(昭和41年)10月から本格的に開始された[5]鉄道(車運車)による自動車輸送の一つ基地として、1968年(昭和43年)10月に沼津駅に自動車輸送基地が新設された[6]。1969年7月には、当駅に接続するトヨタ自動車の専用線が建設され、沼津駅の基地は廃止された[6]。
トヨタ自動車の専用線は、岩波駅の北1kmほどの場所で御殿場線から分岐し、カーブを描きトヨタ自動車の敷地へ入っていた。途中には、川を渡る橋や東名高速道路の高架下を潜る場所があり、線路の終点はトヨタ自動車東日本(旧関東自動車工業)東富士工場の裏側(駅反対側)辺りにあった。1970年の「専用線一覧表」によれば、専用線の作業キロは0.9km、総延長は2.2kmで、構内作業は国鉄の機関車によって行われていた[7]。このトヨタ自動車専用線は、1982年11月に廃止されている[5]。
利用状況
「静岡県統計年鑑」によると、1日の平均乗車人員は以下の通りである。
年度 | 一日平均 乗車人員 |
---|---|
1993年 | 1,679 |
1994年 | 1,641 |
1995年 | 1,595 |
1996年 | 1,621 |
1997年 | 1,517 |
1998年 | 1,484 |
1999年 | 1,401 |
2000年 | 1,404 |
2001年 | 1,448 |
2002年 | 1,425 |
2003年 | 1,441 |
2004年 | 1,429 |
2005年 | 1,473 |
2006年 | 1,721 |
2007年 | 1,939 |
2008年 | 2,117 |
2009年 | 2,223 |
2010年 | 2,156 |
2011年 | 2,010 |
2012年 | 1,973 |
駅周辺
バス路線
富士急シティバス(以下・富士急シティ)、富士急行(以下・富士急)が発着する。
- 御殿場駅行き (富士急シティ・富士急が運行)
- 御殿場プレミアムアウトレット行き (富士急運行)
- 岩波循環(下和田経由) (富士急シティ運行) ※平日のみ
- 三島駅行き(裾野駅入口経由) (富士急シティ・富士急運行)
隣の駅
脚注
関連項目
外部リンク
- 岩波駅(ごてんばせんネット)
- I love Switch Back・岩波駅 - スイッチバック時代の配線・写真がある。
- 空中写真画像 昭和51年度 - 地図・空中写真閲覧サービス(国土地理院)。画像中心付近に、御殿場線やトヨタ自動車専用線が写る。
- ↑ 1.0 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5 1.6 1.7 『停車場変遷大事典 国鉄・JR編 2』 JTB、1998年
- ↑ 『停車場変遷大事典 国鉄・JR編 1』 JTB、1998年
- ↑ 3.0 3.1 3.2 3.3 東海旅客鉄道編集 『東海旅客鉄道20年史』 東海旅客鉄道、2007年
- ↑ 4.0 4.1 駅掲示用時刻表の案内表記。これらはJR東海公式サイトの各駅の時刻表で参照可能(2011年1月現在)。
- ↑ 5.0 5.1 貨物近代化史編集委員会編 『鉄道貨物輸送近代化の歩み』 日本貨物鉄道、1993年
- ↑ 6.0 6.1 遠藤浩一 「30年の歴史に終止符をうったク5000形」『鉄道ピクトリアル』 通巻第627号、1996年
- ↑ 名取紀之・滝沢隆久編 『トワイライトゾ〜ンMANUAL 12 全国鉄道面白謎探検』 ネコ・パブリッシング、2003年