連邦
テンプレート:統治体制 連邦(れんぽう)とは、2つ以上の国(州)が1つの主権の下に結合して形成する国家である。
目次
概要
比較的弱小な国家や都市、自治共同体(植民地の個々を含む)が自治権もしくは独立を保つために連盟または同盟して、周辺の比較的強大な国家(宗主国は強大である)には単一の主権国家として、内部的には盟約(憲法を含む)を結んだ構成体どうしの独立関係を維持し統治する体制である。連邦構成体は強い権限を留保し、連邦政府は主権国家の権原および財源を委譲される形になることが多い。ただし、国家によっては加盟や戦争の結果として領土が増え比肩する国家が周辺から減ったり中央集権化が促進されるなどして連邦制が形骸化している場合がある(アルゼンチンなど)。
上述のように、連盟または同盟により連邦となる場合が多くなる(英国から独立するため植民地だった13邦が統合したアメリカ合衆国、独立を保障していた体制が崩壊して東西の強大な国からの侵略を防ぐために領邦国家の権限が統一されて連邦制へと移行したドイツなど)。一方、地方統治の円滑化や植民地経営の合理化のために権限を委譲して連邦制となる例もある(スペインやイギリス連邦内で連邦となりその後独立しても連邦制を維持しているオーストラリアなど)。
連邦制を主張または擁護する立場を連邦主義という。ただし、テンプレート:仮リンクといった場合にはアメリカ合衆国独立期における、強力な連邦政府樹立に反対したグループを指す事が多い。
現在の連邦制国家
連邦制をとる国にも、国名の決定に際して国家の成立経緯を踏まえた制定をする場合や連邦制を直接に表さないことがある。他国語への翻訳は同じ語源でもニュアンスが異なることがあり注意が必要である。日本語でも国際社会での英語名または仏語名や各国の固有の国語からの訳し分けは厳密ではない[1]。
ドイツ連邦共和国の場合「Bundesrepublik」は、bond と同語源の単語を含むが、公式の英語名は「Federal Republic」とし、「la foedus」「foederis」の「盟約」という原義は基本法の承認という政治体制の本質からの反映となる。日本語で「federation」「confederation」の原義は反映されることが少ない。ソビエト社会主義共和国連邦は連邦を含むが、ロシア語でのソ連の略称テンプレート:ルビの最初のテンプレート:ルビはテンプレート:ルビで「団結・結合・同盟」の意味とされる。そのため、「ソビエト社会主義共和国同盟」という翻訳が存在し、日本でも「ソビエト社会主義共和国同盟」や「ソ同盟」と表記されることもあった。ただし、駐日ソビエト大使館は一貫して「連邦」を用いていた。
国名に連邦を含む国
- テンプレート:Flagicon アラブ首長国連邦
- それぞれ別の君主が統治する国々の連合体。
- テンプレート:Flagicon エチオピア連邦民主共和国
- テンプレート:Flagicon オーストラリア連邦
- 国号にある「commonwealth」は必ずしも連邦を意味せず、連邦というのは意訳である。共通の国王を戴く「state」(「州」と訳されるが、原義は"国家") の連合体たる連邦王国。
- テンプレート:Flagicon スイス連邦
- ドイツ語では「Schweizerische Eidgenossenschaft」となるが、「Eidgenossenschaft」は厳密に言うと「誓約者による同盟」という意味である。ただ、国家の形態は連邦制であり、ドイツ語以外の公用語における国号を見る場合、「スイス連邦」という訳語は間違いではない。
- テンプレート:Flagicon セントクリストファー・ネイビス連邦
- テンプレート:Flagicon ドイツ連邦共和国
- テンプレート:Flagicon ナイジェリア連邦共和国
- テンプレート:Flagicon ブラジル連邦共和国
- テンプレート:Flagicon ミクロネシア連邦
- テンプレート:Flagicon ミャンマー連邦共和国
- テンプレート:Flagicon ロシア連邦
- テンプレート:Flagicon ソマリア連邦共和国
- ボスニア・ヘルツェゴビナ連邦 - 連邦国家であるボスニア・ヘルツェゴビナの構成国。
国名に連合など、国家集合を意味する語を含む国
国名に連邦などの語を含まない連邦制国家
- テンプレート:Flagicon アルゼンチン共和国
- テンプレート:Flagicon イラク共和国
- テンプレート:Flagicon インド共和国
- テンプレート:Flagicon オーストリア共和国
- テンプレート:Flagicon カナダ
- テンプレート:Flagicon パキスタン・イスラム共和国
- テンプレート:Flagicon ベネズエラ・ボリバル共和国 -ただし実質的には中央集権的国家とされる。
- テンプレート:Flagicon ベルギー王国 - 1993年、単一王国を連邦制の王国に再編。
- テンプレート:Flagicon ボスニア・ヘルツェゴビナ - ボスニア・ヘルツェゴビナ連邦とスルプスカ共和国の二国によって構成される。
- テンプレート:Flagicon マレーシア - マレーシア国王は13州のうち9州に存在するスルターンによる互選で決定される。
連邦制に近い国家
- テンプレート:Flagicon イギリス(グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)
- テンプレート:Flagiconデンマーク - デンマーク本土、フェロー諸島、グリーンランドは対等の連合であるデンマーク王国共同体を形成している。フェロー諸島とグリーンランドは一部で独自の外交を行うなど、極めて高度な自治権を持つが、憲法的にはあくまでも単一国家である。
- テンプレート:Flagicon中華人民共和国 - 中華人民共和国憲法では単一の共和国と規定され、中国共産党による一党支配が行われている。ただし外国の植民地であった香港およびマカオには一定の自治権と国際的地位を認める一国二制度が行われている。国内の少数民族を対象とした民族区域自治制度が行われている各自治区・自治州も存在するが、これは一国二制度がとられる地域より権限は小さい。
連邦制を導入する予定がある国家
- テンプレート:Flagicon ネパール連邦民主共和国 - 2013年の時点では憲法が未制定であり、連邦制は始動していない。
過去の連邦制国家
(ならびに、連邦制に準ずる政体だった国家も含める。)
- ソビエト社会主義共和国連邦
- ザカフカース・ソビエト連邦社会主義共和国(ソビエト社会主義共和国連邦の母体の一つで、のちその構成共和国の一つ)
- ザカフカース民主連邦共和国
- ユーゴスラビア王国
- ユーゴスラビア社会主義連邦共和国
- ユーゴスラビア連邦共和国(いわゆる新ユーゴスラビア連邦)
- セルビア・モンテネグロ (上記のユーゴスラビア連邦共和国を改編した共同国家)
- チェコスロバキア(1969年 - 1992年)
- ネーデルラント連邦共和国
- アラブ連邦
- インドネシア連邦共和国(1949年 - 1950年)
- カメルーン連邦共和国(1961年 - 1972年)
- マリ連邦
- セネガンビア国家連合
- 西インド連邦(英連邦内の半独立国)
- 中米連邦
- 大中米共和国
- 南アメリカ連合州
- リオ・デ・ラ・プラタ連合州
- アルゼンチン連合
- 大コロンビア共和国
- グラナダ連合
- コロンビア合衆国
- ペルー・ボリビア連合
- 南アラビア連邦
- 南アフリカ連邦
- 中央アフリカ連邦(ローデシア・ニヤサランド連邦)(英連邦内の半独立国)
- オーストリア・ハンガリー帝国
- ポーランド・リトアニア共和国
- ドイツ帝国
- ドイツ国(1919年 - 1933年のヴァイマル共和政時代)
- ドイツ連邦(1815年 - 1866年。正確には「主権国家連邦」)
- 北ドイツ連邦(1866年 - 1871年。プロイセンなどが、上記のドイツ連邦を改編)
- 南ドイツ連邦
- ドイツ民主共和国(1949年 - 1952年)
- アメリカ南部連邦
事実上、連邦制を持つ海外領土
現在
- ウォリス・フツナ諸島 - 連邦制と王制を併せ持つフランスの海外領土(事実上の保護国的存在)。主要3島では各島の主である王・女王により統治されている。
過去
- 蘭領アンティル - 現在のアルバ自治領・キュラソー自治領・シントマールテン自治領・蘭領BES諸島(ボネール・シントエウスタティウス・サバの3島による地域名の総称)
- ギルバート・エリス諸島 - ギルバート諸島(キリバス)とエリス諸島(ツバル諸島)から成った島嶼地域。
- 南洋諸島 - アメリカの信託統治による島嶼地域。現在はグアム島・マリアナ諸島北部が高度な自治権を持つ地域が存在するのみ。
- セントキッツ・ネイビス・アンギラ - 現在のセントクリストファー・ネイビスと英領アンギラ。
- 西インド連邦 - 西インド諸島を中心とした島嶼地域による連邦制を持つ植民地。
- 英領インド帝国 - インド半島本土を中心とした中央アジア最大の植民地。植民地の中に数多くの藩王国等が存在する。
- 仏領インドシナ - 現在のベトナム・ラオス・カンボジア。
将来構想
連邦化を視野に入れた地域連合
- または「ヨーロッパ連邦」[3]
- または「アフリカ連邦」[5]
提案
- 中国
- 朝鮮
- 日本
脚注
- ↑ 外務省: 各国・地域情勢
- ↑ 古代ローマの属州 テンプレート:Lang-la-short に由来
- ↑ テンプレート:Cite book
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ テンプレート:Cite web
参考文献
- 古川俊一『連邦制-究極の地方分権』ぎょうせい、1993年