沖縄都市モノレール
沖縄都市モノレール株式会社(おきなわとしモノレール)は、沖縄県那覇市でモノレール路線「沖縄都市モノレール線(愛称:ゆいレール)」を運営する鉄道会社。本社所在地は沖縄県那覇市字安次嶺377-2。沖縄県、那覇市、沖縄振興開発金融公庫及び民間企業の共同出資による第三セクター方式の会社である。
歴史
- 1982年(昭和57年)9月27日: 沖縄都市モノレール株式会社設立。
- 2003年(平成15年)8月10日: 沖縄都市モノレール線 那覇空港 - 首里間が開業。
- 2004年(平成16年)8月10日: 開業一周年を記念し、本社内に「ゆいレール展示館」がオープン。
- 2005年(平成17年)4月1日: 1日乗車券などのフリー乗車券を値下げ。
- 2008年(平成20年)7月5日: 開業五周年を記念し、「休日100円切符(休日の1駅区間限定で通常200円の運賃が100円になる切符)」を発売(当初は8月末までだったが、後に9月末まで延長。現在は終了している)。
- 2009年(平成21年)4月4日: 70歳以上の那覇市民向けに「がんじゅう1日乗車券(土日・祝日限定の1日乗車券。通常価格の半額での販売)」を発売。
- 2011年(平成23年)2月1日: 開業以来初めてとなる運賃改定を実施。普通回数券の有効期間を廃止。フリー乗車券3種類を時間制に変更(後述)。
路線
建設経緯・運行形態・駅一覧・延伸計画などの詳細は以下の項目を参照。
- 沖縄都市モノレール線(ゆいレール): 那覇空港駅 - 首里駅 12.9km
車両
- 1000形(旅客車両)
- MB-1・2(作業用車両)
運行設備等
- 運行保安装置はATCを採用し、制限速度の確認はATCの信号により速度メーター近くの表示機で確認する車内信号式。
- 運行は手動のワンマン運転で、ATOによる自動運転ではない。
- 駅舎は3両編成、軌道は4両編成まで対応。
事故等
- 2003年8月10日(開業当日) - 乗車していた子供が扉に手を挟まれたところを近くにいた大人がこじ開けて助けたものの、その際に過度の負荷が保安装置のレバーにかかったために曲がり、しばらく走行した後保安装置のスイッチが完全に接触しなくなり、古島駅とおもろまち駅の間で保安装置が作動して緊急停車し、乗客は車内に約1時間閉じ込められた[1]。
- 2005年5月9日 - 午前7時32分、下り列車(首里方面)が美栄橋駅で停車したものの、ドアを開けずに発車した。乗客4人が美栄橋駅で降りることができずに、次の牧志駅で下車し、そのほとんどは上り列車(那覇空港方面)に乗り換えて美栄橋駅まで戻ったが、中にはタクシーで直接、目的地へ向かった人もいたという[2]。
- 2007年3月8日 - 午前6時28分、首里駅にあるポイント(方向切替え装置)が動作せず、上下4本が運休になった。6時50分よりバスによる代替運送を行い始めた。その後7時20分に回復し、8時6分には通常ダイヤに戻った。この事故で400人の乗客に影響があった。ポイントに関する事故はこれで4回目(首里駅:3回、那覇空港駅:1回)[3]。
- 2012年11月19日 - 午後6時21分頃、県庁前駅ホームにおいて運転士が車両ドアを閉じたところホームドアと車両ドアとの間に乗客をとり残したまま同駅を発車。なお、同社は本件事故について記者発表等の手段による積極的な公表を行わず、同社ホームページに掲載したのみであった[4]。
これらのほかにも、モノレールに乗車する際、子供がホームと車両の隙間から落下する軽傷事故が起きている。
また、事故が起こった場合に使用する、列車が折り返すために必要なポイント(方向切替え装置)が牧志駅に設置されており、途中駅間(那覇空港 - 牧志間、牧志 - 首里間)での折り返し運転も行えるようになっている。2007年10月21日に儀保駅付近で行われた不発弾処理のため、ゆいレール史上初の那覇空港 - 牧志間での折り返し運転が朝8時頃から処理完了まで実施された。
経営状態
2003年8月から2006年7月末までに3659万947人が利用し営業収益は年々上昇するも、開業にあたり借り入れた320億円あまりの償還及び車両・設備などの減価償却費のため2005年度の経常損失は16億5965万円、純損失は16億8360万円と赤字になっており、そのため那覇市議会は、モノレール基金13億1250万円を取り崩し、無利子貸し付けする方針を採択。貸付金はそのまま、沖縄振興開発金融公庫からの長期借入金の償還に当てられることになり、有利子負債の圧縮に成功するも、固定資産税の減免措置は検討中のまま据え置かれるなど、財政基盤は未だきわめて厳しい状況に置かれている。
2009年11月に発表された同年9月の中間決算によると、観光客数の減少や新型インフルエンザなどの影響により、利用者数が前年度同期に比べ約40万人減少し、それに伴い営業損失は8億8200万と前年度同期に比べ約8000万赤字幅が拡大。また、開業後5年間の税制優遇期間が過ぎたため課税額が増額され、さらに前年同期には無かった車両の定期点検費用が負担となるなど、業績は芳しくない。 経常損失は前年同期に比べ19%拡大の4億3000万円。償却前損益では3億1800万円の黒字を維持したが、利益幅は3割近く縮小し、純損失は4億3000万円となり、前年同期に比べ17.9%拡大した。
同社では、運賃については8年ごとに10%の値上げを計画しており、予定では2011年度の値上げであったが、業績が厳しいことから普通運賃の値上げ等を前倒して申請した[5][6]。11月1日に申請認可[7]され諸調整[8]を経て、2011年2月1日に運賃改定を行った[9]。
延伸計画については2011年8月30日、首里から浦添市の浦西(仮称、西原入口交差点付近)間の軌道事業の特許申請が行われ[10]、2012年1月25日に認可された[11]。開業は2019年春を予定している。延伸計画策定経緯の詳細は、「沖縄都市モノレール線#延長計画と延伸構想」を参照。
運賃
大人普通旅客運賃(小児半額・10円未満切り上げ)。2014年4月1日改定[12]。ただし、隣駅までは2011年2月1日より「おとなりきっぷ(隣駅100円キップ)」の導入により下記の運賃表に関係なく一律100円。
キロ程 | 運賃(円) |
---|---|
- 3 | 230 |
4 - 6 | 260 |
7 - 9 | 300 |
10 - 13 | 330 |
1996年の特許申請時は初乗り運賃は260円に設定されており、3キロごとに30円加算する計画だった。その後、開業3か月前に、利用促進を目的に初乗り運賃を当時の那覇市内線のバス運賃であった200円に値下げすることを決定し、4キロごとに30円加算する方式に変更した。なお、変更前の計画では全線乗車で380円の計画だった。
定期券・回数券・フリー乗車券・乗車カード
定期券としては通勤定期券・通学定期券がある。また、回数券は普通回数券・通学割引回数券(ともに10枚綴り)がある。その有効期間は、普通回数券についてはバス以外の交通機関の回数券としては珍しく無期限であり、通学割引回数券は6か月である。また各駅の自動券売機などでは、磁気式プリペイド乗車カードの「ゆいカード」も販売されている。
その他、フリー乗車券として1日乗車券、2日乗車券、3日乗車券の3種類が発売された。それぞれ大人用と小児用があり、小児用は大人用の半額である。有効期間は2011年2月1日の改定までは購入日を基準としていたが、改定後は購入後最初に自動改札機で改札処理をしてからの時間制で、1日乗車券・2日乗車券・3日乗車券がそれぞれ24・48・72時間有効となるようになった。なお、3日乗車券は2012年10月31日をもって発売を終了した[13]。
なお、2014年10月よりICカード乗車券「OKICA」を導入する予定である[14]。これに合わせて、普通乗車券をQRコード方式に切り替える計画もある[15]。
広報活動
- ゆいレール展示館[16][17][18]
- 那覇空港駅から徒歩10分の場所にある本社・運営基地の敷地内に所在し、ゆいレールおよびかつて存在した沖縄の鉄道に関する展示や、ゆたかはじめ(エッセイスト)が寄贈した「ゆたかはじめ鉄道コレクション」・JR九州から寄贈された特急「なは」ヘッドマークの展示などがある。
- 入館料は無料。土日祝日と年末年始は休館。
- テーマソング
脚注
関連項目
外部リンク
- 沖縄都市モノレール「ゆいレール」(公式サイト)
- ↑ 手挟み事故救助し金具変形 モノレール停止の原因 - 47NEWS(ソースは共同通信、2003年8月11日付)
- ↑ ドア開けず発車 ゆいレール乗客20人以上 - 琉球新報(2005年5月9日付) ※インターネット・アーカイブ
- ↑ ゆいレール、早朝50分停止 ポイント故障原因 - 琉球新報(2007年3月8日付)
- ↑ ゆいレール 客残し発進 - 沖縄タイムス(2012年11月23日付)
- ↑ モノレール運賃来年上げも 利用者減で赤字拡大 - 琉球新報(2009年11月26日付)
- ↑ テンプレート:PDFlink - 沖縄都市モノレール(2010年9月24日付)
- ↑ テンプレート:PDFlink - 沖縄都市モノレール(2010年11月1日付)
- ↑ 沖縄都市モノレール 値上げ2月に先送り - 琉球新報(2010年12月8日付)
- ↑ テンプレート:PDFlink - 沖縄都市モノレール
- ↑ テンプレート:PDFlink - 国土交通省
- ↑ ゆいレール首里駅から延伸へ - 2019年春開業予定、バスとの乗り継ぎも考慮 - マイナビニュース(2012年1月26日付、2012年3月20日閲覧)
- ↑ テンプレート:PDFlink - 沖縄都市モノレール(2014年3月5日付、2014年4月6日閲覧)
- ↑ 【お知らせ】-三日乗車券の販売終了について-(ニュースリリース) - 沖縄都市モノレール(2012年10月25日付、同日閲覧)
- ↑ 沖縄のIC乗車券は「OKICA」(沖縄タイムス、2014年1月29日)
- ↑ 来年10月からQR券を導入 沖縄都市モノレール(琉球新報、2013年12月28日)
- ↑ ゆいレール展示館のご案内 - 沖縄都市モノレール(2012年10月28日閲覧)
- ↑ ゆいレール展示館 - ゆいなび(スカイホールディングス、2012年10月28日閲覧)
- ↑ メンバー紹介 - 一般社団法人トラムで未来をつくる会(2012年10月28日閲覧)
- ↑ ゆいレールソング - 沖縄都市モノレール(2012年12月9日閲覧)
- ↑ テンプレート:PDFlink - 沖縄しまたて協会(当間清勝・花城保 著、2004年10月発行(第31号)、2012年12月9日閲覧)
- ↑ らぐぅんが歌う「ゆいレールが行くよ」CD新発売!(ニュースリリース) - 沖縄都市モノレール(2012年5月2日付、同年10月28日閲覧)
- ↑ らぐぅんミニアルバム - 御菓子御殿(2012年10月28日閲覧)
- ↑ これからの<らぐぅんプロジェクト> - ぐんぐん らぐぅん ラグーン(公式ブログ、2012年10月18日付、同月28日閲覧)