こと座
こと座(琴座、Lyra)は、トレミーの48星座の1つ。北天の星座で、あまり大きな星座ではない。
α星は、全天21の1等星の1つであり、ベガ(七夕のおりひめ星)と呼ばれる。ベガと、はくちょう座α星のデネブ、わし座α星のアルタイルの3つの1等星で、夏の大三角と呼ばれる大きな二等辺三角形を形成する[1]。
都会など空の条件のよくないところでは、明るいベガしか見えないが、そのすぐ近くに3-4等星が平行四辺形に並んでいるため、空の環境が良ければ比較的見つけやすい星座である。
主な天体
恒星
- α星:ベガ(Vega)は、こと座で最も明るい恒星で、全天21の1等星の1つ(実視等級0.03等)[2]。スペクトル型A型の主系列星で[2]、地球から比較的近く、およそ25光年の距離にある[2]。この星には塵のリングが見つかっており、惑星が存在するのではないかと考えられている。また、この星は写真に撮影された最初の恒星でもある。さらに13000年後には、北極星になる。
- β星:シェリアク(Sheliak)は、B型の青色輝巨星(3等星)で、変光星である。「こと座β型」食変光星の代表星となっている。8等の伴星のある見かけの二重星でもある。
- γ星:スラファト(Sulafat)は、B型の巨星で、β星と同じく3等星である。連星でもある。
- δ星:青白い6等星(δ1星)と、4等から5等に変光する赤色輝巨星(δ2星)からなる見かけの二重星である。
- ε星:5等のε1星と4等のε2星からなる二重星。かろうじて肉眼で見分けられるかどうかという程度の角距離で、全体で4等星となっている。さらに各々の星が実視連星であり、「二重の二重星」となっていることからダブル・ダブル・スターとも呼ばれている[3]。望遠鏡ならば、ε1星・ε2星ともに分離でき、4重星になっているのが分かる。
- ζ星:4等星と6等星からなる見かけの二重星。双眼鏡で見分けることができる。
- RR星:7等から8等まで収縮膨張を繰り返す「こと座RR型」脈動変光星の代表星である。
星団・星雲・銀河
その他
- WISEPA J182831.08+265037.8:知られている中で最も低温の褐色矮星。
神話
非常に古い星図には鳥、特にハゲタカ(Vultur cadens)と記載される。はくちょう座、アルタイルとともに、ヘラクレスの12の冒険の6番目の冒険で殺された鳥とされる。
「こと座」とされるようになってから『カタステリスモイ』が語る神話は次のとおり。
発明の神ヘルメースがライアーを発明し、アポローンが譲り受けて弾いた。この琴はアポローンの息子オルペウスの物となり、オルペウスは有名な音楽家になった。やがてオルペウスは妻エウリュディケーを娶ったが、妻はヘビに噛まれすぐに死んだ。悲しんだオルペウスは冥神ハーデースのところに行き、琴を弾きながら妻を戻してくれるよう頼んだ。ハーデースは琴の調べが大変に美しいのでこれを許可したが、途中決して振り返ってはならないという条件をつけた。帰る途中、もうちょっとというところでオルペウスは思わず後ろを振り向き、妻は冥界に連れ戻され、永遠にいることになり、オルペウスは身を投げて死んだ。(一説には、酒神ディオニューソスの祭りで泥酔した女たちに殺された)琴はそのまま川を流れていたが、ゼウスが拾い、星座とした。
東アジアの七夕伝説
テンプレート:Main こと座の1等星ベガは、中国・日本の七夕伝説では織姫星(織女星)として知られる。わし座のアルタイルを牛飼いに見立てた恋物語が伝わっている。東アジアでは、7月7日がこの2つの星の祭日である。
出典
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ 2.0 2.1 2.2 テンプレート:Cite web
- ↑ 『天体望遠鏡で楽しむ星空ガイドブック』ビクセン 2009年 5版。33P
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参考文献
- パトリック・ムーア(編) 『ギネスワールド - 天文と宇宙』 中村 士・高田昌英・湯浅 学(訳) 講談社、1982年。
- 原 恵 『星座の神話 - 星座の歴史と星名の意味』 恒星社厚生閣、1975年。