矢印
テンプレート:Redirect テンプレート:特殊文字 矢印(やじるし)とは主に方向を指し示すのに使われる記号。
代表的なものに←、↑、→、↓があり、それぞれ左、上、右、下を表す。
矢印という名前は読んで字のごとく、矢を表している。これは矢の、一度特定の方向に放たれたら地面に落ちるまで真っ直ぐに進む性質を想起させるため、世界中で一般的に使われている。
目次
矢印の種類
方向
矢印は普通特定の一方向を表すが、ある方向とその反対の方向の両方を表す双方向の矢印も存在する。これは具体的な方向を示す場合よりは対象物・概念どうしの関係性を示す場合によく使われる。また、数学などでは図で、「ここからここまでの距離」という意味で使われる事もある。双方向の矢印には、1本の矢印で示すもの(テンプレート:JIS2004フォント↕)や、2本の矢印がセットになったもの(テンプレート:MacJapaneseテンプレート:MacJapanese)がある。
書き方
矢印は、シャフト(箆)となる線分の終点にアローヘッド(鏃、矢尻)を付けた形である。
アローヘッドは、「∧」形あるいは「▲」が一般的だが、二等辺三角形、凹四角形、Λ形の半分だけ、逆ハート型なども使われる。三角形の場合、黒(▲)と白抜き(△)がある。白抜きの場合、シャフトがアローヘッドを突き抜ける場合と、突き抜けずに底辺から伸びる場合がある。
シャフトには、通常のもの(→)のほか、ダブルトラック(⇒)、トリプルトラック(⇛)、白抜き(テンプレート:JIS2004フォント)、点線(⇢)などがある。シャフトの始点に小さな黒丸、短い横棒などのテールをつけることがある。矢印の前後間を表す目的などでシャフトを曲げて表記することも多い。
一方指示マーク(テンプレート:MacJapanese)や、アローヘッドのみ(▲、Λなど)を矢印の意味で使用することがある。
多くの場合は矢印の形状によって意味が変わることはないが、ソフトウェア工学のUMLのような形状によって意味の異なる例も存在する。
用途
進行方向や目的物の方向の指示
道路標識などでの案内で使用されることが多い。路面上、あるいは標識看板、案内図などでよく用いられ、標識では一方通行や進行方向の制限での用途で使用される。「テンプレート:ARIB外字フォント」(「↑↓」の間を詰めて並べた物)で対面通行を示すような標識も存在する。
日本での標識例
- Japan road sign 326-A-L.svg
一方通行
- Japan road sign 202-L.svg
左方屈曲あり
- Japan road sign 205-L.svg
左背向屈折あり
- Japan road sign 201-2.svg
ロータリー
- Japan road sign 206-L.svg
左つづら折りあり
- Japan road sign 212-2.svg
二方向交通
- Japan road sign 311-A-L.svg
指定方向外通行禁止
- Japan road sign 312.svg
車両横断禁止
- Japan road sign 313.svg
転回禁止
- Japan road sign 314.svg
追越しのための右側部分はみ出し通行禁止
目的の場所がどの方向にあるかを示す目的で示すことも多い。看板などでの表記方法はさまざまである。矢印の脇や端、矢印の中や重ねる形で説明が行われることがある。
テンプレート:- 羅針盤でのN極の示す方向から、矢印の先を北の方向として示す用途もある。
数学
- ベクトル
- 上に付けたテンプレート:JIS2004フォントはテンソル(あまり一般的ではない)
- →は極限
- ↑はクヌースの矢印表記、→はコンウェイのチェーン表記。
- 論理演算で、⇒・→は論理包含(ならば)、⇔・テンプレート:JIS2004フォントは同値 (IFF)、↓・⩛は否定論理和 (NOR)、↑・⩚は否定論理積 (NAND)
- ⇔は合同
- ⤅・⤇は写像、⤖はbijective写像(全単射 (bijection) とは別)
コンピュータ
- マウスカーソルなど、ポインティングデバイスのポインタ。矢印の先端が位置を表す。典型的には左上向き白抜き矢印(⬀)。
- 抽象アルゴリズムやいくつかのプログラミング言語で←は代入。C言語の=、Pascalの:=に当たる。
- いくつかのプログラミング言語で↑は冪乗
- Z言語では、→はtotal function、テンプレート:JIS2004フォントはrelationなど、多くの矢印が使われる。
- APLでは、←はベクトル(配列)の代入、↓はベクトルの第1要素のドロップなど、多くの矢印が使われる。
- キーボードのキートップや印刷物での入力指示で、↑↓→←はカーソルキー、テンプレート:JIS2004フォントはシフト、⇪・⇬はCaps、⇫はレベル2ロック、⇭はNum、⇮はレベル3セレクト、⇯はレベル3ロック、⇰はグループロック、↸・⇱はHome、⇲はEnd、⇳はスクロール、↵・テンプレート:JIS2004フォント(リターン記号)はリターンキー
- ↡は改ページ、↴は改行、↵は改行または復帰
- ⇞は次ページ、⇟は前ページ
- ⇤は左タブ、⇥は右タブ(ふつうのタブ)
UML
- UMLでは図の種類や形状で意味が異なる。
- クラス図とパッケージ図では、実線のシャフトと「△」で示される矢印は汎化を表す。破線のシャフトと「△」で示す矢印は実現を表す。実線のシャフトと「∧」で示す矢印は関連を表す。破線のシャフトと「∧」で示す矢印は依存を表す。
- アクティビティ図では、実線のシャフトと「∧」で示す矢印はコントロールフローを表す。破線のシャフトと「∧」で示す矢印はオブジェクトフローを表す。
- ステートマシン図では、実線のシャフトと「∧」で示す矢印は状態の遷移を表す。
- シーケンス図とコミュニケーション図では、実線のシャフトと「▲」で示す矢印は同期メッセージ、実線のシャフトと「∧」で示す矢印は非同期メッセージを表す。破線のシャフトと「∧」で示す矢印は応答メッセージを表す。
言語学、文学、作品
- 若者などを中心に長音符(ー)の代わりに用いることがある。例: 「超」を「ちょ→」。テンプレート:JIS2004フォントで浮かれた口調、テンプレート:JIS2004フォントで沈んだ口調を表すこともあり、これらは長音符を使わない場面でも使われる。
- IPAでは、↑は呼気、↓は吸気、 ͍(文字の下のテンプレート:JIS2004フォント)はlabial spreading、 ͎(文字の下の↑)はwhisled articulation
- 話し手と聞き手の関係を矢印を用いて表すことがある。(A→Bは、Aが話し手でBが聞き手)
- 一部の画像・映像作品においては、矢印が男性器を暗喩することがある。
理化学
- 化学反応式で↑は気体発生、↓は析出物質。(例) Zn+2HCl→H2↑+ZnCl2↓
- 回路図で↗は可変(可変抵抗、可変コンデンサなど)
- ↯は電気分解
- 国際天気図記号でテンプレート:ARIB外字フォントは雷光、☈は雷鳴、テンプレート:JIS2004フォントは細氷
その他
- 時刻表で⇂は列車の進む向き
- 占星術で♐は人馬宮(いて座)、♂は火星
- テンプレート:絵文字フォント・テンプレート:絵文字フォントなどはリサイクル(が可能な製品)
矢印の代用
ASCIIに矢印は含まれていないため、ASCII環境ではアローヘッドを模した^(サーカムフレックス) v < >(不等号)で代用されることがある。横向き矢印は<- ->で表されることもある。
いくつかのマークアップ言語では、^と_(アンダースコア)で上付き・下付き文字を表す。これは、ASCIIの初期のバージョンには↑と↓が含まれていて、現在のASCIIでそのコードポイントが^と_になっていることに由来する。
C言語では、->はアロー演算子と呼ばれ、ポインタが指す構造体のメンバを表す。また、<<と>>はビットシフトを表す。C++では<<と>>はストリーム入出力も表す。
矢印の文字コード一覧
日本語の文字コードを定めたJIS X 0213に規定されている矢印類の記号と、対応するコードおよび名称を示す。(JIS X 0213コード順) テンプレート:Sister