サーカムフレックス
テンプレート:Redirect テンプレート:特殊文字 テンプレート:ダイアクリティカルマーク サーカムフレックス(テンプレート:Lang-en)は欧文用の「山」形の記号で、フランス語、ポルトガル語、ベトナム語、ルーマニア語、エスペラント語、日本語のローマ字などで用いられるダイアクリティカルマークの一種。
また、ASCIIに含まれ、文字表記以外の用途で独立した記号としても使われる。この場合とくにハット記号ともいう。
目次
各言語における用法
以下は概観であり、詳細については各言語の関連項目を参照のこと。
ラテン・アルファベット
- フランス語
- アクサン・シルコンフレクス[1]という。â, ê, ô はそれぞれ テンプレート:IPA2, テンプレート:IPA2(è と同じ), [o] の音に確定するが、î, û はアクサンのない i, u と発音上の区別はなく、単に同綴語を識別するだけの機能しかもたない。歴史的には、この符号が付加される母音の後ろに s があったか、重母音であったことが多い。#関連項目にリンクのあるフランス語版の記事が詳しい。
- ポルトガル語
- アセント・シルクンフレクソ[2]といい、狭めの母音を表す。すなわち、アキュート・アクセントの á,é,ó が広めの母音を表す[3]のに対し、â, ê, ô はそれぞれ テンプレート:IPA2, テンプレート:IPA2, テンプレート:IPA2 のような音を表す。
- スロバキア語
- ô は、テンプレート:IPA2 を表す。
- ルーマニア語
- î と â はどちらも同じ音で、中舌狭母音テンプレート:IPA2を表す。
- ウェールズ語
- â, ê, î, ô, û, ŵ, ŷ があり、それぞれサーカムフレックスのつかない母音に対して長母音を表す。ただしサーカムフレックスのつかない母音が常に短いわけではない。
- グリーンランド語
- 1973年以前の旧正書法では â, î, û があり、長母音を表していた。現在は母音字を重ねて aa, ii, uu のように記す。
- エスペラント
- ĉ, ĝ, ĥ, ĵ, ŝ があり、それぞれ テンプレート:IPA2, テンプレート:IPA2, テンプレート:IPA2, テンプレート:IPA2, テンプレート:IPA2 を表す。
- ラトビア語
- 正書法上は使用しない。上昇下降調の声調を表す声調記号として学術書で用いられる。
- ベトナム語
- â, ê, ô が使われる。ê, ô はそれぞれ狭いテンプレート:IPA2, テンプレート:IPA2 であり、â は中舌のテンプレート:IPA2を表す。なお、声調記号はサーカムフレックスと複合して書かれる。
- 中国語
- 使用頻度は低いが、拼音で ê は テンプレート:IPA2 を表す。声調記号はサーカムフレックスと複合して ê̄, ế, ê̌, ề と書かれる。
ほかにイタリア語では母音の縮約を表すのに使われることがあった(-io で終わる名詞の複数形を -î と書くなど)が、現在では廃止されている。
ギリシャ・アルファベット
ギリシャ語は古典時代には高低アクセントを持ち、伝統的にサーカムフレックス(テンプレート:Lang-el ペリスポメニ)で下降調を表した。現代ギリシャ語では用いられていない。
ギリシャ文字のサーカムフレックスは、山形というよりはチルダや倒置ブレーヴェに似た形をしていることが多い。
音声記号
その他の用法
ISO 9:1995 のキリル文字翻字体系では、キリル文字と1対1に対応させるために多くのアクセント記号つき文字を使用する。サーカムフレックスのついた文字には â, ĉ, d̂, ê, î, k̂, l̂, n̂, ô, ŝ, û, ẑ があり、それぞれキリル文字の я, ҹ, џ, є, ӥ, ҝ, љ, њ, ө, щ, ю, ѕ に対応する。
セルビア語、クロアチア語、スロベニア語で下降調長母音を表す倒置ブレーヴェの代用として使われることがある。
日本語のローマ字におけるサーカムフレックス
日本語のローマ字にはいくつかの方式があり、長音の表記方法も複数あるが、訓令式系のローマ字表記においては、母音にサーカムフレックスを添えることによって長音を表す。
これに対してヘボン式などの方式では母音にマクロンを添えることが一般的で、実際にはこちらのほうがずっと優勢であるテンプレート:要出典。
単独に用いられるサーカムフレックス
サーカムフレックスすなわちハット記号は、標準的なASCII文字コードに含まれ、キーボード入力も容易であることから、とくにコンピューター言語などの分野において、多様な用途を生じている。母音に添えるような用法とは全く関係なく、独立の記号として用いられるものである。以下にその一例を示す。
- 上付き文字が使用できない環境で冪乗の指数を表現する際に ^ を用いて表現することがある。たとえば「X²」のように表現できないときに、代わりに「X^2」と記述する。このとき^は一種の演算子であると言える。Visual Basicなど、いくつかのコンピューター言語でもこの書式を採用している。
- C言語の
^
は「ビットごとの排他的論理和」の意味。 - C++/CLIではオブジェクトへのハンドル型を示す記号として使用される。 例 :
System::Object^ o = gcnew System::Object ;
- 正規表現では「文字列のはじまり」を指すマーカーである。また、「文字クラスリテラルの手前に置いて『〜以外』を意味する」用法もある。
- ASCIIの制御文字を、^ と表示可能文字の2文字で表す場合がある。例:^H(バックスペース)。
符号位置
記号 | Unicode | JIS X 0213 | 文字参照 | 名称
テンプレート:CharCode テンプレート:CharCode テンプレート:CharCode テンプレート:CharCode |
---|
HTMLの定義済み文字実体参照
HTMLでは、一部のサーカムフレックスのついた文字について文字実体参照が定義されている。これを使って「&母音字circ;
」という形で書くことで、サーカムフレックスつきの文字を表現できる。以下に例を示す。
- 「
România
」と書くと「România」と表示される。 - 「
Ôsaka
」と書くと「Ôsaka」と表示される。
また、独立したサーカムフレックス「ˆ」は、「ˆ
」と書くことで表現できる。
脚注
関連項目
- Accent circonflexe en français - ウィキペディアフランス語版「フランス語におけるサーカムフレックス」
- 類似の記号
- ↑ テンプレート:Lang-fr-short
- ↑ テンプレート:Lang-pt-short
- ↑ ただし、éに関しては、ém, én の綴りにおいてのみ、アクセントがあることだけを表し、広めの母音ではない。