蒸す
テンプレート:出典の明記 蒸す(むす)とは、水を加熱し発生した湯気を利用して食品を加熱する調理法である。湯気とは、沸騰して気化した水蒸気が空気中で冷やされ白い霧状の液体になったものである[1]。蒸かす(ふかす)ともいう。
蒸し湯を沸かした鍋と蒸籠(せいろ)を使う方法のほかに、食材自身や酒などの液体調味料の水分を利用した方法がある。
方法
本格的な蒸し器としては蒸籠がもっともよく使われる。
蒸す際にはあらかじめ鍋で水を沸騰させて蒸し湯を作り、その鍋の上に加熱したい食材を入れた蒸籠を置く。湯気を絶えず充満させるため、水は常に加熱し、蒸籠には蓋をしたままにしておく。中華まん、シュウマイなどの点心はこの方法で蒸されることが多い。蒸篭の蓋は竹や木を編んだものであり湯気が抜けやすく、必要以上に湯気をこもらせて食材をびしょびしょにしてしまうことが起こりにくい特長がある。
蒸籠がない場合は、大きめの鍋に少し水を張り、それよりも高い五徳や茶碗などの台を置いて、その上に皿や網を乗せ、蓋で密閉して加熱すると蒸すことができる。この方法の方が短時間に蒸すことが可能なため、中華料理の蒸し魚や蒸し蟹はこうして蒸されることも多い。取り出す際にやけどをしやすいため、トングの先を曲げたような形の取り出し器具も中国ではよく使われている。
また電子レンジでも、器に蓋をしたり、ラップ類を張って加熱することにより、食材の水分を使って蒸すことができる。専用の容器がみられるほか、近年はスチームオーブンなどその機能が付与された機種も見られる。
蒸し調理が、茹でる場合のように湯に水溶性の栄養素が溶け出さないこと、または炒める場合のように油を必要とせず低カロリーですむため、蒸し加熱によるヘルシー志向の温野菜調理を好む者もいる。
湯気や水蒸気を用いる他の調理法
湯気を用いて加熱する調理法は別の調理法の副次的な方法としてとられることが多い。食材の中心にまで加熱することを主な目的としている。湯気が存在できないほどの高温の水蒸気を用いて加熱する調理法は西洋料理に多く見られ、従来の日本料理には見られない方法である。
- 蒸し焼き
- 焼く過程において、水、酒などを加えて蓋をし、発生した水蒸気や湯気で加熱する調理方法。また、食材に元々含まれていた水分で蒸し焼きする場合もある。肉や魚を炒める料理や鉄板焼きなどで多く使われる。モロッコなどのタジン鍋は蒸し焼きにするために適した調理器具。
- 蒸らす
- 米を炊く際によく用いられる方法で、調理の最終工程の加熱後、食材に残った熱による調理方法であり、発生した湯気により食材がふっくら、しっとりとした状態にできる。
- ロースト
- ブロック肉や丸鶏など調理する際によく用いられる方法で、通常は安定加熱のためオーブンなどを使用する。オーブン内を数百℃に保ち時間をかけて一定温度で加熱する。投入時は蒸し焼き状態になる。経時後は高温のため湯気が発生せず、乾いた雰囲気により食材表面に焼き目を付けることができる。
「蒸す」料理の例
日本料理
- 茶碗蒸し
- 小田巻蒸し
- 茶碗蒸しにうどんを入れたもの。大阪名物。
- 土瓶蒸し
- 酒蒸し
- もち米料理(もち、赤飯など)
- 饅頭、蒸し羊羹、軽羹、外郎、すあまなど、和菓子では蒸しが重要な工程となっている事が多い。
- 蒸しパン
中華料理
- 饅頭(マントウ)、窩頭(ウォートウ)、蒸し飯などの主食
- 点心の一部
- 蒸し魚 - ハタ類、ケツギョ、クロダイ、フウセイなど。
- 蒸し蟹 - 上海蟹など。
- 蠘飯(蟳飯) - ワタリガニ類を乗せて蒸す、福建料理のおこわ。
- 蒸水蛋 - 茶碗蒸しに似た卵料理で、各地で具や形状が異なる。
- 粉蒸肉 - 豚肉に砕いた米をまぶして蒸す料理。
- 醸豆腐 - 豆腐に豚のひき肉などを詰めて蒸す客家料理のひとつ。
- 壷蒸しスープ - 江西料理の煨湯や福建料理の佛跳牆など。
- 冬瓜盅 - トウガンをくりぬいて、中にスープを入れ蒸す料理。
- 汽鍋鶏 - 蒸気が内側に入る構造の特殊な土鍋を使う、雲南料理のニワトリの蒸しスープ。
- 大良双皮奶(牛乳プリン)
- 亀苓膏(亀ゼリー)