鉄板焼き
鉄板焼き(てっぱんやき)とは料理に於ける調理法の一つで、特に鉄板(あるいはこれに類する調理器具)を用いて調理する方法を指す。この方法で調理した料理そのもの、あるいは同種の料理を提供する飲食店を指すこともある。
歴史
日本で食物を焼いて調理する場合、古くは直火焼きに始まり、薪などを使ったかまどによる加熱調理の時代を経て、江戸時代以降は七輪などで加熱する方法が一般的だった。ガスコンロの普及以前は家庭で鉄板を調理可能な温度に熱することは効率的ではなく、鉄そのものも貴重品であった。鉄板を用いた調理が一般化するのは、戦後の闇市や屋台において廃品の鉄板の上で調理した料理を販売したことに始まると言われることもあるが、実際は戦前からお好み焼きやもんじゃ焼では一般的であった。鉄板焼きの多くは外食、キャンプ料理、お祭りの際の食事と位置づけられている。今日では電気式のホットプレートが普及し、家庭内でも手軽に鉄板焼きを楽しむことが出来る。
海外での普及
日本国外では "Teppanyaki" の呼称による日本料理として普及している。これは1964年にニューヨークにオープンしたBenihanaやSHOGUNといった日本国外の日本料理チェーン店で鉄板焼きが供されたことによる[1][2]。料理人が鉄板でステーキなどを調理し、カウンター越しに座る客に提供するスタイルは1945年に寿司店から着想を得て神戸発祥のステーキ専門店「みその」が始めたものである[3]。料理人の見事な手捌きも楽しませるステーキの鉄板焼き店のサービスは日本人よりも日本国外の人に好まれ、「みその」は日本国外からの有名な観光スポットとなっている。北米の鉄板焼きレストランでは、輪切りにしたタマネギを重ねて富士山に見立て炎をつけて白煙を噴出させたり、火をつけた料理器具でジャグリングをするなど料理の範疇を超えたショーとしても知られる。七輪と火鉢の混同からかHibachiとも 呼ばれる。
鉄板の厚さ
料理する素材などにより、最適な厚さが存在する。例えばお好み焼きなど、長時間にわたり一定温度を持続する必要のある物は厚手のものを使用する。またキャンプなどで使用するものは、可搬性を考慮し薄手の物や鋳造の物もある。
手入れ
- から焼き
- 鉄板を最初に使う際に行う作業でもある。目的は鉄板に付着した工業用の油脂分等を焦がし除去することにある。後に洗浄し再び加熱、水分を除去した後にサラダオイルなどをなじませる。
- 日常の手入れ
- お好み焼き屋など一般的には洗浄するに留めるが、ステーキハウスなどでは日に一度、研磨剤で研磨を行う。研磨剤で研磨した後はサラダオイルなどで酸化を防ぐ。
料理
いわゆる「鉄板焼き」の店舗で供されるのは牛肉(ステーキ)が代表的であるが、魚介類(エビ、ホタテガイ、イカなど)、野菜の鉄板焼きも多く見られる。また、小麦粉を水で溶いたものを焼いて調理する料理の多く(お好み焼き、どんどん焼き、もんじゃ焼き、キャベツ焼き、一銭洋食など)も鉄板焼きで調理されることが多い。
屋外料理としての鉄板焼き料理としては焼きそばやちゃんちゃん焼きなどがある。