なるたる
テンプレート:Infobox animanga/Header テンプレート:Infobox animanga/Manga テンプレート:Infobox animanga/TVAnime テンプレート:Infobox animanga/Footer テンプレート:Sidebar with collapsible lists 『なるたる』は、鬼頭莫宏による漫画、及びそれを原作としたテレビアニメ。「月刊アフタヌーン」(講談社)1998年5月号から2003年12月号に連載された。単行本は全12巻。英語圏でのタイトルは「Shadow Star」、アジア圏でのタイトルは「星星公主」である。
目次
概要
オムニバス形式で描かれた冒険活劇である。鬼頭の描く華奢なシルエットを持つ子供達、特に主人公であるシイナを始めとする少女達の活躍や心情、そしてそれらの死に至る描写も過剰に描かれたメルヘン、ひいては童話である。主人公の動機や敵組織との対立構図などはわかりやすいものだが、物語中盤以降では様々な人物の動機や心情を話の主題として描かれていることも多い。それらにともなった周囲の変化がもたらす様々な事象によって主人公は世界の命運を担っていく。
タイトルは「骸なる星 珠たる子(むくろなるほし たまたるこ)」の意味。
キャッチコピーは「未来に贈るメルヘン」、アニメ化に際しては「夢はでっかく地球サイズ」というものである[1]。
最終巻発刊からしばらくして実質的な絶版(品切重版未定)となった。それ以降、入手困難な状態が長らく続いていたが、2007年にオンデマンド出版のコミックパーク(受注生産の紙媒体)やYahoo!コミックなどの電子配信で復刊された。さらに同年11月、作者の公式サイトにおいて再版が決定したとの告知があり、同年12月に単行本の再版が開始された。2011年現在では一般書店などで容易に入手可能となっている。
作者によると、一話の時点で8割は流れが決定していて、ラストの展開も当初からあったという[2]。本作では、残酷な描写が多く見られるが、これは意識的ではなく、病んでいた当時の作者の精神状態が反映されたのかもしれないと語っている[3]。
あらすじ
小学6年生の玉依シイナは小学校最後の夏休みに祖父母の住む島に行き、海で溺れかけたところを星の形をした変わった生き物『ホシ丸』に助けられる。ホシ丸は少年少女の意識とリンクし、変幻自在の能力を発揮する「竜の子」の一体であった。他の「竜の子」の持ち主(リンク者)との出会いのエピソードを挟みながら、シイナは「竜の子」を用いて世界をリセットしようとするリンク者たちの一派との戦いに巻き込まれて行く。
登場人物
主人公近辺の人物
- 玉依シイナ(たまい シイナ) 竜の子:地球(呼称不明)
- 声 - 真田アサミ
- 本作品の主人公。初登場の際は小学6年生で、スポーツチャンバラの教室に通い、料理が得意な明るい性格の少女。大事な物は腹巻とペキンナベで、本人は「どんな料理もこれ一個」で作れると豪語している。
- 父親(玉依俊二)と二人暮らしで、母親とは別居中。なお、本名は漢字表記の「秕」であるが、母親(玉依美園)との確執と、「中身が無い実」、「実ることのない種子」というネガティブな意味を持つ漢字であるという理由から、自分の名前を書く際には「シイナ」とカタカナ表記にしている。この名前は亡き姉・実生のようにどこにもいかないようにという願いからつけられたものであったことが物語終盤で明かされる。
- 田舎である祖父母の住む島に里帰りした際に竜の子「ホシ丸」と出会い、数々の出会いを経験し、様々な思惑と出来事に巻き込まれていく。しかし、他の竜の子のリンク者たちとは異なり、ホシ丸とリンクしている様子は見られない。
- 物語中盤から名門の私立中学校に進学し、髪型もショートカットに変更する。
- 実は、ホシ丸とリンクしているのは鶴丸丈夫であり、シイナの竜の子は地球そのものである。名前は不明で、涅の竜の子「シェオル」と2体で地球を構成している。タラスクの件の際、米軍の砲撃を受けて死亡するが、その後シイナの竜の子である地球に体を修復され生き返って祖父母の住む島の浜辺に打ち上げられた。物語終盤、父を目の前で失った上ホシ丸に導かれて向かったシェオルの手の上で須藤の最期を看取った直後に精神が崩壊しかけるが、その際明から自分の名前の本当の意味を知らされ、それによって自身の竜の子である地球とリンクする。最終的にはシェオルによって破壊された地球に涅と2人だけ生き残り、そのさい鶴丸の子供を懐妊したことが判明する。
- 佐倉明(さくら あきら) 竜の子:エン・ソフ
- 声 - 能登麻美子
- 中学2年生の少女。スポーツチャンバラ教室の体験入学の際にシイナと出会った。本作品で最初に登場する竜の子のリンク者。
- 両親は飲食店「むつ」を経営している。容姿端麗ながら内向的な上に対人恐怖症で、人と接するのが苦手。そのためクラスの女子を中心にイジメを受け、不登校に陥っている。自身も「エン・ソフ」と呼ぶ竜の子の交信者であったことから、シイナと共に多くの出会いを経験することになる。鶴丸曰くニンフォマニアである。
- 物語中盤で、小森にもらったナイフで父親を殺害、少年院に入ることになる。その後、須藤に連れられて施設から逃亡し、ある病院の地下で小森と再会した。物語終盤でシイナと共に須藤の死を看取った後、米軍の爆撃を受けて意識不明の重傷を負うが、意識を失う直前にシイナに彼女の名前の本当の意味を伝える。最終回で竜の子を憎む暴徒によって病室の窓から落とされ死亡した。
- 玉依俊二(たまい しゅんじ)
- 声 - 飛田展男
- シイナの父親。元木航空にて飛行艇を使った運輸等の業務をこなす会社員、パイロット。
- 操縦センスは一流で、元は航空自衛隊に所属していた。よって人脈の広さも相当なもので、テストパイロットや模擬演習に指名されることもしばしば。後に元木航空に納入されたSu-27 フランカーのパイロットとして活躍する。物語の中で何度か竜の子と関わっている(模擬演習中にハイヌウェレに飛行機を撃ち落される、元木航空に乗り込んできた鬼に襲われるなど。ロシアでのエピソードでは成竜と乙姫に出会った)。物語終盤、ハイヌウェレを戦闘機のエンジンに巻き込んで粉砕し倒すことに成功するが、その際にコクピットを銃撃されて命を落とす。
- 鶴丸丈夫(つるまる たけお) 竜の子:ホシ丸
- 声 - 宮下栄治
- シイナが田舎の島から帰路につく際、飛行艇に同乗していた青年。竜の子についてもいろいろ認知している。
- 数々の女性との間に子供を多く作っている。面倒見のいい人間で、シイナを見守る数少ない人物でもあり、物語の後半で家出してきたシイナを自分の住まいに迎えた。便利屋に近い仕事で生計を立てているが、ある時その仕事で美人局を行っていたチンピラを痛い目にあわせたことが後にのり夫の死の原因に繋がってしまう。
- 実はホシ丸のリンク者であり、ホシ丸の本来の持ち主である。物語後半のタラスクの件でシイナの死を目の当たりにし、さらにその直後核爆発に巻き込まれて放射線を浴び、被爆してしまう。やがて髪の毛が抜け落ちるなどの症状が現れ始め、終盤では寝たきりになるほど症状が悪化した。シイナの死後、彼女の遺体を持って家に帰ってきた際のり夫が殺されたことを知り、同時にそこでシイナの両親と初めて対面した。後にシイナが生き返ったと知らされた際にはシイナがいる田舎の島に駆けつけ彼女の無事を喜んだが、シイナは彼がホシ丸のリンク者であることを知ったと同時にホシ丸がひろ子を殺したのも彼の仕業だと気づいたため、結局その時は拒絶されてしまった。終盤ではのり夫を殺害したヤクザ達を殺し、のり夫の仇を討つ。その後シイナと交わり、自分の子供を彼女の胎内に遺した。最終回で竜の子を憎む暴徒によって射殺され、ホシ丸は彼の魂を取り込もうとするが失敗して機能停止した。
- 古賀のり夫(こが のりお) 竜の子:ヴァギナデンタータ
- 声 - 赤石広樹
- 鶴丸と共に飛行艇に同乗していた人物。造形が生業で、様々な人形や竜の子に似た模型を作り上げており、個展も幾度か開いている。一見美少女と見間違うほど、女性的な容姿・服装をしているが、実際は男性である。竜の子「ヴァギナデンタータ」で鶴丸を様々な形でサポートしている。
- 毒舌家で人見知りが激しいが、鶴丸とは常に行動を共にし、あけすけに接している。鶴丸に対しては同性でありながら恋愛感情とそれを実現出来ないゆえに生ずるコンプレックスを抱いている。
- 物語後半で鶴丸への復讐のためにチンピラたちが鶴丸の家に押しかけてきた際、チンピラたちが連れてきた「豚食い」と呼ばれているヤクザに陵辱され、ナイフで体を解体されるという凄惨な最期を遂げる。死の直前までシイナと鶴丸を守るため、自らの命を省みず、ヴァギナデンタータを操作して2人を戦闘機の爆撃から守り続けた。
- 貝塚ひろ子(かいづか ひろこ) 竜の子:「鬼」(正式名称不明)
- 声 - 野川さくら
- シイナのクラスメイトで親友。3つ編みが特徴的な女の子。毎回テストで好成績を収めるほど勉強が良く出来る。シイナの作るご飯が大好き。
- 実は彼女も竜の子のリンク者。彼女の竜の子には具体的な名前はないが、目撃者からは「鬼」と呼ばれており、彼女の部屋のクローゼットにずっと隠してあった。本来は明るい性格だったが、難関私立中学への合格を目指して父親からスパルタ教育を強いられており、またクラスメイトから陰湿ないじめを受けていたことから、明るさを抑圧されていた。やがてある出来事がきっかけで過酷な現実に耐え切れなくなり、竜の子を使って両親と自分をいじめていたクラスメイト達を惨殺、さらにシイナのためだとしてシイナの父・玉依俊二までも殺そうとし、それに逆上したシイナに殺されそうになるが、その直後にシイナの目の前でホシ丸に絞殺された。その後は彼女と両親の遺体は鶴丸によって処分され、貝塚一家は行方不明扱いとなる。
- 玉依美園(たまい みその)
- 声 - 茉雪千鶴
- 別居中のシイナの母親で名づけ親。シイナに対し母親とは思えぬ冷たい態度を取っている。当のシイナ自身とも折り合いが悪い。「臨時軍用気球研究会議」という国家機関の科学者を勤めている。夫と共に愛煙家である。
- 紆余曲折の末、最終的にはシイナと和解する。本当はもとよりシイナのことを愛しており、冷たくしていたのはシイナの姉、玉依実生の一件があったからであった。俊二の死後シイナを引き取り生活を共にするも、最終話でシイナと外出した際に竜の子とリンク者を憎む暴徒たちに襲われ、射殺される。
黒の子供会
- 須藤直角(すどう なおずみ) 竜の子:無名(涅見子は「トリックスター」と呼んでいる)
- 声 - 田坂秀樹
- 竜の子を保持する交信者達を束ね、独自の考えに沿って動く謎の組織黒の子供会の頭目。
- 自分の意思を表に出さない乾いた人間で、人の命を奪うことにも全く容赦がないが、竜の子を使用することは他の黒の子供会のメンバーと比べて少ない。物語後半で明と接触し、彼女をある病院の地下に幽閉されていた小森の下へ導く。その後は地球の人間を皆殺しにするため世界中にICBMを降らせ、最後は水も食事も絶ち、竜になることも拒否し、シイナと明に看取られながら命を絶った。
- 小森朋典(こもり とものり) 竜の子:プッシュ・ダガー
- 声 - 石田彰
- 黒の子供会の一員。佐倉明を気に入り、自身の考えとナイフを託すも、ホシ丸とエン・ソフと戦闘になり、ホシ丸から廃材の一撃(アニメではプッシュ・ダガーもどき)を食らい重傷を負う。その後、彼とプッシュ・ダガーはその場から姿を消して行方不明となっていたが、ホシ丸に負わされた怪我を癒す過程で政府に捕まり実験体にされていた。後に須藤と共にやってきた明と再会するが、そのとき小森はすでにプッシュ・ダガーと融合して人ならざるものとなっていた上、実験体にされた際に記憶障害を起こしており、以前の小森ではなくなっていた。
- 小沢さとみ(おざわ さとみ) 竜の子:アマポーラ
- 声 - 田中かほり
- 黒の子供会の一員。何者にも屈しない強く気高い心を持つ反面、人を殺すことに強い憧れを抱く少女。
- 家柄と成績、さらにはプロポーションすら求められるお嬢様学園である万朶学園高等部の百合組に在籍している。文吾とは深い関係がある。初対面の時はシイナと対立していたが、シイナが自分の後輩になってからは彼女と和解した。しかしその後、のり夫の個展を見に行った際にハイヌウェレそっくりの彫像を目の当たりにして俊二を襲った「天使」が文吾の竜の子であることを裏づける言葉を口にしてしまったため、再びシイナと対立。この出来事がきっかけでシイナを殺害しようと計画し、オリエンテーリングの際にアマポーラを使ってシイナを襲撃。彼女を助けに駆けつけた鶴丸を一蹴するなどしてシイナを追い詰めたが、突如現れたイカツチと乙姫にアマポーラを一蹴されて失敗に終わった。なおこの時さとみは気絶しており、アマポーラが自力で動いている状態であった。その際のダメージの反動で精神に異常をきたし、物語後半では幼児退行を起こして文吾に頼りきりになってしまうが終盤ではある程度は回復し、再びアマポーラを操作できるようになっている。最後はハイヌウェレが敗れて文吾が精神崩壊を起こした後、アマポーラに乗っていずこかへと去っていった。
- 高野文吾(たかの ぶんご) 竜の子:ハイヌウェレ
- 声 - 菅沼久義
- 黒の子供会の一員。メカフェチでミリタリーマニア。竜の子の力を使い、拳銃から重火器まで幅広く作成していた。社交的で思いやりがある反面、いかなる指示も任務と割り切り的確にこなす冷酷さも併せ持つ。さとみとは幼馴染で、彼女との間にはそれ以上の深い関係がある。物語終盤でハイヌウェレを操り玉依俊二の乗るフランカーを襲撃したが、交戦の末エンジンにハイヌウェレを巻き込まれ、そのダメージの反動で精神崩壊を起こした。
- 涅見子(くり まみこ) 竜の子:シェオル
- 声 - 雪野五月
- 黒の子供会の一員。竜の子シェオルを保持する、ひどく浮世離れした少女。須藤と同居している。
- 家では常に裸でおり、外出時にも下着を着用せず、常に何かに向けて対話している。シェオルはあまりにも巨大すぎたため終盤までリンクすることが出来なかったが、鶴丸を尋ねた際居合わせたチンピラに強姦されその最中にリンクに成功、圧倒的な能力でチンピラたちを殺害。その際にシェオルが通常の竜の子より遥かに優れた能力を持つことを鶴丸に見せつけた。強姦を受けた跡を修復せずに放置しておき、最終話ではシイナ同様に懐妊。ラストシーンでは彼女の子供である男児が登場している。
- 最終的にはシェオルで人類を滅ぼし、シイナと2人だけ生き残る。またその際、性格も口調も一転している。
その他の登場人物
- ロバート・フランクリン 竜の子:タラスク
- アメリカ人。進行形の神経疾患を患っている。延命治療のために在日米軍の病院に預けられていたが、実は竜の子とリンクしたことからリンク者のサンプルとして政府に命を長らえさせられていた。その後、事実を知った母・ジェーンと共に日本へ逃げてきたが、ジェーンが事故を起こした後自分の竜の子・タラスクと共に逃げ出してしまう。最後は生命維持装置を外して公園のベンチに横たわっていたところをジェーンとシイナに発見された。
- ジェーン・フランクリン
- ロバートの母でアメリカ国防情報調査庁分析技術員。難病を患うロバートに高度な治療を受けさせるために彼を米軍の病院に預けるが、政府がロバートを竜の子のリンク者のサンプルとして生かしていることを知って息子を連れて日本に逃亡してきた。だが日本についた直後、ひき逃げ事故を起こしてしまう。その後は竜の子・タラスクと共に逃げ出したロバートを追っていたが、その途中でシイナに出会い、彼女と行動を共にすることになる。最後はタラスクの件を解決した後、二人で保護してもらうため自首した。
- 江角ジュン(えすみ ジュン) / 福山京児(ふくやま きょうじ) 竜の子:ホウキ
- 声 - 雪野五月
- シイナがホシ丸を操作するための訓練をしていた際に出会ったリンク者の少女。ホウキという竜の子と行動を共にしており、シイナに竜の秘密を教えることになる。竜の子を念土(ねんど)と呼んでいる。
- 実は本物の江角ジュンは2年前に死亡しており、シイナが出会ったのはジュンの友人だった少年・福山京児の竜の子が変身した姿だった。京児自身は事故で意識不明の状態になっていたが、自分のいとこ・福山笙子(声 - 鈴木菜穂子)にジュンが死んだことを知らせないために竜の子をジュンの姿に変身させ、さらに竜の子を通じてシイナや笙子と接していた。最後は竜の子を通してシイナに全てを語った後、数日後に息を引き取り、竜の子に魂を渡して乙姫となった。
- 尾崎三早(おざき みはや)
- 声 - 小島めぐみ
- ひろ子をいじめていたクラスメイトの一人。タレ目で、薄い茶髪の巻き毛をしている。夜道で竜の子「鬼」に襲われ、いじめっ子の最初の死亡者となる。その遺体は原形を留めないほど切り裂かれた状態で発見された。
- 本田亜希(ほんだ あき)
- 声 - 笹島かほる
- ひろ子をいじめていたクラスメイトの一人。いじめっ子4人のリーダー格。兄が一人いる。実は彼女がひろ子にしていたいじめはすべてこの兄から手ほどきされたものであった。また、兄とはただの兄妹としての関係だけではなく性的な関係まで持っていたことを匂わせる描写がある。
- 三早が殺された数分後、アパートに乗り込んできた鬼によって兄は亜希の目の前で殺され、亜希も今までひろ子にしたのと同じ仕打ちを受けながら、最後は上半身と下半身を裂かれ、絶命。アニメ版では、腹部から血を大量に噴出して死亡した。
- 高村宏華(たかむら ひろか)
- 声 - 小林恵美
- ひろ子をいじめていたクラスメイトの一人。ツインテールのお下げが特徴。三早と亜希が殺された翌日、学校に乗り込んできた「鬼」に教室の窓から投げ落とされて、転落死する。
- 市東美代子(しとう みよこ)
- 声 - 吉川由弥
- ひろ子をいじめていたクラスメイトの一人。短い髪(アニメ版では緑がかかっている)と髪留めが特徴。他の3人と違ってひろ子をいじめることに罪悪感を抱いていたようで、途中でクラスメイトの水嶋貴也に全てを話す。その結果、他の3人から痛めつけられ怪我を負う(アニメ版ではその後次のいじめのターゲットにされたと思わせる描写がある)。三早と亜希が殺された翌日、学校に乗り込んできた「鬼」に左腕を折られ、片足を捥ぎ取られた上握り潰されかけるが、シイナの説得で「鬼」が撤退したため助かることとなった。
- 水嶋貴也(みずしま たかや)
- 声 - 時田光
- シイナのクラスメイトで、シイナと俊二が住んでいるアパートの大家の息子。美代子からひろ子をいじめていたことを告白され、後にひろ子がいじめっ子達からいじめられていた現場に駆けつけひろ子を助けた。その後、ひろ子を心配して彼女の家に向かい、自分の想いを伝えるもひろ子に拒絶されてしまう。
- 本田亜希の兄
- 声 - 大橋隆昌
- 本名は不明。亜希に虐めを手解きした人物。鬼が学校を襲撃した事件は間接的では有るものの、彼が元凶であると言って良い。貝塚ひろ子の竜の子である鬼に、素手で顎から上を吹き飛ばされ絶命。妹と性的な関係にあったものと思われる描写がある。
- 石田 (いしだ)
- 声 - 泰勇気
- 佐倉明のクラスメイトの男子。明に好意を持っており、頭痛による貧血を起こした(精神的ストレスによるものと思われる)明を保健室まで連れた。その際、性的な関係になりかけるも、自信の無さから拒絶してしまい、自分の弱さを責める。
- 紫村 (しむら)
- 佐倉明のクラスメイトの女子。明を虐めているが、彼女自身も、かつて貝塚ひろ子と同じ虐めを受けた過去がある。
- 宮子巽(みやこ たつみ)
- 国家機関「臨時軍用気球研究会議」副局長。交信者が人間である竜の子の軍事利用(通称日乃レポート)を画策し、秘書である佐藤明希と共に様々な場所で暗躍する。黒縁眼鏡が特徴的な野心家。最終話で東富士で黒の子供会が起こした事件の犠牲者の遺族に刺し殺された。
- 佐藤明希(さとう あき)
- 臨時軍用気球研究会議の秘書。宮子巽の右腕として、仕事を的確にこなす大人の女性。才色兼備なその姿に局内でも多くのファンがいる。本人曰く「ダメな物にも愛情を注げる女」。
- イカツチの乙姫 / 玉依実生(たまい みしょう)
- 作中で最初に登場する乙姫。成竜「イカツチ」の乙姫で、シイナがホシ丸と出会った夜にイカツチと共にシイナの前に現れた。その後も何度かシイナの前に現れて彼女の危機を救っている。
- その正体は玉依夫妻の第一子・玉依実生で、シイナの姉に当たる人物。シイナが生まれる数日前から様子がおかしくなり、美園がシイナを出産したその日に死亡、他殺体となって発見された。しかしその遺体は竜の子の力でコピーした彼女の体に傷をつけた物であり、そのため死因であるはずの外傷が死後につけられていることが後に判明する。死後は成竜となったイカツチの乙姫になり、何度もシイナの危機を救った。
設定関連
竜の子
竜骸とも呼ばれる、本作品でのキーファクター。ホシ丸やエン・ソフ、トリックスターといった星型のものから、ハイヌウェレのような人形をイメージしたもの、アマポーラのような不定形など様々である。美薗の見解によると決まった形はない。それは母たる地球から生み出された星の記憶と言われ、有した能力も重力下において自由に空を飛び(同作者の作品『ぼくらの』で、飛行能力の原理を説明している)、自身に取り込んだ物体の分子配列をコピーすることによりその物体を生み出すことが可能な不死の存在。戦闘するに当たっては、基本的には武器などを生み出して攻撃するが、鬼やプッシュ・ダガーのように直接打撃を行うものも存在する。また前述の能力を利用して交信者の体をコピーしたり修復したりすることもできるが、頭だけは取替えの利かない部位であり、劇中鶴丸が頭を取替えることができない旨を涅見子が示唆している。逆に頭だけ残っていたシイナは完全に体を修復できたことが明らかになっている。
一部を除き、心身未発達の人間と交信(チャネリング、またはリンク)することで交信先の人間の意のままに操ることが出来るようになる。なぜこれらの力を持ちながらそのような行為に及ぶのかは本編の見所であり、後述する成竜にも関わってくる事柄である。
竜の子一覧
- ホシ丸
- 声 - 雪野五月
- シイナが祖父母の島の海底で出会った星形の竜の子。その後は鞄の振りをしてシイナをサポートする。ほかの竜の子と異なり、感覚の共有などができないような性質があるように描かれる(この謎は物語終盤で解決される。詳細は上記「登場人物」を参照)。頭部以外のほとんどをほぼ自由に変化させることが可能。装備は歪な鉄骨が主。アニメ版では金属棒の代わりに、小森朋典の竜の子、プッシュ・ダガーの形をした塊を生成して武器としている。体色は黄色で頭部のみオレンジ色。顔には隈取のような模様がある。
- エン・ソフ
- 佐倉明の竜の子。明が竜の子を利用することを嫌うことからあまり出番はなかったが、明自身がアマポーラに攫われた際シイナに助けを求めるため奔走したり、物語終盤ではシイナをシェオルの元へと導いたりと、要所での活躍は見せている。ホシ丸と似た姿だが、こちらは体色が白く頭部は赤色で、顔部分の模様も異なる。名前の意味はヘブライ語で「万物の始原」。
- ヴァギナデンタータ
- のり夫の竜の子。かなり大型の竜の子。鶴丸にはよく「オグル」と呼ばれるが、毎回のり夫が訂正している。擲弾銃やミサイルランチャーなどの装備を持ち、対地攻撃状態の戦闘機に容易に接近するほどの滑空能力を有している。米軍との戦闘の中、のり夫の死に呼応するように成竜へと成長するが、のり夫の魂を得られずに朽ちていった。名称「ヴァギナデンタータ」はラテン語で「歯のある膣」の意味である。これは精神医学用語でもある。
- 鬼
- 鬼のような姿をした竜の子。飛行はせず、伸縮する四肢や鋭い爪を用いて攻撃する。
- トリックスター
- 須藤直角の竜の子。「トリックスター」の名前は涅見子がつけたもので須藤自身は名前をつけていない。ホシ丸、エン・ソフ同様に星形の竜の子だが、頭部と体の前面に装甲を纏っているように見える。
- プッシュ・ダガー
- 小森朋典の竜の子。ヤリイカの胴体がナイフのような形状になった姿をしている。体の大半がナイフ状で、シイナのような子供が叩きつけた鉄骨が、容易に両断されるほど鋭い。自身そのものを武器として攻撃するほか、複数の触手があり、多少形が変化する。後に小森の下半身と中途半端に融合する。
- アマポーラ
- 小沢さとみの竜の子。脊椎のような部位と四つの花弁のような部位からなる。後に人型へと姿を変え最終巻では元に戻る。高野の影響を受けてか、ハンドガンからマシンガンなど様々な武装を持つだけでなく、毒ガスまで使いこなす。ただしさとみの空間スキャン能力の精度が悪すぎるため、銃が途中で暴発しそのダメージがさとみに来るなど当初はほとんどの武装が使い物にならなかった。名称「アマポーラ」はひなげしの花の意味。
- ハイヌウェレ
- 高野文吾の竜の子。両腕のない女の子の人形に似た姿をしており、髪の毛のような翼、背から生えた翼のような巨大な腕を持つ。高野自身が兵器にかなり詳しいために数多くの武装を持つ。3種類のガトリング砲や、自在に弾頭を使い分けるミサイルランチャーで自衛隊を壊滅させ、本木航空の機体を合計4機撃墜し、死者2名を出している。また初登場の際にシイナの父・俊二が乗っていた飛行機を撃墜して俊二に重傷を負わせており、シイナにとっては因縁深い相手となっている。名称「ハイヌウェレ」はインドネシアの神話に由来する。
- タラスク
- ロバート・フランクリンの竜の子。ドラゴンのような形状。アメリカ軍によって管理されていたが街中へ逃げ出す。武器は使わず羽や足のみで軍の車やヘリコプターを破壊した。母親のジェーン・フランクリン曰く、ロバートの強いものへの憧れから生まれたドラゴンのハリボテ。
- ホウキ
- 江角ジュン(福山京児)の竜の子。ホウキのような形状で柄の先端に目がついた姿をしており、リンク者は魔女のようなスタイルで飛行する。最初の頃はホシ丸のような星形だったらしい。エピソードの最後に、京児の魂を取り込み成竜になる。
- シェオル
- 涅見子の竜の子。シェオルとは地球そのものであり、シイナの竜の子と2匹で地球を構成している。保持者の意思に従い地中を通して移動させたり、何もない場所に地中から弾力性のある壁や人の腕など物体を自在につくり出すことができる。作中では主に巨大な腕を出現させ、戦闘機の撃墜、人類の一掃など、圧倒的な力を振るった。名称「シェオル」とはヘブライ語で「黄泉」の意味。
成竜
先の竜の子が子であるのに対して、成竜と区分されるこれらの竜は、太古から人間達に想像上の生物として、伝記や童謡で西洋では「ドラゴン」、東洋では主に「龍」と語られてきた物に他ならない。星の記憶である「竜の子」は力を保持した容器に過ぎず、これらが成竜を迎えるには交信した生物の魂を己の体の内に入れる必要がある(竜の子が「竜骸」と呼ばれるのは魂を持たないため)。生物の魂を己に迎え入れて成竜と呼ばれる。体長、体形ともに様々な形へと成長し、強大な力も有するが、大部分は地球の様々な場所で眠りについている。
また、成竜は己の内にある星の意思とは他に、元の交信者の姿を象った乙姫の意思を主に行動する。
乙姫
成竜に魂を移す以前の竜の子の交信者そのものの姿をしている。偶然にも成竜を見ることがかなったとしても、人の前には決して姿を現すことのない生前の交信者の魂の依り代。その姿は白く、幾本もの朱色のラインが幾何学的に、まるでボディペインティングのように全身に描かれている。言葉を交わすことはないが、生前の記憶を元に行動する節も多々見受けられる。交信者はある程度の選定基準はあるが基本的に生物なら何でもよく劇中では人間のみに留まらず、イルカなど高い知能を持つ動物や魚や植物に至るまで様々な生物が乙姫として登場する。
サブタイトルリスト
アニメ
2003年7月7日から同年9月29日までキッズステーションにて、2004年1月から同年3月までTBSで放送された。全13話。原作全12巻の前半部分に当たる6巻までと、7巻の第34話「春」の前半部分のみがアニメ化された。
スタッフ
- 原作 - 鬼頭莫宏
- 監督 - 飯野利明
- シリーズ構成 - 小中千昭
- キャラクターデザイン・総作画監督 - 太田雅彦
- 竜骸・メカニックデザイン - 橋本敬史
- 美術監督 - 伊藤聖
- 色彩設定 - 岩沢れい子
- 撮影監督 - 土田栄司
- オフライン編集 - 後藤正浩
- 音響監督 - 中川達人
- 音楽 - 上田益
- プロデューサー - 笹木理加、尾川匠、山田聡、服部尚、寺田英美
- 制作プロデューサー - 早川均
- アニメーションプロデューサー - 長谷川康雄、児だま智士
- 制作協力 - スタジオ九魔
- アニメーション制作 - プラネット
- 製作 - なるたる製作委員会(ケングルーヴ、キッズステーション、ステップ映像、C-TBS、イズム)
主題歌
- オープニングテーマ「日曜日の太陽」
- 作詞・作曲 - 三木茂 / 編曲 - THE NEUTRAL、中村修司 / 歌 - THE NEUTRAL
- エンディングテーマ「回路」
- 作詞 - 青木千春 / 作曲 - 安岡洋一郎 / 編曲 - biniou&杉内麗音 / 歌 - biniou
各話リスト
第8話「目を閉じるな」は原作第21話「戦う者に華の芳を そして死ぬ者に」の後半部分を、第13話(最終話)「未来の子ども達へ贈る」は原作第29話「私の目は被害者の目 私の手は加害者の手」の最終部分と原作第34話「春」の前半部分の内容を含む。
第12話から第13話にかけては残酷描写が多く続くため、地上波で放送された際は一部の場面がカットされた[4]。また、第12話の最終部分と第13話序盤のある場面は原作では直接描写が多く、アニメ版ではこれらの描写はほとんどがシルエットなどのぼかした描写に変更されていた。
話数 | サブタイトル | 脚本 | 絵コンテ | 演出 | 作画監督 | 放送日 |
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1 | それは星のカタチ | 小中千昭 | 誌村宏明 | 近橋伸隆 | 牛島勇二 | 2003年7月7日 |
2 | 災いは光の内 | 石踊宏 | 藤田正幸 | 2003年7月14日 | ||
3 | 黒の1号 | 成神五郎 | 石倉賢一 | 柴田志郎 | 2003年7月21日 | |
4 | 影は少年の歩幅で | 吉村元希 | 浅野洋太 | 斉藤由広 | 小川弘理 | 2003年7月28日 |
5 | 天使のお遊戯 | 熊谷雅晃 | 大木賢一 | 2003年8月4日 | ||
6 | 彼の言葉は真実 | まさきひろ | 古川政美 | 藤田正幸 | 2003年8月11日 | |
7 | 戦う者に華の芳を、そして死ぬ者に | 遠藤克巳 | 大関雅幸 | 柴田志郎 | 2003年8月18日 | |
8 | 目を閉じるな | 前川淳 | 箕ノ口克巳 | 宮田亮 | 荒尾英幸 | 2003年8月25日 |
9 | 魚の命、人の命 | 中島祐介 | 大宅光子 | しまだひであき | 2003年9月1日 | |
10 | 今、あなたのためにできること | 吉村元希 | 板垣伸 | 熊谷雅晃 | 大木賢一 | 2003年9月8日 |
11 | 見えない地平 | 古川政美 | 藤田正幸 | 2003年9月15日 | ||
12 | わたしの目は被害者の目、わたしの手は加害者の手 | 小中千昭 | 遠藤克巳 | 山内東生雄 | 松岡英明 | 2003年9月22日 |
13 | 未来の子ども達へ贈る | そーとめこういちろう | 宮田亮 | 荒尾英幸 | 2003年9月29日 |
脚注
関連項目
外部リンク
- なるたる(キッズステーション)
- パズルピースは紛失中(作者の公式サイト)テンプレート:Asbox