天木直人
天木 直人(あまき なおと、1947年7月19日 - )は、元駐レバノン日本国特命全権大使、作家。イラク戦争当時、対イラク政策を巡る駐レバノン日本国大使として意見を具申した2通の公電により外務省から外交官を「解雇」されたと主張(外務省は人事の問題であって「勇退をお願いした」と説明)し、外務省を告発する著書が話題となった。
略歴
外務省退職まで
山口県下関市生まれ。洛星高等学校から京都大学法学部入学。大学の2年先輩で外交官試験に合格していた竹内行夫を奈良の自宅に訪ね、外交官試験について調べ、大学在学中の1969年、外交官試験に合格。上級職として外務省に入省。同期に谷内正太郎、田中均、高須幸雄、藤崎一郎、重家俊範など。
英語研修(米国オベリン大学)、在ナイジェリア大使館、経済局、大臣官房、ジュネーブ国際機関代表部、在サウジアラビア大使館勤務。
1985年10月から1988年7月まで外務省中近東アフリカ局アフリカ第2課長。(この期間に南アフリカ共和国のアパルトヘイト(人種隔離)問題の『マンデラの南ア 日本の対応』を出版。)
1988年内閣官房内閣安全保障室内閣審議官
1990年駐マレーシア公使
1993年駐オーストラリア公使
1996年駐カナダ公使
1997年駐デトロイト総領事
2000年大臣官房付
2001年より駐レバノン日本国特命全権大使。
2003年に外務省を依願退職。
レバノン大使「解任」
イラク戦争開戦前後に川口順子外務大臣宛(全在外公館にも転送される)に2通の公電を送ったため、北島信一外務省大臣官房長から詰問を受け、竹内行夫外務事務次官署名入り「勧奨退職」を通告されたとして、事実上の「解雇処分」を受けたと本人は主張している。外務省の実態を告発し、小泉純一郎総理大臣の外交姿勢を問う『さらば外務省! - 私は小泉首相と売国官僚を許さない -』がベストセラー入りした。
同書は、毎年、外務省が機密費20億円を内閣官房に上納しているなどの疑惑を指摘。外務省関係者はこれを全面否定している。
選挙出馬など
2005年、倒閣を公約として第44回衆議院議員総選挙に小泉の選挙区である神奈川11区から無所属で立候補した。しかし、神奈川11区での得票は7,475票で落選した。一方当選した小泉の得票数は197,037票であった。立候補の際、新聞や公式サイトで民主党・日本共産党・社会民主党に自党候補の擁立断念と自分を推薦すること、そして各野党支持者に自分への投票を呼びかけた。民主党には自民党への吸収合併を要求し、共産・社民両党へは「潔く消滅せよ」と解党を促した[1]が、いずれも受け入れられることはなかった。
2007年の第21回参議院議員通常選挙に9条ネットから出馬[2]。当選後は朝鮮半島政策で考えが異なる9条ネットではなく「天木新党」を結成して活動すると主張したが、再び落選[2]。「保守2大政党による政権から日米同盟一辺倒でない内閣を作る方が良い」と既存政党への期待を示した[3]。
公式サイトは天木自身の意向により、2006年2月末で更新停止したがその後閉鎖。2007年1月9日に別ドメインにて、「天木直人のブログ」として再開した。
作家活動など
2009年1月1日より、まぐまぐより有料メールマガジン「天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説」を発行している。
2010年7月、有料メルマガ配信サービス「foomii」より、有料メルマガ「天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説」を配信すると発表した。
2014年6月、自身の有料ニュース「メディアの裏を読み解く」の中で、女性都議に対して「結婚しないのか」などの野次が飛ばされた件に関し「馬鹿馬鹿しい」、女性都議による「犠牲者づら」した「売名行為」であると発言した。
著書
- 1995年 『マンデラの南アフリカ共和国南ア 日本の対応』サイマル出版会、ISBN 437731047X
- 2003年 『さらば外務省! 私は小泉首相と売国官僚を許さない』講談社、2003年10月8日、ISBN 4062121093
- 2003年 『アメリカの不正義 レバノンから見たアラブの苦悩』展望社、ISBN 4885461057
- 2004年 天木直人、池田香代子、野中広務、田島泰彦著『イラク派兵を問う』(『岩波ブックレット』)、岩波書店、2004年2月、ISBN 4000093169[1](共著。シンポジウムの記録)
- 2004年5月 『さらば小泉純一郎! 国民の生命を無視する冷血、傲慢、厚顔宰相を許さない』講談社、ISBN 4062124440
- 2004年6月 『マンデラの南アフリカ アパルトヘイトに挑んだ外交官の手記』展望社、ISBN 4885461146
- 1995年サイマル出版会刊「マンデラの南ア」を改題して復刊。
- 2005年3月 『ウラ読みニッポン 新聞ではわからないことがわかる本』講談社、ISBN 4062127431
- 2006年4月 『外交力でアメリカを超える 外交官がたどり着いた結論』かもがわ出版、ISBN 4780300193
- 2007年6月 『怒れ、9条! - 憲法9条こそ最強の安全保障政策だ』展望社、ISBN 978-4885461767
関連項目
脚注
外部リンク
- 天木直人のブログ(2014年5月1日更新停止)
- 天木直人のメッセージ(Yahoo)
- 有料メルマガ 天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説 - foomii
- テンプレート:Twitter
- 外務省
- 外務事務次官会見記録(平成15年10月6日(月)17:00〜 於:芝会見室)
- 外務大臣会見記録(平成15年10月7日(火)09:45〜 於:院内控室)
- 外務報道官会見記録(平成15年10月8日(水)17:00〜 於:芝会見室)
- 外務報道官会見記録(平成15年12月24日(水)17:00〜 於:芝会見室)