大湊地方隊

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
2014年8月5日 (火) 14:27時点におけるYyoshihiro1113 (トーク)による版 (主要幹部)
(差分) ← 古い版 | 最新版 (差分) | 新しい版 → (差分)
移動先: 案内検索

テンプレート:Infobox Military Unit 大湊地方隊(おおみなとちほうたい、JMSDF Ominato District)は、海上自衛隊地方隊の一つ。主要部隊は青森県むつ市大湊町にある大湊基地に配備されている。日本の北端部における防衛警備、特に宗谷海峡津軽海峡という、2つの重要な国際海峡の防備を担当する。

概要

北海道及び青森県以北の海域(太平洋日本海オホーツク海)における防衛警備・災害派遣を始め、艦船及び他自衛隊に対する支援、民生協力等を任務としている[1][2]。警備区は、日本海側・太平洋側ともに青森県以北の北方(北海道及び青森県の区域並びに青森県と秋田県の境界線が海岸線と交わる点から270度に引いた線と青森県と岩手県の境界線が海岸線と交わる点から90度に引いた線の北側にある北海道及び青森県の周辺海域及び内陸[1])であり、日本の北端部の海域・地域にあたる。宗谷海峡津軽海峡も担任区域内にあり、津軽海峡については、大湊地方隊隷下の松前警備所竜飛警備所を中心に監視し、宗谷海峡については稚内基地分遣隊に加え、冬季を除いて艦船を派遣し監視にあたっている[3]ロシア海軍の海峡通行について、関心を持ち、監視を行なっている[1][4]

大湊へ最初に海軍が配備されたのは、1899年(明治35年)に日本海軍大湊水雷団が配備されたことである。もともと北海道室蘭市に「室蘭鎮守府」が設置される予定であったが[5]ロシアの脅威が差し迫っており、津軽海峡の防備を重視するために、大湊に変更されたといわれている。戦前は「大湊警備府」が置かれた。この大湊警備府は第二次世界大戦の敗戦により、廃止されている。

1952年(昭和27年)保安庁警備隊が創設されると、日本における海上軍事力の再整備も本格化し、1953年(昭和28年)に大湊地方隊が編成された。1954年(昭和29年)海上自衛隊への改組とともに大湊地方隊に改称された。海上自衛隊にある5つの地方総監部のうち唯一鎮守府に由来せず、教育隊を有していない。

任務・担任区域

北海道及び青森県岸の太平洋日本海オホーツク海国際海峡である宗谷海峡津軽海峡を含む。

沿革

編制

※ 平成24年4月時点

総監部

テンプレート:Main

主要幹部

職名 氏名 階級 就任日 出身校・期 前職
地方総監 槻木新二 海将 2013年8月22日 防大24期 海上自衛隊補給本部
幕僚長 佐藤賢上 海将補 2014年8月5日 防大29期 第2潜水隊群司令
歴代の大湊地方総監
氏名 在任期間 出身校・期 前職 後職 備考
1 小國寛之輔 1953年9月16日
1956年1月15日
海機33期 第二幕僚監部経理補給部補給課長 術科学校長 警備監補
/海将補
2 赤堀次郎 1956年1月16日
1958年12月15日
海兵55期
海大37期
第1警戒隊群司令 海将補
3 山下雅夫 1958年12月16日
1961年2月28日
海兵57期 海上幕僚監部総務部長
4 武市義雄 1961年3月1日
1962年1月15日
海機38期 横須賀地方副総監 海上自衛隊幹部学校
→1962年4月1日第2術科学校長
5 岡本 功 1962年1月16日
1963年4月30日
海兵57期
海大38期
第1掃海隊群司令 海上幕僚監部付
→1963年7月1日海将・退職
6 山田龍人 1963年5月1日
1964年4月30日
海兵58期 航空集団司令官 海上幕僚監部付
7 森永正彦 1964年5月1日
1964年12月15日
海兵59期 横須賀地方副総監 呉地方総監 海将補
8 佐藤文雄 1964年12月16日
1967年6月30日
海上自衛隊幹部候補生学校 横須賀地方総監
9 水谷秀澄 1967年7月1日
1968年6月30日
海兵62期 海上訓練指導隊群司令 佐世保地方総監
10 石田捨雄 1968年7月1日
1969年6月30日
海兵64期 海上幕僚監部総務部長 海上幕僚副長
11 橋本正久 1969年7月1日
1971年6月30日
東高船 海上幕僚監部調査部長 退職
12 安永 稔 1971年7月1日
1973年11月30日
海機47期 海上幕僚監部経理補給部長 横須賀地方総監
13 石野自彊 1973年12月1日
1975年3月16日
海兵69期 練習艦隊司令官 退職
14 植草重信 1975年3月17日
1976年11月30日
教育航空集団司令官
15 大賀良平 1976年12月1日
1977年8月31日
海兵71期 護衛艦隊司令官 海上幕僚長
16 江上純一 1977年9月1日
1979年3月21日
自衛艦隊司令部幕僚長
→1977年8月1日海上幕僚監部付
退職
17 松井 操 1979年3月22日
1980年6月30日
海兵73期 幹部候補生学校長
18 吉田學 1980年7月1日
1981年6月30日
海兵75期 海上幕僚監部防衛部長 海上幕僚副長
19 山田善照 1981年7月1日
1983年4月25日
自衛艦隊司令部幕僚長
20 安岡亀雄 1983年4月26日
1984年6月5日
海兵76期 海上幕僚監部調査部長
21 高崎郁男 1984年6月6日
1985年12月19日
55外4幹候
海保大
海上幕僚監部総務部長 佐世保地方総監
22 金崎實夫 1985年12月20日
1987年7月6日
56外6幹候
海保大
自衛艦隊司令部幕僚長
23 富田成昭 1987年7月7日
1989年3月15日
56外6幹候
鹿児島大水産
教育航空集団司令官 退職
24 吉川圭祐 1989年3月16日
1991年3月15日
防大1期 海上幕僚監部防衛部長
25 林崎千明 1991年3月16日
1992年6月15日
防大4期 佐世保地方総監
26 猪狩 眞 1992年6月16日
1993年6月30日
幹部学校長 退職
27 塚原武夫 1993年7月1日
1995年3月22日
防大6期 防衛大学校訓練部長
28 五味睦佳 1995年3月23日
1996年3月24日
防大8期 開発指導隊群司令 海上幕僚副長
29 金子 豊 1996年3月25日
1997年3月25日
防大9期 海上幕僚監部監察官 佐世保地方総監
30 山崎 眞 1997年3月26日
1998年6月30日
海上幕僚監部装備部長 自衛艦隊司令官
31 長谷川語 1998年7月1日
1999年12月9日
防大10期 自衛艦隊司令部幕僚長
32 牧本信近 1999年12月10日
2001年1月10日
防大13期 海上幕僚監部監理部長 幹部学校長
33 尾崎通夫 2001年1月11日
2002年3月21日
幹部候補生学校長 佐世保地方総監
34 田内 浩 2002年3月22日
2003年3月26日
防大12期 潜水艦隊司令官 退職
35 吉川榮治 2003年3月27日
2005年1月11日
防大15期 統合幕僚会議事務局第5幕僚室長 横須賀地方総監
36 宮本治幸 2005年1月12日
2006年3月26日
防大16期 自衛艦隊司令部幕僚長 教育航空集団司令官
37 松岡貞義 2006年3月27日
2007年3月27日
防大18期 幹部候補生学校長 航空集団司令官
38 武田壽一 2007年3月28日
2008年7月31日
防大19期 自衛艦隊司令部幕僚長 幹部学校長
39 河村克則 2008年8月1日
2009年7月20日
防大21期 海上幕僚副長
40 泉 三省 2009年7月21日
2010年7月25日
防大22期 海上幕僚監部人事教育部長 呉地方総監
41 武居智久 2010年7月26日
2011年8月4日
防大23期 海上幕僚監部防衛部長 海上幕僚副長
42 山口 透 2011年8月5日
2012年7月25日
防大22期 防衛大学校訓練部長 呉地方総監
43 三木伸介 2012年7月26日
2013年8月21日
防大24期 横須賀地方総監部幕僚長

室蘭の自衛隊誘致

2006年2月、北海道室蘭市では、市議が発起人となり、室蘭港への海上自衛隊基地誘致を目指す「防災拠点港実現に向けて海上自衛艦を誘致する会」が発足している[7]。室蘭港に耐震構造の防災埠頭を作り、災害発生時の物資輸送、避難・救助活動の拠点港にしようというものであり、海上自衛隊の自衛艦を誘致することで、防災拠点としての実効性が高まり、さらなる港湾整備に弾みがつくという設立趣旨である。

防衛省も、北海道への新たな海上自衛隊基地建設に関心があるとされ、室蘭港を有望な候補先としていると言われる。実際に2004年2月には、自衛隊イラク派遣のため、室蘭港からおおすみ型輸送艦を使って装甲車両などの機材搬出を行っており[8]、海上自衛隊艦船の寄港も多い。設立総会には、大湊地方隊函館基地隊司令が招待された。

ただし、平成23年12月7日の室蘭市議会では、平成10年の自衛艦入港数が15隻あったのが、平成21年には1隻に減少したことが指摘されたが、市側は自衛隊との連携は自衛艦の室蘭港入港促進への積極的な誘致策を行なっていないと答弁している[9]

脚注

テンプレート:Reflist

関連項目

外部リンク

テンプレート:海上自衛隊2
  1. 1.0 1.1 1.2 大湊地方隊の組織と任務 中山一富 「世界の艦船」1994年9月号 P76-79 株式会社海人社
  2. 大湊地方隊 私たちの任務
  3. 「アジア太平洋地域の安全保障環境と地域的な安全保障のための取組」 安全保障と防衛力に関する懇談会資料 平成16年6月29日
  4. 平成24年防衛白書 ロシアの項
  5. 5.0 5.1 大湊と海軍 飛内進 「世界の艦船」1994年9月号 P84-89 株式会社海人社 引用エラー: 無効な <ref> タグ; name "sekainokansen199409P84"が異なる内容で複数回定義されています
  6. 6.0 6.1 6.2 6.3 大湊地方隊の歩み 中名生正己 「世界の艦船」1994年9月号 P69-75 株式会社海人社
  7. 防災拠点港実現へ、海自誘致する会が発足 室蘭民報2006年2月23日号
  8. 海自部隊も室蘭出港 朝雲新聞 2004年2月26日
  9. 平成23年 第4回定例会 室蘭市議会会議録 平成23年12月7日