システム監査技術者試験
テンプレート:Ambox テンプレート:資格 システム監査技術者試験( -かんさぎじゅつしゃしけん、Systems Auditor Examination、略号AU)は、情報処理技術者試験の一区分である。試験制度のスキルレベル4(スキルレベルは1~4が設定されている。)に相当し、高度情報処理技術者試験に含まれる。
概要
この試験は被監査部門から独立した立場で、経営者の視点で、情報処理システムを幅広い観点から調査し、システムが経営に貢献しているかを判断するシステム監査人を対象とし、その能力を認定するもので、情報処理技術者試験の最高位と目される区分である。
沿革
- 昭和61年(1986年)情報処理システム監査技術者試験新設、秋期に年一回実施、年齢制限は受験する年の4月1日時点で27歳以上。
- 平成6年 (1994年)制度改正によりシステム監査技術者試験と改称、受験に際し業務経歴書(経歴の無い者は「業務経歴なし」と記した書類)の提出を要した。
- 平成13年(2001年)制度改正により春期に年一回実施、午前の試験時間短縮及び出題数減少、年齢制限と業務経歴書の提出を撤廃。
- 平成17年(2005年)午前の試験時間延長及び出題数増加。
- 平成21年(2009年)制度改正により形式変更。なお、他の多くの区分名が変更されたが本試験については改称されなかった。
- 制度改正後の初回試験の合格率は13.9%[1]で、高度情報処理技術者試験の中でもITサービスマネージャ試験、プロジェクトマネージャ試験、システムアーキテクト試験、ITストラテジスト試験に次ぐ5番目の合格率の低さである。
形式
- 午前I
試験時間50分。四肢択一式(マークシート使用)で30問出題され全問解答。他の高度情報処理技術者試験と共通のスキルレベル3相当の問題が出題される。満点の60%を基準点とし、基準点以上で午前I試験通過となる。午前I試験の得点が基準点に達しない場合には,午前II・午後I・午後II試験の採点を行わずに不合格となる。
- 午前II
試験時間40分。四肢択一式(マークシート使用)で25問出題され全問解答。「システム監査」「法務」に関する問題が大半であり、スキルレベル4相当の問題かつ重点分野である。他に、「データベース」「ネットワーク」「情報セキュリティ」「システム開発技術」「サービスマネジメント」「経営戦略マネジメント」「企業活動」のスキルレベル3相当も出題範囲である。満点の60%を基準点とし、基準点以上で午前II試験通過となる。午前II試験の得点が基準点に達しない場合には,午後I・午後II試験の採点を行わずに不合格となる。
- 午後I
試験時間90分。情報処理システムの監査及び評価に関して、主題の設定となる文章とそれに対するいくつかの小問からなる問題(大問)が3問出題。うち2問を選択して解答。満点の60%を基準点とし、基準点以上で午後I試験通過となる。午後I試験の得点が基準点に達しない場合には,午後II試験の採点を行わずに不合格となる。
- 午後II
試験時間120分。2つのテーマから1つを選んで、業務経験を踏まえて小論文(2200字以上4000字以下)を書く。採点はA,B,C,Dの4段階で評価され、Aのみ最終的に合格となる。
科目免除
下記の試験に合格又は基準点を得れば2年間、午前Iの科目免除が受けられる。
- 応用情報技術者試験に合格すること。
- いずれかの高度情報処理技術者試験に合格すること。
- いずれかの高度情報処理技術者試験の午前Iに基準点以上を得ること。
参考
従前の試験
- 午前
試験時間100分。四肢択一式(マークシート使用)で55問出題され全問解答。IRT(項目応答理論)によって、最低200点~最高800点の5点刻みで採点され、600点以上で合格(午前試験通過)である。
- 当初から平成12年(2000年)までは、試験時間150分、80問出題。
- 平成13年(2001年)から平成16年(2004年)までは、試験時間90分、50問出題。
- 午後I
試験時間90分。情報処理システムの監査及び評価に関して、主題の設定となる文章とそれに対するいくつかの小問からなる問題(大問)が4問出題。うち2問が必須、残りの2問のうち1問を選択して解答。素点採点で、最低200点~最高800点の5点刻みで採点され、600点以上で合格(午後I試験通過)である。ただし、午前試験が600点に満たなかった者は採点されない。
- 午後II
試験時間120分。3つのテーマから1つを選んで、業務経験を踏まえて小論文(2400字以上4000字以下)を書く。採点はA,B,C,Dの4段階で評価され、Aのみ最終的に合格となる。ただし、午後I試験が600点に満たなかった者は採点されない。
その他
- 合格又は午前Iに基準点以上を得れば2年間、他の高度情報処理技術者試験の午前Iの科目免除が受けられる。
- 情報処理技術者試験センターの統計資料による累計値
区分 | 受験者数(人) | 合格者数(人) | 合格率(%) |
---|---|---|---|
情報処理システム監査技術者 | 46,958 | 3,087 | 6.6 |
平成6年度から平成12年度 | 17,750 | 1,146 | 6.5 |
平成13年度から平成20年度 | 33,620 | 2,748 | 8.2 |
統計資料の応募者・受験者・合格者の推移表[1]において、情報処理システム監査技術者にかかる数値は本試験に計上されている。
- 科目免除又は任用資格など、これには従前の情報処理システム監査技術者を含む。
- 弁理士試験の科目免除
- 中小企業診断士試験の科目免除
- 技術陸曹・海曹及び予備自衛官補(技能公募)の任用資格
- 警視庁特別捜査官の4級職(警部補)のコンピュータ犯罪捜査官の任用資格
- 日本システム監査人協会の公認システム監査人補の申請資格
システムを外部から、経営者の視点に立って監査するという性質上、受験者は技術者と言うよりも経営者側に立つ人が多い。もちろん情報処理技術者試験の一区分として実施されていることから、システムエンジニアのキャリアをバックグラウンドに持つ受験者は多い。
本試験は、合格しただけでも一目置かれるが、システム監査を実施する上で求められる共通のスキルを認定する性質のものである。実際にシステム監査業務を担当している人は、担当分野や得意分野に応じて、関連する資格や認定を受けていることが多い。例えば、監査を独占業務としている公認会計士、企業のマネジメントシステムを審査する品質マネジメントシステム、情報セキュリティマネジメントシステム、個人情報保護マネジメントシステムなどの審査員資格、監査関連組織の認定などである。 そのため情報処理技術者試験の中でもITストラテジストと並び、公認会計士試験、税理士試験、司法試験などとともに試験で計ることのできる最難関の国家試験として評価されている。
脚注
外部リンク
- 情報処理技術者試験センター
- 平成21年度からの試験体系図(新着情報)
- システム監査技術者試験(AU)(情報処理技術者試験制度 - 制度の概要)
- システム監査技術者試験(AU) 平成13年度春期から平成20年度春期まで(同上)
- システム監査技術者試験(AU) 平成6年度秋期から平成12年度秋期まで(同上)
- 情報処理システム監査技術者試験 昭和61年秋期から平成5年秋期(同上)
- 経済産業省 - 情報セキュリティ政策 - 情報セキュリティ監査制度
- テンプレート:PDFlink(平成15年経済産業省告示第114号)
- テンプレート:PDFlink(平成15年経済産業省告示第112号、平成20年経済産業省告示第246号)
- システム監査を対象とした組織(システム監査技術者に対する独自・専門的な監査資格を制定、認定している。)
- ↑ 1.0 1.1 テンプレート:PDFlink(情報処理技術者試験センター)