ミズナラ
ミズナラ(水楢、学名:Quercus crispula テンプレート:AU)は、ブナ科コナラ属の落葉広葉樹。温帯の落葉広葉樹林の代表的構成種である。別名、オオナラ(大楢)[1]。
シノニムは Quercus mongolica var. crispula。これは本種を北東アジアの広範囲に分布するモンゴリナラの変種と考えての扱いである。
特徴
近縁のコナラやクヌギより寒冷な気候を好み、鹿児島県高隈山を南限に、北は北海道から樺太・南千島まで分布する。日本の山地から亜高山帯にかけて自生している[1]。ブナと並んで落葉広葉樹林の主要樹種の一つである。ブナに比べると、やや明るい場所を好む。樹高は、大きなものでは35 mに達する。葉はつやのない緑で、コナラよりももっと波打つようなはっきりした鋸歯(輪郭のギザギザ)がある。5-6月に[1]長さ5 cmほどの花を咲かせ、秋には実(ドングリ)が熟す。
なお、日本国内ではミズナラから派生した変種としてフモトミズナラ(近年まで”モンゴリナラ”と呼ばれてきた丘陵帯分布の集団)およびミヤマナラ(偽高山帯分布の矮性個体の集団)の存在が知られている。
利用
ミズナラのドングリはタンニンを含み、そのままでは渋くて食べられないが、灰汁抜き(あくぬき)すれば食用になる。ドングリの中では灰汁抜きが面倒なほうに入り、粉にしないで水にさらすだけでは3か月たってもわずかに渋みが残る[2]。粗い粉にしてから水にさらすと期間が短縮される。もっと短くするためには長時間煮てから水さらしするが、それでも処理には何日もかかる。縄文時代には分布域の東日本で冬の保存食として重要であった。近年まで山村で食べられていたが、現在はほとんど食用にされない。
20世紀にシイタケの栽培が盛んになってからは、コナラと同様に原木などに利用されている。
心材はくすんだ褐色。加工性・着色性に優れ、強度が大きく、重厚感がある。木材は高級家具、建築材、洋酒樽などに利用されている[1][3]。特に北海道のものが良質とされ、「道産の楢」(ジャパニーズオーク)と呼ばれ、輸出もされ盛名を馳せた。近年では国産ウイスキーの熟成樽としても利用されており、国際的に高い評価を受けている。
関連画像
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樹皮 | 葉 | 花 | 実 | 紅葉 |
種の保全状況評価
日本の各都道府県で、以下のレッドリストの指定を受けている[4]。
1996年9月4日に長野県下伊那郡阿智村(旧清内路村)の『小黒川のミズナラ』(高さ約20 m、幹廻りは約7.25 m、昭和63年の調査で日本一の巨木とみなされた。)が、国の天然記念物に指定された[5]。
種内変異
変種
- ミヤマナラ Quercus crispula var. horikawae ミズナラの高山型
- フモトミズナラ Quercus crispula var. mongolicoides (シノニム Quercus serrata subsp. mongolicoides)。コナラの亜種ともされる。以前はユーラシア大陸産のモンゴリナラQuercus mongolica と同種とされた。研究者により様々な見解が存在し、はっきりしない。
交雑種
- カシワモドキ Quercus x anguste-lepidota カシワとの交雑種
- ミズコナラ Quercus x crispuloserrata コナラとの交雑種
- ホソバガシワ Quercus x nipponica カシワとの交雑種
- ミズナラガシワ Quercus x paucilepis nothovar. naramizugashiwa ナラガシワとの交雑種
自治体指定の木
以下の日本の市町村の指定の木である。また合併前に指定の木であった。
脚注
参考文献
- 増田孝彦・黒坪一樹「ドングリのアク抜き方法に関する一考察」、京都府埋蔵文化財論集、第6集、2010年。
- テンプレート:Cite book
- 米倉浩司、梶田忠「「BG Plants 和名−学名インデックス(YList)」
関連項目
外部リンク
- ミズナラ(マナラ)の標本(宮城県宮城郡宮城町定義で1963年8月3日に採集) (千葉大学附属図書館)
- 北上山地 ~ミズナラの巨樹~ (NHKエコチャンネル)テンプレート:Asbox