ワーキング・ホリデー
ワーキング・ホリデー (Working Holiday) とは、二国間の協定に基づいて、青年(18歳~25歳または30歳)が異なった文化(相手国)の中で休暇を楽しみながら、その間の滞在資金を補うために一定の就労をすることを認める査証及び出入国管理上の特別な制度である。
原則として各相手国ごとに一生に一度しか利用できない[AU 1]。
査証に関する申請条件などは絶えず変化しているため、申請にあたっては各国の大使館やイミグレーションが開設している公式ページで公式な情報を確認することが重要である。
目次
目的
この制度は、両国の青年を1年にわたって相互に受け入れることによって、
- 広い国際的視野をもった青年を育成
- 両国間の相互理解、友好関係を促進すること
が目的とされている。
また、青年自身にとっては海外生活を長期かつ総合的に体験できる場・自分探しの場ともなっている。
日本のワーキング・ホリデー協定国
- アジア
テンプレート:Flagicon 香港、テンプレート:Flagicon 韓国、テンプレート:ROC-TW
- アメリカ
- ヨーロッパ
テンプレート:Flagicon デンマーク、テンプレート:Flagicon フランス、テンプレート:Flagicon ドイツ、テンプレート:Flagicon アイルランド、テンプレート:Flagicon ノルウェー、テンプレート:Flagicon イギリス(ワーキング・ホリデーではない)
- オセアニア
テンプレート:Flagicon オーストラリア、テンプレート:Flagicon ニュージーランド
日本政府とワーキング・ホリデー査証(ビザ)に関する取り決め又は協定を結んでいるのは発効順にオーストラリア、ニュージーランド、カナダ、韓国、フランス、ドイツ、イギリス、アイルランド、デンマーク、中華民国(台湾)、香港、ノルウェーの12か国である。
また、現在、イタリア[1]、ポーランド[2]、スペイン[3]、ハンガリー[4]が制度導入を実現する意向を示している。また、ベルギー[5]が制度導入に興味を示している。
日本におけるワーキング・ホリデー制度の歴史
日本政府は、次の各国とワーキング・ホリデー制度に関する外交上の取極・協定を結んでいる。日付は発効日。
- 1980年12月1日 - オーストラリア(口上書交換による取極)
- 1985年7月1日 - ニュージーランド(口上書交換による取極)
- 1986年3月1日 - カナダ(口上書交換による取極)
- 1999年4月1日 - 大韓民国(協定)
- 1999年12月1日 - フランス(口上書交換による取極)
- 2000年7月15日 - フランス(協定)
- 2000年12月1日 - ドイツ(口上書交換による取極)
- 2001年4月16日 - イギリス(口上書交換による取極。日本人に対してはワーキング・ホリデー制度ではなくYouth Exchange Schemeとして)
- 2007年1月1日 - アイルランド(口上書交換による取極)
- 2007年10月1日 - デンマーク(口上書交換による取極)
- 2008年11月27日 - イギリス(口上書交換による取極。日本人に対してはワーキング・ホリデー制度ではなく就労査証のYouth Mobility Schemeとして)
- 2009年6月1日 - 中華民国(台湾) (財団法人交流協会と台北駐日経済文化代表処との間の書簡交換による)
- 2010年1月1日 - 香港(口上書交換による取極)
- 2010年3月29日 - ニュージーランド(口上書交換による取極。1985年の取極の一部改正)
- 2013年2月1日 - ノルウェー(協定)
- 日本人に対するフランス政府発給のワーキング・ホリデー査証は、フランスのヨーロッパ県においてのみ有効。海外県・海外領土(ギアナ、ポリネシア等)で行使することはできない。当該海外県・海外領土在住のフランス人が日本政府から同査証の発給を受けることは可能。
- イギリス人に対する日本政府発給のワーキング・ホリデー査証は、英国国籍法上の分類(6つ)のうち連合王国市民(British Citizen - GBR)保持者のみ発行対象。
- 口上書・協定上の Working Holiday の日本政府外務省による正式和文表記は「ワーキング・ホリデー」であるが、一般には中黒(・)を省いたり、「ホリデー」を「ホリデイ」とする、などの表記も用いられる。
- 「ワーキング・ホリデー」を短縮し「ワーホリ」と呼ばれることもあるが、公儀では使用されない。
- ワーキング・ホリデー査証で渡航する人のことを指して、「ワーキング・ホリデー メーカー(Working Holiday Maker)」と呼ぶことがある。
期間
ワーキング・ホリデー査証を使用して現地に滞在できる期間は、一般的に1年間だが、条件付で延長が可能な国(オーストラリア- 1年間延長または2回目の査証取得、ニュージーランド - 3ヶ月延長)がある。
また、台湾は180日(最大360日まで延長可)であり、イギリスに関しては就労査証のため2年間となっている。
概要
オーストラリア
全世界からのオーストラリアへのワーキング・ホリデーは毎年20万人以上といわれており、イギリス・アイルランドからは毎年5万人以上がオーストラリアへワーキング・ホリデー メーカーとして渡航していることからも人気のほどが伺える。日本でも最初に協定を結んだオーストラリアの人気は高く、日本からワーキング・ホリデーを目的に渡航する青年は毎年9,000人弱と日本全体のワーキング・ホリデー制度利用者の半数以上を占めている。
南半球では11月ごろから3月ごろが夏季にあたる。日本と比べると冬季は暖かい上に、夏季もシドニーやメルボルン、パースなどの大部分の都市で湿気が少なく年間を通してとても過ごしやすい。内陸部の高地や最南部のタスマニアを除いて、国土のほとんどの地域で雪が降ることは非常に稀である。
天候の良さと資源バブルでの景気の良さ、観光業(飲食・ホテル)へのアルバイトの多さとともに、時給が他国よりも安定しているのが世界中から若者を呼んでいる要因であるが、景気が2012年後半から急激に減速しており求人も減りつつある。オーストラリアでもっとも人気のある都市がシドニー[AU 2]である。
政府が制定している最低時給は、15.51豪ドルと他国の倍以上(NSW州/2011年6月時点)、農場での仕事は時給が18豪ドルと時給が高く設定されている。ただしワーキング・ホリデー査証保持の就業者は税務上"非居住者"扱いになるため、所得税率は最低29%と高めに設定されている。また税務上の"非居住者"には低所得者向けの優遇措置も適用されないため、政府制定の最低時給と実質受け取ることができる賃金は異なる[AU 3]。
過疎地域の農場の人手不足対策のため農場で3か月の季節労働実施者に対して、2005年からオーストラリア政府は2回目のワーキング・ホリデー査証を発給している(希望者のみ)。さらに2006年7月以降、畜産関連作業(羊毛の刈り取り・食肉解体)や林業・漁業に、2008年7月1日以降、採掘関連作業(採炭・金属鉱石採掘など)や建築・建設(土木工学建築・建築施工など)にも拡大し[AU 4]、申請者が増加していた。
「指定された仕事」を3ヶ月間従事したことを条件に、滞在期間を1年から2年に延長できるこの制度をセカンド・ワーキング・ホリデーと呼ぶ。これに対し従来のワーキング・ホリデーをファースト・ワーキング・ホリデーと呼ぶようになった。「3ヶ月間の指定された仕事」という条件は過去にさかのぼって適用されるため、既に帰国した人でも対象年齢(18~30歳)内で、職歴を証明するものがあればセカンド・ワーキング・ホリデーに申請できる。
ファースト・ワーキング・ホリデーでオーストラリアに滞在する若者は、セカンド・ワーキング・ホリデーの資格を得ようと入国当初から「指定された仕事」に就くことも多い。オーストラリアでは多くの農家がワーキング・ホリデーの若者を貴重な労働力とみている。
オーストラリアでは、「ラウンド」という旅行をするワーキング・ホリデーメーカーも多い。これは、オーストラリアを一周ぐるっと回ってみる、という形態の長期旅行といえる。ワーキング・ホリデーの締めくくりに行ったり、ラウンドしながら滞在地を変えたりとさまざまな形態が見られる。
カナダ
定員があるが年度によって変更される[CA 1]。ただ、日本からのワーキング・ホリデーではオーストラリアに続き2番目に渡航者数が多いが、近年12月末に定員に達するため、1年を通して申請可能となっている。
査証は例年、12月頃から翌年分の申請受付が開始されるが、12月に定員に達して査証の発給が終了した場合は、1月中旬から申請受付が開始される。
2007年10月1日(2008年度)より、プログラム参加費(PPF)として150カナダドルが課金されることになった。
2011年12月12日(2012年度)より、International Experience Canada(インターナショナル・エクスペリエンス・カナダ)という名称になった。略してIECとも呼ばれている。
2013年度より申請は書類審査とオンライン審査の2段階で行われるようになったが、2014年1月16日(2014年度)より全てオンライン審査で行われるように変更された。
申請はカナダ大使館のホームページ記載された概要にしたがって申請する事になるが、日本国内では査証は発行されずPOE就労許可通知書(Port of Entry Letter of Introduction)が発行されるにとどまる。IEC就労許可証(ワーキング・ホリデー査証)はカナダ入国時に国境(空港等)で入国審査官に提示することにより発給されることになる。
以前は年度内にカナダに入国する必要があったが、2010年度よりPOE就労許可通知書は有効期限が設けられたため、その期限内にカナダに入国すればよくなった。入国時に発行されるIEC就労許可証の有効期限は入国日から通常1年間となる。 また、入国に際して、カナダ滞在の全期間有効な海外旅行保険の加入証明書と資金証明のための英文残高証明書の提示が必要になる。これらの書類の提示がない場合はカナダに入国ができない。
ワーキング・ホリデーメーカーの主な渡航先はバンクーバー、トロントに二分される。バンクーバー、トロントの順に人気が高く、どちらの都市にもワーキング・ホリデーメーカー向けの情報センターや留学エージェントが多数ある。 バンクーバーは英語のできない日本人、韓国人、中国人が多く集まっている。 トロントは毎年10月から3月はマイナスの天候になり11月から3月はマイナス20度になる日もある。10月から4月の半年間はダウンコートやゴアテックスは必需品。 バンクーバーは雪は降らないがロッキー山脈の雪が太平洋の風で解けて雨になる。10月から4月は毎日冷たい雨の降る雨季となる。
フランス
年間1,500人の定員[FR 1]がある。査証は例年、1月から査証申請が開始され、定員を満たすと締め切りになるが、実質毎年の申請者は1,000人程度であるため、通年申請できる査証となっている [FR 2]。 査証審査には申請にあたっての動機作文を提出することになっていて、この作文の内容次第で却下されることもあり、ワーキング・ホリデー査証の中では取得が困難な国となっている。
この査証のフランス語名は、Visa Vacances-travailであり、略してVVTとも呼ばれている。
日本人は東京の在日フランス大使館[FR 3]に対して申請する事になる。申請に際し、渡航者本人がフランス大使館に直接来館し申請書を提出しなければいけない。受付は事前に来館予約をする必要がある。
イギリス
(イギリス政府では2008年にワーキング・ホリデー査証を廃止しているが、日本人に対して他の査証を発給しているため掲載している)
年間1,000人の定員があり、2年間の査証が発給される。査証は例年、1月から査証申請が開始され、定員を満たすと締め切りになる[UK 1]。
この査証の正式名はYouth Mobility Scheme(英国生活の体験を希望する、参加国からの若者を対象とする)であり、英国査証のカテゴリー (points-based system) のTier 5(短期就労査証)に属される。Youth Mobility Schemeは略してYMSとも呼ばれている。[UK 2][UK 3]。
2008年11月4日に英国政府によって英国査証制度が改定されるまでは、日本人を対象にしたYouth Exchange Scheme(略してYES)と呼ばれる査証がイギリス・ワーキング・ホリデーと呼ばれていた。既に廃止されたYouth Exchange Schemeは対象年齢18歳~25歳、定員400名、期間が1年間であったのに対し、現在のYouth Mobility Schemeは対象年齢18歳~30歳、定員1,000名、期間が2年間となって大幅に変更されている。
日本国内での申請は東京または大阪の英国ビザ申請センター ( UK Border Agency) に対して申請する事になる。申請に際し、渡航者本人が英国ビザ申請センターに直接来館し申請書を提出しなければいけない。受付は事前に来館予約をする必要がある。
特徴
この査証を使用する青年はアルバイトで滞在資金を補うことが許可されており、ワーキング・ホリデーは「旅する」ことに加え、「学ぶ」「働く」「暮らす」といった海外生活が総合的に体験できる制度といる。しかしながら、あくまで観光が目的の査証なので、ワーキング・ホリデー査証を使用して就労や就学を第一の目的とする渡航は禁じられている。
- 就労についてはあくまで「許されている」という程度なので、日本から持参する生活費については少し多めに持っていくことが望ましい。
- 到着~3ヶ月目(オーストラリアについては語学学校に17週間通える)までは語学習得や情報収集・仲間作りのため語学学校に通い、その後アルバイトやボランティア・スポーツ・旅行などをするというパターンが一般的である。
- アルバイトは現地無料サポートオフィスの掲示板や新聞、日本語新聞などの求人広告などを精力的に探したり、インフォメーションボードなどから情報が得られることが多い。職種は国や地域によって異なるが、農畜産関連作業、ツアーガイド・各オプショナルツアーの日本人スタッフ・お土産屋、免税店のスタッフ・ブライダルカンパニーの日本人スタッフ・日本食レストラン・貴金属店などが多い。
- 風俗営業に関する業種は禁止されている。売春目的では、ワーキング・ホリデー査証を使用した韓国からの入国が他の国に比べて圧倒的に多く、2014年6月にはそれまで例外的に30歳までと緩和していた韓国人に対する査証発給の年齢条件を元来の25歳以下に厳格化するなど、日本政府が対策を講じてる[6][7]。
オーストラリア
オーストラリアについては、2006年7月1日から「1雇用主につき6ヶ月間就労可能」となっている。
カナダ
カナダについては、就労期間の規定はなく、1雇用主のもとで1年間の就労が可能であり業種も特に限定されていないが、仕事は見つかりにくく時給も低い。特に長い冬となる10月から4月の間はカナダの経済が3割落ち込むと言われるほど仕事がなくなる。
フランス
フランスについては、2013年度から専門職(調理師、デザイナー、技術者、職人、建築士など資格を必要とする職業)での就労が完全に禁止されることとなり、日本で専門職の職歴や資格があったり、査証申請の際に提出する動機作文で専門職の活動を窺わせるような申請者に対しては「私はフランスでは専門職として働かない」という署名付の宣誓書の提出がフランス大使館から要求され、宣誓を拒否した場合は査証申請が却下される。就職や研修、アルバイト、ボランティアなど形態に関係なく、少しでも専門職に従事しようとする申請者に対してワーキング・ホリデー査証は発給されない。
イギリス
イギリスについては、Youth Mobility Schemeがワーキング・ホリデー査証でなく就労査証なので、就労期間の規定はない。よって、2年間の就労・就学が可能となっている。また条件付で個人事業主として起業も可能になっている。
脚注
註釈
オーストラリア
カナダ
フランス
イギリス
外部リンク
- 日本政府
- 各国の大使館やイミグレーション
- オーストラリア移民局 Working Holiday
- ニュージーランド イミグレーション Working Holiday
- 在日カナダ大使館 Working Holiday
- UK Border Agency Tier 5 (Youth mobility scheme)
- UK Border Agency 英国ビザセンター
- 駐日英国国境局
- 在日フランス大使館 Working Holiday
- 韓国大使館 ビザセクション
- 韓国外交部(外務省) ワーキングホリデーインフォセンター
- 在日ドイツ大使館・ドイツ総領事館 Working Holiday
- 在日アイルランド大使館 Working Holiday
- 在日デンマーク大使館 Working Holiday
- 台北駐日経済文化代表処横浜分処 Working Holiday
- 香港政府一站通 Working Holiday
- 在日ノルウェー大使館 Working Holiday
参考:世界のワーキング・ホリデー査証発給国
- アジア
テンプレート:Flagicon 香港、テンプレート:Flagicon 日本、テンプレート:Flagicon 韓国、テンプレート:ROC-TW、テンプレート:SIN、テンプレート:SRV
- アメリカ
テンプレート:Flagicon アルゼンチン、テンプレート:Flagicon カナダ、テンプレート:Flagicon チリ
- ヨーロッパ
テンプレート:Flagicon オーストリア、テンプレート:Flagicon ベルギー、テンプレート:Flagicon チェコ、テンプレート:Flagicon デンマーク、テンプレート:Flagicon フランス、テンプレート:Flagicon ドイツ、テンプレート:Flagicon アイルランド、テンプレート:Flagicon イタリア、テンプレート:Flagicon ラトビア、テンプレート:Flagicon オランダ、テンプレート:Flagicon ノルウェー、テンプレート:Flagicon ポーランド、テンプレート:Flagicon スウェーデン、テンプレート:Flagicon スイス、テンプレート:Flagicon トルコ、テンプレート:Flagicon イギリス(2008年11月4日に廃止)、テンプレート:Flagicon キプロス、テンプレート:Flagicon エストニア、テンプレート:Flagicon フィンランド、テンプレート:Flagicon マルタ
- オセアニア
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タグがありません- ↑ イタリア共和国首相訪日に際しての共同記者発表 外務省 2007年4月16日
- ↑ 日・ポーランド首脳会談 外務省 2013年6月17日
- ↑ 日スペイン首脳会談 外務省 2013年10月3日
- ↑ 日ハンガリー首脳会談 外務省 2013年11月21日
- ↑ 外務副大臣のベルギー訪問 外務省 2013年8月28日
- ↑ 韓国女性へのワーキングホリデービザ急に厳格化 産経新聞 2014年6月26日
- ↑ 安倍政権、韓国人売春婦を締め出しか ワーキングホリデー制度悪用者を相次ぎ強制送還 夕刊フジ 2014年6月28日
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