高度情報処理技術者試験
高度情報処理技術者試験(こうどじょうほうしょりぎじゅつしゃしけん)とは、情報処理技術者試験の区分の中で、専門性、複雑性、責任性、規模が大きい一部の区分を言う。単に高度試験という場合もある。
概要
情報処理技術者試験センターは、試験制度においてスキルレベルを1~4に設定しているが、この中でスキルレベル4に相当するものを高度試験と規定[1]している。また、旧制度から運営されている、スキルレベル5に該当する試験も2009年の制度改正を目処にスキルレベル4に統合されている。
沿革
- 1994年(平成6年) 試験制度改正後、情報処理技術者試験センターが合格発表等を行う時に一部の区分を指して「高度試験」の語の使用を開始した。
- 2001年(平成13年)試験制度改正後は、情報処理技術者試験センターは「高度試験」の語を用いなくなった。
- 経済産業省の資料[2][3]においても(ソフトウェア開発技術者試験を含むか否か)バラツキが見られる。但し、一般的には初級システムアドミニストレータ試験、基本情報技術者試験、ソフトウェア開発技術者試験を除いた区分と説明されることが多かった。
- 2009年(平成21年)試験制度が改訂されたITスキル標準に対応するよう改正され、スキルレベル4相当が「高度試験」と規定された。
どの時期にあっても、情報処理技術者試験の中で難易度・専門性・対外的評価の高い区分を指すという点は変わらない。これらに合格することはITエンジニア、広義のシステムエンジニアの能力認定に有効な手段となる。
対象となる区分
- ITストラテジスト試験(旧:システムアナリスト試験を母体に上級システムアドミニストレータ試験の内容を包含)
- プロジェクトマネージャ試験
- システムアーキテクト試験(旧:アプリケーションエンジニア試験)
- ITサービスマネージャ試験(旧:テクニカルエンジニア(システム管理)試験)
- ネットワークスペシャリスト試験(旧:テクニカルエンジニア(ネットワーク)試験)
- データベーススペシャリスト試験(旧:テクニカルエンジニア(データベース)試験)
- エンベデッドシステムスペシャリスト試験(旧:テクニカルエンジニア(エンベデッドシステム)試験)
- 情報セキュリティスペシャリスト試験(旧:テクニカルエンジニア(情報セキュリティ)試験と情報セキュリティアドミニストレータ試験の統合)
- システム監査技術者試験
従前の区分
参考 1993年(平成5年)までの区分で高度試験に相当するもの
- 特種情報処理技術者試験
- オンライン情報処理技術者試験
- 情報処理システム監査技術者試験
1994年より高度試験とされた区分
- プロジェクトマネージャ試験
- プロダクションエンジニア試験(2000年(平成12年)廃止)
- システム運用管理エンジニア試験
- システムアナリスト試験
- アプリケーションエンジニア試験(旧:特種情報処理技術者試験)
- ネットワークスペシャリスト試験(旧:オンライン情報処理技術者試験を分割)
- データベーススペシャリスト試験(同上)
- システム監査技術者試験(旧:情報処理システム監査技術者試験)
1998年(平成10年)に新設、高度試験に追加された区分
- マイコン応用システムエンジニア試験
- 上級システムアドミニストレータ試験
2001年より高度試験と称された区分
- システムアナリスト試験
- プロジェクトマネージャ試験
- アプリケーションエンジニア試験
- テクニカルエンジニア(ネットワーク)試験(旧:ネットワークスペシャリスト試験)
- テクニカルエンジニア(データベース)試験(旧:データベーススペシャリスト試験)
- テクニカルエンジニア(システム管理)試験(旧:システム運用管理エンジニア試験)
- テクニカルエンジニア(エンベデッドシステム)試験(旧:マイコン応用システムエンジニア試験)
- 情報セキュリティアドミニストレータ試験
- 上級システムアドミニストレータ試験
- システム監査技術者試験
2006年(平成18年)に新設、高度試験と称された区分
- テクニカルエンジニア(情報セキュリティ)試験
特徴
高度試験では午前試験の問題の共通化が行われている。
午前I試験は、全試験区分の問題が共通であり、情報セキュリティを含むストラテジ・マネジメント・テクノロジ系の全分野が対象である。 また、応用情報技術者試験合格または高度試験のいずれかで合格もしくは午前I試験が基準点以上であれば2年間は午前I試験が免除される。
午前II試験は、個々に重点分野が異なる。 情報セキュリティ分野はITストラテジスト試験およびプロジェクトマネージャ試験の試験範囲から外されていたが、平成26年春試験以降は出題範囲となった。
従前のもの
- 2001年(平成13年)システムアナリスト試験、プロジェクトマネージャ試験、アプリケーションエンジニア試験において、午前試験は共通問題とされた。
- 2005年(平成17年)高度試験の全区分において情報セキュリティの重要性に鑑み、情報セキュリティ分野に問題が追加[4](問題数を50問から55問に増加、試験時間も90分から100分に延長)された。
論文試験
高度情報処理技術者試験区分の中で、ITストラテジスト試験、プロジェクトマネージャ試験、システムアーキテクト試験、ITサービスマネージャ試験、システム監査技術者試験は午後Ⅱの問題で小論文を課している。これは、技術系でありながらそれぞれの立場で第三者に状況を説明することが必要とされるためであると考えられる。そのため、技術のみを深く追求するだけでなく、与えられた問題から的確に情報を把握し、正しく伝達するための技量を論文形式で表現する能力が必要となる。その分、技術についての深い知識は求められていないが、多くの受験者にとって難易度が高いと認識されている。
その他
免除対象となる試験
- 中小企業診断士試験の第一次試験科目免除
- 弁理士試験の選択科目免除
- 情報処理技術者試験センターが規定するもの(従前の相当する資格を含む、統合されたものはその従前のものも含む。)
- 応用情報技術者
- 第一種情報処理技術者
- ソフトウェア開発技術者
- ITストラテジスト
- システムアナリスト
- プロジェクトマネージャ
- システムアーキテクト
- 特種情報処理技術者
- アプリケーションエンジニア
- システム監査技術者
- 情報システム監査技術者
- テクニカルエンジニア
- 各スペシャリスト
- オンライン情報処理技術者
- プロダクションエンジニア
- マイコン応用システムエンジニア
- システム運用管理エンジニア
- ITサービスマネージャ
- 上級システムアドミニストレータ
- 情報セキュリティアドミニストレータ
脚注
テンプレート:情報処理技術者試験- ↑ テンプレート:PDFlinkpp.9~10を参照(情報処理技術者試験センター - 新着情報 - 記事 2007年12月25日)
- ↑ テンプレート:PDFlinkp.6下段を参照(経済産業省 - 審議会・研究会 2003年8月)
- ↑ テンプレート:PDFlinkp.4欄外を参照(同省 - IT人材の育成 2004年6月)
- ↑ テンプレート:PDFlink(情報処理技術者試験センター - 新着情報 2004年11月30日)