マルチェロ・ガンディーニ
マルチェロ・ガンディーニ(Marcello Gandini , 1938年8月26日 - )は、イタリアのデザイナー。主に自動車をデザインしている。
概要
カロッツェリア・ベルトーネの元チーフデザイナーで、スーパーカー・ブームで有名になったランボルギーニ・カウンタックやWRCで大活躍したランチア・ストラトスなど多数のヒット作を持つデザイナーである。またスポーツカーだけでなく、いくつかの優れたファミリーカーや、トラック、バスなど商用車も手掛けており、構造など技術知識に長けたデザイナーとして知られる。現在もフリーランスとして多方面でその才能を発揮している。
ガンディーニのデザインには、リアホイールアーチ上部を斜めにカットしたものが多く見られ特徴となっている。
自動車以外にもオフィス家具や小型ヘリコプターなどのデザインも手がける。
経歴
1938年8月26日、オーケストラの指揮者であるマルコ・ガンディーニの子としてトリノで生まれた。
1950年代後半から1960年代前半はトリノを拠点にフリーランスのデザイナーとして、チューニングカーのボディ製作や郊外の別荘、ナイトクラブのインテリア、漫画などのデザインに関わった。また、ツーリングやマラツィ、ボアノなどカロッツェリアにいくつかのデザインを提供ていた。
1965年11月カロッツェリア・ギアへ移籍したジョルジェット・ジウジアーロの後任としてベルトーネに招かれ、チーフデザイナーなった。 ベルトーネでの彼の最初の作品はランボルギーニ・ミウラでは、前任者ジウジアーロの代表作、シボレー・コルヴェア・テスチュード(1963年)、イソ・グリフォ・クーペ(1963年)、フィアット850スパイダー(1965年)などの特徴を融合、またフォード・GT40(1964年)やディーノ・206/246(1965年)など時代のスポーツカーの部分的エッセンスを巧みに取り入れ注目を集めた。
1966年から1979年までのベルトーネにおけるすべてのコンセプトカーはガンディーニのデザインであり、その多くは人を驚かす奇抜なデザインであるが、生産モデルに反映されたものは数多い。ジャガーFTはのちのBMW・5シリーズに影響を与え、ジャガー・ピラーナとランボルギーニ・マルツァルのスタイルはランボルギーニ・エスパーダへと引き継がれた。また、アウトビアンキ・ラナバウトはX1/9に、ラナバウトにおける部分的要素、フェンダーアーチやリア・パネルのスタイルは、それぞれランチア・ストラトスとランボルギーニ・カウンタックへ引き継がれた。カウンタックで初めて生産モデルに採用された前ヒンジで立ち上がるガルウィング風の跳ね上げドアや、車体先端からキャビンそして後端へ一気に連なったワンボックス状のボディは、アルファロメオ・カラーボのスタイルを反映させたものであった。
1979年7月に組織業務が好きになれないという理由でベルトーネを去り独立。ベルトーネ在籍時の最後の作品はシトロエン・BX(1982年発表)となった。以来、フリーランスとしてベルトーネ在籍時と同様に精力的なデザイン活動を行っている。独立後、最初の5年間はルノーと独占契約し、5(シュペールサンク)の内外装をはじめ、ルノー・25やアルピーヌV6ターボの内装、商業車ルノー・マスターのデザインを担当、1990年に発表された大型トラックのルノー・AEマグナムではコンセプトからデザインまでを受け持った。
ルノーとの契約が終わった1986年以降からはトム・ジャーダがデザインしたデ・トマソ・パンテーラのリデザインやマセラティ・シャマル、キュバスコ、クアトロポルテ(IV)、チゼータ・V16Tなどのデザインを担当した。
ランボルギーニ・ディアブロやブガッティ・EB110のデザインもガンディーニに依頼されたものであったが、各社の経営者層の評判が悪かった為にスタイルは大幅に他人の手を加えられた。ディアブロについては、改修作業を承諾し監修したとしての自身のネームプレート付きで発売され、その後ランボルギーニ社の経営者が変わってから30周年記念車SEとロードスターモデルで彼らしいスタイルへと再改修されて発売された。EB110については、途中で契約が破棄された後の改修であり、自分の作品ではないとしている。
現在、スズキ・ワゴンR[1](エンジンとボディを拡大した欧州仕様)を「機能的である」として愛車としている。
代表作
生産モデル(競技モデルを含む)
|
試作モデル
|
文献資料
- 『別冊カースタイリング/ベルトーネ特集 1977年』三栄書房
- 『カースタイリング・第77号 1990年』- マルチェロ・ガンディーニ — エグゾティック・カーの巨匠 解説ジャンカルロ・ペリーニ 三栄書房
- 『カーマガジン第296号 2003年』- マルチェロ・ガンディーニ ロングインタビュー ネコ・パブリッシング
- 『ゲンロク第241号 2006年』- ミウラの真実 三栄書房
脚注
外部リンク
- ベルトーネ - 1966年-1980年までの作品はここで確認できる