学校法人自由学園
自由学園(じゆうがくえん)は、東京都東久留米市学園町にある学校法人。幼稚園から大学まで独自の教育理念に基づいた一貫教育を行う。
目次
概要
クリスチャンだった女性思想家の羽仁もと子と羽仁吉一の夫婦によって1921年4月15日、キリスト教精神に基づいた理想教育を実践しようと東京府北豊島郡高田町(現・豊島区)に設立された。1934年に校舎を東京府北多摩郡久留米町(現・東久留米市)に移転し、現在にいたる。
学生の多くが学園内の寮で生活し、キャンパスの維持管理はとくに危険な仕事を除きすべて生徒の手によって行われている。これは毎日の生活を生徒自身が責任を持って行う自労自治の精神に基づく。文部科学省の学習指導要領にとらわれない独自の教育方法で知られ、たとえば学生による稲作(田植え・収穫)、女子部生徒が学園内農場で野菜を育てる農芸、男子部生徒による酪農(豚・牛を育てる)など、それによって得た給食調理も生徒自身が行っている。
東久留米市のキャンパス(10万㎡)以外に、那須農場(53万㎡)や埼玉県名栗(10万㎡)・三重県海山(15万㎡)・栃木県黒羽(11万㎡)の学校林(植林地)を保有している。
所在地・交通
設置学校
自由学園幼児生活団幼稚園
自由学園初等部(小学校)
自由学園中等科・高等科(自由学園男子部・女子部)
テンプレート:日本の高等学校 自由学園中等科・高等科(じゆうがくえんちゅうとうか・こうとうか)は、男子部と女子部に分かれている。法制度上は、自由学園男子部中等科及び自由学園女子部中等科並びに自由学園高等科である[1][2]一方、学校法人自由学園の公式サイトでは、自由学園男子部中等科・高等科及び自由学園女子部中等科・高等科となっている。
自由学園最高学部(大学部)
自由学園最高学部(じゆうがくえんさいこうがくぶ)は、大学に相当する4年制課程及び短期大学に相当する2年制課程(女性のみ)から構成されている。
自由学園最高学部は、文部科学省の一条校認可を受けていないので、学校教育法第135条により各種学校であるが、概ね大学・短期大学相当の扱いを受けており、4年制課程を修了した者の中には大学院に進学する者もいる。自由学園高等科からの進学のみで外部生は受け入れない。男性は4年制課程のみ、女性は4年制課程と2年制課程の選択ができるようになっている。
沿革
- 1921年(大正10年) - 東京府北豊島郡高田町雑司が谷(現・東京都豊島区西池袋)に高等女学校令によらない学校として創立(女子部)。
- 1927年(昭和2年) - 初等部を開設。
- 1934年(昭和9年) - 校舎を東京府北多摩郡久留米町(現・東久留米市)に完全移転。東京府東京市豊島区雑司が谷町6丁目(現・西池袋2丁目)の旧校舎は「自由学園明日館」として今も残る。
- 1935年(昭和10年) - 男子部を開設。
- 1939年(昭和14年) - 幼児生活団を開設。
- 1949年(昭和24年) - 最高学部を開設。
- 2007年(平成19年) - 幼児生活団が認可幼稚園「自由学園幼児生活団幼稚園」として開園。
自由学園附属機関
- 自由学園明日館:フランク・ロイド・ライトと遠藤新の共同設計。1997年に国の重要文化財に指定され、現在動態保存として一般に開放、利用されている。
- 自由学園工芸研究所
- 自由学園那須農場
行事
- デンマーク体操を中心とした全校生徒による、体操会が年に1回開かれる。
- 全校生徒の創作を展示する美術工芸展が、4年に1度開かれる。
- 大規模な会場を使い、生徒による合唱やオーケストラの発表を行う音楽会が4年に1度開かれる。
- 音楽会と美術展がない年には、学業報告会として1年間勉強したことを発表する会が開かれる。
制服
- 男子部中等科は1980年代半ば頃まで、中等教育課程では珍しく半ズボンを制服に採用していた。
- 女子部は、制服ではなく式服という形のものがある。しかし、規定服としてスカートとブラウスというものがある。
- 初等部は、女子部と同様である。
- 男子部には、制服がある。
文化財
- 重要文化財
- 自由学園明日館(豊島区)
- 中央棟、東教室棟、西教室棟、講堂
- 東京都選定歴史的建造物
- 初等部食堂、女子部食堂、女子部講堂、女子部体操館、男子部体操館(以上、東久留米市)
主な出身者
- 石垣綾子(評論家)
- 小山美秀子(神慈秀明会創始者)
- 神谷美恵子(精神科医、作家)※3か月間のみ在学
- 生源寺美子(児童文学作家)
- 松岡洋子(評論家、翻訳家)
- 堀江泰子(料理研究家)
- 羽田澄子(映画監督)
- 村方千之(指揮者)
- 古屋安雄(神学者、国際基督教大学名誉教授)
- 遠藤楽(建築家)※遠藤新の二男
- 羽仁進(映画監督)※羽仁もと子の孫
- 羽仁協子(音楽評論家)※羽仁もと子の孫
- 岸田今日子(女優)
- 紙谷一衛(指揮者)
- 久山恵子(指揮者)
- 久家道子(手芸家、刺繍作家)
- 萩元晴彦(テレビ制作者、音楽プロデューサー)
- 日下公人(評論家、作家、多摩大学名誉教授)
- 坪井明日香(陶芸家)
- 本郷淳(俳優)
- 山本直純(指揮者、作曲家)
- 梅浦洋一(テレビプロデューサー、映画プロデューサー)
- 水木楊(市岡揚一郎)(作家)
- 應蘭芳(女優)
- 三木晴雄(実業家)
- 木下良作(学者)
- 山本明(高エネルギー加速器研究機構教授)
- 本橋成一(カメラマン、映画監督)
- 新海百合子(女優)
- 松室哲生(元『週刊ダイヤモンド』編集長)
- 宮浦清(音楽家、プロデューサー)
- 蟻川謙太郎(神経行動学、感覚生理学)
- 金原亭世之介(落語家)
- 山本ふみこ(作家、エッセイスト)
- 羽仁知治(ジャズピアニスト)※羽仁五郎の孫
- 松原剛(CMディレクター)
- 森純太(JUN SKY WALKER(S)、作曲家)
- 宮田和弥(JUN SKY WALKER(S)、ジェット機 (バンド))
- 伊藤毅(THE STREET BEATS、JUN SKY WALKER(S)、音楽プロデューサー、作曲家)
- 川嶋 仁(ピアニスト)
- 纐纈あや(映画監督)
- オノ・ヨーコ(芸術家、幼児生活団卒)
- 三善晃(作曲家、幼児生活団)
- 坂本龍一(作曲家、東京友の会 世田谷幼児生活団)
- 古内東子(歌手、幼児生活団中退)
- 秋篠宮紀子(幼児生活団通信グループ)
- 黒田清子(紀宮、幼児生活団通信グループ)
関係団体
(羽仁夫妻が設立し、現在も協力関係にある)
- 婦人之友社
- 全国友の会
参考文献
- 羽仁進『自由学園物語』講談社 1984 ISBN 4062007126
- 羽仁結『よみがえれ明日館スピリット F.L.ライトと自由学園』ネット武蔵野 2002 ISBN 494423709X ISBN-13 978-4944237098
- 羽仁翹『よく生きる人を育てる - 偏差値ではなく人間値』教文館 2005 ISBN 476426580X
- 自由学園総合企画室『自由学園とは?100問100答』自由学園広報室 2010
脚注及び参照
関連項目
- 東京都幼稚園一覧
- 東京都小学校一覧
- 東京都中学校一覧
- 東京都高等学校一覧
- 寮がある日本の中学校・高等学校の一覧
- 各種学校一覧
- ザ・クイズショウ - ドラマ第2シーズンのロケ地の1つ。養護施設「ひまわり学園」として使われた。
- 上からマリコ - AKB48の楽曲。ミュージックビデオのロケ地として自由学園明日館が使用された。
外部リンク
- 自由学園のウェブサイト
- 自由学園幼児生活団幼稚園
- 自由学園初等部(小学校)
- 自由学園男子部中等科・高等科
- 自由学園女子部中等科・高等科
- 自由学園最高学部(大学部)
- 自由学園明日館
- テンプレート:PDFlink - 2005年7月22日、平成16(行ヒ)343。
- ↑ 私立中学校一覧-東京都のp.2による。
- ↑ 私立高等学校一覧-東京都のp.2による。