邑楽郡
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邑楽郡(おうらぐん)は、群馬県(上野国)の郡である。平成の大合併において群馬県内の郡では唯一全町が独立を保った。
以下の5町が含まれる。
概要
- いずれの町も工業が発展しており、観光産業に乏しい。
- 県内で唯一男性が女性より多い郡である。
- 生産人口割合が高く、最も高い大泉町は県内第1位、最も低い板倉町でも県内第9位である。
- 県都の前橋市から40~60kmとかなり離れているのに対し、都心からは約70kmであり便も良いため、都心との関係が県内の他の地域と比べて、密接である。
郡域
1878年(明治11年)に行政区画として発足した当時の郡域は、概ね上記5町に館林市を加えた区域に相当する。
歴史
近代以降の沿革
知行 | 村数 | 村名 | |
---|---|---|---|
幕府領 | 幕府領 | 38村 | 大久保村、島村[1]、高鳥村[2]、海老瀬村、下五箇村、飯野村、斗合田村、江黒村、千津井村、板倉村、岩田村、浮戸村、内蔵新田村、離村、細谷村、大荷場村、除川村、秋妻村、瀬戸井村、古戸村、鍋谷村、●赤岩村、福島村、寄木戸村、●上小泉村、下小泉村、坂田村、古氷村、吉田村、石打村、下中森村、野辺村、木崎村、萱野村、上五箇村、須賀村、新福寺村、藤川村 |
藩領 | 上野館林藩 | 1町 40村 |
館林町[3]、川俣村、大佐貫村、矢島村、近藤村、入ヶ谷村、日向村、鶉村、鶉新田、赤堀村、狸塚村、光善寺村[4]、中野村、●堀工村、松原村、●羽附村、江口村、田島村、南大島村、新里村、中谷村、梅原村、青柳村、当郷村、●大新田、成島村、足次村、岡野村、高根村、木戸村、傍示塚村、上早川田村、下早川田村、新当郷村、田谷村、四ツ谷村、籾谷村、谷越村、●新宿村、小桑原村、赤生田村 |
上野前橋藩 | 1村 | 大輪沼新田、大輪沼新田ノ内・川俣村分(大輪沼新田のうち) | |
幕府領・藩領 | 幕府領・前橋藩 | 8村 | 西岡新田、●北大島村、西岡村、●大曲村、仙石村、舞木村、上中森村、大輪村 |
幕府領・館林藩 | 3村 | 篠塚村、上三林村、下三林村 | |
幕府領・三河西端藩 | 1村 | 古海村 |
- 慶応4年6月17日(1868年8月5日) - 新政府が岩鼻陣屋に岩鼻県を設置。幕府領・旗本領を管轄。
- 明治2年 - 前橋藩、館林藩の領地替えにより、古海村の西端藩領を除く全域が館林藩の管轄となる。
- 明治4年
- 1876年(明治9年)(1町88村)
- 1878年(明治11年)12月7日 - 郡区町村編制法の群馬県での施行により、行政区画としての邑楽郡が発足。館林町に郡役所を設置。
町村制後の沿革
- 1889年(明治22年)4月1日 - 町村制の施行により、以下の町村が発足。古戸村は新田郡沢野村に合併され郡より離脱。(1町21村)
- 館林町 ← 館林町、谷越村の大部分および成島村、当郷村の一部(現館林市)
- 郷谷村 ← 新当郷村、田谷村、四ツ谷村および当郷村の大部分、館林町の一部(現館林市)
- 大島村(単独村制、現館林市)
- 西谷田村 ← 除川村、西岡村、西岡新田、細谷村、離村、大荷場村、大曲村(現板倉町)
- 海老瀬村(単独村制、現板倉町)
- 大箇野村 ← 大高島村、下五箇村、飯野村(現板倉町)
- 伊奈良村 ← 板倉村、岩田村、籾谷村、内蔵新田村(現板倉町)
- 赤羽村 ← 羽附村、赤生田村(現館林市)
- 千江田村 ← 千津井村、江口村、江黒村、田島村、斗合田村(現明和町)
- 梅島村 ← 新里村、梅原村、中谷村、南大島村(現明和町)
- 佐貫村 ← 須賀村、大輪村、大輪沼新田、川俣村、大佐貫村および矢島村の大部分、入ヶ谷村の一部(現明和町)
- 六郷村 ← 新宿村、松原村、小桑原村、青柳村、近藤村、堀工村(現館林市)
- 三野谷村 ← 上三林村、下三林村、野辺村および入ヶ谷村の大部分、矢島村の一部(現館林市)
- 富永村 ← 上五箇村、萱野村、木崎村、上中森村、下中森村および瀬戸井村の大部分、赤岩村の一部(現千代田町)
- 永楽村 ← 福島村、舞木村、鍋谷村、新福寺村および赤岩村の大部分、瀬戸井村の一部(現千代田町)
- 大川村 ← 仙石村、吉田村、古海村、寄木戸村、古氷村、坂田村(現大泉町)
- 小泉村 ← 上小泉村、下小泉村(現大泉町)
- 高島村 ← 藤川村、秋妻村、石打村(現邑楽町)
- 中野村 ← 中野村、鶉村、鶉新田、光善寺村(現邑楽町)
- 長柄村 ← 篠塚村、狸塚村、赤堀村(現邑楽町)
- 多々良村 ← 高根村、木戸村、日向村および成島村の大部分、谷越村の一部(現館林市)
- 渡瀬村 ← 下早川田村、上早川田村、傍示塚村、足次村、大新田、岡野村(現館林市)
- 1896年(明治29年)7月15日 - 郡制を施行。
- 1902年(明治35年)7月25日 - 小泉村が町制施行して小泉町となる。(2町20村)
- 1916年(大正5年) - 人口:83,319名。マラリア患者数:3,609名[5]。
- 1923年(大正12年)4月1日 - 郡会が廃止。郡役所は存続。
- 1926年(大正15年)7月1日 - 郡役所が廃止。以降は地域区分名称となる。
- 1954年(昭和29年)4月1日 - 館林町・郷谷村・大島村・赤羽村・六郷村・三野谷村・多々良村・渡瀬村が合併して館林市が発足し、郡より離脱。(1町13村)
- 1955年(昭和30年)
- 1956年(昭和31年)9月30日 - 千代田村の一部(旧長柄村の大字篠塚・狸塚・赤堀)が中島村に編入。
- 1957年(昭和32年)
- 1968年(昭和43年)4月1日 - 邑楽村が町制施行して邑楽町となる。(3町2村)
- 1982年(昭和57年)4月1日 - 千代田村が町制施行して千代田町となる。(4町1村)
- 1998年(平成10年)10月1日 - 明和村が町制施行して明和町となる。(5町)
変遷表
明治22年4月1日 | 明治22年 - 大正15年 | 昭和元年 - 昭和29年 | 昭和30年 | 昭和31年 - 昭和32年 | 昭和33年 - 昭和64年 | 平成元年 - 現在 | 現在 | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
館林町 | 館林町 | 昭和29年4月1日 館林市 |
館林市 | 館林市 | 館林市 | 館林市 | 館林市 | ||
郷谷村 | 郷谷村 | ||||||||
大島村 | 大島村 | ||||||||
赤羽村 | 赤羽村 | ||||||||
六郷村 | 六郷村 | ||||||||
三野谷村 | 三野谷村 | ||||||||
多々良村 | 多々良村 | ||||||||
渡瀬村 | 渡瀬村 | ||||||||
小泉村 | 明治35年7月25日 町制 |
小泉町 | 小泉町 | 昭和32年3月31日 大泉町 |
大泉町 | 大泉町 | 大泉町 | ||
大川村 | 大川村 | 大川村 | 大川村 | ||||||
西谷田村 | 西谷田村 | 西谷田村 | 昭和30年2月1日 板倉町 |
板倉町 | 板倉町 | 板倉町 | 板倉町 | ||
海老瀬村 | 海老瀬村 | 海老瀬村 | |||||||
大箇野村 | 大箇野村 | 大箇野村 | |||||||
伊奈良村 | 伊奈良村 | 伊奈良村 | |||||||
高島村 | 高島村 | 高島村 | 昭和30年3月1日 中島村 |
中島村 | 昭和32年1月1日 改称 邑楽村 |
昭和43年4月1日 町制 |
邑楽町 | 邑楽町 | |
中野村 | 中野村 | 中野村 | |||||||
長柄村 | 長柄村 | 長柄村 | 昭和30年3月31日 千代田村 |
昭和31年9月30日 中島村に編入 | |||||
富永村 | 富永村 | 富永村 | 千代田村 | 昭和57年4月1日 町制 |
千代田町 | 千代田町 | |||
永楽村 | 永楽村 | 永楽村 | |||||||
千江田村 | 千江田村 | 千江田村 | 昭和30年3月1日 明和村 |
明和村 | 明和村 | 平成10年10月1日 町制 |
明和町 | ||
梅島村 | 梅島村 | 梅島村 | |||||||
佐貫村 | 佐貫村 | 佐貫村 |
参考文献
- 角川日本地名大辞典 10 群馬県
- 旧高旧領取調帳データベース