タンポポ (映画)
テンプレート:Infobox Film 『タンポポ』は、1985年の日本映画。伊丹十三の脚本・監督による「ラーメンウエスタン」と称したコメディ映画。売れないラーメン屋を立て直す物語。
あらすじ
長距離トラックの運転手、ゴローとガンがとあるさびれたラーメン屋に入ると、店主のタンポポが幼馴染の土建屋ビスケンにしつこく交際を迫られていたところだった。それを助けようしたゴローだが逆にやられてしまう。翌朝、タンポポに介抱されたゴローはラーメン屋の基本を手解きしタンポポに指導を求められる。そして次の日から「行列のできるラーメン屋」を目指し、厳しい修行を始める。
キャスト
- ゴロー - 山崎努
- タンポポ - 宮本信子
- しがないラーメン屋の店主で未亡人。ゴローと二人三脚で美味いラーメン屋になろうと努力する。
- ガン - 渡辺謙
- ゴローと一緒にタンクローリーに乗っている助手的相棒。タンポポの西洋風調理服を作る。
- ピスケン - 安岡力也
- ヤクザまがいの土建屋。タンポポとは幼馴染で、毎晩店に現れてはしつこく言い寄っていた。ゴローとタイマンの後に和解し、店のリフォームを買って出て、自らのとっておきメニューの「ネギソバ」を伝授する。
- センセイ - 加藤嘉
- 元産婦人科医。ラーメン好きの食道楽のせいで病院を妻と事務長に乗っ取られ、ホームレスたちのまとめ役になっている。ゴローの紹介によりタンポポの指導に当たり、主にスープの担当をする。
- ショーヘイ - 桜金造
- モチをつまらせる老人の運転手兼料理人で怪しい関西弁を話す。ラーメン好きで、主に麺の担当をする。
- ターボー - 池内万平
- タンポポの小学生の息子。いじめられていたがゴローたちのアドバイスでリベンジを果たし、いじめっ子たちとは一緒に登校するほどの仲となった。
- 蕎麦屋で愛人に止められていたすべてのメニューを注文し、ぜんざいのモチを喉に詰まらせてタンポポ達に助けられる。お礼として自宅に招きスッポン料理を振舞った上、ショーヘイを仲間に加えてくれる。
- 白服の男 - 役所広司
- ヤクザの若頭風で全身白色のコーディネイト。かなりのグルメで死に際まで料理について語る。
- 白服の男の情婦 - 黒田福美
- カキの少女 - 洞口依子
- マネージャー - 津川雅彦
- 白服の男の子分 - 長江英和
- 映画館のアベック - 村井邦彦、松本明子
- 専務 - 野口元夫
- 常務 - 嵯峨善兵
- 課長 - 成田次穂
- 部長 - 田中明夫
- 課長 - 高橋長英
- ヒラ - 加藤賢崇
- ボーイ - 橋爪功
- ピスケンの子分 - 榎木兵衛、粟津號、大屋隆俊、瀬山修
- マナー教室の生徒 - 坪井木の実
- 太った外人 - アンドレ・ルコント
- 大三元のおやじ - 久保晶
- 中華街のおやじ - 高木均
- 隣のおやじ - 二見忠男
- 小さい乞食 - 辻村真人
- 細長い乞食 - 高見映
- 顔の長い乞食 - ギリヤーク尼ヶ崎
- 太った乞食 - 松井範雄
- 歯医者 - 北見唯一
- その助手 - 柴田美保子、南麻衣子
- タクシーの運転手 - 関山耕司
- タンポポの客 - 上田耕一
- 医者 - 大月ウルフ
- いじめっ子 - 大沢健
- 歯の痛い男 - 藤田敏八
- カマンベールの老婆 - 原泉
- 走る男 - 井川比佐志
- その妻 - 三田和代
- 老紳士 - 中村伸郎
- 刑事 - 田武謙三
- 連れの男 - 林成年
- ラーメンの先生 - 大友柳太朗
- マナーの先生 - 岡田茉莉子
スタッフ
- 監督・脚本:伊丹十三
- 製作:玉置泰 細越省吾
- 音楽:村井邦彦 本多敏之 向谷実 安西史孝
- 演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 小泉ひろし、安西一陽
- 撮影:田村正毅
- 編集:鈴木晄
- 制作:ニュー・センチュリー・プロデューサーズ
- 製作:伊丹プロダクション
作品解説
映画のモデルとなったラーメン店は、東京荻窪の「佐久信」で『愛川欽也の探検レストラン』でのストーリー(荻窪ラーメン)を下書きにしたとされる。
本筋は売れないラーメン屋を立て直す物語だが、途中本筋とはまったく関係ない食にまつわるエピソードがいくつかちりばめられている。これらは、時にはすれちがう人物をカメラが追いかけていくような形で、時には何のエクスキューズも抜きで突然挿入される。ヤクザ風の白服の男は冒頭でカメラに向かって口上を述べるほか、何回も登場。スケッチ集とも取れる自由自在な作り方となっている。
「春木屋」軽井沢店で撮影された。
その他13のエピソード
- 白服の男とその情婦。
- ラーメンの正しい食べ方をガンに教示する老人(先生)。(東海林さだおのエッセイをかなり忠実に映像化)
- スパゲッティの食べ方を教えるマナー教室の先生の授業の傍でマナーを無視してスパゲッティをすする外国人。
- フランス料理に詳しい空気の読めない新米サラリーマンとフランス語の読めない重役。
- 細長い乞食が子供(ターボー)にオムライスを作ってあげるホームレス[1]。
- 歯の痛い男。
- 親に自然食以外を摂る事を禁じられた子供。
- 店中の品物の感触を楽しむ老婆とその店の店長。
- 大学教授になり済ましたスリに北京ダックを食べさせる詐欺師。
- 危篤の妻にチャーハンを作らせる男。
- ラストは生まれて最初の食事である授乳のシーンで終わる。
音楽
作品内で随所に、前奏曲 (リスト)(Les Préludes(レ・プレリュード))ハ長調が使われている。またマーラーの交響曲等も使用されている。
公開・反響
テンプレート:要出典範囲、一部のマニアックなファンや日本国外からの支持は高かった。日本国外での反響は特に高く、アメリカでの興行成績は、邦画部門2番目となっている[2]。
この映画を見て日本通になったり、あるいはラーメン店を開業する外国人も出現した。
2009年にはこの作品のオマージュとしてロバート・アラン・アッカーマン監督による『ラーメンガール』が公開された。本作の主人公である山崎努も出演している。
脚注
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