吉野町
吉野町(よしのちょう)は、奈良県中部に位置する町。桜で有名な吉野山があり、近隣の吉野山地(紀伊山地)から切り出される吉野杉・檜の集散地でもある。2012年に「日本で最も美しい村」連合に加盟。
目次
地理
奈良県中部、吉野郡の北に位置する。
北は竜門山地が東西に走り、南は大峰山系(町域内では青根ヶ峰が最高点になる)へと続く山々が広がっている。また東には台高山脈から続く山々が迫っている。これらに挟まれ、町の中央を吉野川(紀の川)が東南から西へ、高見川が東西へと流れている。
吉野川は、上流(川上村)から津風呂川が流入する付近までは大きく左右に蛇行し山を縫うように流れている。この途中、新子・窪垣内付近で高見川が合流する。妹山・背山を越えた吉野高校付近で、大きく左に曲がると下流(大淀町)に掛けて、比較的直線な河川が続いている。吉野川沿いの蛇行している内側には比較的、平らな場所が細長く続き、集落を形成している。また吉野川の支流の中流付近にも比較的、開けた土地があり集落を形成している。
なお、町役場などがある上市地区は川と山に挟まれた僅かな間に家々が密集しているが、古くは、この付近も吉野川が南へ蛇行しており、その内側で、地名の由来となった市が開かれていた。しかし、江戸時代中期の水害により、北側が切れて南側は中州となった。この時、人家は北岸(現在の上市地区)と南岸の丹治に移ったという。その後、1959年(昭和34年)の伊勢湾台風水害により、この中州が浸かると、二つに分かれていた吉野川を一つにするため、中州の北岸を削って川幅を広げ、南岸を埋め立て対岸と接続し、今日の地形に至っている。(現在、その名残として吉野小学校と貯木場のある元中州であった場所は吉野川を挟んで上市の飛び地となっている)。
自然
隣接している自治体
人口
テンプレート:人口統計 奈良県統計 吉野町の人口
- 2007年10月1日現在 : 9,380人
- 人口増加率(2002年→2007年) : -13.8%
歴史
- 古事記・日本書紀には神武天皇東遷の通過地として登場する。
- 古代の宮都である飛鳥・藤原京・平城京の真南に位置し、山紫水明の地であることから、応神天皇を始めとする天皇・貴族の遊興の地であり、宮滝には離宮(吉野宮)が置かれていた。特に持統天皇の行幸は多数回にわたっている。
- 天武天皇が、天智天皇崩御の直前隠遁し、のちこの地から挙兵した。(壬申の乱)
- 奈良時代に役行者が、この地で修験道を開いた。
- 平安時代中期に藤原道長が金峰神社に訪れている。
- 平安時代末期の治承・寿永の乱(源平合戦)の折には、源義経が兄源頼朝の追及から逃れるため、この地を経由して奥州平泉へ逃走した。
- 鎌倉時代には、歌人の西行が隠居した
- 南北朝時代には、南朝の拠点で、後醍醐天皇が朝廷を置いた(吉野行宮)。
- 安土桃山時代には、豊臣秀吉が「吉野の花見」を行った。
沿革
- 1889年(明治22年)4月1日 - 町村制の施行により、吉野山村・丹治村・飯貝村・橋屋村・左曽村・六田村の区域をもって吉野村が発足。
- 1928年(昭和3年)4月24日 - 吉野村が町制施行して吉野町となる。
- 1956年(昭和31年)5月3日 - 上市町・国樔村・中荘村・龍門村・中龍門村と合併し、改めて吉野町が発足。
- 1968年(昭和43年)9月 - 町章を制定[1]。
- 2004年(平成16年)7月7日 - 吉野山を含む「紀伊山地の霊場と参詣道」が世界遺産(文化遺産)に登録。
- 2012年(平成24年)10月4日 - 「日本で最も美しい村」連合への加盟を認定。
町域の変遷
明治22年 | 明治23年 | 明治27年 | 昭和3年 | 昭和17年 | 昭和31年 | 現在 |
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奈良県 | ||||||
吉野郡 | ||||||
上市町 | 吉野町 | |||||
吉野村 | 吉野町 | |||||
国樔村 | 国樔村 | |||||
中荘村 | ||||||
龍門村 | 龍門村 | |||||
中龍門村 | ||||||
上龍門村 | 宇陀郡 大宇陀町 |
宇陀市 |
行政
- 町長:北岡篤
- 町議会:議員定数12名
なお、衆議院議員選挙の選挙区は「奈良県第4区」、奈良県議会議員選挙の選挙区は「吉野郡選挙区」(定数:2)となっている[2]。
地域
教育
病院
- 吉野町立吉野病院
スポーツ施設
- 吉野運動公園
経済
林業
町内には貯木場があり定期的に市が開かれている。また吉野貯木場周辺には工場が立ち並び製材業が盛んである。製材で生産されるのは主に集成材だが、他に磨き丸太や端材を再利用した割り箸などが生産される。
観光
桜の時期には吉野山への花見客で大変、賑わうが、それも一ヶ月ほどで、それ以外のシーズンは振るわない。吉野山中心部には旅館や土産物店、食事処などが多く集まっている。
商業
上市の地名にあるように下流の下市と共に吉野川沿いの市場町として栄えてきた。また道路事情が悪かった時代においては、吉野郡奥地への物資供給地としても発展した。かつては大和上市駅のある尾仁山から六軒町、本町、横町、上の町、轟、立野までの1.5キロメートルに渡って商店街が形成されていたが、戦後には道路が整備されマイカーの普及、人口の減少などにより衰退した。
その他
吉野杉で作られた酒樽は、香りが良いとして重宝されてきたが、町内にも古くから日本酒が造られてきた。現在、町内で生産されているのは「猩々」(北村酒造)、「八咫烏」(北岡商店)、「花巴」(御芳野商店)の3つ。
金融機関
- 南都銀行 上市支店(上市)、新子出張所(新子)
農業協同組合
- 奈良県農業協同組合(JAならけん) 吉野郷支店(丹治)、竜門支店(平尾)、中荘支店(宮滝)
日本郵政グループ
※吉野町内の郵便番号は「639-31xx[3]」「639-33xx」「639-34xx」(いずれも吉野郵便局の集配担当)となっている。なお、民営化以前は「639-34xx」区域の集配業務は新子郵便局が、「639-33xx」区域の集配業務は中竜門郵便局がそれぞれ担当していたが、両局とも2007年(平成19年)2月19日付で集配業務を吉野郵便局に移管し、現在は窓口業務のみとなっている[4]。
交通
鉄道
ロープウェイ
- 吉野大峯ケーブル自動車
- 吉野ロープウェイ:千本口 - 吉野山
バス
- 奈良交通
- 大和八木・大淀バスセンター - 湯盛温泉杉の湯
- 旧169号線を通る国栖経由と、五社トンネルを通る樫尾経由がある。
- 大和八木・大淀バスセンター - 湯盛温泉杉の湯
- スマイルバス(吉野町コミュニティバス)
- 吉野病院(吉野神宮駅近く)を起点に町全域に至るバスが運行されている。
- 吉野大峯ケーブル自動車
- ケーブル吉野山 - 奥千本口(春の吉野山交通規制中は竹林院前 - 奥千本口となる)。
道路
国道
主要地方道
都道府県道
その他
- 吉野大峯ドライブウェイ - 吉野山中千本・竹林院前から奥千本・金峯神社前まで至る
- 吉野大峰林道 - 奥千本・金峯神社前から洞川高原林道に至る
観光
主な年中行事
- 2月3日 - 金峯山寺鬼火の祭典
- 旧正月14日 - 浄見原神社国栖奏
- 4月3日 - 吉野水分神社お田植祭
- 4月11・12日 - 金峯山寺花供会式
- 4月29日 - 吉野神宮春の大祭
- 5月26日 - 吉野川鮎漁解禁
- 7月7日 - 金峯山寺蛙飛び行事
- 9月27日 - 吉野神宮秋の大祭
- 10月第3日曜日 - 吉野山秋祭り
伝説
脚注
- ↑ 図典 日本の市町村章 p166
- ↑ 選挙区と定数 奈良県選挙管理委員会
- ↑ 吉野郡大淀町の一部地域も該当。
- ↑ 「集配拠点等の再編実施局」日本郵政公社近畿支社(当時)2007年2月9日付報道発表資料より。
- ↑ ならリビングcom
- ↑ 吉野エリア
- ↑ 吉野・犬塚(いぬづか)
- ↑ 犬を飼わない国栖の里