見城徹

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見城 徹(けんじょう とおる、1950年12月29日 - )は編集者実業家。株式会社幻冬舎代表取締役社長

来歴・人物

1950年12月29日、静岡県清水市(現:静岡市清水区)生まれ。

静岡県立清水南高等学校を卒業し、慶應義塾大学法学部に進む。大学卒業後、廣済堂出版に入社。自身で企画した初めての『公文式算数の秘密』が38万部のベストセラー。

1975年、角川書店に入社。『野性時代』副編集長を経て、『月刊カドカワ』編集長に。編集長時代には部数を30倍に伸ばし、雑誌界の伝説となる。つかこうへい蒲田行進曲』、有明夏夫『大浪花諸人往来』、村松友視時代屋の女房』、山田詠美ソウルミュージックラバーズオンリー』、景山民夫遠い海から来たCOO』の5つの直木賞作品を担当し、森村誠一人間の証明』、五木寛之燃える秋』、村上龍トパーズ』等々のベストセラーを手がけ、名編集者として名を馳せる。このカドカワ時代に培った芸能人ミュージシャンとの親交も深く、坂本龍一松任谷由実尾崎豊らとの関係は、様々なメディアで今も語り継がれる。41歳にして取締役編集部長に昇進。

1993年、取締役編集部長の役職を最後に角川書店を退社。部下5人と幻冬舎を設立、代表取締役社長に就任。 設立後、豊富な芸能人人脈と斬新なアイデアを基に、五木寛之大河の一滴』『人生の目的』、石原慎太郎』『老いてこそ人生』、唐沢寿明ふたり』、郷ひろみダディ』、天童荒太永遠の仔』、梁石日血と骨』、向山貴彦『ビッグ・ファット・キャットの世界一簡単な英語の本』、村上龍『13歳のハローワーク』、上大岡トメキッパリ!』、木藤亜也1リットルの涙』、山田宗樹嫌われ松子の一生』、劇団ひとり陰日向に咲く』の14作のミリオンセラーをはじめ、小林よしのりゴーマニズム宣言・戦争論1~3』、白川道天国への階段』、細川貂々ツレがうつになりまして。』、村上龍『半島を出よ』、渡辺淳一愛の流刑地』、宮部みゆき名もなき毒』など、出版界の常識を打ち破る型破りな方法でベストセラーを送り続ける。

2010年6月からはエイベックス・グループ・ホールディングス株式会社の非常勤取締役を務めている[1][2]

エピソード

  • 幻冬舎のマークに描かれている「槍を高くかざした人間」のモデルは見城本人で、自らポーズをとって描かせたものである。
  • 夜を徹して『ダディ』を校正、校了まで終え、その足で郷ひろみとゴルフをしに行ったところ、郷がホールインワンを出した。この時、見城はダディがミリオンセラーになることを確信したという。
  • 20代のころ、既に大作家となっていた石原慎太郎と仕事がしたいと思った見城は、『太陽の季節』と『処刑の部屋』を全文暗記して石原との初対面に臨んだ。これには石原も「わかった、もういい。お前とは仕事をするよ」と苦笑したという[3]
  • 容姿への劣等感、学生運動での挫折と若くして運動の中に散った日本赤軍奥平剛士らのような存在への負い目が自身を駆り立てていると常に語っている[4][5]
  • 山田宏巳の才能を高く評価し、レストランの出資者となるなど支援したが、山田が不祥事で失脚してしまう。それでも、アイアンシェフで山田を挑戦者として推薦するといった、厳しくも人情に厚い一面を持つ。

著書

  • 編集者という病い(単行本版太田出版、2007年2月発売)ISBN 9784778310509・(文庫版集英社、2009年3月発売)ISBN 9784087464184
  • 異端者の快楽(太田出版、2008年12月)ISBN 9784778311483

出演番組

映画

関連項目

脚注

  1. 役員略歴
  2. 2009年に同社孫会社のエイベックス通信放送株式会社最高顧問となっているためか、社外取締役とはならない。
  3. 講談社『憂鬱でなければ、仕事じゃない』p34
  4. <世の中との闘争の日々が始まる> 現実の踏み絵を踏み抜けなかった自分。資本主義世界での成功を心に誓うDream Gate,2009/10/21
  5. 自著『編集者という病い』中及び重信房子著『革命の季節 パレスチナの戦場から』(幻冬舎)における見城による序文など