名駅

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ファイル:JR Nagoya sta01s3872.jpg
桜通口側のビル群(2007年11月)。画像中央奥の名古屋ターミナルビル、画像右の大名古屋ビルは2013年2月現在、いずれも建替え工事中。

名駅(めいえき)は、名古屋市中村区西区にある地名である。現行行政地名は中村区名駅一丁目から五丁目および西区名駅一丁目から三丁目(いずれも住居表示実施済み区域)であり、中村区と西区とで同じ名の町丁は隣接している[1]。中村区には「名駅」を冠した地名として他に名駅南一丁目から五丁目がある。

概要

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名駅地区の高層ビル群と名古屋城(2012年7月)
名古屋市北区方面より撮影

公称地名としての「名駅」は、名古屋駅から見た東側の地域一帯を指す町丁名である。一方で「名古屋駅周辺地域」という用途で「名駅」が用いられる場合には、公称地名としての町丁「名駅」に加えて、名古屋駅西側の町丁である椿町太閤則武広小路通を挟んで町丁「名駅」の南側に位置する名駅南、北東側に位置する那古野(なごの)、北西側(名古屋駅から見て北側)の牛島町といった町丁の全部ないしは一部を含めた地域の総称として捉えていることとなる。

町丁名としての「名駅」は、1977年(昭和52年)10月に当地区で住居表示が実施された際に用いられたのが最初である。1977年・1978年・1981年の計3回の住居表示実施により、中村区鷹羽町・堀内町・泥江町・上笹島町・志摩町・米屋町・花車町・西区早苗町の全部と中村区島崎町・牧野町・笹島町・広井町・広小路西通・小鳥町・西柳町・東柳町・大船町・船入町と西区牛島町・江西町・替地町・菊井通・那古野町・西菊井町・則武町・則武新町・輪ノ内町のそれぞれ一部の町域が、中村区名駅一丁目から五丁目、西区名駅一丁目から三丁目となった[2]。これらの地域周辺はと並ぶ名古屋の代表的ビジネス街及び繁華街である。近年、老朽化したビル等を建て替え超高層ビルを建設する再開発が、地区内名駅通沿いを中心に継続して行われている。

歴史

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広小路通・名駅四丁目より柳橋交差点方向(2011年2月)
ファイル:JR Central Towers in Towers-Lights2007 01.JPG
タワーズライツ(2007年11月)

国鉄名古屋駅は、1886年(明治19年)5月に設置された当初は当時の名古屋市街の西端にあたる2013年現在の笹島交差点付近にあった。ここから、名古屋市街中心部に向けて、1898年(明治31年)に名古屋鉄道の前身の一つである名古屋電気鉄道(名電)により路面電車(後の名古屋市電)が開業すると、当地区は交通結節点としての発展を始めた。その後1913年(大正2年)には、名電の郊外向けのターミナルが当地区の東端の柳橋駅に設置された。

昭和になって、1937年(昭和12年)に名古屋駅が現在地に移転すると、名古屋駅東側を南北方向に走る名駅通や名古屋駅から東に伸びる桜通が整備された。また1940年(昭和15年)には関急名古屋駅(2013年現在の近鉄名古屋駅)、1941年(昭和16年)には新名古屋駅(2013年現在の名鉄名古屋駅)が相次いで開業し、これらの駅を擁する名駅地区は交通の集積地としてさらに発展するようになった。

第二次世界大戦後には、名鉄百貨店近鉄百貨店松坂屋が相次いで出店し、1957年(昭和32年)には、名古屋で最初の地下鉄である東山線が名古屋駅から栄町駅(2013年現在の栄駅)まで開業すると、名駅地区は商業地区としての大きな発展を見せることとなる。それでも、この時期の名駅地区は名古屋駅と名古屋市街への乗換えで通過する町という側面が強かった。

しかし、1999年(平成11年)にJR名古屋駅がオフィス・ホテルや商業施設から成る超高層ビルであるJRセントラルタワーズに建て替えられ、メインのテナントとして高島屋が進出してくると、名駅にも人の流れが出来るようになった。また2005年には常滑沖に中部国際空港が開港し、名鉄特急の利用により同空港まで30分以内で乗り換えなしでアクセス可能なビジネス拠点という立地に着目した企業が名駅にオフィスを構えるようになった。

JRセントラルタワーズの開業以降も、名駅地区ではミッドランドスクエア(2006年竣工)・名古屋ルーセントタワー(2007年竣工)・モード学園スパイラルタワーズ(2008年竣工)・アクアタウン納屋橋(2006年竣工)・名古屋プライムセントラルタワー(2009年竣工)などの超高層ビルの建設が相次いでいる。更に2013年現在、名古屋ターミナルビル名古屋中央郵便局名古屋駅前分室大名古屋ビルヂングなどを超高層ビルとして建て替える工事が実施されるなど国内屈指の超高層ビル街への変貌を遂げつつあり、栄と並ぶ名古屋圏を代表するビジネス街としての拠点性が高まっている。

2004年には、それまでのJR西名古屋港支線を旅客路線とした名古屋臨海高速鉄道西名古屋港線(あおなみ線)の名古屋駅が開業している。

地理

広義での(「名古屋駅周辺地域」の意での)名駅地区は、中村区東部と西区南部におおよそ東西約1.1km、南北約1.1kmの町域を成す。地区東端の丸の内との町界沿いには堀川が流れる。当地区は名古屋台地の西側の端に沿う形で流れる堀川の西側にあたることとなり、地区内の海抜はおよそ2m程度である。

南北方向に名古屋駅を挟み込む形で走る名駅通(東側)・名古屋市道椿町線(西側)と江川線(名古屋市道江川線)、東西方向に走る広小路通愛知県道60号名古屋長久手線)・錦通桜通愛知県道68号名古屋津島線)・太閤通といった大通りを軸に町が構成されている。これらの道路の沿線にはビルが林立している。

また、日本初の地下街であるサンロード(名古屋駅東側)をはじめ、名古屋駅東側のメイチカ新名フードダイナードミヤコ地下街テルミナ地下街ユニモール、名古屋駅西側のエスカ地下街、JR名古屋駅コンコース地下に所在しユニモールとエスカ地下街を結ぶ形となっているファッションワンなど、駅の東側、西側ともに広大な地下街が複雑に広がっている。

名古屋駅東

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名古屋駅からの桜通(2005年)

名古屋駅の東側の地区は名古屋市有数のビジネス街・繁華街となっている。

JR・地下鉄・近鉄・名鉄の主要な鉄道駅が集中し、道路の地下にはサンロード・メイチカ・テルミナ等の地下街が形成される形となっている名駅通沿いには、同時に百貨店などの商業施設も集中している。近年の再開発も名駅通の沿線を中心に行われている。また、桜通地下にはユニモール、錦通地下にはミヤコ地下街があり、沿線のビル群と併せてビジネス街・繁華街を構成する形となっている。

名古屋駅桜通口正面から南東方向にかけては歓楽街飲食店街が広がっている。大名古屋ビルヂング裏手の名駅3丁目界隈は通称:名3(めいさん)、ミッドランドスクエア裏手から広小路通にかけての名駅4丁目界隈は通称:名4(めいよん)と呼ばれ、古くからの歓楽街であり、昼食時や夜間はひときわ人通りが激しい。2011年からは名3において各飲食店の食べ歩きグルメグランプリイベント「名3グランプリ」が2月に開催され、2012年からは名4の店舗も加わっている[3]

名駅北東の那古野には円頓寺商店街があり、下町風情の残る地域となっている。

名古屋駅西

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名古屋駅太閤通口(2010年2月)

名古屋駅の西側は、「駅西」または「駅裏」と呼ばれている。

地区内を走る主要道路としては、名古屋市道椿町線と太閤通が挙げられる。また、JR名古屋駅と椿町線の間の地下にはエスカ地下街が形成されている。

駅西は、名古屋駅開業以後も中村区役所周辺である西側の中村地区の発展とは対照的に市街地としての発展が遅れていた。第二次世界大戦後には、闇市バラックが立ち並び雑然としていた地区であったが、1964年10月の東海道新幹線の開通と機を同じくして大規模な土地区画整理が行なわれた。しかし、その後はビジネスホテル予備校専門学校のほか、小さな商店や風俗店アニメショップなどが雑然と立ち並ぶ地区となった。

2004年にはあおなみ線名古屋駅が太閤通口側に新たに開業している。また、2010年には、高速バスの発着場所として機能していた駅東地区の名古屋ターミナルビルが解体建て替え工事に入ったことから、当地区にJRハイウェイバスの発着場が移転してきている。

ギャラリー

脚注

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参考文献

  • 水野時二・林薫一・岩崎公弥監修『なごやの町名』名古屋市計画局、1992年3月31日

外部リンク

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  1. たとえば「名駅三丁目6番」のように、1つの街区が2区にまたがる部分も存在する(今尾恵介「住所と地名の大研究」(新潮選書)、2004年、ISBN 4-10-603535-9 p.168)。
  2. 『なごやの町名』p.279.
  3. 名3グランプリ(公式サイト)