合調語

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合調語(ごうちょうご)とは、モールス信号暗記する際に用いる、その文字が頭文字でリズムが符号と同じ単語を選んだもの、いわゆる語呂合わせである。例えば、Aをモールス符号で表すとトツー(・-)と聞こえるので、これと同じリズムを持つAで始まる単語、アレー(亜鈴)で置き換えることで、音響から文字の連想を図る。

合調語の暗記に頼りすぎると、特にスピードが速いモールス信号を受信する場合、符号が示す文字ではなく合調語の単語が連想され、混乱しやすくなるので、実用の通信が目的の場合は注意を要する。

一例

ここでは欧文合調語についてその一例を記載する。

和文合調語については外部リンク参照、考案された時代に合わせた語呂合わせなので「数字の4」の合調語「ヨツヤクチョー」の四谷区は現在存在していない等、習得を目指す者を困惑させる場合もあるので注意が必要である。

あまり一般的ではないが、単語の末尾の文字が符号に対応する合調語もある。

文字 符号 末尾に符号が対応する例 先頭に符号が対応する例
A ・- アメェー(甘ぇー) ア・ロー(の英単語Arrow)
B -・・・ ノーシダ(脳死荼毘) ビー・ク・ラ・ス(Bクラス)
C -・-・ ノーシケー(脳死軽視) シー・ノ・コー・ス(Cのコース)
D -・・ ノーシ(脳死だ) デー・グ・ミ(D組)
E (絵) エ(Eローマ字読みした場合の「エ」)
F ・・-・ アイユー(愛友婦) エ・フ・ボー・ト(Fボート)
G --・ ノーメー(No明治) ジー・ボー・ト(Gボート)
H ・・・・ アイス(アイス派) エ・チ・ゴ・ジ</br>(越後路、エチゴの語呂がエイチと似ている為)
I ・・ (愛) ア・イ(Iを英語読みした場合の「アイ」)
J ・--- アメーワージェー(甘めーわーJ) ジ・エー・ホー・ホー</br>(自衛方法、自衛をローマ字書きのJIEI)
K -・- ノーシケー(脳死系、No死刑) ケー・シ・チョー</br>(警視庁、ローマ字書きのKEISHICHO)
L ・-・・ アメーエル(甘めーL) エ・ルー・エ・ル(Lを英語読みした場合の「エル」)
M -- ノーー(No名、No命) メー・ター(計器の英単語METER)
N -・ *ノーシ(脳死) エー・ヌ(Nを英語読みした場合の「エヌ」)
O --- ノーメーオー(No冥王) オー・ヨー・ホー</br>(応用法、ローマ字書きのOUYOUHOU)
P ・--・ アメーワー(甘めーワープ) プ・レー・ボー・ル</br>(PLAYBOLLの日本語口語読み)
Q --・- ノーメーシキュー(No命至急) キュー・キュー・シ・キュー</br>(救急至急、救急の「救」とQの語呂合わせ)
R ・-・ アメー(甘ぇーる、あmail) リ・コー・ダ</br>(「利口だ」、ローマ字書きのRIKOUDA)
S ・・・ アイ(ice) エ・ス・ジ(S
T ティー(Tea) ティー(の英単語Tea)
U ・・- アイユー(愛友) ウ・タ・ゴー</br>(疑う、ローマ字書きのUTAGOU、和文の「ウ」と同じ)
V ・・・- アイスヴィー(アイスV) ヴィ・ク・ト・リー(勝利の英単語VICTORY)
W ・-- アメーー(甘めーわー) ダ・ブー・リュー</br>(Wを英語読みした場合の「ダブリュー」)
X -・・- ノーシダー(脳死ダメー) エー・ク・ス・レー</br>(エックス線の英単語X-ray)
Y -・-- ノーシケーー(脳死形容、No死刑用) ワー・イ・ワー・ワー</br>(Yの英語読み「ワイ」から始まる喧騒を表現した様)
Z --・・ ノーメージ(No明治座) ゼー・トー・イ・ツ</br>(税統一、ゼー・トーイツの語呂がZと似ている為)

日本以外の「合調語」

日本以外でも、モールス符号の記憶に合調語的な手段が用いられる。 フランスには、単語のo(オー)とon(オン)を長点、それ以外の音節を短点に対応させる方法がある。[1]

たとえば、R ・-・ には rigoler(笑う)[ʁi.ɡɔ.le]を対応させる。 「ɡɔ」で長点を、それ以外の「ʁi」「le」で短点を表す。 日本の合調法で「リ・コー・ダ」や「レ・コー・ド」と唱えるように、「リ・ゴー・レ」と発音[1] して ・-・ を覚える。 対応する単語がいろいろあるのは日本の場合と同様である。[2]

ただこの「合調語」は、受信の際にも使えるかどうかは疑問である。 たとえば L ・-・・ に limonade を対応させた場合、普通の発音は 「リ・モ・ナード」であり(リモーナドではない)、・・-・ のFのようにも聞こえる。

脚注

  1. 一般的な発音は「リゴレ」であるが、仏単語においてはアクセントや母音の長短で意味が異なることは基本的にない。

関連項目

外部リンク