モデルガン

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モデルガン (Model gun) とは、銃器の外観や機構を模した遊戯銃(トイガン)の一種で、弾丸を発射する機能を持たないものをいう。プラスチック製弾丸の発射機能を持つエアソフトガンは銃器の外観を模したものであってもモデルガンの範疇に含めないが、報道などでは同一に扱われることが多い。日本では銃砲刀剣類所持等取締法(銃刀法)により、特に金属製のものについては材質や構造、色などに厳しい制限が加えられている。 "Model gun" は和製英語であり、英語では火薬玩具煙火)を使用するトイガンを "Cap gun" (キャップガン)と呼ぶ。

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国際産業の金属製モデルガン S&W M36

概要

モデルガンは銃器、すなわち拳銃小銃短機関銃散弾銃などの模型であるが、弾丸を発射できないこと、安全対策や作動性確保のために内部構造がアレンジされているなどの点が実物の銃器とは異なる。一般的にはほぼ実寸大で製作されるが、「ジュニアモデルガン」と称する3分の2スケールの商品なども少数存在する。

使用される材質は、主に亜鉛合金ABS樹脂、ヘビーウェイト樹脂(重量増加や質感改善を目的に樹脂に亜鉛合金やなどの金属粉を混入して成型したもの)などである。現在市販されている金属製のものは、銃刀法で定める模造けん銃および模擬銃器に該当しないための措置が施されている。

日本では法規制により弾丸を発射できない構造になっているが、実包薬莢を模したカートリッジに火薬を装填して発火させ、擬似的な発砲音や火花、動作などを再現できるものが多い。一部には映画アニメゲームなどのフィクションに登場する、架空の銃をモチーフにしたものも存在する。

銃器の外観を模したものであっても、プラスチック製弾丸の発射機能を持つエアソフトガンはモデルガンの範疇に含めない。特撮ヒーロー番組などに登場する光線銃などを模した電池などで発光・発音するような種類のもの、駄菓子屋などで売られている紙火薬式の100連発銃や8連キャップ火薬を使用する8連発銃のように、純粋に子供向けの玩具とみなされるものは、通例モデルガンとは呼ばない[1]

なお、報道などで「モデルガン」と表現される場合、その多くは「銃器の形をした玩具」すなわちトイガン全般を指す用語としての慣用表現であり、厳密な意味でのモデルガンを指したものではない場合がほとんどである。

モデルガンには、火薬を使用せず外観や手動操作を楽しむための観賞用モデルと、火薬の使用が可能な発火モデルがある。発火モデルのうち、オートマチック式の拳銃や短機関銃、小銃のモデルガンは、火薬の爆発力を利用して実銃とほとんど同じように、排莢・装弾の動作(ブローバック)を行うことができる。初期のオートマチック式拳銃のモデルガンには、火薬で発砲音のみを再現するスタンダードモデルや、指で引き金を引く力を利用して装弾・発火・排莢を行う、スライドアクション(通称タニオアクション)モデルが存在した。

日本のモデルガンは銃口を覗いたりしない限り実銃とほとんど区別がつかないので、日本国内だけではなく海外においても、映画などの小道具として頻繁に用いられている。テンプレート:独自研究範囲近年、グロック17にみられる様に実銃自体がプラスチック部品を多用したものも登場し、ますます外観による区別がつきにくい状況にある。

歴史

日本におけるモデルガンの歴史は、法による規制の歴史と言い換えることができる。モデルガンは本来「玩具」に分類されるものであって、法で定める「銃」には該当しないが、実銃に見せかけて強盗などに使用したり、弾丸を発射できるように改造するなどの悪用事例が多発したことにより、特に金属製のものについては過去2回にわたって銃刀法による規制を受けている。

1960年代

1960年頃、アメ横中田商店江原商店が外国製キャップガンの輸入販売を始めたが、これは完全に子供向けの玩具であり、形状や構造が実銃とはかなり異なるものであった。その後、輸入キャップガンを改良してよりリアルな造形を施したものを「モデルガン」と称して発売し、大きな人気を集めた。当時人気があったのは、第二次世界大戦で使用された軍用銃や西部劇で使用されるSAAなどであった。この頃、一部には火薬[2]の爆発力を利用してプラスチック製の弾丸を発射できるトイガンもあったが、この種の商品はやがて当局により発禁処分とされた。

1962年には純国産モデルガン第一号のモーゼル軍用拳銃[3]が発売された。これに続く国産モデルガンとしてMGCワルサーVP-II[4]が発売されて以降、国内のモデルガン製造はMGCがほぼ独占的に行っていたが、1965年にそれまで販売専門だった複数の小売店が組合[5]を結成してモデルガン製造に参入した。初めはMGC製品の模倣品を製造していたが、やがて各メーカーが独自に設計したモデルガンを製造するようになった。その後、リアルな外観や機構を持つ様々な種類のモデルガンが製造されるようになり、当時人気だった映画やドラマの影響もあって国産モデルガンはブームを迎えた。

1970年代

1960年代から続くモデルガンブームに水を差すことになったのが、1971年(昭和46年)に行われた法規制(46年規制)であった。この規制によってブームは一時下火になったが、徐々に人気を取り戻し、1970年代中頃には再びブームを迎えた。しかし1977年(昭和52年)には二度目の法規制(52年規制)が行われ、モデルガンの主流が金属製からプラスチック製へ転換する契機となった。

46年規制

リアルなモデルガンの登場に伴い、強盗、恐喝などに、威嚇目的で悪用される事例が相次いだ。1969年には行政指導により、モデルガンに王冠マーク(玩具マーク)を付けることや販売時に身元を確認することなどが行われたが悪用は続き、1970年にはハイジャックにも使用された。このような事例に対処するため、一見してモデルガンであることが識別できるように1971年(昭和46年)の銃刀法改正によって外観に対する規制(46年規制)が行われた。

金属製の拳銃型モデルガンは銃腔に相当する部分を金属で完全に閉塞し、銃把(グリップ)に相当する部分を除く表面全体を白色黄色に着色することが義務付けられた。内閣府令で定めるこれらの措置が施されていないものは銃刀法で定める模造けん銃に該当し、輸出用などの一部の例外を除き、所持が禁止された。また過去に販売されたものは所有者自身で銃腔に相当する部分を塞ぎ、表面を白色か黄色(金色)に着色しなければ所持が認められなくなった。この規制以降に発売されたものはメッキにより金色(事実上の黄色とみなされている)に着色されている[6]銀色ステンレス製やニッケルクロームメッキの実銃が多数実在することから白色とはみなされず、認められていない。

このとき対象になったのは金属製の拳銃型[7]のみであり、小銃や短機関銃などの長物は隠し持つことが難しく、悪用されることが無かったため、規制の対象にはならなかった。46年規制から1年後には、耐衝撃ABS樹脂を主な素材とするモデルガンが作られるようになったが、プラスチック製のものは法規制の対象外であったので、拳銃型であっても色がいままで販売することができた。

52年規制

モデルガンの悪用事例として威嚇目的以外で問題視されていたのが、暴力団関係者などによる改造拳銃(モデルガンを改造して弾丸の発射機能を持たせたもの)の製造であった。銃身内にインサート鋼材(鋼製の詰め物)を鋳込むなどの改造防止策は初期のモデルガンの頃から行われていたが、メーカー間で統一されたものではなかった。1970年に警察が押収した改造拳銃の数は23丁であったが年々増加し、1975年には1,024丁(押収拳銃の約6割)に達した。

1975年、メーカー組合[8]は金属製の拳銃型モデルガンについて自主的に改造防止構造の規格を定め、規格検査に合格したものにsmマークを付けて販売した。しかし、組合に加入していないメーカー[9]自主規制に拘束されず、また組合メーカーの製品にも規格を満たさないものが見つかるなど、業界内での改造防止策の足並みは揃わなかった。さらにsmマーク付きのものや長物にも改造事例が出始めたことから、1977年(昭和52年)には再度の銃刀法改正によって構造に対する規制(52年規制)が行われた。

金属製モデルガンの主要部分[10]に使用できる素材はブリネル硬さ91以下の金属(亜鉛合金など)に制限された。また、銃身に相当する部分の基部にインサートを鋳込むこと、回転弾倉に相当する部分の前部にインサートを鋳込み、薬室に相当する部分の隔壁に切れ目を入れること、銃身に相当する部分が交換できないように機関部体(フレーム)に相当する部分と一体鋳造にすることなど、拳銃や小銃などの形態を問わず、金属製モデルガン全般の構造について厳しい規定が追加された。内閣府令で定めるこれらの規定に適合しないものは(46年規制やsm規格に適合するものであっても)銃刀法で定める模擬銃器に該当し、販売目的の所持が禁止された(販売を目的としない所持―例として、愛好家が従来から所有しているもの―は認められる)。新たな規制に適合した製品にはメーカー組合によりSMGマーク[11]が付されている。

この法改正を不服とするメーカーとモデルガン愛好家協会[12]を中心に結成された原告団は国を相手に訴訟オモチャ狩り裁判)を起こしたが、1994年に原告の全面敗訴が確定している。当時、法改正によりモデルガンは文鎮化される、あるいは所持が認められなくなるなどの話が流布されたが、これについて警察庁は「規制反対運動に大衆を誘導するための誤った宣伝」との見方をしている(第80回国会 衆議院地方行政委員会)。

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プラスチック製モデルガンの銃身インサート。銃口を見ればモデルガンであることがすぐに分かる。

52年規制によって、特に銃身が分離するタイプのオートマチック式モデルガンは金属で作ることがほとんどできなくなってしまったため、以降プラスチック製のものが主流になっていった。プラスチック製モデルガンについては法規制の対象外ではあったが、メーカー組合による自主規制が行われ、銃身内や回転弾倉の前部に焼き入れインサート鋼材を入れるなどの改造対策が施された。自主規制適合品にはメーカー組合によりSPGマーク[11]が付されている。また、映画やドラマなどの撮影に供されるステージガンプロップガンはメーカーの自主規制に適合していないが、銃刀法で定める「銃砲」にはあたらない。ただ外観からモデルガンと判別しにくい(インサートの一部が除去されている)ため、取扱いや保管、管理などは美術セクション担当者や小道具担当者が責任を持って行わなければならない。

1980年代以降

国産の高性能なキャップ火薬がそれまでの平玉火薬に代わるものとして、1979年の「MGキャップ」を皮切りに各メーカーから発売され始めた。平玉火薬と比べて装填や整備の手間が少なくなり、また火薬の過剰装填による事故の危険性が低くなった。

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キャップ火薬の一例。7mmおよび5mmサイズ。

これに伴ってキャップ火薬の使用を前提としたオートマチック用のカートリッジが新規に開発され、平玉火薬を使用していた頃と比べ、より簡便で快適な作動が可能となった。発火性能の高いプラスチック製モデルガンが次々に発売され、また安価な組立キットの登場などにより1980年代前半には新たなブームを迎えた。

52年規制以降に主流になったABS樹脂製モデルガンの外観はプラスチック然としたものが多かったが、メッキ技術が進歩したことにより、ガンメタリックやシルバーメタリックのモデルガンが製作できるようになった。通常の黒以外にニッケルフィニッシュなどのカスタムモデルが発売され、通常品より高価であったにも関わらず、ファンの人気を集めた。

その後、樹脂(主にナイロン系)に亜鉛合金や鉄などの金属粉を混合したヘビーウェイト樹脂が開発され、プラスチック製モデルガンの欠点であった軽さと手触りの問題が解決された。ヘビーウェイト樹脂は、樹脂の分子間に金属粒子が混ざる形となり、ABS樹脂よりも脆く割れやすい性質を持っているため、火薬の使用には不向きとなったが、改造防止という観点からは非常に好ましい素材である[13]

MGCから、火薬が発火したときに生じる赤外線センサーで捕らえる、擬似射撃システム「シューターワン」が発表されて話題になった。同システムを使用したシューティングマッチが開催されるなど、一時期盛り上がりを見せたが、機構上の制約[14]やエアソフトガンの台頭などもあり、広く普及することはなかった。

1980年代中頃からエアソフトガンの売り上げが伸び始めると、製品の主力をエアソフトガンに移すメーカーやモデルガンの製造から撤退するメーカーが相次ぎ、トイガン市場でのモデルガンのシェアは徐々に減少していった。モデルガン製造に参入する新興メーカーもあったが、人気が低迷するなか、種類や生産数が限定的で、かつての隆盛を取り戻すには至っていない。

しかし、水面下ではモデルガンの人気復活を願うファンは多く、2004年には元MGC開発部長・小林太三くろがねゆうらの呼びかけにより、製品化されていないブローバックモデルガンを作るイベント「全日本BLK化計画」がスタートするなど、モデルガンの人気を復活させるための活動は個々のファンの間で続いている。

オートマチック式モデルガンのブローバック

オートマチック式モデルガンの醍醐味は派手なブローバックである。撃発時に遊底が後退し、カートリッジがはじき出される動作を再現する仕掛けをブローバックという。

オープンデトネーター式

1968年にMGCが開発したMG-BLK (BLowbacK) は少量の紙火薬を詰めたカートリッジをシリンダー、銃身内のデトネーター(撃針)をピストンとして火薬の爆発力で遊底を後退させ、カートリッジを勢いよくはじき出させる仕掛けである。カートリッジは構造が単純で単価も安いが、紙火薬は装填に時間がかかる上、安定したブローバックが難しく、うまく作動させるためには熟練と調整を要した。また発火で生じる汚れがかなり多く、クリーニングにも手間と時間を要した。

1979年にキャップ火薬が開発されると安定したブローバックが可能になり、発火性能の高いモデルガンも次々に誕生した。火薬の装填やクリーニングが容易になったものの、カートリッジとデトネーターのクリアランスがタイトなため汚れに弱く、弾倉何本分も連続発火させることは難しかった。発火方式としてはすでに過去のものになっていたが、2009年に樹脂製の使い捨てカートリッジを使用するものが新たに製品化されている。

閉鎖型カートリッジ

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CP-HW・PFC各カートリッジの一例(PFCは撃針固定式でOリングの無い旧型。大まかな構造や原理は新旧ともに同様である)

1980年マルシン工業が開発したPFC (Plug Fire Cartridge)[15] はオープンデトネーター式に代わる閉鎖型ブローバックカートリッジの先駆けである。ブローバックに必要な爆発力の気密性確保にカートリッジ内のピストンを利用するため、オープンデトネーター式のように汚れによるクリアランスの問題が発生せず、発火性能がさらに向上した[16]。PFCに続いてPiston Push Cartridge(東京CMC)、Spin Jet Fire Cartridge(国際産業)、Piston Fire Cartridge(ハドソン産業)など、各社で閉鎖型カートリッジが開発され[17]、MGCも1982年に開発したCP-BLK (CapPiston-BLowbacK) カートリッジ[18]をもってオープンカートリッジから閉鎖型カートリッジへ移行した。現在、オートマチック式モデルガンに採用されているブローバック方式はこれら閉鎖型が主流になっている。

スーパーブローバック

発火はカートリッジに装填したキャップ火薬、ブローバック動作は低圧ガス(フロンガス)で行う方式で近年開発が進むエアソフトガンのガスブローバックの機構を作動に取り入れたハイブリッド方式である。火薬は発砲音と火花の再現に使用され、ブローバックには関与しない。1993年頃に少数が製品化された後は絶版状態である。開発はマルシン工業。

ガスオペレーション

自動小銃のブローバックモデルは、カートリッジや遊底が大きく重くなるため、キャップ火薬の爆発力だけで完全作動させるのは困難であった。作動してもカートリッジの飛びが悪く迫力のないものとなるため、近年まで大型銃のブローバックモデルはわずかであった(ハドソン産業AK47、同M14ショウエイG43など)。

ガスブローバックの機構を実銃と同様な作動部位に配置し、擬似的に実銃の動作を再現したのがハドソン産業のガスオペレーション方式である。グリーンガスで作動し、発火構造を持たない軽量カートリッジのため飛びが良く、安定したブローバックが実現できる。M1ガーランド独特のクリップ(装弾子)エジェクション(全弾撃ち尽くすと装弾子が“キーン”と音を立てて飛び出す)も再現している。

モデルガンメーカー

モデルガンメーカーを以下に示す。詳細は各メーカーの項を参照のこと。なお、既に解散、廃業しているメーカーも多数ある。

  • MGC - 老舗モデルガンメーカー。『モデルガン』という造語を発案、普及させた。タニオアクション、デトネーター式ブローバック等を開発。
  • ハドソン産業 - 国産モデルガンを始めて発売した。他メーカーが製品化しないモデルを積極的に発売するなど独創的なメーカー。
  • 中田商店 - WW2関連のモデルガンを多数発売。現在はモデルガンは扱っていない。モデルガン創成期にはMGCと双璧をなす存在であった。
  • 東京CMC - 実銃の機構を忠実に再現するモデルガンを得意とした。「リアル派」「鑑賞派」の絶大なる支持を受けていた。
  • 国際ガンクラブ(INT) - MGCのコピー品から立ち上げた。
  • アサヒイーグル - モデルガン初期の頃にSAAでブッシュを再現するなど特徴的な製品を発売していた。
  • マルゴー - MGCのコピー品の他、ジュニア向け廉価モデルガンなどを発売していた。現在は小売店としてのみ存在。
  • 東京レプリカコーポレーション(TRC) - 中田商店の製品を引き継ぎ発売していた。
  • マルシン工業 - 中田商店の下請け金属加工会社から自社開発の製品を発売。PFCブローバックやキットモデルで独自性のある製品を展開。
  • 国際産業 - MGCのコピー品から発売を開始し、後に自社開発の製品を発売。「リボルバーのコクサイ」と呼ばれるようになる。
  • 鈴木製作所 - MGCのコピー品の他、ジュニア向け廉価モデルガンなどを発売していた。1980年代以降は独自製品を開発していた。
  • 六研 - 中田商店出身の六人部登が立ち上げたメーカー。真鍮製や全鉄製の高級モデルガンを発売していた。現在もブランド名のみ残る。
  • ウェスタンアームズ - 六研製品の販売部門として創業し、MGC製品のカスタム製作発売を経て自社製品を発売するようになった。
  • ミコアームズ - 全鉄製の高級モデルガンを発売していた。長物を得意としていた。
  • タナカ - モデルガン用銃床の下請け製造から始まり、東京CMC、MGCより引き継いだ金型による製品を発売。独自製品も開発。長物からハンドガンまで幅広い製品展開をしている。
  • 松栄製作所 - 珍しい長物専門メーカー。
  • KSC - MGCの下請けから独立。ハンドガンを中心とした樹脂製モデルガンを発売。
  • ホビーフィックス - 実銃の構造・寸法を忠実に再現した非発火モデルガンを発売。メガウェイト樹脂やクアックアクションなど独自技術を展開する。
  • ハートフォード(HWS) - 他社製品のカスタム製作販売から始まり、東京CMCより引き継いだ金型による製品を発売。独自製品も開発。
  • クラフトアップル(CAW) - 他社製品のカスタム製作販売から始まり、東京CMC、MGCより引き継いだ金型による製品を発売。独自製品も開発。戦前の古銃のモデルアップを得意とする。
  • タニオ・コバ - MGC出身の小林太三が立ち上げたメーカー。新世代ブローバックのモデルガンを発売している。
  • ランパントクラシック - 六研の設計による樹脂製コルトSAAシリーズを発売。その後独自のSAAのバリエーション展開を行う。
  • リアルマッコイズ - 六研の設計による樹脂製ガバメントシリーズを発売。
  • エラン - リアルマッコイズ製のガバメントシリーズを引き継ぎ、独自バリエーションを展開。

代表的な製品

テンプレート:節stub モデルガンの代表的な製品を登場年代別に示す

1960年から1971年(46年規制前)まで

  • モーゼル(ハドソン) - 国産初のモデルガン
  • ワルサーPPK(MGC) - 映画007シリーズで大ヒットしたモデルガン。初期のモデルガンブームの火付け役。
  • コルトガバメント(CMC) - ショートリコイルが再現されたリアルなスタンダード・モデルガン。最初期は9mmで発売された。
  • ワルサーP38(中田商店) - WW2シリーズとして販売された。ナポレオン・ソロ仕様のアンクルモデルもラインナップ。
  • シュマイザーMP40(MGC) - 初のブローバックモデルガン。
  • コルトSAA(六研) - 真鍮製高級モデルガン。特別モデル"ファスト・ドロウ・スペシャル"が人気を博す。

1971年(46年規制後)から1977年(52年規制前)まで

  • SIG SP47/8(MGC) - 初のABS樹脂製モデルガン。
  • ハイウェイパトロールマン41(MGC) - ABS樹脂製リボルバー。日本映画や刑事ドラマで小道具に使用され活躍したヒット作。
  • ウィンチェスターM92(WA) - 全鉄製高級モデルガン。
  • M3グリースガン(ハドソン) - 鉄製モデルガン。プレス製で実銃のようなリアルな質感を再現。
  • M1カービン(CMC) - ホーワ製の実銃ストックを装備したモデルガン。
  • スタームルガーMK1(国際) - 真鍮製モデルガン。木製化粧ケースに収まっていた高級志向。
  • ウィンチェスターM73(マルゴー) - 亜鉛合金製ながら当時としては実銃の機構をリアルに再現されていた。

1977年(52年規制後)以降

  • ワルサーGSP(CMC) - 亜鉛合金製。珍しい競技銃モデルガン。複雑なトリガーメカも再現。
  • コルトガバメントGM5(MGC) - 1980年代のモデルガンブームを支えたヒット作。豊富なカスタムパーツによるドレスアップが楽しめた。
  • ニューM28&M29(国際) - ABS樹脂製リボルバー。S&W Nフレームのメカニズムを再現しつつ確実な作動を実現した国際産業の出世作。
  • ベレッタM92SB(スズキ) - ABS樹脂製オート。ダミーながらオートマチックファイアリングブロックを初めて再現した。
  • スタームルガーセキュリティシックス(WA) - ABS樹脂製リボルバー。緻密な設計により金型成型の別部品がタイトに結合するWAの野心作。
  • S&W Model2 army(マルシン) - ABS樹脂製リボルバー。スミスアンドウェッソンの黎明期に作られた銃という、モデルガンとしては異質の存在であるが、坂本龍馬が愛用したという事でロングヒットとなる。
  • 64式小銃(ホビーフィックス) - 国産の自衛隊制式銃を忠実にモデルアップ。高価ながらヒット作となった。
  • 94式拳銃(HWS) - 伝説の日本軍制式拳銃を再現した無発火式モデルガン。シアーバーもリアルに再現。
  • コルトガバメント(CAW) - 実銃を念入りに取材した上に現代の技術を駆使して極限までリアルサイズにこだわったモデルガン。

関連出版物

脚注

  1. ただし、ガンダムビームライフルなどをモチーフとしながら、作動機構としてモデルガンのメカニズムを使用したもの(マルシン工業製)については、モデルガンの範疇とされる場合がある。また、バンダイ製「DX・電動ディクテイター01」をモデルガンの範疇とするか否かは意見が分かれている。
  2. 初期のキャップガンやモデルガンに使用される火薬は、主に100連発の巻玉火薬か輸入品のコブラキャップであった。だが、コブラキャップは玩具用としては火薬量が多すぎるとして、輸入禁止となった。コブラキャップに代わっては、国産の平玉火薬が使用されるようになった。
  3. 亜鉛合金製のオートマチック式拳銃で、製造元は山田鍍金工業所(後のハドソン産業)、初期の販売元は国際ガンクラブ(後の国際産業)であった。
  4. 純国産モデルガン第一号はMGC製ワルサーVP-IIであると言われていたが、月刊GUN2007年4月号記事「モデルガン銘鑑」において、当時の資料と関係者の証言からモーゼル軍用拳銃の発売がVP-IIよりも数ヶ月早いことが判明した、と発表された。
  5. 日本高級玩具小売商組合(NKG)。アメ横の小売商7社で発足。組合結成の経緯についてはMGCを参照。
  6. 規制後しばらくはメッキの手法に試行錯誤があり、高級感に欠ける虹色メッキと呼ばれる処理が主流の時期があった。
  7. 金属で作られ、かつ、拳銃に著しく類似する形態を有する物であればモデルガンのみならずエアソフトガン、文鎮、ライター催涙ガス銃なども規制対象になる。
  8. 日本モデルガン製造協同組合。設立当初はMGC、国際産業、ハドソン産業、東京CMCなど11社が加盟。現在の名称は日本遊戯銃協同組合
  9. 当時組合未加入だった六研ウエスタンアームズは、他社のような亜鉛合金製の量産品と異なり、真鍮や鉄などの素材から削り出しでモデルガンを製造していた。
  10. 銃身、機関部体、引き金、撃鉄、リボルバーの撃針、回転弾倉、尾筒、スライドおよび遊底に相当する部分。
  11. 11.0 11.1 現在はメーカー組合(業界団体)が複数あるため、JASGマークやSTGAマークが付されているものもある。
  12. 趣味の分野への公権力介入に反対し、モデルガンについての正しい知識の普及と市民権の獲得を目的に作家などの文化人が中心となって結成された任意団体。会長だった妹尾河童は、原告団の一人としてパン由来の粘土コルトコマンダーを自作し、規制反対のデモンストレーションを行った。
  13. 過渡期のヘビーウェイト樹脂製モデルガンは鉄粉の含有比率が高いものがあり、一部メーカーの製品で磁石が吸い付くほどの鉄らしさを持つものが開発された。この鉄まがいのリアルさを持つヘビーウェイト素材は、「素材の金属化ひいては主要部品が限りなく金属的な性質を帯びている金属製モデルガンではないのか」という議論に発展し、メーカーは自主規制という形で販売を中止、その後は含有する金属や比率が見直されたという経緯がある。なお2007年現在、いくつかの遊戯銃メーカーよりヘビーウェイト製品の素材入手難による生産遅延または中止が告知されている。これは素材メーカーの生産中止によるもので、原因は主に環境問題とされている。
  14. リボルバーの場合、専用の火薬を使用する必要があり、オートマチックの場合は光を出すアダプターを付ける必要があった。また、赤外線センサーの反応も不確実であった。
  15. カートリッジは2分割構造の本体部分とブローバック時のピストンとなる円柱状のプラグから構成される。撃針はカートリッジ内の底部に位置し、プラグとの間にキャップ火薬をはさんで気密性を高めている。
  16. ただし、カートリッジの構造が複雑になったため、単価は高くなってしまった。また、閉鎖内発火のため硝煙や音の抜けが悪くなる傾向があり、初期のPFCでは発砲音がほとんどしなかった。
  17. 上記以外に東京マルイが「造るモデルガン」シリーズで採用したカートリッジは、キャップ火薬自体にピストンの役割を持たせたもので、PFCを単純化したような構造を持つ。同様のカートリッジをMGCがVP70用として試作したことがある。
  18. 2分割構造の本体はPFCと同様であるが、キャップ(キャップ火薬の撃ち殻)を装着したピストンが撃針を兼ねており、火薬のセット方向がPFCとは逆になる。ヘビーウェイト樹脂製モデルガンではスライドが重くなり後退力が不足するため、カートリッジ内の気密性をさらに高めるOリングを使用したCP-HW (HeavyWeight) カートリッジが開発された。

関連項目