ライター

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様々なライター
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色々なライター
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使い捨てライターのバリエーション

ライター(lighter)とはをつけるための装置である。燃焼式が主流で、電熱式もある。

近代以降よりさまざまな創意工夫が凝らされたライターが開発され利用されてきた。 ライターと、燃料やその他消耗品を組み合わせることで、簡便な着火を可能としている。

小型のものは、主にタバコに着火し喫煙するために、タバコと共に携帯して使われる。古くからある携帯機器であるため、後述するようにさまざまな意匠を凝らした製品も多く、利用者の趣味性によってもまたさまざまな製品が選択され利用されている。

柄の長いものは、コンロストーブなどの奥まった場所にあるバーナーや、花火などに着火するために使われるなど、用途に応じてさまざまに変化した製品が流通し利用されている。

燃焼式

着火し易い燃料に、点火機構により瞬間的に高温を発生させるなどして種火とし、目的の可燃物を移す。従って燃料切れのライターでも点火機構のみにより、可燃ガス等になら点火できる事もある。

使用する燃料によってオイルライターやガスライターなどの種類がある。 燃料および点火機構においてはいくつかの様式が平行して利用されているが、そのおのおのに利点と欠点がある。

燃料による分類

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オイルライター(炎が出ていない状態)
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パイプ喫煙用のガスライター。横に炎が出る。

燃料を安定して供給し安定した着火性能を発揮するために、液体または気体の燃料を利用する。固体燃料の製品は近年では一般に市販されていない。

オイルライター
燃料としてオイル(主に精製度を高めた灯油ナフサベンジンなど)に火をつけるもの。毛細管現象によってに上がって来た液体のオイルが揮発することによって燃料となり、適切な揮発機構を持つオイルライターは、揮発機構内で気化した燃料を適度に含む空気が渦になってとどまるため、強風のなかでも高い着火性を持つ。また、自己責任ではあるもののベンジンを用いる白金触媒式懐炉と燃料が共用できる場合も多い(なお、ジッポーブランドのものも存在しそれは指定燃料はジッポーオイルとなっているためそれをライターと共用しても保証が受けられる)。一方、どうしてもオイルの臭気が伴うことと、オイルが揮発するためこまめな補充を要するのが弱点である。数週間も放置すると着火しなくなってしまう。イムコジッポーロンソンなどのブランドが有名。
ガスライター
小型ガスバーナーと小型ガスボンベ等が一体となった物である。燃料として主にブタンなどの可燃性ガスが使用されている。気体のブタンは密度が小さく、空気に混じってしまうが、比較的低い圧力で液体となるため、ライターには利用しやすい物質といえる。液化ガス式ライターには、燃料を補充できるものと、補充できない使い捨てのものがある。後者の製品は燃料補充の手間がかからないことと、非常に安価な製品(いわゆる百円ライター)が1970年代半ば以降[1]普及したため、現在のライター製品の主流となっている。また、気化したブタンやその燃焼ガスはほぼ無臭であるため、煙草の香りをそこなわないとしてガスライターを重用する者もいる。このことを理由に葉巻はガスライターで着火されることが多い。
ガスライターはその燃料の性質上、可燃気体のガス噴出量と周辺空気の混合比率が適切な状態で燃焼がおこるため、ライター周辺のが強いと本来設計された位置で点火用の火花を散らしても発火点に達せず、着火しない事がある。ただし、ガスの噴出圧力を利用して強制的に混合気を点火チャンバー内に充填するターボライターの登場によって今日では強風のなかでも点火が可能になっている。
ターボライターはガスが高温燃焼するために、対象物への着火が早く、また一回あたりの燃焼時間が短くて済み、燃焼効率・燃費がよく、結果一回のガスチャージ補給)で使える回数が多くなるという利点もある。しかし、炎の温度が高過ぎ、炎自体も淡く青いためにわかりにくいとされて敬遠されがちだった。このため、現在では燃焼チャンバータングステン等の金属フィラメントを配して、ガスの燃焼にともなう熱で赤熱させて、着火をわかりやすくしている。
また、これらターボライターのフィラメントに、稀少金属である白金(プラチナ)を使用した場合に、触媒効果によって、ブタンガス混合気の発火点は、通常の450-550℃から190℃へと、かなり落ちる。これにより、万が一にも炎が風で吹き消えても、白金フィラメントが十分に加熱されていれば、自然発火によって再点火し、炎の持続性が格段に向上する。この原理を応用した一般のものより高価な触媒ライター(または白金ライター)もある。
ガスライターのなかには風防などを持ち、野外の墓地線香に着火することを主眼としたものもある。

点火機構

フリントによる点火
最も広くライターの燃料に点火するために用いられる機構は、オイルライター・ガスライターを問わず、ヤスリ状の回転ドラムに「フリント」と呼ばれる、直径2mm高さ5mm程度の小さな消耗品を押し付けて、ドラムを勢い良く回転させ、その摩擦火花を散らして発火させる物だが、この火花を発生させるためにセリウム70%と30%の合金であるオーエルメタルを使用している。
もともと、「フリント(火打石)」とは「チャート」と呼ばれる結晶質自然石を指していたが、珪酸を主体とするこの鉱物で得られる火花よりも、前述のカール・ヴェルスバッハのオーエルメタルの方が、瞬時に摩擦-熱エネルギーを放出することができるという性質と、「合金であるために特定の形状への加工がたやすい」という性質から、小さなライターにはちょうどよいということで好んで使用され、今日ではライター用のフリントといえばこのオーエルメタルを指す。
火花放電による点火(所謂「電子ライター」)
ガスコンロ等の点火装置と基本的に同じ物が、ガスライターに使われている。1970年代には昇圧回路を内蔵したボタン電池による火花放電で点火する物もいくつか存在し、IC回路による静電容量スイッチングで、ボタンに触れるだけで連続放電をおこなって点火する高度な物も発売されたが、ポケットのなかで誤って発火する等の事故も起こりうるだけに、今日において卓上ライター以外では、結晶構造を持つセラミックの一種である圧電素子を使った、ノック式の点火機構が主になっている。レバーと炎が離れた長い製品も作れる。
今日、電気的な点火機構を持つライターを「電子式ライター」ないし「電子ライター」というが、これは、もともと、前出の昇圧回路を使用した物を指した。しかし、圧電素子も衝撃を与えることで結晶体内部で電子の移動がおこり、それを外部に導いて放電させるので、こちらも「電子式」と呼んでも間違いではない。
ちなみに、ターボライターはほとんどの製品が電子ライターだが、例外的にジッポーからフリント式のターボライターも発売されている。

取り扱い

引火性を持つ燃料を使用しているため取り扱いには注意を要する。高温下に放置すると爆発する危険性があるほか、強い衝撃によっても爆発する危険性がある。特に、ガス式のものは内部のガス圧力が1気圧よりも大きく、破裂するおそれもあるため、損傷の認められるものの利用はすすめられない。また、の破損がある場合は燃料が漏れつづけるなどの問題もあり、密閉構造の破損したライターは使用に適さない。

オイル式では、燃料供給直後などではケース表面がオイルで濡れていると延焼して危険であるため、燃料供給直後はよくふいてから使用するほうが無難である。ガス式の場合は燃料供給直後にわずかながら漏れたガスが辺りを漂っていると危険であるため、換気のよい場所で燃料を供給し、燃料注入弁のガス漏れがないか確認してからの使用が望ましい。

オイル式の物はその多くがを閉めるまで燃料が続く限り燃焼も続くものが大半であるため、燃焼中に不注意で取り落としても燃え続けることもある。このため、可燃物の上で取り落とすと類焼の危険性がともなう。ガス式の物は安全機構として所定の押しボタン式弁を持つものではボタンを離すと燃料供給が止まるため、火が消える。ただ、ガス式のなかにも蓋を閉めるまで燃料ボンベの弁が開放されたままになるものもあるため、構造によってはその限りではない。

また、飛行機搭乗する際の注意点として、持ち込みができるライターの種類及び数量は制限されており、液化ガス式ライタータイプの使い捨てライター(100円ライター等)及び、注入式ガスライター(デュポン等)、吸収剤入りのオイルライター(ZIPPO等)についてはいずれか1人につき1個までであれば飛行機内への持込が可能である。ただし、同様のガス式ライターでも「葉巻ライター」(葉巻に使用するライターで青色の強力な炎を出す、ターボ式のライター)や着火マン、吸収剤の無いオイルタンク式ライターについては一切機内持ち込みすることができない。また、どのタイプのライターであっても、受託手荷物内(預ける荷物)に入れることも一切出来ない。愛煙家は、火気についてはジッポーまたは100円ライター1個だけを持って乗るか、現地で入手することになる。

いずれにしても、火気の取り扱いに対する相応の注意が求められる。

電熱式

テンプレート:節stub 電熱線に通電し赤熱させて、タバコや葉巻を接触して点火する。炎が無いのでの影響がほぼ無い。

車載用

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携帯用

1940 - 1950年代に流行した。電熱線が赤熱できるだけの電流を流さねばならず比較的容量の大きな電池を必要としたため、電池が重く電池の持ちもあまりよくなかったために、今日では一次電池を用いるものはほとんどない。 日本でも、立石電機株式会社(現・オムロン)が1948年(昭和23年)当時に製造・販売していた[2]

現在は、小型軽量でタバコ専用の、USBを電源として用いる充電型が、日本や中国のメーカーから市販されている。タバコより太く硬い葉巻には使えない。

チャイルド・レジスタンス機構

アメリカ合衆国では、1990年代幼児によるライターを使用した火遊びに起因する事故や火災が問題視されるようになったことから、1994年7月12日以降、幼児の誤使用を防ぐチャイルド・レジスタンス機構(CR)を備えないライター、幼児が興味を引く意匠やギミックを備えたライター(ノベルティ・ライター)の製造・輸入が禁止された。同様の問題は欧州でも指摘され、EU圏内でも2002年以降、同様の規制が引かれている[3]。具体的には、幼児の握力を超える強さでないと着火出来ない・着火には押し回しなどの操作を要することとされる(幼児は一度に二つ以上の操作は出来ない)。

日本

2010年(平成22年)3月以降、立て続けにライターを原因とする幼児の焼死事故が発生したことから、経済産業省が中心となって「消費経済審議会製品安全部会ライターワーキンググループ」によりライターの機構や形状に関する規制が検討された。実際に2010年(平成22年)12月27日からは燃料を使うライターを消費生活用製品安全法の「特別特定製品」に指定しチャイルドレジスタンスが義務化、安全テストを合格したものにPSCマークを交付、2011年(平成23年)9月27日よりは従来のCR機構を持たない100円ライターやおもちゃのような形状を備えるライターは販売禁止となった[4]。電熱式は対象外。2段階式、スイッチを固くしたもの以外は販売できなくなった。

なおこういった機構の採用は複雑化に伴うコスト増加や「使い易さ」の低下が予測されており、握力の低下した高齢者では不便になるとも見られている。過去に使い捨てライター大手の東海はチャイルドレジスタンス機構を採用した製品を150円で「先行販売」したが、売り上げが伸び悩み、製造を中止したこともある[5]

ファッションとしてのライター

喫煙者は社会的な風潮から年々減少傾向にあるため、今日ではライターを持ち歩く人もだんだん減りつつある。

安価な使い捨てライターは、一般小売店の店頭販売価格が3個で税込み105円程度からあるし、日本国内においては喫茶店バーなどのノベルティグッズとして無料で入手可能である。また、煙草のカートン購入や新製品のプロモーションのための付加価値としても一般的である。しかし、ファッションという点からみると、財布ハンカチ以上に絶好の個性主張のできるアイテムにもなりうるため、百貨店などの喫煙具売り場などをみれば、多種多様なライターをみることができる。例えば、オイルライターでは趣味性の高いブランドを確立している老舗メーカーもあるが、その一方で装身具の一種として装飾されたガスライターもみられる。

このなかでは多機能化を図った製品もあり、使い捨てライターにあってもLEDライトの機能を追加(ただしガス容量は低下する)する製品も登場している。

歴史

テンプレート:節stub ヨーロッパでは17世紀末にはフリントロック式銃の機構を利用して火口に点火する thinder lighter あるいは tinder pistol と呼ばれるものが発明されていた。18世紀初頭に作られたものは多数が現存する。

近代的なライターの開発は、1903年カール・ヴェルスバッハが、高効率の火打石の合金を発明特許を取得したことから盛んになった。1913年には、ロンソン社が現代のライターの原型を製造、販売を開始。1932年にはジッポ社が、安価で信頼性の高いオイルライターを市場に大量供給し始めた。

それ以前の一時期は火縄式のライターが広く使われた。

日本

最初に実用化されたライターは、1772年(安永元年)に平賀源内の発明した、火打石にバネ仕掛けの小さなハンマーを打ち付けて点火する、モグサを燃料として使用した物である。このフリントロック式の点火機構によく似た「刻みたばこ用点火器」は広く普及したという記録も無いが、当時の好事家には大変好まれたようだ。マッチが考案されたのは1827年であるためマッチより歴史が古い。

主なメーカー

世界的なブランド

日本

脚注

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関連項目

外部リンク

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  1. 朝日新聞be編集グループ編『サザエさんをさがして』(朝日新聞出版、2005年)、p.153
  2. テンプレート:Cite web
  3. テンプレート:Cite web
  4. 消費生活用製品安全法施行令の一部を改正する政令について経済産業省商務流通グループ製品安全課』2010年11月5日。
  5. テンプレート:Cite news