セレンディピティ

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テンプレート:参照方法 テンプレート:Otheruseslist テンプレート:Redirect セレンディピティ(serendipity)とは、何かを探しているときに、探しているものとは別の価値あるものを見つける能力・才能を指す言葉である。何かを発見したという「現象」ではなく、何かを発見する「能力」を指す。平たく言えば、ふとした偶然をきっかけにひらめきを得、幸運をつかみ取る能力のことである。

語の起源と意味

「serendipity」という言葉は、イギリス政治家にして小説家であるホレス・ウォルポールゴシック小説『オトラント城奇譚』の作者として知られる人物)が1754年に生み出した造語であり、彼が子供のときに読んだ『セレンディップの3人の王子(テンプレート:Sname)』という童話にちなんだものである(セレンディップとは現在のスリランカのことであるから、すなわち、題名は「スリランカの3人の王子」という意味である)。ウォルポールがこの言葉を初めて用いたのは、友人に宛てた書簡において、自分がしたちょっとした発見について説明しているくだりにおいてであり、その書簡の原文も知られている。 テンプレート:Quotation

英英辞書では以下のように説明されている。 テンプレート:Quotation

日本語訳

日本語では、通常は音写の「セレンディピティ」「セレンディーピティー」等が用いられる。「偶察力」と訳される場合もあるが、確固とした訳語は定まっていない。精神科医の中井久夫は『徴候・記憶・外傷』(みすず書房2004年)で「徴候的知」と呼んでいる。

自然科学におけるセレンディピティ

セレンディピティは、失敗してもそこから見落としせずに学び取ることができれば成功に結びつくという、一種のサクセスストーリーとして、また科学的な大発見をより身近なものとして説明するためのエピソードの一つとして語られることが多い。

セレンディピティが見出せる代表例

ポロニウムを抽出した閃ウラン鉱の残渣の方が電離作用が強いため、更に調べたところ見つかった。
フレミングが培養実験の際に誤って、雑菌であるアオカビを混入(コンタミネーション)させたことが、のちに世界中の人々を感染症から救うことになる抗生物質発見のきっかけになった。
皮を剥がされたウサギにキチンをかぶせたところ、因幡の白兎のように再生した。

参考文献

  • 外山滋比古『思考の整理学』筑摩書房,ちくま文庫 1986年 - 「セレンディピティ」が章のタイトルになっている。
  • R.M.ロバーツ著安藤喬志訳 『セレンディピティー 思いがけない発見・発明のドラマ』化学同人 1993年 ISBN 4759802495
  • 沢泉重一 『偶然からモノを見つけだす能力』「セレンディピティ」の活かし方 角川書店 2002年
  • 日野原重明 『「幸福な偶然」(セレンディピティ)をつかまえる』 光文社 2005年
  • 宮永博史 『成功者の絶対法則 セレンディピティ』 祥伝社 2006年 ISBN 4396681127
  • モートン・マイヤーズ『セレンディピティと近代医学』中央公論新社 2010年

関連項目

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外部リンク

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