アントラー (ウルトラ怪獣)

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テンプレート:Pathnav アントラーは、特撮テレビ番組『ウルトラマン』を始めとする「ウルトラシリーズ」に登場する架空の怪獣。別名「磁力怪獣」[1]

モチーフそのものはクワガタムシカブトムシ[2][3]。名前の由来は、アリジゴクの英語名であるアントライオンを縮めたものとする説[3]、鹿の角を意味するantlerとする説などがある[3]円谷英二は放送当時の雑誌でアリの英語名であるantからとったと述べている[3]

『ウルトラマン』に登場するアントラー

ウルトラマン』第7話「バラージの青い石」(1966年8月28日放送)に登場。

  • 身長:40メートル
  • 体重:2万トン
  • 出身地:中近東・バラージ
  • 能力:磁力光線を出す
  • スーツアクター:荒垣輝雄[2]

「伝説の町バラージ」が存在するといわれるところに、遥か昔から生息していた怪獣。5千年前にバラージの町を襲ったことがあり、その時はウルトラマンに酷似した姿の「ノアの神」によって倒された。

その姿はアリジゴクのようで、頭部には巨大な一対の大顎を有する。砂漠に擂鉢状の巣を作って獲物が落ちるのを待ち構えている。大あごの間から発射できる強力な虹色の磁力光線によって飛行機を墜落させ、乗客を食べる。

現代に復活してバラージの町を襲撃した際には科学特捜隊スーパーガンも受け付けず、逆に磁力で吸い寄せる。ウルトラマンとの戦いでも磁力光線や砂煙、大顎による締めつけなどで散々苦しめ、さらにスペシウム光線も全く通用しない強敵である。激しい格闘戦により両方の大顎を圧し折られるも大ダメージには至らず、唯一苦手とするかつてノアの神が持ってきたと伝えられる「青い石」をぶつけられ、体中に大爆発を起こして地面に倒れ込み、絶命する。

第35話では怪獣墓場に漂っている姿が描かれている。

  • 放映時の裏設定では宇宙怪獣とされており、金城哲夫による『小説 ウルトラマン』ではその設定が活かされている。
  • 鳴き声はラドンのハイスピード再生[4]。角の開閉音は、録音担当の西本定正による歯ぎしりの音[3]
  • スーツの角は最終話に登場したゼットンへ移植されたと言われている[5]テンプレート:Sfn
  • ウルトラマン前夜祭』に暴れる怪獣達の1体として放送に先駆けて登場し、ウルトラマンと戦う。他の着ぐるみとは違いファスナーの位置が前にあり、着ぐるみの胴体が前後逆になっていた[6]。その時のスーツアクターは泉梅之助
  • 劇中に登場する「ノアの神」の正体には諸説あり、古い書籍類ではウルトラマンの祖父(かもしれないとする書籍も含む)と記載されていた。漫画作品『ウルトラマンSTORY 0』においては、バラージを訪れたゾフィーであると示唆する描写が存在する。
  • 映画『ウルトラマン物語』並びに『ウルトラファイト』の「ひきょうだぞアントラー」における流用映像では、スペシウム光線で倒される(爆破シーンは青い玉を受けたシーンを流用)。後者では砂煙はアントラー自身が吐き出すガスとされている。また、「ウルトラマンサーガ」内のアントラーは、スペシウム光線で倒される。
  • 『大怪獣バトル ULTRA MONSTERS NEO』では虹色の磁力光線は「キャプチャ光線」、大顎による締め付けは「ライジングシザース」と表記されている。
  • 実際の劇中にはないアントラーが市街地にいるスチール写真がある[7]
  • 台本ではムラマツがアントラーを見て「蟻地獄だ!!!」と叫ぶシーンがある[2][3]
  • アントラーの手足は4本だが、台本では6本足でウルトラマンを抑え込むと書かれていた[2][3]

『ウルトラマンマックス』に登場するアントラー

ウルトラマンマックス』第11話「バラージの預言」に登場。

  • 体長:54メートル
  • 体重:4万5千トン

初代と比較してやや大きい体躯を持つ。同様に磁力光線と大あごが武器で、磁力光線はマクシウムカノンの「溜め」を消滅させることも可能。4千年前に中央アジアの王国「バラージ」を滅ぼした。ウルトラマンマックスを苦戦させるが、「バラージの青い石」を通して放ったビームを浴びた途端に動きが鈍くなり、大顎の片方をマクシウムソードで切断され、続けてマクシウムカノンで倒される。

  • スーツアクター:末永博志
  • この回のみ、オープニング、提供クレジットにアントラーのシルエットが登場しており、冒頭(初回放送のみ)子供たちがゴジラガメラ玩具を戦わせて遊んでいるシーンがある[8]
  • アントラーが起こした砂によって被害を受けるガソリンスタンド中華料理店、破壊される雑貨店の名称は監督を担当した金子修介からもじっている。
  • 出現時のシーンでは操演部制作の砂を吹き上げる装置が用いられている[9]。この装置は後に『ウルトラマンギンガ』でも使用されているが、アントラーの出現シーン以外には使い道がないという[9]

『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル NEVER ENDING ODYSSEY』に登場するアントラー

ウルトラギャラクシー大怪獣バトル NEVER ENDING ODYSSEY』第4話「困惑の再会」に登場。

  • 身長:40メートル
  • 体重:2万トン

ババルウ星人(RB)に操られる。超振動波を難なく弾く強靭な外骨格を持ち、強力な大あごと血中鉄分すら引き寄せる磁力光線「キャプチャ光線」でレイのゴモラを苦しめるが、ゴモラがレイオニックバーストになったことで形勢逆転。大あごを引き千切られ、ババルウ星人に回収される。

その後、漫画作品『大怪獣バトル ウルトラアドベンチャーNEO』で再登場。主人公アイのレッドキングと戦うがゴモラとの戦闘で大あごが折られたままだったので相手にならず倒され、ババルウ星人(RB)は脱落、ハマーより敗走する。

  • スーツアクター:末永博志
  • 着ぐるみは『ウルトラマンマックス』で使用された物の流用。
  • オープニングではドラゴリーと対決している。

『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』に登場するアントラー

映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』に登場。

ウルトラマンベリアルのギガバトルナイザーの力で怪獣墓場から復活する。ベリアルが操る怪獣軍団の一体となり、怪獣墓場でウルトラ戦士やレイの怪獣達を迎え撃つ。バルタン星人ゼットンなどと共に初代ウルトラマンと激突し、背後から大顎で締め付けるが脱出され、ウルトラアタック光線を受けて倒される。

また、ベリュドラの右角を構成する怪獣の一体としても姿が確認できる。

  • 着ぐるみは『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル NEVER ENDING ODYSSEY』までの流用。

雑誌連載版

  • てれびくん』で連載された漫画版でも、ベリアル軍団の一体としてウルトラ戦士やゴモラと戦うが、ウルトラマンメビウスのメビュームシュートで倒される。
  • 『てれびくん』2009年12月号付録のメガサイズポスターでは、アストラと戦っている。

『ウルトラマン列伝』に登場するアントラー

ウルトラマン列伝』第39話「超決戦!ウルトラヒーロー!!」(『ウルトラマンサーガ』の未公開映像を交えたスペシャル総集編)に登場。

バット星人ハイパーゼットンスフィア細胞で作り出した怪獣兵器の一体。首や胸にスフィアの発光器官が着いている。他の4体(キングパンドンブラックキングベロクロンタイラント)と共に地球【フューチャーアース】に送り込まる。ウルトラ兄弟の内のウルトラマンと戦うが、最期はスペシウム光線で倒される。

  • 着ぐるみは『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』までに使用された物の改造流用。

『ウルトラマンギンガ』に登場するアントラー(SD)

ウルトラマンギンガ』第9話「漆黒のウルトラ兄弟」に登場。

  • 身長:14センチ~40メートル
  • 体重:150グラム~2万トン

ナックル星人グレイ(SD)が黒木知美をダークライブさせることで出現。磁力光線を使用して友也を鉄骨で拘束しジャンナインを呼び出せないようにする。そのまま降星小学校へ向かおうとしたところで美鈴、健太、千草がウルトライブしたジャシュライン(SD)と対決、思うように動けない隙を突いて優位に立つ。その後はウルトラマンギンガと対決するが、劣勢になったところで突如現れたウルトラセブンダーク(SD)のワイドショットを受けて倒される。

『大怪獣ラッシュ ウルトラフロンティア』に登場するアントラー

データカードダス及びそれを元にしたCGショートムービー『大怪獣ラッシュ ウルトラフロンティア』に登場。

プラズマソウルを取り込んだプラズマ怪獣として1弾から登場する。磁力光線によって星人ハンターの金属製の装備も引き寄せるため、ハンティングに挑む際には装備に磁力コーティングを必要とする。

テレビ放送版「ANTLAR Hunting」では、プラズマソウルの露出箇所は6箇所。エレキングのハンティングを終えたばかりで下準備を一切していないラッシュハンターズを磁力光線で苦しめる。一瞬の隙を突かれて5箇所のプラズマソウルを破壊されるも、ラッシュハンターズを大きく消耗させ優位に立ったかに見えた時、乱入してきたダダチームによって大顎を折られた挙句、最後のプラズマソウルを破壊され倒される。回想シーンにはプラズマソウルの色が異なる別個体も登場するが、当時ガッツガンナー・ガルムとチームを組んでいたノダチザムシャーによって倒されている。これは、ザムシャーの一族が身に着けている甲冑が絶縁体の特質を持っており、磁力光線の影響を受けなかったためであった。

『大怪獣バトル ULTRA MONSTERS NEO』に登場するアントラー

大怪獣バトル ULTRA MONSTERS NEO』第12話「キール星人の挑発」に登場。

別の時代のハマーにおり、そこで青い球を追ってきた主人公たちの乗るヴィットリオの宇宙船が衝突し、それに怒って主人公たちに襲い掛かる。そして、ネオバトルナイザーの怪獣と戦うが、敗れて落ち込んだ様子で去ろうとしたところを、グランデの操るレッドキングに蹴り飛ばされる。

また、NEO第7弾から導入されたトラップシステムにも活用されており、そのラウンドで負けた怪獣にライジングシザーズを炸裂させる。

ステータスはアタックとディフェンスが高く、スピードとパワーが低い。また、ウルトラマンのスペシウム光線を受けても平気だったので光属性攻撃に強い。必殺技はアントラーらしいものがあり、磁力光線で引き寄せた隕石を敵めがけて落とす「メテオクライシス」、磁力光線で引き寄せた敵を大顎で何度も噛み砕く「キャプチャ光線」、地中から奇襲攻撃を仕掛ける「ライジングシザーズ」がある。NEO第7弾より、同じ昆虫怪獣であるサタンビートルとのタッグ必殺技「Wインセクトアタック」が、NEO-GL第2弾では新必殺技として、敵を地中へ引きずり込んで大顎で噛み砕く「怪獣蟻地獄」が追加された。

漫画作品に登場するアントラー

『ウルトラマン THE FIRST』

漫画『ウルトラマン THE FIRST』に登場。

原作同様、近くを飛ぶ航空機を磁力光線で墜落させる。スペシウム光線をもはじき返す甲殻と強力な磁力光線で、初出現時はウルトラマンをも退ける。世界で天災や戦争が起こるたびに暴れまわり、バラージの神官によってその都度鎮められてきた。2度目の出現時には街を襲撃するが、古代に飛来したというノアの神が残した青い玉を、女性整備士ヒナタの機転によってぶつけられたことで甲殻が弱体化。最後はスペシウム光線によって敗れ去る。

アントラーの死と共に、それを封印する役目を果たしてきたバラージの街も、蜃気楼のように消え去る。

『ウルトラマン STORY0』

漫画『ウルトラマンSTORY 0』に登場。

14話ではバルタン星人の実験の道具として登場。18、19話で地球のバラージに登場。チャータムには神として恐れられていたが、実際はバラージの人々をエサとして襲おうとしていただけの怪獣。TV版『ウルトラマン』で使った技や攻撃をする。磁力を巧みに使い敵を倒す。テレビ版よりも、より昆虫らしい外観をしている。バラージの青い石で弱ったところを、M87光線を受けて倒される。第39・40話にはジェロニモンにより蘇生された再生怪獣軍団の一体として登場。

その他

  • ウルトラセブン』の企画段階では、レッドキングペギラパゴスと共に、カプセル怪獣として登場する構想があり企画書や準備稿で名前が挙がっている。[10]
  • 2009年のHONDA「ステップワゴン スパーダ」のCMでは、スパーダを恐れて他の怪獣と共に道を空ける役で出演している。
  • 『ウルトラマンゼロ&オールスターウルトラマン超絶! ウルトラリーグ』(てれびくん版2011年6月号掲載分)では怪獣軍団の一体としてウルティメイトフォースゼロを襲う。
  • 小説『Another Genesis』では第2話に登場。砂漠の惑星に生息し、光の国の破片の影響で超巨大怪獣へと変貌している。初代ウルトラマンとの死闘の末に、体内から光の国の破片を奪われて止めを刺される。
  • ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国』では当初ダークロプス軍団とウルトラ戦士の戦いをアントラーとゴモラが見守る未公開シーンがあった。
  • ウルトラゾーン』第1話では恐竜戦車と「キャタピラ地獄」というコンビ名で漫才を行い、コンセプトが分かりづらいことから恐竜戦車に別名を地底怪獣、ハサミ怪獣、クワガタ風怪獣に改名した方がいいと指摘されるも、いずれも却下する。

脚注

  1. 「ウルトラ絵本シリーズ1 ウルトラマン」(永岡書店、1995年)では「アリ地獄怪獣」と表記している。
  2. 2.0 2.1 2.2 2.3 『キャラクター大全ウルトラマン全調査報告』(講談社、2012年、ISBN 978-4-06-218128-0)
  3. 3.0 3.1 3.2 3.3 3.4 3.5 3.6 テンプレート:Harvnb
  4. ケイブンシャ『ウルトラマン特撮の秘密百科』124頁
  5. 1993年竹書房『ウルトラマンベストブック』のコラム
  6. テンプレート:Cite book
  7. 朝日ソノラマ『ウルトラマン怪獣写真全集』32頁
  8. これは本話の監督を務めた金子修介が、ゴジラシリーズとガメラシリーズ両方の監督勤めていたことから生まれた「ゴジラVSガメラ」というお遊び的なシーンである。版権上の理由から、このシーンは当初からDVDや再放送では削除される前提で撮影された。
  9. 9.0 9.1 テンプレート:Cite journal
  10. 円谷ヒーローウルトラ怪獣全史(講談社 mook)2014

参考文献

関連項目

テンプレート:ウルトラ怪獣