ガメラ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索
ガメラは、大映(現:角川映画)が1965年に公開した特撮映画大怪獣ガメラ』に登場する架空の怪獣の名称。『大怪獣ガメラ』以降も続編、及びガメラの登場する映画作品が継続的に製作されており、これら全作品を総称してガメラシリーズと呼ぶ。東宝ゴジラシリーズと共に日本の怪獣映画を代表する作品群である。本項ではシリーズ全般、およびキャラクターとしてのガメラを解説する。

概要

ガメラシリーズは「倒産以前の旧大映時代」「再建し徳間グループに入っていた大映が製作した時代(俗に言う「平成三部作」)」「角川グループに入った大映が商号変更した角川ヘラルド - 角川映画時代」の三つに区分する事が出来る。

大映時代

旧大映時代の『ガメラ』は、東宝製作の『ゴジラ』シリーズの大人気を見た当時の各映画会社がこぞって誕生させた怪獣映画作品群の流れを受けて誕生した。一般的な知名度はゴジラの方が高いものの、ガメラはカメ特有のユーモラスなデザインや飛行能力など独特の個性を持ち[1]、さらにはシリーズ当初からの「子供の味方」という設定が当時の子供達に好評を博したことも相まって、現在に至るまで根強い人気を保っている。テンプレート:要検証また、大映時代の配役には「(『バイラス』以降)必ず外国人の少年(及びその家族)が登場し、主人公である日本人の少年とともに冒険する」という特徴がある[2]

誕生秘話としては、「当時の大映社長が、飛行機から見下ろした島の形が亀の甲羅に似ていたことにインスピレーションを受け、“大映の怪獣は亀をモチーフにする”こととなった」という逸話がある[3]

ただ、ピー・プロダクション鷺巣富雄の証言によると、「亀が甲羅に引っ込むと火を噴いて空を飛んでいく」というアイデアはガメラ以前の1962年に鷺巣が企画を暖めていたSFドラマ「STOP」の第一話の脚本で登場する。「STOP」は結局、制作費の問題で没企画となってしまったが、鷺巣によると東宝の他に、大映にも企画の売り込みを行っており、このアイデアがガメラに活かされたと述べている[4]

徳間グループ時代

徳間書店グループ下の新会社として再建された大映は、当時の徳間グループによるメディアミックス戦略の一環として『ゴジラ』に対抗しうる特撮映画を製作する事を検討。その結果、前述した通りの人気を持っていたガメラに着目。新たなる『ガメラ』の製作を決定した。この結果作られた新『ガメラ』は、それまでの怪獣映画にはないリアリティを追求した脚本と大胆にCGを導入した映像が話題を呼んで大ヒットを記録した。これにより往年のファンだけでなく新たなファンの獲得にも成功。引き続き製作された2作品と合わせて後に「平成三部作」と呼ばれ、当初の構想通り『ゴジラ』に比肩する怪獣映画としての地位を不動のものとした。また、平成三部作によって、すでにヒットメーカーとして知られていた金子修介(本編)だけでなく、特撮を担当した樋口真嗣の名も世に知らしめることとなった。なお、低年齢層も視聴するゴジラシリーズ他の一般的な日本製怪獣・特撮映画と比較すると、「(効果音付きで)人が食べられる」「一般市民が襲われ多量の出血をともなって死亡する」など残酷なシーンが見受けられるが、これは監督の金子が本シリーズの対象年齢を「小学校高学年あたり」としていることによる。

角川映画時代

平成三部作完結後、しばらく休眠期に入ったガメラシリーズであったが、ライバルというべき『ゴジラシリーズ』が2004年をもって一応シリーズの完結を迎えた事で、テレビ特撮番組からのスピンオフでは無い純粋な「特撮(怪獣)映画」の新作が観られなくなる事を危惧したファンから、再びガメラシリーズの復活を求める声が高まった。大映自体も2002年に角川書店に営業権が譲渡され、その営業権をもとに新たに株式会社角川大映映画が設立された。角川大映は後に角川映画に商号を変更し、同社は徳間時代とは違った形でのガメラ復活を検討。その結果、2006年には新作ガメラ映画『小さき勇者たち〜ガメラ〜』を製作・上映した。

映画以外のガメラ

ガメラは映画以外のメディアでもテレビゲーム化されたり、パチスロメーカー「ロデオ」によって『ガメラ』『オオガメラ』『ガメラハイグレードビジョン』『ガメラZS』と、合計4台のパチスロ台が生み出されている。

キャラクターとしてのガメラ

巨大なの姿をした怪獣。甲羅の表面が「鱗のような重なり合った形状」になっており、下顎の左右両端から大きな牙が1本ずつ、上に向って生えている[5]。血液は緑色である。

本物の亀のように、頭や手足、さらには尾までも甲羅の中に引き込むことができる。引き込んだ後、その部分(窪んでいる)から火炎を噴射し、その推進力を利用して大気圏内はもちろん宇宙空間でも飛行することができる(四方から火炎を噴射しつつ回転して飛ぶ場合と、後脚の部分のみ火炎を噴射して前を向いたまま飛ぶ場合がある)。平成作品では、膝や肘からのジェット噴出をして飛行している。最高飛行速度はマッハ3以上。 尚、回転飛行形態を取った際、昭和作品では、比較的ゆっくり回転していたが、平成作品では、格段に回転速度が上がっており、非常に高速で回転をする(VFXの技術力の向上によるものもあるだろうが)。このため、その周囲は猛烈な風が発生しており、近くにあるヘリ等の飛行物体はかなりの揺れを伴うようだ。また、作品が進むごとに戦闘的な身体に進化をするという設定も加わった影響で、昭和作品のように足を引っ込めるだけに留まらず、『2』では、腕を平たく伸ばしてジェット飛行機のような形態に変化させたり、『3』ではその平たく伸ばした腕を可動させ、機動調整ができるようになっていたり、回転飛行の際には、側面の尖った甲羅と回転を利用して敵に体当たりして攻撃するなどの進化を見せている。(#身体的特徴及び、フォルムの変化

昭和作品時においては口からの火炎放射と怪力、噛み付きなどの他、周囲の岩や建造物を武器として使用することもあった。平成三部作では火炎の代わりにプラズマ火球を発射、またエルボークロー(肘の骨が変化し爪のようになったもの)が追加された。この他に、『ガメラ 大怪獣空中決戦』では超烈火球=ハイ・プラズマ、『ガメラ2 レギオン襲来』では究極超烈火弾=ウルティメイト・プラズマ、『ガメラ3 邪神覚醒』では爆熱拳=バニシング・フィストという必殺技を見せている(#攻撃技)。

ガメラを含むガメラシリーズの怪獣は、ゴジラシリーズやウルトラシリーズなどの円谷英二が携わった作品に登場する怪獣と比べると、(設定上の)体重が非常に軽い[6]

昭和シリーズで監督および特撮監督を勤めた湯浅憲明はガメラとゴジラやウルトラ怪獣との差別化として、ガメラを二本足で立たせず極力這わせたり、流血描写などで動物性を強調したとしたと述べている[3]

昭和のガメラ

基本データ
分類 カメ類[7]
年齢 8,000歳
体高 60メートル
全長 不明
甲羅長径 不明
甲羅短径 不明
体重 80トン
大気圏内飛行速度 マッハ3
水中潜航速度 150ノット
歩幅 20メートル
エネルギー 熱エネルギー
武器・技 火炎噴射
怪力
回転ジェット
生息地 古代アトランティス大陸

概容

エスキモーの伝承に伝わりし北極の氷の中で眠っていた古代の怪獣。一説にはアトランティス大陸に生息していたとされる。国籍不明の原爆搭載機の墜落により、閉じ込めていた氷が割れて覚醒。南下して最終的には日本に上陸、破壊の限りを尽くす。当初は凶暴な怪獣として描かれていたが、子供に対しては友好的な面を見せていた。一度はZ計画と呼ばれる作戦により巨大ロケット内に閉じ込められ地球から火星に追放されるが、ロケットが小惑星との衝突により破壊されたことで解放、地球に再来する。

第2作『大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン』以後は人間に対して具体的な敵意を示すことは無く、エネルギーの摂取時以外にはほとんど出現しなくなるが、侵略者や怪獣によって子供が危機に陥るような事態が起こると、何処からともなく現れて子供達を救っていく。

このように基本的には悪役だった第1作でも子供を助ける場面があり、大人向けに製作した2作目を除く3作目以降は、一貫して「悪の怪獣・侵略者を打ち倒す正義の怪獣」「子供達のヒーロー」として描かれる。

昭和ガメラ最終作『宇宙怪獣ガメラ』ではミドリガメが成長しガメラになったような描写があり、[8]『対ジグラ』までのガメラとは別個体とする説もある。少なくとも、このガメラが登場する以前より本作の世界ではガメラの存在が認知されている(主人公の少年がガメラが掲載された少年誌を所持しているため、架空の存在としてガメラが存在する可能性もある)。同作で宇宙海賊船ザノン号に特攻してからの消息は不明。 ちなみに『対ジャイガー』にて、全身レントゲンを撮影した際、『アオウミガメ』にそっくりと言われている事から、昭和ガメラの世界にはカメが存在している事が判明している。

身体的特徴及び攻撃技

口からの火炎放射以外に、外観に似合わぬ運動能力[9]と怪力を誇る。体重は80tだが、公式プロフィールにて「人間の一万倍」の筋力を誇るとし、ジャイガーやバイラスなど自身より巨大な敵を軽々と放り投げる。だが最も特筆すべきはその生命力で、身体を串刺しにされるほどの重傷を負っても戦闘を続行できる。しかし、ジャイガーの幼体に寄生され血液を吸われた際は昏倒してしまい、人間がジャイガーの幼体を排除したのちに体内に電気を供給することで復活した。傷を負った際は水中で休息をとることで傷を癒す。

弱点は低温で、北極の氷の下に長い間閉じ込められていた他、自衛隊の冷凍爆弾でも短時間活動を停止している。また、バルゴンの冷凍液には火炎放射も通じず凍結してしまった(自然解凍と同時に火炎放射で復活)。劇中でも「冷たい温度に弱い」と言われている。

甲羅は頑強で、たいていの攻撃は跳ね返せる。実際の亀と同じく敵に攻撃されると甲羅に引っこんで防御を図ることも多い。しかし、バイラスの頭には貫かれ、串刺しになってしまった(バイラスはこの状態でガメラに倒された)。またギロンに何度も切りつけられて流血してしまったこともあった(水に浸かっていた事で顔の傷と共に回復、『宇宙怪獣ガメラ』では流血せず)。ジグラのヒレでも表面に傷をつけられている。

をエネルギー源とするため体内に火力発電所のような組織を持ち、マグマ高圧電気石炭石油ウランを常食とする。炎そのものも吸い込むようにして食べることが出来、初期の段階では発電所や火山活動が活発な地域に出没することが多かった。熱エネルギー目当てに噴火している火山に自ら飛び込むこともある。火器を用いた攻撃などは逆に吸収してしまう。また、バルゴンの虹光線を狙った事もある。公式ホームページではタマネギニンジンが嫌いな食べ物と表記されている。

着ぐるみは第1作のもの、第2 - 4作のもの、第5 - 7作のものと合計3種類ある(『宇宙怪獣ガメラ』は飛び人形のみ)。 スーツアクターは荒垣輝雄(2 - 4作目)、泉梅之助(5・6作目)。

身体機構

石油袋
ガメラが食べた石油等の液体を、いったん貯蔵しておく器官。
石炭袋
ガメラが食べた石炭を、いったん貯蔵しておく器官。蓄えられた物質は、その後、高熱炉へ送られる。
高熱炉
ガメラが摂取した石油石炭マグマミサイルウラン等は、最後ここに集められ、燃焼される。
熱エネルギー変換腸
高熱炉で燃焼されたものがここに送られ、熱エネルギーに変換される。
熱エネルギー心臓
働きは他の生物の心臓と同じだが、熱エネルギーで動くため、桁外れのパワーを持つ。
高熱筋肉
人間の一万倍の腕力を誇り、いかなる高熱にも耐え、どんな金属よりも強靭

平成三部作のガメラ

概容

基本データ
分類 不明[10]
年齢 推定1億5千万歳
身長 (≠体高) 80メートル[11]
全長 不明
甲羅長径 約60メートル
甲羅短径 約40メートル
体重 120トン
大気圏内飛行速度 マッハ3.5
水中潜航速度 180ノット
歩幅 不明
エネルギー プラズマエネルギー
武器・技 ハード・スラップ
ラッシング・クロー
エルボー・クロー
ブレイク・ファング
カーフ・クロー
シェル・カッター
プラズマ火球
ハイ・プラズマ
ウルティメイト・プラズマ
バニシング・フィスト
バーナー(本編未登場)
ホーミング・プラズマ(本編未登場)
生息地 普段は深海で活動している

スーツアクターは真鍋尚晃、鈴木潤(『ガメラ 大怪獣空中決戦』以降、『1』)、大橋明(『ガメラ2 レギオン襲来』以降、『2』)、福沢博文(『ガメラ3 邪神覚醒』以降、『3』)。

基本的に、昭和ガメラの設定(主に3作目以降の「悪の怪獣を打ち倒す正義の怪獣」等の設定)に準じているが、昭和ガメラの北極の海に封印されている設定から、古代文明の技術を利用して生み出された生体兵器であり、永らく岩礁のような状態となって眠りに着いていたという設定に変更されている。主な技も火炎放射からプラズマ火球に変更され、外見的特徴、身体が休息期間中に戦闘的な身体に進化する等、大幅な設定変更がなされ、従来のシリーズとは全く異なった新たなガメラとして描かれている。
全体的な設定、演出も殆どの場合、子供が関わっていたり、嫌いな食べ物等、子供向けの設定、演出が目立っていた昭和ガメラに対し、こちらは環境破壊や、勾玉や石碑等の古代の歴史に関わる物が登場する等、現実世界における古代の歴史や実際に起こっている問題や出来事とリンクした大人向けの徹底したリアリティーのある設定や演出が目立つ形となっている。また、昭和ガメラ程ではないが、敵怪獣の攻撃等で倒れても、子供の祈りと共感して力を発揮、または復活する事もある。
なお、昭和のガメラよりも体格が大きく[12]、設定年齢も大幅に増加している。ちなみに、平成ガメラの世界では亀と言う種族は絶滅している。

身体的特徴及び、フォルムの変化

基本的な特徴は昭和ガメラと然程の違いはないが、三部作通して外見的な造形は昭和ガメラよりも生物的なプロポーションになっている。
身長・体重こそ際立った変化はないが、フォルムに関しては三部作共、異なっている。これは、ガメラが長期間休息する際に体質改善を行い、体をより戦闘的に進化させているためである。それに伴い、新たな技も身に付けていくようになっている。
視力は人間に換算すると30.0という驚異的な視力の持ち主である。
フォルムの変化に関しては、以下の通り。
1』のフォルム
全体的に柔和でずんぐりとした外見を持つ。
頭がかなり大きく重いため、転倒するとジェット噴射を行わなければ起き上がれない。こうなってしまうと何もできなくなり、無防備かつ、危険な状態となってしまう。
目は大きめで、かなり柔らかな顔付きをしている。エルボークローは普段は肘の中に収納されており、任意で突出させる事ができる。首や手足はやや太く、短め。
2』のフォルム
全体的に『1』のフォルムの面影を残してはいるが、以前に比べてシャープな印象の姿になっている。
以前よりも頭が小さくなり軽量化されたため、転倒してもジェット噴射を行わずに自力で起き上がれるようになっている。また、頭が小さくなった事で首が若干長くなった上、目が少し小さく、頭の鶏冠は少し大きく発達しており、以前と比べて精悍な顔付きとなっている。
歯並びも変わっており、特に下の歯の配置が以前は内側よりだったのが今回は外側よりに移動をしている。
手足もより大きく長くなり、体格も以前より少し大きくなっている。更に両足のみ甲羅に収納して飛行する際、以前は足を引っ込めるだけだったが、今回では両手をウミガメのヒレのようなウィング状に平たく伸ばして変形させ、以前は収納していた尻尾も短く縮めて出して飛行するようになり、これによって機動性が以前よりも高められている。
腕のエルボークローは以前のように肘には収納されなくなり、常にせり出した状態で固定されるようになっており、付け根辺りには短くもう一本のエルボークローが生えている(ただし、飛行時にウィング状に腕を伸ばした際には、隠れる模様)。
3』のフォルム
全体的に以前のガメラには見られなかった程の攻撃的な姿となり、より生物的かつ怪獣らしいフォルムへと変化している。また、『1』から『2』に掛けて以上に休息期間が長かったためか、以前のフォルムから急激な進化を遂げており、『1』のフォルムの面影はおろか『2』のフォルムの面影すら残されていない。なお、この鋭い姿は大一作時から存在したコンセプトであり、徳間大映の要望により変更される以前は大一作からシャープな姿で進行する予定だった。
体格が更に一回り大きくなった上、頭は以前よりも更に小さくなり、それによって転倒しても以前よりも即座に起き上がりやすくなっている。首もさらに長くなり、頭の鶏冠もより大きく発達、逆に目はより小さくなった事に加え、眼球は白目だった部分が全て緑色に変化しているなど、凶悪かつ険しい顔付きとなっている。
全体的に刺々しいフォルムにもなっており、特に甲羅の表面と側面の変化が顕著に出ていて、かなり刺々しく鋭い形に変化している。これによって回転飛行をしながら体当たりする際の強力な武器として使用できるようになった(この時の技はシェル・カッターとよばれている)。
腕のエルボークローの生え方も以前の後方向から前方向に傾斜しており、脹脛にも「カーフクロー」と呼ばれる突起が存在する。この他、指も若干長くなり、段々に生え方が変化している。
以前と同様、飛行の際は両手をウィング状に平たく伸ばし飛行するが、以前は固定されていた腕が今回は鳥の翼のように柔軟に可動する事ができるようになっており、これによって機動性も格段に高くなっている。更に脚の部分には、小さなヒレのようなものが生えるようになった事に加えて、以前は短くして出していた尻尾も長くして出しており、これによってより細やかな機動調整を行えるようになっている。

正体

正体としては、はるか太古に滅亡した超古代文明によって、ギャオスを倒すために、甲羅状の「器」に地球の生命エネルギー「マナ」を集めて創り出された、一種の「生体兵器」とされている[13]
基本的に地球を守るために行動しており、守るべき対象は人間だけに限らず、全ての生態系、ひいては地球そのものとされる[14]。生態系を破壊し地球環境に害をなす生物を倒すためならばしばしば人間を巻き添えにしてしまう事もある。その一方で、逃げ遅れた子供をギャオスの光線から助けたり、自身の腕を失ってでも敵に取り込まれた人間を救助したり、昏倒した少年にマナを付与して復活させる事もある。草薙浅黄いわく「ガメラは誰も殺したくない」。
なお、作品世界においては亀の先祖に相当する生物が恐竜と同時期に絶滅しており[10](劇中ではその設定に全く触れていないが)、「亀」という単語は一切登場しない(ただし玄武は存在する)。しかし、『3』の劇中にて、斉藤雅昭のデスクの上に存在しないはずの陸亀の置物が置いてある為、矛盾を指摘する声もある[15]
環境への適応や自身の戦闘能力の向上のために、短期間で進化する生物である(劇中に登場する度に戦闘的な体へと変化しているのがその証拠である。#身体的特徴及び、フォルムの変化)。コンビナートに墜落し大爆発に巻き込まれたり、草体爆発時に炭化してしまったり、敵怪獣に瀕死状態に追い込まれたりしても復活しているが、これらはいずれも「人間の祈り」(全てにおいて特に子供の祈り)が鍵になっている。
草薙浅黄とは精神的な交信が可能であるが、一時は、ガメラが受けたダメージがそのまま浅黄に伝わったり、負傷した箇所と同じ箇所を負傷したり、ガメラが傷の回復の為に眠りに付くのと同時に眠りに付き、ほぼ同時に目覚めたりするまでに強かったが、作品が進むに従ってその傾向は徐々に弱まって行き、『2』の中盤で完全に自立した。この精神交信においては甲羅から発見された勾玉が重要な鍵となっていたが、『2』でのガメラ復活時に、草薙浅黄の持っていた勾玉が砕けた。『3』では、これと同時に他の全ての勾玉も砕けていたことが判明。これについて、『3』の登場人物・倉田が独自の見解を述べている(ガメラは人間との交信を断ち切ったという草薙の意見に対し、倉田はガメラの再生は人間の祈りによって為されたものであり、ガメラはまだ人間とは完全に離れてはいない、と予測した。なお倉田はそれこそがガメラの弱点、と解釈している)。

作中における行動

1995年
永い間太平洋で奇妙な環礁のような状態で眠り続けていたが、ギャオスの誕生を察知するかのように日本に接近。一度プルトニウム運搬船とぶつかったが、特に問題は起きず、調査団のメンバーが甲羅に上陸し、調査時に中心部にあった金属板に米森良成らが触れた事で金属板が崩壊したと同時に完全に復活した。
三体のギャオスを追って福岡から日本列島を北上して行く。福岡湾で一体、富士山中でさらに一体を倒し、残り一体を追うが自衛隊の攻撃を受けて墜落し、更に超音波メスの攻撃を受けて負傷して退却、海底で傷の回復を測る。
復活後、東京で地下から出現し巨大に成長した成体ギャオスと空中チェイスを展開し、更に地上に降り立ち市街戦を展開。地上から再び空中へと戦いの舞台を変え、更には大気圏宇宙まで飛び出したが、そこでギャオスの足に喰らい付きジェット噴射を抑えそのまま急降下する。苦しむギャオスが超音波メスで自らの脚を切断し脱出した為、コンビナートに墜落、大爆発に巻き込まれてしまう。しかし、浅黄の勾玉を通しての祈りの力(『人間の祈り』)を受けて周りの炎やコンビナートのエネルギーを吸収し復活。
最後は自身のハイ・プラズマとギャオスの超音波メスで撃ち合いを演じ、ギャオスの超音波メスは外れ、ガメラのハイ・プラズマは見事にギャオスの頭部に命中し、爆発四散、勝利を収める。戦いの後は浅黄の傷を癒し、海に去った。
1996年
ギャオスとの戦いから1年後。
宇宙怪獣レギオンの飛来を察知。レギオンの地球への侵略とレギオンの一部である「草体」の繁殖を阻止するために戦う。札幌に出現した草体を撃破するものの、直後にソルジャーレギオンの奇襲を受け負傷し、石狩湾に退却する。
数日後、同じく草体の出現した仙台の戦いではマザーレギオンに巨大な脚で胴体を突かれ、強力な光線、マイクロ波・シェルの前に苦戦し、さらに草体種子の発射は防ぎながらも大爆発に巻き込まれて炭化して仮死状態に陥るが、上記の「人間の祈り」により復活。直後に空へ飛び立ち、足利市から群馬・埼玉県境にかけて東京を目指して進行するマザーレギオンと自衛隊との交戦の最中に降り立ち、再戦を繰り広げる。
プラズマ火球を連発し、エルボークローでエッグチャンバーを破壊し、ソルジャーレギオンを生み出すのを封じる等、奮戦するも、プラズマ火球を無効化するバリアを張り、体格差で圧倒してくるレギオンに再び苦戦してしまうが、それでもレギオンの進行を阻止しようと体を張って戦う。
その姿を目の当たりにした自衛隊の援護を受けて徐々にマザーレギオンを弱体化させ、戦いを優勢に進めていき、レギオンの角をへし折るものの、マイクロ波ビュートで反撃され満身創痍の状態になり再び劣勢になるが、最後の手段として地球のエネルギー「マナ」を体内に取り込み最強技ウルティメイト・プラズマを発動、レギオンの頭部を貫き、粉砕。遂に撃破して勝利を収める。その後は、飛行形態となって空に飛び去って帰っていった。
1999年
レギオンとの戦いから3年後。
とある週末の日の夜にギャオス・ハイパー2匹と空中戦を展開、その内の1匹がガメラの攻撃を受けて渋谷に墜落した所に降下。深手を追った1匹をプラズマ火球を放って撃破し、もう1匹も撃破するものの、それらを倒すためにプラズマ火球を連発した事で人々が密集する市街地を壊滅させ1万人以上の死者を出す事となってしまう。この惨劇を機に、日本の世論ではガメラを危険視する声が高まる(描写されていないが、劇中で海上自衛隊からの攻撃を受けた旨を伝えるニュースが放送されている)。
日本だけでなく他にも、地球全土でギャオス・ハイパーを倒して回っている事が語られていた。
その後、イリス覚醒に伴い再び日本へ飛来。イリスと空自との交戦の間に割って入るように参戦し、紀伊半島上空で激しい空中戦を繰り広げ、終始戦いを優勢に進める。体当たりの途中、回転飛行形態に変形して、側面の尖った甲羅を利用して更なる追撃を行うが、イリスが放った超音波メスを喰らい、距離を離されてしまう。そのまま追尾していた所に、ガメラ掃討を優先した自衛隊のペトリオット攻撃で大きくバランスを崩してしまう。直ぐ様体制を整え直せたものの、速度低下し、完全にイリスを取り逃した。イリスを追ってプラズマ火球を発射しながら京都に降下して行くが、イリスの長い触手によって弾かれてしまい、それによって京都は火の海と化す。その後、京都の地に降り立ち凄まじい死闘を繰り広げる。ガメラによって両親を失った少女・比良坂綾奈の憎しみを取り込んだイリスの前に鋭利な手甲で胴体を貫かれるなどして苦戦。直後にイリスともつれ合うようにJR京都駅になだれ込む。その直後に倒れ、一時瀕死の状態に陥ったが、イリスが綾奈と融合した隙に綾奈の祈りにより復活。イリスの腹部を抉って綾奈を救出。その際にイリスの手甲で右腕を貫かれ、自らの技をコピーした偽プラズマ火球を突き付けられたが、自らプラズマ火球で切り落とした腕の切り口で、イリスの放った偽プラズマ火球を受け止め、“炎の拳”(バニシング・フィスト)を造り出し、綾奈を救出した際に生じたイリスの傷口に炎の拳を捩じ込んで爆発させ、息の根を止めた。直後に、綾奈を浅黄と長峰達に返し、蘇生を見届けた後、半壊した京都駅を後にし、右腕を失って深傷の状態のまま、なお日本上空に迫りつつある世界中から集結したギャオスの大群との戦いに空に咆哮を上げながら向かって行き、自衛隊も陸・海・空全ての部隊が攻撃対象をガメラからギャオスに変更した所で映画は終わり、その後の詳細は一切不明。
全シリーズの中でも、最も人々に恐怖を与える存在であると同時に、最も悲劇的な怪獣として描かれた。
なお、その後については新生版ガメラにて、ギャオスの大群を全て巻き込み自爆したと語られているが、この作品が平成ガメラの正史ではないとされている為、正式な設定ではない。


身体機構

細胞
再生能力に優れている為、傷を受けても素早く回復する。また、『2』では、草体の大爆発に巻き込まれた際も、表面の細胞が炭化して固まっただけで、内側に新たな細胞が再構築されており、祈りの力を得て復活している。
甲羅
昭和版と比べると防御力(敵の攻撃を防ぐ成功率)は大きく落ちている(しかしこれは、敵の攻撃が昭和よりも格段に強力になっていることが大きい)。ギャオスの超音波メスなら昭和版と同じく防ぐことができる(ただし、イリスが放った超音波メスは、ギャオスのものより高出力だったため、縁付近の甲羅の上からでもダメージを受け、流血してしまっている)が、自衛隊のミサイル程度の攻撃でも防ぎきれず転倒や墜落、それに至らずとも大きくバランスを崩してしまうほどのダメージを受けてしまう(ただしこれは、第一作目での休眠から覚めた状態での話であり、第三作では速力を一時落とすものの難なく飛行を継続する)。飛行中のミサイルによる被弾はバランスを崩したり初期では墜落に帰結するものの肉体上の損傷は見られず、人類の兵器によって肉体が傷ついた描写もない。レギオンのマイクロ波シェルとレギオン・ビュート、イリスの槍腕(スピア・アブソーバ)には破壊、貫通されてしまっている。
休眠によって甲羅も再生・強化される。
昭和版とは異なり回転飛行を行う以外、甲羅に引っこんで防御、あるいはそのままの状態で体当たりするといった行動も行わず、甲羅を利用した戦法は『3』のイリス戦でわずかな時間行ったのみである。なお、第三作目では飛行時に甲羅が稼動し(製作陣いわく「動く鎧」のイメージ)、内部に空気を取り込み自在に調節することで制動の補助に使用する。
三作目の描写を見ると、ギャオス・ハイパーの強化された超音波メスを跳ね返しており、皮膚の防御力は昭和版よりも遥かに強固になっている(昭和版では上腕ごと切断されかけた)。
力(パワー)
腕力に任せてレギオンの大角を強引に引きちぎるなど、怪力の持ち主である。自身の倍以上の体躯と五倍もの体重を持つレギオンを、押され気味とは言え食い止めたり、踏ん張ると押し返すこともできるため、体重比ではすさまじい筋力を持っている。その一方で、イリスに取り込まれた綾奈を助け出し、長峰や浅黄達にそっと返すなど、繊細な扱いもできる。地下も非常に高速で掘り進むことができる。
ガメラブレイン(大脳
三半規管が発達しているため、円盤飛行等で回転しても、目が回らない。知能も高い。
テレパ・ブレイン(小脳
超古代文明の勾玉を持った草薙浅黄との精神波を送受信する。
熱エネルギー変換炉(プラズマ変換炉)
ガメラが全身で吸収した炎、高圧電流、核燃料等から発せられる熱エネルギーを、血液中の電子陽子原子核と融合させることでプラズマエネルギーに変換・貯蔵しておく器官。地球の生命エネルギーマナもここでプラズマエネルギーに変えられる。全プラズマエネルギーを解放した際のパワーは予測不可能である。
エルボークロー
両肘にある鋭い爪のような切れ味の突起。『1』の決戦の途中で突如皮膚を破って飛び出してギャオスにダメージを与えた。『2』以降は常に飛び出した状態になったことから、隠し武器のようなものではなく、元々突き出た状態の器官であったものが覚醒の過程で復活したものと思われる。
非常に強力な武器であり、『1』では、組み付いてきたギャオスをかなり遠くまで吹き飛ばしており、『2』では、自身の数倍の体格はあるレギオンですらも大きく後退させられる程である。

攻撃技

ハード・スラップ(玄武掌)
登場作品『1』
主に格闘戦で多用される拳打。
建物を破壊する際にも用いられる事もある。
ラッシング・クロー(激突貫)
登場作品『3』
鋭利な爪で相手の皮膚を引き裂く攻撃。作中では、イリスの胸を貫き体内に取り込まれた綾奈を救出した。
ブレイク・ファング(餓裂牙)
登場作品『1』『3』
鋭い牙と、強力な顎の力を用いた噛み付き攻撃。一度食らいついたら離さない。ギャオスはこれを受けて、自らの足を切断してようやく脱出した。イリスとの空中戦でも使用。
シェル・カッター(旋斬甲)
登場作品『3』
回転ジェットによる体当たり攻撃。『3』のガメラの特徴である尖った甲羅の側面で敵を切り裂く。イリスとの空中戦で使用しているが、接近しすぎたために直後に超音波メスで切り刻まれて流血することになった。
3部作を通して唯一、甲羅を使った技である。
プラズマ火球(烈火球)
登場作品『1』『2』『3』
口からエネルギー火球を放つガメラの必殺技。
体内に貯蔵してあるプラズマエネルギーと酸素を喉にあるチャンバーで融合・圧縮することで強力な電離作用が発生、凝縮されたエネルギーが火球となって口から噴射される、超放電(超光熱)現象である。万物を瞬時に燃焼させる威力を持ち、連射も可能。作品が進む毎にその威力は上昇していく傾向にあり、『1』や『2』では街の一部が吹き飛ぶ程度の威力だったが、『3』では未チャージ状態の一発で広範囲の街が吹き飛んだり、巨大な炎に瞬く間に包まれてしまっている。ギャオス・ハイパー程度なら一発もしくは、数発で全身を粉砕できる。『3』のプロットでは、地上で火球を発射すると衝撃波で周囲の構造物が吹き飛ばされる描写がある。
しかし、ギャオス含め第一作目以降の敵怪獣の回避や防御も強力になり、レギオンには干渉波クローによって無効化されて防がれ、イリスには長い触手によって弾かれてしまっており、決定打に至る場面が少なくなってきている。ただし、干渉波クローを一部失ったレギオンでは火球を防ぎきれずダメージを与えており、イリスはコミック作品をのぞくと直撃した描写がなく触手先端での防御に徹するため、敵の防御機構が機能しない限りは有効な武器であると見られる[16]『3』では、三発を立て続けに浴びせてギャオス・ハイパーを撃破している。
ハイ・プラズマ(超烈火球)
登場作品『1』『2』
通常の120%以上の出力で放つプラズマ火球。
『1』の対ギャオス戦では石油コンビナートの爆発のエネルギーを吸収して放ち、ギャオスを撃破した。また『2』では、ススキノでの初戦で、周囲の高濃度酸素を利用して爆発力を増幅させた火球によって草体を炎上させた。この際、強靭な肺活量のために、局地的に台風のような猛烈な風が発生した。破壊力は大きいが、通常のプラズマ火球と違って速射はできず、発射前にはいくらかの時間がかかっている。『3』で渋谷に墜落したギャオス・ハイパーへの止めの一撃も、咥内で火炎が燃え発射まで数秒かかっているが、これがハイ・プラズマなのかは判明していない。
ウルティメイト・プラズマ(究極超烈火球)
登場作品『2』
地球のエネルギーであるマナを自らの体に収束し、プラズマ変換炉にてプラズマエネルギー化して貯蔵限界までチャージし、腹甲の開口部から直接放射する、ガメラ究極の必殺奥義。
マナを集める際には、天に向かって咆哮する。ガメラの生涯において一度しか使えないとされる。『2』で使用されレギオンの頭部を貫いて、粉砕した。
この技は大量のマナを消費してしまうため、使用後は地球環境のバランスに大きく支障をきたす恐れがある。実際に『3』において世界各地でギャオスが大量発生したのも、間接的にはこの技を使った事が原因だった事が示唆されている。作中で浅黄は、(レギオンという強大な敵の前では)ガメラもそれを覚悟の上で使用に踏み切らざるを得なかったのではないか、と推測している。
一生に一度しか使えないという制限の原因が、ガメラの身体そのものにあるのか、それとも二度使用できるだけのマナが地球上に存在しないということなのかは不明。
バニシング・フィスト(爆熱拳) 別名:バニシング・ソード
登場作品『3』
ガメラが対イリス戦の土壇場で見せた逆転の一発技。自分で切り落とした腕の切り口でイリスより発せられた偽のプラズマ火球を受け止め、そのエネルギーを吸収して操り“炎の拳”を造り出す。イリスの腹部の傷に繰り出して捩じ込ませ、体内から爆散させた。
バーナー[17]
四肢のいずれかを甲羅に引き込み、プラズマエネルギー噴射口から長大なエネルギーの剣を噴出する。ガメラ4真実登場。通称「イデオンソード」。
ホーミング・プラズマ[17]
目標を自動追尾するプラズマ火球。ガメラ4真実登場。

トラウマガメラ

ガメラ3 邪神覚醒』の序盤の劇中で、比良坂綾奈の悪夢に出てきたガメラ。
G1ギャオス襲撃の際に両親を亡くし、その為にガメラを逆恨みする綾奈の夢の中に登場し、より一層ガメラへの憎悪を増させる要因となった。
スーツはG2ガメラの改修版で、G3の姿に準じている所がいくつかあり、トサカが大きく、甲羅の側面が刺々しくなっていて、皮膚が爛れた様になっている等、禍々しい容姿となっている。この他、眼球は白目のみであり、その容貌は後に制作された『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』のゴジラを彷彿させる。
あくまでも、恐ろしい形相に見えるのは、ガメラによって両親を殺された(正しくは、上空より落下したガメラの下敷きになってしまった)綾奈のガメラに対する憎しみのため。イリスが精神干渉を行って、さらに恐ろしいイメージになったことも考えられる(綾奈の海馬体はイリスとの融合未遂後、異常に肥大化した)。
当初は彼女の夢でも粉塵に隠れていて詳しい姿が見えなかったが、終盤でイリスに取り込まれた綾奈が見たのは現実のガメラとは全く違う姿であり、ギャオスとの対比で、綾奈に真実を気付かせた。スーツアクターは同じくG2ガメラを演じ、本作でイリスを演じた大橋明


新生版のガメラ

基本データ
アヴァンガメラ / トト(志摩出現時) / トト(名古屋出現時)
280px
分類 カメ類
年齢 不明 0歳
体高(≠身長) 35メートル 8メートル 30メートル
全長 55メートル 10メートル 50メートル
甲羅長径 不明
甲羅短径 不明
体重 1,200トン 不明 900トン
大気圏内飛行速度 不明
水中潜航速度 不明
歩幅 不明
エネルギー 熱エネルギー
武器・技 火球噴射
自爆
火球噴射
生息地 火山帯のどこか(推測)

スーツアクターは佐々木俊宜。幼体の撮影には本物のケヅメリクガメが用いられた(一部CG)。

1973年2006年の個体が登場。前者は「アヴァンガメラ」と呼ばれる。後者は本作の主役であり、作品内で孵化し、卵を見つけた少年によって「トト」と名付けられた。最初は少年の手に乗るほどの大きさであったが急速に成長した。陸ガメの特徴を色濃く継承し、能力だけでなく 体色やプロポーション、牙の位置や鶏冠など様々な部分が以前のガメラたちと比較すると特徴的な姿をしている。成熟した個体は四肢全体がトゲ状の装甲に覆われている。腹部に『炎』の文様が存在し、特殊な攻撃を発動する際には朱く発光する。なお、鳴き声は変更されている。また、本ガメラのみ 熱エネルギーを糧とする描写がないが、いくつかの怪獣図鑑によると「筋肉ヒートマッスル」と呼ばれる熱エネルギーをパワーに変換して筋力を増大させる機構を体内に持つなど、やはり熱エネルギーが重要な栄養源となっている。
平成に入って四作目のガメラは昭和ガメラ、金子ガメラとは異なり、33年前(1973年に相当)、大量のギャオスに町が襲われるシーンから入る。昭和ガメラの様に「人を助けるため自ら怪獣に挑む」という設定になっている。また、金子ガメラの様に子供と共感して力を発揮するシーンも見られる。
ガメラとは生物としての名称であるが、本作ではガメラに「トト」と言う“名前”がつけられている。ガメラが文明の産物ではなく、子供とガメラの成長物語であるということを強調している点も、以前とは異なる部分である。
因みにこの作品ではアヴァンガメラは一切飛行しておらず、トトも幼体時の空中浮遊や、回転ジェット飛行は見せても、尾と後ろ足だけを収納したジェット噴射飛行形態は披露していない。


ガメラシリーズ全作品リスト

映画作品

昭和シリーズ

平成シリーズ

※昭和シリーズを昭和ガメラと呼び、平成シリーズを平成ガメラと呼ぶことが多い。また、「平成ガメラ三部作」と「新生版」といったように、平成版は『ガメラ3 邪神覚醒』で区切られ、それぞれ別のカテゴリーとされることがある。第7作はダイニチ映配配給。第9 - 11作は東宝配給。第12作は松竹配給。

『ガメラ3 邪神<イリス>覚醒』関連の番外

未公開作品

  • 『ガメラ対宇宙氷人』
    • 『大怪獣ガメラ』の次回作として企画された作品。劇中に登場するはずだった「宇宙氷人」のビジュアルイメージは、同じ大映作品である『大魔神』のコンセプトイメージへとフィードバックされた[18]
  • 『ガメラ対ガラシャープ』
    • 1971年頃に『ガメラ対深海怪獣ジグラ』に続く8作目として企画されていた『ガメラ対双頭怪獣W』を、1991年発売のLD-BOXの映像特典としてハイライトシーンをイラストとミニチュアによるシミュレーション映像と称して映像化した、幻の次回作。登場する怪獣は、大邪獣ガラシャープと幻のNG怪獣マルコブカラッパ。
    • スタッフ

ゲスト出演

  • 『ガメラ対セーラーファイター』
  • 『コスプレ戦士キューティ・ナイト』Version1.3 / Version1.0
  • 『コスプレ戦士キューティ・ナイト2 帝国屋の逆襲』
    • 「カプセル怪獣ガメラ」としてゲスト出演。

漫画作品

別冊コロコロコミック掲載

平成ガメラ3部作の伊藤和典脚本に基づくコミカライズ版。公開に先立って読み切り掲載された。

  • 1995年 『ガメラ 大怪獣空中決戦』たかや健二(てんとう虫コミックススペシャル発売)
  • 1996年 『ガメラ2 レギオン襲来』てしろぎたかし(1996年6月てんとう虫コミックススペシャル発売)
  • 1999年 4月号『ガメラ3 邪神<イリス>覚醒』Moo.念平(未単行本化)

ゲーム作品

  • 1995年3月3日 『ガメラ 大怪獣空中決戦』(メーカー:エンジェル 定価:3990円(税別))
  • 1995年3月22日 『ガメラ - ザ・タイム・アドベンチャー -』(メーカー:バンダイ)
  • 1995年6月30日 『ガメラ ギャオス撃滅作戦』(メーカー:サミー 定価:10479円(税込み))
    • スーパーファミコン用。ストーリー・設定は平成ガメラシリーズに基づいているが、昭和ガメラシリーズへのオマージュを含めたステージがある。登場する怪獣はガメラとギャオスのみ。プレイヤーは自衛隊の指揮官となり、ガメラ及びギャオスへの掃討作戦が成功するように指揮する(裏技を使えば怪獣も操作可能)。
  • 1997年4月25日 『ガメラ2000』(メーカー:デジタルフロンティア 定価:5800円(税別))
    • PlayStation用。タイトルの「2000」はゲームの舞台となる時代が西暦2000年であることから。ストーリー・設定は平成ガメラシリーズに基づいており、「世界各地で大発生したギャオスとの戦い」という映画3作目を先どったような内容である(ただし、実際の映画では2000年を待たずしてイリス覚醒などが起こっており、だいぶズレは生じている)。ゲームは画面の奥を前方と見なす3Dシューティングで、プレイヤーが直接コントロールするのはガメラではなく戦闘機。ガメラはプレイヤー機の援護役として自機のロックオンに合わせてホーミング弾を放つ。なお、2Pでガメラだけを操作することもできる。当時、同じ3Dシューティングの名作『パンツァードラグーン』に似たゲーム、と評されることが多かった。漫才コンビ「パックンマックン」のパックンが実写ムービーデモに出演している。
    • 製作はタイトーが協力し、本作の曲はタイトーサウンドチームのZUNTATAによるもの。
  • 1999年3月25日 『ガメラ ドリームバトル』(メーカー:セガ 定価:2800円(税別))
    • ドリームキャストの外部メモリに、ミニゲームがバンドルされたもの。映画『ガメラ3 邪神覚醒』のタイアップ商品。
  • 2012年 『ガメラバトル』(メーカー:角川コンテンツゲート、ORATTA アイテム:課金制〈通信費は別途かかる〉)
    • GREE用。ガメラシリーズを題材にした育成&カードバトル。

小説作品

  • 1995年 『ガメラ-大怪獣空中決戦』著:伊藤和典、イラスト:開田裕治樋口真嗣、小学館 スーパークエスト文庫。1995年6月1日 初版第1刷。定価561円。
  • 1995年 『ガメラ対不死鳥(フェニックス)』著:高橋二三、イラスト:柳柊二、小学館 スーパークエスト文庫。1995年5月1日 初版第1刷。定価550円。

CM

  • 1989年頃、カルビー『カルコーン』(後の商品名、焼きもろこし)CMに着ぐるみが出演。
  • 2010年11月より三井住友海上『GK』CMに出演。スーツは『ガメラ大怪獣空中決戦』を元に復刻。共演は堀北真希

パチンコ・パチスロ

テンプレート:Col-begin テンプレート:Col-2

  • いずれもメーカーはサミーによる製造。
    • 2001年 『CRガメラR』
    • 2001年 『CRガメラS』
    • 2006年 『CRガメラエクストリームバトル』(型式名:CRガメラ+2X)
    • 2009年 『CRガメラTHE BATTLE PACHINKO』(型式名:CRガメラHVJ)

テンプレート:Col-2

  • いずれもメーカーはロデオによる製造。
    • 2000年 『ガメラ』(4号機)
    • 2001年 『オオガメラ』(4号機)
    • 2004年 『ガメラハイグレードビジョン』(4号機)
    • 2010年 『ガメラZS』(5号機) - FIELDSと共同

テンプレート:Col-end

ガメラマーチ

ガメラ対宇宙怪獣バイラス』以降の旧大映ガメラ映画の主題歌。ガメラの強さを歌い、頑張れと励ます内容である。当時大映専務の永田秀雅が作詞、音楽を担当していた広瀬健次郎が作曲した。演奏は大映児童合唱団、大映レコーディングオーケストラ。「大映児童合唱団」とはいうものの、実際にはその辺の子供を連れてきて歌わせたものだと監督・湯浅は語っている。歌詞は三番まであり、一番では「悪魔の虹」、二番では「殺人音波」、三番では「宇宙怪獣」が登場し、それぞれ対バルゴン、対ギャオス、対バイラスを思わせる。それぞれ、「火炎噴射攻撃」、「かみつき攻撃」、「回転ジェットによる体当たり攻撃」が技として挙げられている。

同じ作者、演奏者による「ぼくらのガメラ」も使われた。こちらはガメラの大きさ、各種の技、戦車のような強さ、「ぼくら子供達」の友達であることを歌っている。

関係項目

20世紀末、中国において、6500万年前の地層から新種の亀の化石が発見され、怪獣ファンでもあるカナダの古生物学者によって1993年に「シネミス・ガメラ」との学名がつけられた。甲羅の後方左右についている翼状の突起物が飛行する亀を思わせたため(無論、実際には飛行するためではなく、水中を泳ぐために適応した結果の形状だと考えられている)、そこから飛行する亀=ガメラと連想したようだ。

注釈

  1. 東宝も後に『ゲゾラ・ガニメ・カメーバ 決戦!南海の大怪獣』においてカメーバという亀型怪獣を出したが、ガメラのようなキャラクターではなかった。
  2. 外国バイヤーの要請に応じた形。
  3. 3.0 3.1 テンプレート:Cite book
  4. 後に「大怪獣ガメラ」の特撮を担当した築地米三郎に鷺巣が問いただしたが「あれは社長のジュニア(永田秀雄)のアイデアだ」と否定された。鷺巣は「ちょっと都合が良すぎる」と感想を述べている。
  5. 実在のカメにおいては、牙や歯の生えているものは確認されていない。
  6. 空想科学読本では、その密度二酸化炭素並みと計算されてしまった。
  7. アルケロンを祖先に持つ。
  8. 1作目での子供が亀を逃がしたあとガメラが出現したシーンのリメイク。因みに1作目のこのシーンは「逃がした亀がガメラになった」と勘違いした子供が多く、またそれが受けた事がガメラシリーズが子供の味方路線へと変更されたきっかけとされる。
  9. ガメラ対大悪獣ギロン』では、鉄棒の二段跳びという芸当を見せた。
  10. 10.0 10.1 特技監督の樋口はスクリーン誌のインタビューの際「この世界には、カメという生き物はいない」と語っているが、実際に物語に取り入れられたかは不明だが、平成ガメラに関してはカメという単語は出てこない。
  11. 『ガメラ3 邪神<イリス>覚醒』ではガメラとイリスが京都駅ビルの吹き抜け空間の中で対峙している(これは怪獣映画史上初の“巨大怪獣による屋内での対決シーン”である)。実際の京都駅ビルの吹き抜け空間の内法は、高さ約50m。
  12. 但し、体重120tは、現地球上最大の動物シロナガスクジラ(160t)よりも少ない。
  13. 『ガメラ3 邪神<イリス>覚醒』での、小笠原諸島沖の深海の「ガメラの墓場」で骨になっていた多数のガメラは、マナを受け止める器とはなれなかったので、“失敗ガメラ”という通称をもつ。
  14. 2』では「ガメラが地球を守るために人類と敵対する可能性」も示唆されている
  15. 設定を理解した上での「スタッフのお遊び」とする声もある。
  16. 『3』のコミック作品では、イリスの放ったプラズマ火球を顔面で受け止め、そのまま自身の火球を発射して一撃の下にイリスを葬っている。
  17. 17.0 17.1 「ガメラ2第一稿についてのサシデガマシク分不相応な意見(「ガメラ2レギオン襲来完全解析」著:アソコン・ブックスを参照)」に見られる技。
  18. 竹書房刊『ガメラ画報-大映秘蔵映画五十五年の歩み-』

関連項目

外部リンク

テンプレート:ガメラ