アグネスワールド

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テンプレート:Infobox アグネスワールド英語Agnes World)とは日本の元競走馬である。アメリカ合衆国で生まれ日本で調教された外国産馬。日本調教馬では初めて日本国外の2か国G1制覇するなどの活躍をした。イギリスの重賞を制した初の日本調教馬でもある。

半兄にスプリンターズステークス勝ち馬のヒシアケボノ、甥に2003年クイーンアンステークス勝ち馬のDubai Destinationがいる。

戦績

2歳(1997年)、3歳(1998年)

1997年、函館開催初日の2レース目の新馬戦(1レース目は牝馬限定だったため牡馬が出走できる最初のレース)でデビュー勝ちを収め、函館3歳ステークスではレコードタイムで勝利[1]。しかしその後骨折し、ぶっつけで挑んだ朝日杯3歳ステークスではグラスワンダーの4着に敗れるが、全日本3歳優駿[2]に挑戦し優勝する。その後、年明けのシンザン記念で2着となった後に再び骨折し1年間休養する。

4歳(1999年)

ガーネットステークスで復帰(6着)。その後は淀短距離ステークス2着、シルクロードステークス2着、高松宮記念5着と、いずれも芝1200mの競走で勝ちきれないレースが続き、距離が伸びた安田記念では8着に敗れる。しかし、7月にリニューアルした小倉競馬場北九州短距離ステークス(オープン特別)で、芝1200mを1分6秒5という日本レコードとなるタイムで勝ちを収め、ふたたび軌道に乗り始める。続く小倉日経オープンを勝利すると、フランスに遠征し、アベイ・ド・ロンシャン賞に勝利、初のG1勝ちを果たした。帰国後はCBC賞に勝ち、続くスプリンターズステークスでは単勝1番人気に推されるもブラックホークに差され2着に終わる。

5歳(2000年)

高松宮記念に出走するが、キングヘイローに差され2着。その後イギリスに遠征し、キングズスタンドステークスで単勝8番人気ながら2着になると、続くジュライカップでは単勝1番人気に応えて優勝、海外のG1競走2勝目を挙げた。海外の2つの国でG1競走に勝ったのは、2011年終了時点でも唯一の記録である。帰国後のスプリンターズステークスはダイタクヤマトに逃げ切られ、またしても2着。同年のブリーダーズカップ・スプリント(米G1)8着を最後に引退した。

国際G1競走を2勝しているが、日本国内では最後までGI競走を勝つことができなかった。アグネスワールドを管理していた調教師森秀行は、「スピードは桁違いだったが気性が悪く、ペース配分ができなかった。距離は短いほど良く、1200メートルでも少し長いくらいだった」[3]と述べている。

競走成績

年月日 競馬場 競走名 頭数 オッズ
(人気)
着順 騎手 斤量 距離(馬場) タイム
(上り3F)
タイム
勝ち馬/(2着馬)
1997 6. 7 函館 3歳新馬 7 1.9 (1人) テンプレート:Color 武豊 53 芝1200m(良) 1:11.0(35.5) -0.8 (マイネルクラシック)
7. 27 函館 函館3歳S テンプレート:Color 10 2.0 (2人) テンプレート:Color 武豊 53 芝1200m(良) テンプレート:Color(35.2) -0.3 (サラトガビューティ)
12. 7 中山 朝日杯3歳S テンプレート:Color 15 12.0 (3人) 4着 武豊 54 芝1600m(良) 1:34.7(36.8) 1.1 グラスワンダー
12. 29 川崎 全日本3歳優駿 テンプレート:Color 11 (1人) テンプレート:Color 武豊 54 ダ1600m(良) 1:41.7 -0.5 (インテリパワー)
1998 1. 18 京都 シンザン記念 テンプレート:Color 15 1.4 (1人) 2着 武豊 57 芝1600m(不) 1:37.7(38.4) 0.9 ダンツシリウス
1999 1. 10 中山 ガーネットS テンプレート:Color 16 37.5 (8人) 6着 横山典弘 55 ダ1200m(良) 1:11.1(37.1) 0.8 ワシントンカラー
2. 21 京都 淀短距離S OP 16 3.9 (3人) 2着 武豊 56 芝1200m(良) 1:09.3(34.7) 0.2 トキオパーフェクト
4. 25 京都 シルクロードS テンプレート:Color 14 6.0 (3人) 2着 横山典弘 56 芝1200m(良) 1:09.0(35.0) 0.3 マイネルラヴ
5. 23 中京 高松宮記念 テンプレート:Color 16 4.8 (2人) 5着 横山典弘 57 芝1200m(良) 1:08.4(34.6) 0.4 マサラッキ
6. 13 東京 安田記念 テンプレート:Color 14 36.8 (7人) 8着 武幸四郎 58 芝1600m(良) 1:34.6(36.7) 1.3 エアジハード
7. 17 小倉 北九州短距離S OP 12 1.4 (1人) テンプレート:Color 武豊 57 芝1200m(良) テンプレート:Color(34.2) -0.7 (ダイタクカミカゼ)
8. 29 小倉 小倉日経OP OP 11 1.2 (1人) テンプレート:Color 小牧太 58 芝1200m(良) 1:07.8(35.0) -0.2 (メイショウアヤメ)
10. 3 ロンシャン アベイ・ド・ロンシャン賞 テンプレート:Color 14 (4人) テンプレート:Color 武豊 62 芝1000m(不) 1:01.4 0.0 (Imperial Beauty)
11. 27 小倉 CBC賞 テンプレート:Color 17 1.2 (1人) テンプレート:Color 武豊 59 芝1200m(良) 1:07.5(34.5) -0.1 (マサラッキ)
12. 19 中山 スプリンターズS テンプレート:Color 16 2.6 (1人) 2着 武豊 57 芝1200m(良) 1:08.2(35.0) 0.0 ブラックホーク
2000 3. 26 中京 高松宮記念 テンプレート:Color 17 2.7 (2人) 3着 武豊 57 芝1200m(良) 1:08.7(35.6) 0.1 キングヘイロー
6. 20 アスコット キングズスタンドS テンプレート:Color 23   (8人) 2着 武豊 59.5 芝1000m(良) 1:13.18 0.2 Nuclear Debate
7. 13 ニューマーケット ジュライC テンプレート:Color 10 (1人) テンプレート:Color 武豊 59.5 芝1200m(稍) 1:13.1 0.0 (Lincoln Dancer)
10. 1 中山 スプリンターズS テンプレート:Color 16 2.1 (1人) 2着 武豊 57 芝1200m(稍) 1:08.8(35.4) 0.2 ダイタクヤマト
11. 4 チャーチルダウンズ BCスプリント テンプレート:Color 14 (7人) 8着 武豊 57 ダ1200m(良) 1:08.7 1.0 Kona Gold

引退後

引退後は社台スタリオンステーションで種牡馬となり、リース種牡馬としてイギリス、シャトル種牡馬としてオーストラリアでも供用された。受胎率が低いことで知られ、平均で40%以下、種牡馬生活晩年は20%を下回ることもあった。2009年の繁殖シーズン終了をもって種牡馬を引退し、池田町の新田牧場で余生を送っていた。

2012年8月20日、繋養先の社台スタリオンステーション北海道勇払郡安平町)にて、腰痛悪化により安楽死の措置が執られた[4]

日本における後継種牡馬は現れていないが、シャトル先のオーストラリアでの代表産駒Wonderful Worldが2008年から現地で種牡馬入りしている。

代表産駒

血統表

アグネスワールド血統ダンジグ系ノーザンダンサー系)/Northern Dancer2×4=31.26%)

Danzig 1977
鹿毛 アメリカ
Northern Dancer
1961 鹿毛 カナダ
Nearctic Nearco
Lady Angela
Natalma Native Dancer
Almahmoud
Pas de Nom
1968 黒鹿毛 アメリカ
Admiral's Voyage Crafty Admiral
Olympia Lou
Petitioner Petition
Steady Aim

Mysteries
1986 黒鹿毛 アメリカ
Seattle Slew
1974 黒鹿毛 アメリカ
Bold Reasoning Boldnesian
Reason to Earn
My Charmer Poker
Fair Charmer
Phydilla
1978 鹿毛 アメリカ
Lyphard Northern Dancer
Goofed
Gozilla Gyr
Gently F-No.6-b

脚注

テンプレート:Reflist

外部リンク

テンプレート:全日本2歳優駿勝ち馬
  1. この勝利により、武豊は中央競馬全10場の重賞制覇を達成。
  2. 当時は統一GII。
  3. 森秀行著『最強の競馬論』、講談社現代新書(ISBN 4061496573)、2003年、79-80ページ。
  4. アグネスワールドが死ぬ 産経新聞 2012年8月31日閲覧