JR東日本719系電車

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テンプレート:鉄道車両 719系電車(719けいでんしゃ)は、東日本旅客鉄道(JR東日本)の交流近郊形電車

概要

従来、主に急行形電車が使用されていたJR東日本仙台地区の輸送改善を目的として1989年平成元年)より投入された。急行形電車は1両につき客用扉が端部に2か所配され、また客室と乗降口の間に仕切りがあり、座席はクロスシート主体であったことから、ラッシュ時の混雑に対応しにくかった。また、3両編成が基本であることから、柔軟な輸送力調整が難しかった。さらに、初期の451系・453系は特に車齢が高く陳腐化が進んでいたことなどから、輸送状況に見合った車両として開発されたのがこの719系である。

1991年(平成3年)の奥羽本線福島 - 山形改軌の際には、一部仕様改修を施した5000番台車が投入され、同区間の客車列車を置き換えた。

構造

車体

211系電車を基本とした片側3扉のステンレス車体であるが、側面の窓配置は異なる。また室内からの展望に配慮して、前面貫通扉と運転室助士席側の窓を下方に拡大した(213系電車と同様のデザイン)。

クモハ719形 (Mc) + クハ718形 (Tc') の2両編成を基本とし、最大8両編成まで併結が可能である。分割・併合を容易にするために自動解結装置電気連結器を備える。

電源・制御方式

ファイル:JRE719-main circuit.png
サイリスタ連続位相制御による回路構成。電機子と界磁を個別に制御する他励方式で、回生ブレーキが使用可能。

制御方式としてサイリスタ連続位相制御を採用し、4個の直流モーターを直列で制御する。サイリスタ連続位相制御は変圧器の2次側にサイリスタブリッジによる整流装置を配置し、モーターの電圧を連続制御するものである。直流電気車に見られる抵抗制御とは異なり、衝動のない滑らかな加速が可能で、電力の損失も小さい。

本系列においては、主回路(電機子)のサイリスタブリッジ(2分割)と、界磁制御用のサイリスタブリッジを個別に配置する他励方式(分巻方式)を採用している。通常、電車に用いられる直流モーターは、電機子と界磁を直列に配置する直巻整流子電動機が用いられるが、本系列では電機子と分巻界磁を個別に連続制御し、回生ブレーキの使用を可能とする構成である。ただし、起動(発車)から力行に至る特性では直巻方式が有利であるため、直巻電動機と同様の特性を持つように界磁側を制御する(直巻制御)。

制御用に16ビットマイクロコンピュータを用いており、力行時は直巻制御するほか、界磁の独立制御により弱め界磁 (35%) や回生ブレーキ、抑速ブレーキ制御を行う。抑速ブレーキは仙山線などの勾配区間を考慮したものであり、一定の速度を保つことができる。また、主回路の整流装置はダイオードを併用しない全サイリスタとしており、回生ブレーキ使用時にはモーターが発する直流を交流に変換するインバータとして動作する。

設備

座席配置はセミクロスシートだが、クロスシート部分は特異な「集団見合い型」の配置である。車内は淡いクリーム色の化粧板、あずき色の座席モケット、薄茶色の床材(5000番台車はクリーム色)という暖色系のカラースキームとなっている。また、従来仙台地区で運用されていた417系717系(0・100番台)と同様に乗降口の脇にガラス製の風防が設置されている。トイレ和式で、クハ718形の連結面寄りに設置されている。 テンプレート:-

番台区分

0番台

ファイル:JRE 719@panta.jpg
0番台のパンタグラフ(2009年8月22日 黒磯駅)
ファイル:JRE 719 0 interior.JPG
0番台 客室(2008年4月6日)

東北本線仙山線磐越西線常磐線用の車両。全車が東急車輛製造で落成した。台車は急行形電車の廃車発生品からDT32形・TR69形が再用されている。ホーム高さが低い路線で運用されるために客用扉にはステップが設けられ、車体の帯色は上から「赤+白+緑」。車両前面の行先表示器は字幕式、車両側面の行先表示器はLED式となっている。パンタグラフは菱形で廃車された交直流車からの流用である。当初はスリ板が交直流用の4列であったが、後に舟体ごと交流用の2列のものに交換された。保安装置はATS-SNを搭載していたが、2003年(平成15年)末までに郡山工場(現・郡山総合車両センター)でATS-Ps形に換装された。仙台車両センターに2両編成42本、合計84両が配置されている。

仙山線・磐越西線運用車は停車駅誤通過防止装置を搭載する。これは仙台車両センター宮城野派出所所属の仙石線205系が装備するものと同様の装置。停車・通過を示す表示灯は運転席右側に設置され、駅接近時に表示される(一部編成には「通過」の表示灯が黒いビニールテープで覆われているものがある)。列車現在地の検知は台車に装着されたセンサーで走行距離をカウントするもので、空転した場合の距離検知誤差を手動で補正する機能もある。

なお、磐越西線運用車には、側面帯が赤色と黒色に塗り分けられ(正面は黒帯)、正面貫通扉や側面扉横に福島県会津地方マスコットキャラクターあかべぇ」をあしらった専用編成(H-10 - H-15編成、2013年1月現在)も在籍している。また、一部の編成(H-10 - H-18編成)ではパンタグラフは菱形からシングルアーム式へ換装され、排障器(スカート)も5000番台と同じ形状に変更された。 テンプレート:-

5000番台

ファイル:JRE EC719-5000 Y-4 20090506.jpg
719系5000番台(2009年5月6日 高畠駅 - 赤湯駅間)

奥羽本線標準軌区間(福島 - 新庄、愛称「山形線」)の普通列車用として、1991年(平成3年)に全車が日本車輌製造で新製されたJRグループ初の在来線標準軌車両である。標準軌用のボルスタレス台車DT60形・TR245形が新たに採用された他、パンタグラフがシングルアーム式(2002年までは下枠交差式)である点、客用扉にステップが設けられていない点、車体の帯が上から「オレンジ(紅花色)+白+緑」である点が0番台車との相違である。また、パンタグラフがシングルアーム式に換装された際にスカート形状も変更された。EB装置TE装置を搭載。保安装置はATS-P形である。

山形車両センターに2両編成12本(Y-1 - Y-12編成)、合計24両が配置されている。このうちY-1 - Y-6編成はワンマン運転対応のための改造が行われ、関連機器を搭載したほか、運転席・助士席直後の座席が撤去されている。 テンプレート:-

運用線区

テンプレート:出典の明記

ファイル:JRE-kuha718-13.jpg
磐越西線「あかべぇ」仕様の719系0番台(2008年3月5日 郡山駅)

2013年現在、以下の線区で運用されている。

2013年3月までは仙山線での運用があったが、現在は定期運用からは外れている。
  • 5000番台車
    • 山形線(奥羽本線) : 福島 - 米沢 - 山形 - 新庄間で普通列車の運用に就いている。板谷峠を挟む福島・米沢間の普通列車はすべてこの719系5000番台で運用される。

仕様

ファイル:Jre series719 type0 cab.jpg
0番台車運転台(2012年8月13日)

脚注

テンプレート:脚注ヘルプ テンプレート:Reflist

参考文献

  • 「車両における応用」 富士時報 第42巻第7号(1969年)、富士電機、84-85頁
  • 「JR在来線交流電車用電機品」 富士時報 第62巻第8号(1989年8月)、富士電機、20-21頁

関連項目

テンプレート:Sister

テンプレート:JR東日本の車両リスト
  1. 719系2両が盛岡車両センターへ - 交友社『鉄道ファン』railf.jp 鉄道ニュース 2011年10月17日
  2. 「POST 〜ダイヤ改正関連〜」『鉄道ファン』2012年6月号(通巻614号)、交友社、190頁。