増解結

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ファイル:Nihonkai 4-gō, Aomori Station.ogv
青森駅で客車を増結する函館始発・大阪行の「日本海4号」(2006年)

増解結(ぞうかいけつ)とは、鉄道車両編成を運行中に増結、および解結(切り離し)することである。

概要

増解結以下の状況において行われる。

  1. 2系統以上の編成が一つの編成として運行されるとき(多層建て列車)。この場合は「併結・分割」、「分割・併合」ということがある[1]
  2. ホーム有効長の都合上や、乗客が極度に増減するとき。

増解結は主に車庫が所在する駅や、列車運用の中心駅で行われる。

増結

増結は、2編成以上の車両を連結し1編成にすることを指す。多客時などにおいて、通常の編成に追加される車両や、増結用途の車両・編成自体を、増結増結車と呼ぶことがあり [2] 、このとき、号車番号は元の編成の最も大きい号車の続きとなる。列車の中間や1号車の前に連結されるときは、「増1号車」や「増21号車」などされる。小田急3000形「SSE」では、多客時の増結において同一編成を2本連結し、A編成・B編成と称して号車番号を重複させた。

列車運用の中心駅での増結は、乗客が乗っている編成に追加して空車の編成を連結することが多い。増結を行う際の停車時間は長く確保される場合が多い。京浜急行電鉄金沢文庫駅など)では停車から発車まで約2分で増結を完了するダイヤが組まれている。

1980年代以降は、増解結する可能性を想定して電気連結器自動解結装置を装備した車両が増えている。また併結時は、恒常的に貫通状態としている場合、自動貫通幌引出装置を搭載していることもある。これにより、増解結に要する時間が短縮されている。なお、自動解結装置を装備しない車両は、連結後に作業員が手作業でブレーキ管やジャンパ栓などの接続・解放を行う必要がある。

一例として、常磐線土浦駅における上り列車(上野方面行)への増結は以下の手順となる。

  1. 水戸方面から上り列車が到着。客用扉を開けて客扱いを行う。
  2. この間に、水戸方面にある土浦運輸区電留線から増結する編成が入線。客が乗っている編成の手前で停車。
  3. 駅員の無線誘導により増結編成を連結。連結完了後、増結編成の客用扉を開けて客扱いを行う。

また、南海電気鉄道高野線近畿日本鉄道南大阪線名古屋鉄道犬山線での増結方法は以下の手順となる。

  1. 付属編成がホームに待機する。
  2. 基本編成が誘導信号機の停止指示により駅手前で停止する。このとき、付属編成が客扱いをしてるときは、一旦車両の客用扉を閉める。
  3. 誘導信号機の進行指示により、15km/h以下でホームに進入し、駅員の示す手信号に従い付属編成の手前で停止する。その後基本編成の客用扉を開けて客扱い開始。
  4. 駅員の指示によりゆっくり付属編成が接近し連結完了。付属編成の客用扉を再度開けて客扱いを行う。

南海高野線や近鉄南大阪線では、ダイヤの都合上付属編成がホームに待機していないときがある。その場合、基本編成が先にホームに進入し客扱いをしている最中に付属編成が同じホームに進入し、基本編成の手前で一旦停止し、その後ゆっくり接近し連結となる。

解結

解結とは、編成の一部車両をその編成から切り離すことを指す。近鉄では「解放」と称する。

解結の例として、優等列車の一部車両を切り離し各駅停車とする運行が挙げられる。これにより、解結が行われる駅以遠において、優等列車が通過する通過駅を利用する旅客需要に対して各駅停車の運行による補完が可能となる。あるいは切り離した車両を、解結した駅始発の列車として、逆方向へ折り返し運転する場合もある。

南海高野線の場合、

  1. 難波方面から下り列車が到着。
  2. 到着後全車の客用扉を開けて客扱いを行う。その間付属編成と基本編成の間に構内運転士が乗り込み、解結の準備をする。
  3. 準備終了後、直ちに付属編成側で自動解結装置のスイッチを「運転」位置から「解放」位置に操作することで、連結が解放される。
  4. 付属編成に乗り込んでいる構内運転士が、運転席の窓から半身乗り出して後方へ向かって、「バックしまーす」と乗客に対して声を掛ける。
  5. 乗客の乗降が完全に終わったことを確認すると、付属編成が客用扉を開扉したまま後退して停車。付属編成が折り返し営業列車となる場合はそのまま開扉したまま客扱いを継続するが、折り返し回送車となる場合は閉扉する。

注釈

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関連項目


  1. 鉄道トリビア(87)(マイコミジャーナル)。市販時刻表(『JTB時刻表』では「時刻表の使い方」「瀬戸大橋線・予讃線」のページなど)、「テンプレート:PDFlink」(JR東日本)などに用例が見られる。
  2. 横須賀・総武快速線阪急電鉄など。