SHADOW LADY

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SHADOW LADY』(シャドウレディ)は、桂正和の描く SF 漫画作品。同名の作品が3種類存在する。

概要

桂正和が映画の『バットマン』をモチーフとして描いた作品[1]。タイトルの『SHADOW LADY』は変身に使う「アイシャドウ」とを意味する英語の「シャドウ」をかけ、鳥嶋和彦が名付けた物である[1]。以下の3作が存在する(掲載誌はいずれも集英社刊)。

  1. Vジャンプ (VJ) 』連載作品。以下「VJ版」。
  2. 週刊少年ジャンプ (WJ) 』に掲載された読切作品。以下「読切版」。
  3. 『WJ』連載作品。以下「WJ版」。

特に断りなく『SHADOW LADY』と言った場合、最も読者数の高い「WJ版」をさす場合が多い。このため『D・N・A² 〜何処かで失くしたあいつのアイツ〜』 (DNA²) よりも後の作品と認識している人が多いが、オリジナルとなる「VJ版」は「DNA²」に先立ち連載されている。

主人公の少女については名前などいくつか共通する点はあるものが基本的には全くの別人であり、境遇・性格をはじめとして3作それぞれで設定が大きく異なる。

共通点

  • アイミ」と言う名の少女が主人公。
  • 魔法のアイシャドウ(「読切版」以外での名称はマジックシャドウ)を塗る事によってシャドウレディに変身。
  • 変身後の姿は生物をモチーフとしており、動物の種類はアイシャドーの色に対応している(例:黄色のアイシャドウ→)。
  • 変身すると大胆且つ活動的になり盗賊として街を騒がせる。

VJ版

Vジャンプ』の前身である『週刊少年ジャンプ特別編集増刊 V JUMP』の1992年11月22日号から1993年4月4日号、及び月刊誌として独立後の『Vジャンプ』1993年7月号(創刊号)に掲載。『週刊少年ジャンプ』で連載されていた「電影少女」の次となる桂5本目の連載作品。桂正和のイラスト集『4C』(3冊組)の中の3冊目『SHADOW LADY Katsura Masakazu Illustrations 3』にフルカラーで収録されている。

フルカラー作品である為か、冒頭部分では絵本的な描写がみられ、全体としてアメリカン・コミックス風の仕上がりになっている等、他の作品とは大きく作風が異なる。また以降の版には見られない「自然と科学」という対立軸が伺える。

登場毎に使うマジックシャドウの色が異なり変身後のシャドウレディの姿も異なる。色とモチーフは以下の通り。


あらすじ

祖父と暮らした家と森が開発されてしまうことになり、久しぶりに祖父の家を訪れたアイミは、祖父の生前には入れてもらえなかった部屋で不思議なコンパクトを見つけ、シャドウレディに変身できる様になる。思い出の森を守るため、今晩もシャドウレディは盗賊として資金を稼ぐ……。

主な登場人物

アイミ / シャドウレディ
本編の主人公。読書(主に詩集)とチェロが趣味の無口な少女。両親を幼い頃に亡くしており、森の中の家で祖父に育てられる。その祖父も2年前に他界。久しぶりに訪れた祖父の家でコンパクトを見つけシャドウレディに変身。思い出の森の開発を防ぐ為、買い取り資金を盗賊によって稼ぐ。
マイト
街で暴漢に襲われたアイミを助け出会う。シャドウレディを追うポリス。シャドウレディを追ううちに親しみを持つ様になる。
サム・ライン / テクノマン
センチュリーシティーのトップ企業ライン社を経営し、森を開発しラインランドの建設を計画。自社の技術で作り上げたスーツを着込みテクノマンとしてシャドウレディの前に立ちはだかる。アイミに好意を抱く。

読切版

週刊少年ジャンプ1995年3・4合併号掲載。46ページ。『ZETMAN 桂正和短編集』及び、WJ版『SHADOW LADY』の単行本3巻に収録。

アイシャドーは黄色のみで、シャドウレディの変身パターンもウサギをモチーフとした1種類のみ。1回の変身に制限時間がある。

なお、読切り版での表記のみ「アイシャド」ではなく「アイシャド」となっており、「マジックシャドウ」と言う名称も登場しない。

あらすじ

17歳の少女、小森アイミは転校してきた伴田マイトに恋心を抱く。しかし彼の目の前で逆上がりに失敗し、笑われてしまう。落ち込んでいるアイミを心配しておばあちゃんがくれたのは「魔法のアイシャドー」。半信半疑で塗ってみるとアイミはシャドウレディに変身してしまった……。

主な登場人物

小森 アイミ(こもり アイミ) / シャドウレディ
本編の主人公で、古いイナカ町にすむ17歳の少女。運動神経が鈍く、逆上がりが出来ない。「魔法のアイシャドー」でシャドウレディに変身。転校してきた伴田マイトに恋心を抱く。
伴田 マイト(ばんだ マイト)
アイミの学校に転校してきた男。正義感が強く、自分で作った小道具で悪を退治する。
アイミのおばあちゃん
小森家の女性に伝わる「魔法のアイシャドー」をアイミに授ける。
デモ
元々はアイミのぬいぐるみ。アイミのお目付役として、おばあちゃんが秘宝「命の粉」を使い命を与えた。語尾に「〜やんす」がつく喋り方をする。
爆破強盗
アイミの町に現れた強盗。宝石店に爆弾を仕掛けて侵入し盗みを働く。

WJ版

週刊少年ジャンプ (WJ) 』に1995年31号から1996年2号まで連載。「D・N・A² 〜何処かで失くしたあいつのアイツ〜」の次となり、『WJ』上においては6本目となる連載作品。「VJ版」を含んだ通算では7本目の連載作品となる。単行本はジャンプ・コミックスより全3巻。衣服が破れたり、全裸状態で石のオブジェにされた女性が登場したりする等の性的な表現が多い。

ベースとなるシャドウレディはコウモリをモチーフとしたと1種類のみで、マジックシャドウがとれない限り時間制限はない。この他、エキスパートチェンジによって状況に応じた姿に10分間だけさらなる変身ができる。エキスパートチェンジは6種類あるとの記述があるが[2]、作中に実際に出てきたのは3種類のみ。

  • 赤のキャットシャドウ:猫の属性。華麗な身のこなし。
  • 青のバードシャドウ:鳥の属性。空を飛べる。
  • 黄色のバニーシャドウ:兎の属性。速く動ける。

また破れたりしてコスチュームが破損したとき、「リフレッシュアップ」を行うことで軽量化されたコスチュームに変化することができる。


あらすじ

貧富の激しい街グレイシティを騒がす女怪盗シャドウレディは不思議な力を使い、盗めないモノはないと言われている。そんな彼女の正体はマジックシャドウの力によって変身した内気な少女小森アイミであった。本田ブライトと出会い、アイミとして頑張る事を誓った彼女だが、恋のライバル細川ライム(スパークガール)も現れ、今日も理由をつけてはシャドウレディに変身する。

そんな彼女の前に突如現れたのは、アイミの相棒デモを殺す為にやってきた3人組の魔界警察。彼らは人間界に流出してしまった5つの魔石を回収し、魔人が復活する前に封印BOXへと収める事を条件としてデモの免罪を約束する。一つ目の魔石を見つけるも、封印の前に魔人メデューが復活し、なす術もなく石とされてしまったシャドウレディであったが、デモと彼女の絆を見たメデューは石の回収を条件として最後のチャンスを与え石化を解く。以降順調に魔石を集め続けていた彼女達であったが、最後の一つの魔石から魔人ゼラが復活してしまう。メデューをも取り込んでグレイシティを踏みにじり、最終破壊魔人へと変身しつつあるゼラを前に、この混乱の元凶という濡れ衣を世間に着せられてしまったシャドウレディの一世一代の大ドロボウが行われる……。

主な登場人物

小森 アイミ(こもり アイミ) / シャドウレディ
この物語の主人公で、超シャイな17歳の少女。3歳の時に事故で両親を亡くし、13歳まで孤児院で育ったために家族はいない。アパートの一階にあるケーキ屋で働く。マジックシャドウをつけてシャドウレディに変身。怪盗として夜の街を騒がせるが、あくまでも普段の内気な性格に対するストレス解消であり、どうでもいい様な物ばかりを盗む。変身時の性格と変身前では180度とも言えるほど性格が違うが、これはマジックシャドウによる効力である(ドリーの場合も性格が変わった)。暴漢に襲われているところをブライトに助けられ、恋に落ちる。以降変身するたびに「これが最後」と言っているが、何かに付けては再び変身することになる。
デモ / デモ太(デモた)
魔界からやってきた小悪魔。アイミにマジックシャドウを渡し、シャドウレディの相棒となる。普段はデモ太を名乗り、人間の子供の姿で生活している。エロい。
本田 ブライト(ほんだ ブライト)
25歳の刑事。シャドウレディを自分の手で捕まえ更生させようとグレイシティにやってきた。アイミの真上の部屋に住んでいる。発明が趣味であり、職務に使おうとしては失敗。最初はシャドウレディの能力に対する憧れを好きと勘違いしていたが、アイミに諭されシャドウレディを女性として好きだと告白する。
ドリー
グレイシティ警察シャドウレディ担当の警部。しかしいつもシャドウレディにおちょくられる事になり、シャドウレディからドジー警部と呼ばれる。シャドウレディに変身させられた事あり。
山崎(やまざき)
ドリー配下の刑事。いつも下らない作戦を計画する。
細川 ライム(ほそかわ ライム) / スパークガール
17歳の少女。ブライトが以前住んでいた町で、一緒に発明をしていた。ブライトに想いを寄せ、シャドウレディにしか興味がない彼を昔のように戻したいとグレイシティにやってくる。このとき、ブライトと同じ髪型(ブライトヘアー)にしていた。そこでアイミと意気投合し、友情を深める。
シャドウレディを捕まえるべく挑戦状を突きつけ、スパークガールに変装。ワイヤーを駆使した動きとエレキロッドでシャドウレディを追い詰めるも、キャットシャドウに変身したシャドウレディに衣服を切り裂かれ敗北。しかしシャドウレディに唯一のライバルと認められた。
美女連続誘拐事件においてはアイミのピンチに現れ、クラインに挑む(このときの衣装には若干の差異が加えられている)。しかしクラインに捕まり、石化を受けてしまう。体の石化と衣服の崩壊の中でクラインに発信機を付けたものの、このまま裸のオブジェへと変わり、全裸の姿でワイヤーにつるされた状態のまま夜の街に放置されてしまう。その後、メデューによって誘拐された女性たちとともに石化を解かれるが、夜の街で凍えて震えることになってしまう。
ビン、デロン、ルーク
魔界の規則を破ったデモを殺すためやってきた魔界警察。アイミが魔石の回収を行う事を条件にデモの免罪を約束する。ビンは語尾に「っス」がつく喋り方。デロンはアイミに怒鳴りつけたところを「うるさい」とビンに消される。ルークはほとんど喋らない。
花山 クライン(はなやま クライン)
寄付やボランティア等を行い「街の英雄」と呼ばれる青年実業家。しかし夜になると美女を次々と誘拐し、魔石の力で石化してコレクションにしている。世界中の美女を自分のものにするという欲望を持ち、邸宅には彼によって裸のオブジェにされた女性たちが立ち並んでいる。
彼の眼からの光を受けた人は、石化と同時に衣服を剥がされて裸のオブジェにされてしまう。石化の開始部分、進行速度は彼の思いのままである。
魔石回収のために行動していたアイミを狙って姿を現したところでスパークガールに乱入されるも、優勢を見せて捕まえる。顔を傷つけられたために、この場で石化をかけ、スパークガールを裸のオブジェに変えて放置。アイミだけを捕まえて姿を消す。その後、体だけ石化された美女を容赦なく壊す彼に憤怒したシャドウレディに惨敗。魔石に力を求めるあまり、理性を失い暴走状態に陥ったところ、覚醒したメデューに殺される。
メデュー
魔石のひとつに封印されていた魔人でシャドウレディを圧倒するほどの力を備える。人であれば眼を見ることで、只の物質であれば意思ひとつでその対象を石化する力を持つ。鏡を用いられて自分を石化させられるも、石になった右腕を叩き落して再生している。クラインの石化は元々はメデューの力であり、クラインの欲望を取り込んで覚醒を果たす。無駄が嫌い。
アイミとデモの絆を垣間見た彼は、事の成り行きを見守ることを決め、クラインに石化された女性たちを元に戻し、同時に彼女たちから事件の記憶を消した。
ゼラ
魔石のひとつに封印されていた魔人。様子を見守ろうとするメデューとは対照的に、積極的に破壊行動を取ろうとし、メデューや他の魔石を吸収し、破壊魔人へと変身しようとする。

書誌情報

全て著者は桂正和集英社発行。

  • 4C / 1998年8月9日初版発行、ISBN 978-4-08-782762-0
    • 『SHADOW LADY Katsura Masakazu Illustrations 3』
  • ZETMAN 桂正和短編集〈ジャンプ・コミックス〉1995年7月9日初版発行 ISBN 978-4-08-871820-0
  • WJ版単行本〈ジャンプ・コミックス〉
    1. 1996年1月15日初版発行 ISBN 978-4-08-872041-8
    2. 1996年5月15日初版発行 ISBN 978-4-08-872042-5
    3. 1996年9月9日初版発行 ISBN 978-4-08-872043-2

脚注

関連項目

  • 1.0 1.1 桂正和「桂正和インタビュー」『4C R-side <HEROES-side> Katsura Masakazu Illustrations 2』集英社、1998年8月9日発行、ISBN 4-08-782762-3、72頁
  • 桂正和「File.1 HELLO アイミ!」『SHADOW LADY 1巻』集英社〈ジャンプ・コミックス〉22頁